まだ雪が残り、人々が後1月もすれば訪れる春を待つ2月上旬。世の学生はそれぞれ、ここで学びたいと思った学校で受験に勤しんでいた。そして、今日ここ東京にある破軍学園でも魔導騎士を目指すため
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そんな
(にしても…俺自身、5歳以降相当環境には恵まれていたと思っているからそのせいなのもあるかも知れないが、こんなんで大丈夫なのか……)
今現在、周りでは生徒たちが緊張した様子で試験監督に自身のアピールを続けている。しかし、冬獅郎からしてみればレベルの低さに思わず心配の声を掛けたくなるほどだった。
(武術の基礎もロクにできちゃいない。本気で強くなりたいのであれば体術と魔術、双方を極めてこそなんだがな…。)
日番谷は前世では総隊長を勤め上げたこともある上に、現世では京楽を筆頭とする猛者たちに囲まれ過ごしてきた。故に自身の人を見る目というものは信じている。その目で見ていてもただ1人を除いて強そうだと思える人間はいなかった。
(アイツは強い。魔術の腕は流石に分からないし、魔力量は平均以下も良い所だが立ち振る舞いに隙がない。もう少しでも魔力量があればまた少しは違うだろうに…)
そうして、冬獅郎が目を付けていた少々女顔である黒髪の少年…黒鉄一輝はアピールを始めた。後にも先にもこんなアピール方法は彼1人であろうという方法で。
「では折木先生。僕は貴方との決闘とその勝利で僕の価値を証明したいのですが、構いませんか?」
(やる気と根性、そして自分を冷静に見る目はありか。その上で、相当な負けず嫌いと言うか頑固者)
冬獅郎はその言葉を受け折木の
そして、前代未聞の学生騎士ですらない
(驚いたな…。あの年で俺やあの人らと同じ様な境地に至っているなんて、少し舐め過ぎたか。にしても一度聞いたことは有ったがあれがアイツの弟か。兄弟そろって化け物の様な鍛錬してやがる。)
戦況は再び折木の能力によって傾き始めていた。しかし、そのまま勝敗は決する。1分間に全てを使い切る、一輝の
「凄かったな、さっきの試合。まあ、試験監督は誰1人意識を保っていないんだが。」
一輝もまた気づいていた。あの
「まあね。勝たないと入学することが出来なかったから。ええっと、君は…」
「ん?ああ、日番谷冬獅郎だ。好きに呼んでくれて構わない、よろしくな一輝?」
「ああ、よろしく。えっと、冬獅郎で良いかな?」
「構わないぜ。つうか、好きに呼べと言ったのは俺だし。で、この状況どうするか…」
「あははは…」
2人して普通に話してはいるが、冬獅郎が初めに言ったように今この場で意識がある者は2人だけだ。この会場は、他の会場から少し離れておりそこから先生を呼びに行くには遠いし道もはっきりしない。
「こうなったら仕方がない、血銘呀。」
と、冬獅郎は言って自身の
「冬獅郎は水使いなのか?」
「まぁ、括りはそれで合ってる。さてとそろそろだな。」
その言葉通り、倒れていた人たちが徐々に目覚め始める。そうして、全員が目覚め終わってから感謝を述べられ、そのまま冬獅郎の試験になった。
「それなら、俺は__天相従輪。」
と言った瞬間、晴れていた空に雲がかかり雪が降りだす。その光景を試験監督たちは驚きながら見ていた。魔導騎士の歴史は古く、優秀な水使いも今までに多くいた。しかし、それでも天候まで従える人間は今まで誰1人もいなかった。そうして…
「冬獅郎君も合格だよ。もう、帰っても大丈夫。本当にありがとう。」
と言われ、入口の方で待ってくれていた一輝と共に試験会場を出て帰路へと就く。
「凄かったね。あの力」
「そうか?俺としては比較的当たり前の事なんだがな。ああ、俺こっちだからまたな、一輝。今度は入学式で会おう。」
「うんそうだね。また入学式で会おう。」
新幹線で大阪にまで戻り家へと帰り、冬獅郎は「ただいま」とドアを開けた。
「お、お帰り。どうだったんだい試験は?」
それに家で待っていた京楽が返し試験の様子を聞く。
「受かった。それより、面白いやつに会ったんだよ。あ、後雪は?」
「おお、おめでとう。雪ちゃんなら散歩中。で?面白いやつって誰だい。君がそう言うのも珍しい。」
「そうか。ああ、それならあの王馬の弟だよ。」
そうして話し続け、2人の夜は更けていった。
短いですよね、すいません。口調の崩れや性格が違う気がするというのは目を瞑っておいて下さい。次話からはこの話の1年後、黒乃が理事長へと着任し、一輝の留年が決まり、ヴァーミリオン皇国へと黒乃と2人Let's Goの話の予定です。気長にお待ちください。