平和〜しゅらば〜1
side弥羽
身体の上に何かが覆いかぶさってきて目が覚める。
またかと思いながら目を開ける。
「何してるんだ?音無」
「……ごめんね弥羽くん」
「また、なのか?」
「…………うん」
音無が恥ずかしそうに顔を伏せる。
あの日、音無の能力が暴走した日以降音無の暴走の間隔が短くなってきている。
その原因はおそらく、オレだ。
音無がオレに恋愛感情を持っていることは知ってる。
でも、オレはその想いに応えることは出来ない。
それは音無も感じてるんだろう。
無意識のうちに不安に思ってしまいそれがこの暴走に繋がっていると思う。
「ごめんね。弥羽くん」
「別に良いさ」
そう言うと音無はオレの首すじを甘噛みする。
なんとも言えない感覚が走る。
「……えっ?」
音無の困惑した声が聞こえた。
「どうした?」
「えっ?何で
その言葉に息が止まる。
暴走が止まらないそれはオレ的にも音無的にもまずい!
「……ごめんね弥羽くん。ちょっと、やばいかも」
「やばいって何がーっ!?」
いきなり音無がワイシャツのボタンを全部外して乗っかかってきた。
それだけなら良いが普段音無は裸の上にワイシャツを着ている。
ようは、見えるのだその、そういうところが。
急いで顔を横にしたからチラッとしか見てなかったけど綺麗だったなって変態か!
「音無何をー!?」
オレの声を塞ぐように音無がオレの口を押さえる。
自分の口で……。
えっ?オレは今音無と、キスしてるのか?
それと同時に何かがオレの中に流れてくる。
何だ?これ?
そして、音無がキスしたままオレの方によってくる。
やがてキスだけでは物足りなくなったのか舌と舌を絡めてくる。
卑猥な音が部屋中に響く。
音無はそのままオレにまたがり自分の下着を脱ごうとしてー。
「……何やってるんですか!」
パシーンと音を立てて音無をハリセンで搭城が叩いた。
だがその目は鋭くまるで嫉妬しているようだった。
嫉妬?もしかして搭城はー。
「……全く!油断も隙もありません!」
ー音無のことが好きなのか!
そして、その好きな音無がオレとキスをしていたのを嫉妬してこうして実力行使に出たのか!
まぁ、性癖とかは人それぞれだからな。
ってそうじゃなくて
「助かった、ありがとう搭城」
「……いえ、別に」
小猫はそれだけ言うと下に降りていく。
朝ごはんを作り始めると同時に遠見が起きてきた。
「おはよう遠見」
「うん。おはよう弥羽君……!?」
遠見が驚いたような顔をしてオレを見てくる。
何かおかしかったか?
何かを考える素振りを見せた後遠見は搭城のところに向かっていった。
何だったんだ?
そう思いながら弁当を作る手を止めない。
搭城たちの弁当を作り終わるとチンと音がなった。
トーストが焼けたらしいから皿を持ってトースターの方に向かう。
すると音無がやって来たがオレの顔を見てすぐに顔を赤くした。
朝の事でも思い出したのか?
そう思いながらみんなにトーストを持っていく。
朝ごはんを食べながら遠見たちがチラチラとオレの方を見てくる。
どうしたんだ?みんな。
洗い物を最近購入した洗浄器の方に持っていく。
スイッチを入れるだけで洗ってくれるのは便利だな。
そう思いながらオレも学校に行く準備を始める。
いつも通り四人で途中まで登校する。
その途中でオレは早瀬先輩を見つけた。
三人に断りをいれてから早瀬先輩のもとに向かう。
「おう、弥羽」
「おはようございます。早瀬先輩」
そう言うと早瀬先輩は数秒瞬きをした後お、おはようと躊躇いながら挨拶を返してきた。
「そう言えば、あれどうなりました?」
「あの後白龍皇にコカビエルは倒された。これだけ言えば十分か?」
「ありがとうございます」
「なんかさ」
早瀬先輩が遠い場所を見る目でオレにいってくる。
「強くなって正義の味方になろうとしたのに、まだその域に到達してないなんてな」
「大丈夫ですよ、あの人だって早瀬先輩は予想外の生き物だって言ってましたし」
「ヘェ〜、そう言えばさ今度駒王学園で三代勢力のトップが会談するらしいぜ」
「それとオレたちがどう関係するんですか」
「オレたちの他にも何人かの駒王学園の生徒だけでなく他の奴らも人間代表として参加する」
「っ!?」
人間代表としての参加。
確かに今回のコカビエルとの闘いにオレと早瀬先輩は参加したけど何で?
