バカとテストと謝肉祭   作:ハガル_ゴールド

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 もう一つのより早く書き上がり始めた……なぜだろう?


THREE

 

 「ここがFクラスなわけだが……」

 

 「噂には聞いてたけどひどいクラスだね……」

 

 『うわ、いい雰囲気ね……もう少しボロボロの方が好みだけど』

 

Aクラス張り付きから移動して、Fクラスの前にやってきた三人(ふたり)……上から順に雄二、明久、サチコのセリフであり、Fクラスの教室の前に立っているだけの状態でのセリフである。

サチコに関してはボロボロ具合がかつての住処と似通っている点で高評価なのだが、普通の人間にとってはどこの山小屋かと疑うレベルである。

 

 「……(そうだね、天神小学校よりマシだよね……そう考えたら楽になった)」

 

 『くひゃはひゃ……まあ、マシでしょうね……明かりはある、怨霊は居ない……それだけでも既に快適と言える環境じゃないの?』

 

色々とタガが外れ始めているのだが、サチコは興奮してくると概ねこのような感じになるのである。

少女がするような表情から大幅にズレまくっており、不気味という問題を大幅に超越している。

明久にしか見えないから問題ないとは言え、見ただけで普通は失神するレベルの恐ろしい笑顔だ。

 

 「そういえば雄二……なんで遅れたの?」

 

 「ああ……ちょっと備品の片付けをな」

 

 「また喧嘩?」

 

そう言って若干のため息をつく雄二……疲れたという感じではないのだが、雑用としてこき使われた事にまいっているのだろうか?

度々喧嘩――中学の頃の影響のせいで因縁をつけてくる生徒を正当防衛ではあるのだがのしている――を起こしているせいで、罰として雑用をやらされているのだ。

これでも大きく問題視されないのは、単に……もっと酷い例があるのと雄二がキチンと罰から逃げ出さないためである。

 

 「仕方がないだろ、放っておいたら逆に他の奴が狙われるんだし……時間稼ぎの意味もあるんだしな」

 

 「……西村先生が”自分が後3人いれば……”って呟いてた事が関係しそうだね……」

 

神出鬼没で行動するような西村先生も、流石に距離がありすぎると初動が遅れるし、問題を起こす生徒は他にも大勢いるのだ。

待ち構えていれば楽なのだが、単純に人手が大幅に足りない。

 

 『……それはそれで怖いわね……代わりに私が3人居れば癒されそうなのに』

 

 「(や  め  て)」

 

サチコ1人ですら怖いのに4人とか無理ゲーそのものである……とはいえ、きっと協調性が皆無なのでワンチャンありそうなのだが。

それはともかくとして教室に入らないと色々な意味で始まらないので、意を決して教室に入る――教卓で誰かが出席をとっており―――

 

 「篠崎、坂本遅いわよ」

 

 「……お、おう……すまないがなんでお前がこのクラスに居るのかは聞かないが教卓にいるんだ中林」

 

黄色いヘアバンドをつけ、耳から下の髪をウェーブにしている少女が雄二と明久を迎え入れていた。

出席簿を持ちながらペンでチェックし続けており、先生の真似事をしているように見受けられる。

 

 「……待ち続けても待ち続けても先生が来ないから職員室に行ったら……担任が決まってないらしいのよ」

 

 「なんだそりゃ」

 

 「ひどいとかそういう次元じゃなくて流石におかしいよ!!?」

 

 『…………心なしか教室も狭くて綺麗ね、まあまあだわ』

 

あまりにもおかしい待遇に明久と雄二は驚き呆れる……サチコはサチコでおかしい観点で教室を眺めていた。

恐怖劇の舞台に比べれば確かに綺麗かもしれないのだが……実際には人間が過ごすような環境ではなくなっている。

アチコチに穴があいており腐った感じの匂いがする畳――ひび割れどころかガラスが一切無い窓――足が折れている卓袱台に綿がはみ出しまくっている座布団――黒板を見ると淵の部分にチョークが見当たらない。

考える限り最悪すぎる環境の教室である…………本当に教室なのかどうか疑わしい、ただの廃教室にしか見えないのだ。

 

 「で、中林……お前はなんでこのクラスに居るんだ?お前ならDクラス下位かEクラスの成績だろう?」

 

 「……ソフトボールの超有名投手の人とマンツーマンで特訓できるコースが当たって勉強時間すべてそれに費やしちゃったのよ!そうしたら本気で勉強に取り組んでる人が多くて多くて……!!Fクラスの代表だから後ちょっとでEクラスに行けたのに……!でも後悔はない!!」

 

 『趣味に生きた結果がこれな訳ね……運を使い果たしたわけだ』

 

馬鹿にできるような理由ではない……中林はソフトボールのキャプテンであり、ピッチャーだ……勉強にも多少比重を置いているようなのだが、それでもソフトボールに命をかけているといっても過言ではないほどに熱中しており、仲間からの信頼もあついのだ。

そんな人物が憧れの選手とのマンツーマンの特訓を受けれる機会を逃すはずもなく、ついつい勉強を忘れて指導を受けてしまうのは仕方がないのだ。

 

 「相変わらず、ソフトバカだな」

 

 「その言い方はやめなさい坂本ぉ!せめてボールを間に入れなさいよ!!」

 

ソフトボールバカとソフトバカでは、深刻な間違いが起きているような気がするのだ……意味が圧倒的に違うように受け取られるだろう。

 

 「せっかく出席扱いにしたのに、あんただけ遅刻扱いにしてもいいのよ」

 

 「何気に無遅刻無欠席になるな……すまん、謝るから出席扱いにしてくれ」

 

 「まあ、いいわよ……最初の授業の担当教師が来るまで私がこのプリントに書いてあるのを読み上げるから席に座りなさい……ちなみに決まってないわ」

 

 「本当に最低な設備だ」

 

 『居心地は良さそうだけど』

 

中林に指示されて空いている席へと向かう明久(+サチコ)と雄二……最も酷い状態の卓袱台三つが並んでおり――他の席は埋まって、一つに誰もいない状態で荷物があるので中林なのだろう――雄二と明久はそこの席へと座った。

そしてサチコはサチコで相変わらずズレズレにズレていたのであった。

 

 

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