バカとテストと謝肉祭   作:ハガル_ゴールド

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 投稿が遅くなりました

 不定期という事でお許しを……もうひとつも遅れてるorz


TWO

 

 

 『ここが噂のAクラスね……物凄い充実ぶりじゃない、本当に教室?』

 

 「教室なんだろうね、多分」

 

明久とサチコの両名は扉越しに見えている巨大な教室というには有り得ない広さと環境の部屋を見ていた。

数百万はするだろうスクリーンや、豪華な照明セット、それにシステムデスクなど……キリがないほど贅沢な設備だ。

通常の教育機関では明らかに不適切とも言えるかもしれない。

 

 「あ……」

 

 『どうした……あー、明久の嫌いなアイツ(・・・)が居るのね』

 

そうして明久が室内を見渡していると見たくもなかった人物が教室内にいた。

明久の三つ子の弟である……明久的には嫌なことではあるが……明久は三つ子であり、兄と弟が一人づつ存在している。

兄の方はまだ明久は話ができる類なのだが……弟の方は完璧に明久の存在を疎ましく思っているかのように幼少の頃から振舞っており、更には家族や親戚中から孤立させてきたのである。

そのおかげで明久が日常に戻った後、外見が多少変わった事や西村先生に出会った事を好機として養子にしてもらったのである。

そして、何故か法律上では不可能であるはずの完全な縁切りを弟によって行われていた。

 

 「こっちには気づいてない……ね」

 

 『そもそも私が見た限り、貴方を家から追い出した時から眼中になくなった感じじゃないの?』

 

 「……そう……だね」

 

明久としても頑なに嫌われ続け、否定され続け、親戚中から孤立させるような弟は憎むべき対象なのだが……何故か憎めないのだ。

己を呪い殺そうとした存在にも否定しようとした存在が相手でも何故か明久は憎しみを抱くことができない。

サチコの憑依により何か変質してしまったような気がするが、詳細は不明である。

 

 【皆様、おはようございます……このクラスの担任となった高橋―――】

 

 「あ、高橋先生だ」

 

 『最高クラスは教師も最高クラスを用意してるようね……外見も学力も』

 

髪を団子状に後ろで束ね、メガネをかけ、スーツをしっかりと着込んだ知的女性の代表ともいえる教師が教団に立っていた。

既に遅刻したという事を実感している明久は開き直って、これ以上遅れてもいいやと進行を眺めている。

 

 【―――参考書や文房具類はもとより冷蔵庫の中身は学園よりしっかりと支給されますので、皆さん遠慮せずに使ってくださいね。それが最高クラスとなった特典でもありますので】

 

 「……すごいね、Aクラス」

 

 『ハサミを補充し放題なのね』

 

 「ブレないねサチコ」

 

若干落ち着いているとは言え、サチコは恐怖劇の中で最高位のラスボスなのである……その怨念は凄まじく、見ただけで発狂させるほどの負の塊と言える存在だったのだ。

たまにハサミやカッターなどの刃物類を磨いたりしている光景を見ていると明久としては背筋が寒くなる。

 

 【では、はじめにこのクラスの代表となった生徒を紹介します……さあ、どうぞ霧島さん】

 

 【……はい】

 

その苗字を聞いて、明久は立ち上がった生徒を先程まで堂々と見ていた状態から今度は隠れるようにして見始めた。

サチコが『このチキン』と言っているのだが、明久としてはそれどころではないのだ。

会いたくないわけではなく、会って親友として接したいと思っているのだが、恐怖劇の時に別れる寸前、聞こえていないのだろうが告白まがいなことをしてしまい、恥ずかしいのである。

 

 「ああ……やっぱりキレイだなあ霧島さん」

 

 『そうやって熱の篭った視線を送るぐらいならいい加減近づいて話せよこのチキン』

 

 「う、うぐぐ……でも、既に霧島さんには好きな人が居るんだし、あまり親しく話して誤解させるのも……」

 

 『ネガティブに考えすぎよ……私に挑んできた時の気迫はどうした気迫は……』

 

物静かな返事をして壇上に立った霧島の姿を見続けながら明久は胸のもやもやを継続させつつ、隠れるように行動している。

そのさまはまさしく不審者だ……通報されてもおかしくないような状況である。

 

 【……霧島翔子です……よろしくお願いします】

 

黒髪を肩甲骨付近まで伸ばし、ストレートにたれながして、日本人形のような外見から綺麗な声が聞こえ、明久はやっぱり見続けている。

色々と台無しではあるのだが、それでも明久はばk――頭がちょっと弱い為、気がついていない。

そうして霧島は教室の中を表情を変えずに見渡しながら確認をし続けていた……明久はここで誰かを探していると察した。

 

 「女子を頻繁に見ているけど……ああ、霧島さんそれじゃあダメだよそのせいで同性愛者って噂が流れてるんじゃないか~」

 

 『実際には好きな人のライバルになる生徒がいないかを見ているってだけなんだけどね……そのせいで誤解されまくってるけど』

 

明久は霧島の好きな人を知っている(つもりなのである)……知っているからこそ、そうやって誤解され続けるような行動は避けて欲しいのだ。

そうしてしまえば、ますます好きな人にまで誤解される可能性が非常に高くなり続けるのだから、と。

 

 【では、Aクラスの皆さん。これから一年間、霧島さんを代表にして協力し合い、研鑽を重ねてください……試験召喚戦争で負けないために】

 

その言葉を受け、会釈して霧島が席に戻り始め―――一瞬だけ明久の居るドアに向けて笑みを浮かべた。

誰にもわからないほどの一瞬……刹那の光景ではあるのだが、明久はそれを捉え、頭がこんがらがった。

サチコは若干舌打ちをしながらも、これでようやく朴念仁も気がつくだろうと安心し‐‐――

 

 「おい、明久……いつまでAクラスの教室にへばりついているんだ……俺もそうだが遅刻だぞ」

 

 「あ、雄二……ごめん(ああ、雄二の姿が見えたからなんだ……ちょっと残念だな……)」

 

 『…………空気読めやこの赤ゴリラーーーーー!!!!!!!!』

 

明久の後ろに明久の悪友であり、ある意味では勘違いしている相手の坂本雄二が立っていた。

そのおかげで明久は笑顔の対象が自分ではないと思い、安心したような残念なような複雑な表情をしていた。

そしてサチコはあまりにもふざけたタイミングで来た坂本雄二相手にブチギレて絶叫を上げた……聞こえている対象は明久だけであり、鼓膜が破れかけたかどうかは定かではないが、急に転げ回り―――

 

 「おい、大丈夫かバカ久」

 

 「バカ久いうなバカ雄二ぃ!」

 

なお、サチコの絶叫に一瞬召喚システムに異常が引き起こされたのだが、完全に余談である。

 

 

 

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