「何でも、神の死を知っているから……らしいけどな」
「……あの、オレ知らないんですけど」
「あっ、そうかその時お前はまだ居なかったんだったな」
まぁ、大丈夫だろと早瀬先輩は言って考えることを止めた。
「お前の方はどうなんだ?」
「特に……何も」
「嘘つけ、同化現象が進んでんだろ?」
「確かにそうですね」
そう、あの時マークニヒトのコアに触れた時オレの同化現象はかなり進んだと言っても過言じゃない。
現に左目が赤くなっているのをカラーコンタクトで誤魔化している。
「お前は、後どれぐらいここにいるんだ?」
「蒼士が帰ってくるまでは必ずいますよ」
「そうか、じゃぁ、そろそろ行くわ」
そう言って早瀬先輩は体育館の方に走っていった。
サボる気満々だな。
「おっ、おはようございます!」
「水無月先輩おはようございます」
すると水無月先輩はオレの方を見てきて「変わった?」と聞いてきた。
「変わってないと思いますけど……」
「そっ、そうですかすいません!!」
そう言って勢い良く頭を下げたけど、そのせいでバランスを崩してしまう。
「先輩!」
咄嗟に抱きしめるように先輩の身体を支える。
あれ?ここって確か通学路……だよな?
嫌な予感がして周りを見ると通学中だった人たちがこっちに注目していた。
先輩はそれに気づいてないのかそれとも気づいてるのか顔を真っ赤にする。
とりあえずこの体勢をなんとかしようと思った時先輩が「痛っ」と言った。
「大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫……ですよ〜」
オレから目を逸らしながらそう言う。
「先輩、じっとしててください」
「……?はい」
オレは水無月先輩を抱っこする。
確か、お姫様抱っこだっけ?
すると水無月先輩の顔がどんどん赤くなる。
それと同時に周囲から殺気がこっちに飛んでくる。
それらを無視して走って学校にまで行く。
この体勢はオレも恥ずかしい!
学校についてすぐに保健室に行く。
幸い足を捻っただけだからオレでもできる。
「あの、先輩恥ずかしいのは分かりますが早く靴下脱いでくれませんか?」
「あぅ〜」
先輩が頭から湯気を出す。
すごい、恥ずかしいのか?
先輩の足に湿布を貼ったりしているとチャイムが鳴った。
「オレ、そろそろ行きますね」
「……はいぃ」
まだ顔を真っ赤にしてる。
怒ってるのかな?だったら今度謝ろう。
昼放課という時間は貴重だとオレは思う。
あれだけ睨んでいた人たちは全員購買に行き一人になる。
そして、ご飯を食べるはずだったんだけどー。
「なんでここに連れて来られたんですか?早瀬先輩」
「悪い悪い!どうしても人手が足んなくてさ!」
「何するんですか?」
「無断で昼の放送をしようと思ってな」
「帰ります」
「まぁ、待て待て、思えにも良いことはあるぜ?」
「いいこと?」
早瀬先輩が放送室の鍵をピッキングし終わるとその人がちょうど現れた。
「……!水無月先輩!!」
「すっ、すみません早瀬君遅れましたって!何で弥羽君がいるんですか〜!!」
「面白そうだからに決まってるだろ!」
威張って先輩はそういう。
「威張って言えることじゃないですよねそれ」
そう言うと早瀬先輩はとりあえず座れよとオレと先輩を隣同士にするようにする。
座ってしばらくすると先輩の顔が真っ赤になっていきやがてショートした。
「水無月先輩!」
「ありゃ?」
「……プシュ〜」
「……で?何の用で呼んだんですか?」
「それはな」
そう言うと早瀬先輩は近くのスイッチを入れた。
「全員昼を楽しんでるかー!!」
「何してるんですか!!」
「何って昼の放送だよ、無断でのな」
「何してるんですか!!」
「後、そっちのマイクのスイッチも入ってるぞ」
「早瀬先輩!!」
「というわけで今回の放送は駒王学園の正義の味方早瀬浩一と」
「えっと、水無月伊織と」
「はