今回も長引いたので前編、後編に分けます。恐らく今後も同じ方向性でいく可能性が高いです。
あと、今回から三人称視点で物語を進めていきたいと思っています。その方がやりやすいので…(汗)
目の前の現実に、夢のような実体験に、間琴は度肝を抜かしていた。まるでサスペンス映画のワンシーンのように、目の前の男は間琴の額に銃を突きつける。体で感じていた。これはドッキリでも、作りものでもない。目前の男から漂う殺意の気配は、夢であってほしいという間琴の願いをじわじわとかき消していった。
「ゲームオーバーってな!」
男の宣告に間琴は自らの死を悟った。もうおしまいだ。何故ここで死ぬ必要があるのか、どうして自分は命を狙われているのか、その答えも知れないまま、理不尽に殺されるのか。と間琴は悲観する。その瞬間だった。
ドーーン!
突然として廊下に重い爆音が響き渡った。間琴はその音に驚き、一瞬目を閉じる。その刹那に、間琴の左脚に、液体のような何かがかかる感触がした。水ではない、もっとドロドロとした、生々しい何かだと感じた。
「うっ…あッ…」
苦痛を表すかのような男の声を耳にし、間琴はゆっくりと瞼を開く。
「えっ…」
その男は見たこともない量の血を腹部から流し、右手に携えた銃を掌から滑り落とす。自然と風穴の空いた場所を両手で抑え、止血を施そうとする。指の隙間からは血液がトボトボとこぼれ落ちていた。
「隙だらけですね、『こっちの方』には自分とその人の2人しかいないと思ってましたか?」
その場にいないはずの人間の声が聞こえる。男の腹部を撃ち抜いた主のものだった。間琴は何度も何度も自分の置かれている状況下に愕然、困惑とし、命の恩人である声の主の素顔さえ確認することなく気を失った。
「クッソ…おめぇらメイトか…クソが…」
ゲボッ!と吐血しながら男は愚痴をこぼした。
「あなた、その様子だとパーツを用いった戦いは未経験ですか?まだ一つもパーツを回収してないところ恐縮なんですけど、あなたのパーツも貰いますね」
身の丈以上の大きさながらもその狙撃銃を両腕で携え、謎の人物は瀕死の男を煽った。木製のハンドガードとストックが特徴的な銃だ。
「ハァ…ハァ…だがここで終わりじゃあないぜ…」
よろめく体を動かしながら、廊下の壁際に寄り、付近のガラスの空いた窓辺に手を置く。
狙撃銃を持った人物は、「ハッ!」と声をあげ何かに反応する。
「へっ、銃口は常に敵に向けておくモンだぜ、『お嬢ちゃん!』」
両手で狙撃銃を男の方向に向けようと動かそうとする。男は窓から飛び降りて逃げる気だ。
「待てッ!」
狙撃銃の人物の叫びが渡り廊下に轟く。男は腹部に抱えた手を離し、窓辺に両手をつき、押し上げた。その巨体は大きな窓をすり抜けた。
窓辺に両手をついた時点で狙撃銃の銃口は男に向けられていたが、窓に飛び込む間一髪の所で銃の軌道にのらず、弾を回避した。
男の後を追うように、狙撃銃の人物は、立ち位置からおよそ15メートルほど離れていると思われる窓辺まで、全速力で走った。
逃げた男の姿を確認しようと試みて窓から下を覗き込むも、すでに男の姿は見えなかった。
「あーあ、逃がしちゃった。ま、でも…」
狙撃銃の人物は気を失った間琴を横目で見る。そして、
「都合が良いっちゃ都合がいいかな?」
「…ん…、ん~~…?」
電球の明りが弱く少し薄暗い密室のベットで、気を失っていた間琴はゆっくりと目を見開いた。
「僕は…一体…?確か公園にいたはずなのに、気が付くと急に病院の廊下みたいな所で目が覚めて、変なところで追われて…」
気を失う前の事を振り返るも、やはり何が起きていたのかさっぱりわからなかった。ただ不思議と間琴は昏睡する前の奇妙な出来事を夢だと錯覚しなかった。
「というか、ここどこ?」
ようやく自分が見覚えのない場所で目覚めた事に気付く。すると…
「あ、おはようございます」
横耳から少女の声が聞こえる。凛としているもとても可愛らしい声だが、急に話しかけられたので間琴は少し驚いた。
「えっと、君、誰?」
間琴は声のする方向へ振り向き、尋ねた
「誰、って…命の恩人なのにひどいなぁ」
少女は目をじっとりさせ間琴に言った。靴は紐が多めの赤いスニーカーに黒いタイツを履いており、学生服のようなチェックの柄の入った短めのスカートと薄茶色のブレザーを着用していた。小さいとも大きいとも言えない胸の大きさだが、小柄な身がらも引き締まっている。髪は魅入られる程の漆黒に長髪で、右側の髪の毛の一部を多めにリボンで束ね、サイドテールにしていた。ぱっちりとした瞳はまるで銀河のように引き込まれるような綺麗な紫色だった。一見して相当な美人だと分かる。
「命の恩人…?一体君は誰なんだ…?」
「私は愛凛。音凪愛凛(おとなぎあいり)って言います。」
ふぅ、と鼻息を吐き答えた。間琴も彼女に続き、自分の名を名乗ろうとする
「あ、あぁ、うん。僕は…」
「知ってますよ、兎影間琴さん、でしょう?」
「え?なんで僕の名前を知ってるの?というか僕が聞きたいのは名前じゃなくて、君は何者?ここはどこ?」
「もぉ、いっぺんに質問しないでくださいよぉ」
ぼんやりしていたが、その声に間琴はなんとなく聞き覚えがあった。思い出しかかりのところだが、あと少しの所でどうしてもその正体がはっきりとは思い出せなかった。
「しかし運がよかったですねぇ。あなた、相当危なかったですよ?私がいなければ今頃お陀仏でしたね」
彼女の特徴、靴は紐が多めの赤いスニーカーに黒いタイツを履いており、学生服のようなチェックの柄の入った短めのスカートと薄茶色のブレザーを着用していた。小さいとも大きいとも言えない胸の大きさだが、小柄な身がらも引き締まっている。髪は魅入られる程の漆黒な黒髪のロングで、右側の髪の毛の一部を多めにリボンで束ね、サイドテールにしていた。ぱっちりとした瞳はまるで銀河のように引き込まれるような綺麗な紫色だった。一見して相当な美人だと分かる。
愛凛は間琴に対し君恩を抱かせるように喋りながら、そ椅子から立ち上がってそのまま傍の間琴の寝ているベットに両腕を乗せた。
「えぇっと…」
思春期の男子とは異性から至近距離で目を合わされながら話されることに羞恥心を覚えるような極端な生き物だが、その意を介する心の余裕が今の間琴にはなかった。強面の男に追われ、目が覚めると突然の美少女というなんともお約束な展開に困惑を重ねていた。
「その様子だと気を失う前のことは覚えてるようですけど、私の事は記憶にないんですね…悲しいなぁ…」
口調こそ丁寧だがそれとは裏面に表情豊かでみずみずしい少女だ。愛凛が間琴をからかうような冗談交じりの言葉と表情を見せると、間琴は再び彼女について考え始めた。
「あっ!もしかしてさっき、強面のヘンな男に銃をぶっぱなしたのって!?」
間琴はようやく彼女の存在に気付くも、助けられたという事は理解していない物言いだった。
「人疑義の悪い事言わないでくださいよ!あなたを守ったんですよ!間違ってはないですけど…」
愛凛は布団の上に置かれた両腕を、今度は手のひらをつきまっすぐに立てて言う。間琴の発言に対し言い訳をするも、やはり間違った表現ではないので、おわりの言葉だけ愛凛は声を小さくして呟いた。
「まぁ、色々と混乱しているのもしょうがないか…あなたには色々と教えなきゃいけないことがあります。疑問も多いでしょ?」
「さっきの事に関わる事?何か知ってるの?」
「はい。とりあえず付いてきてください、会ってもらいたい人がいます。」
愛凛はそのまま立ち上がって、部屋のドアに向かって歩いた。内蔵されたセンサーに手をかざし、ウィーンと物音を起こしハイテクな扉が開いた。
「どうしたんですか、おいていっちゃいますよ」
廊下に向かって一歩歩き出すが、一度足を止めて間琴の方を向いて言った。
再び足を動かしはじめ歩き出す愛凛の姿を見て間琴は慌ててベットから立ち上がり、愛凛の後ろに続いた。いざ共に歩いてみると、極端に低身長という訳でもなく、年齢の平均より少し身長が短い間琴との肩幅の差は違和感を感じる程ではなかった。
「あ、あと一つだけ言っておきます。ここは雪裂製薬という会社ですよ。」
「雪裂製薬って、あの?」
「はい、あなたには今からその社長に会ってもらいます」
「確か…雪裂透(ゆきざきとおる)って人だよね?今やってる都知事選に立候補してて、よくテレビで見るけど」
「はい、その人です。普段は留守が多いんですが、今は居合わせているので社長室であなたを待っています」
「う、うわぁ、少し緊張するなぁ」
やはり照明があまり明るくないのか、二人の歩いていた廊下も少し薄暗いように感じられた。少し歩いていると愛凛は「こっちです」とつきあたりの角を曲がり、それに間琴も続いた。曲がってすぐ立ち止まり、目の前には黒塗りの大きな扉がたたずんでいた。それに近づき、愛凛は2回扉をノックした。
「雪裂社長、音凪です。兎影間琴を連れてきました」
「…入りたまえ」
雪裂という男の声に従い、愛凛はドアノブに手を差し伸べ、扉を開き二人は中へ入った。
後編は完成しかけなのですぐ更新します。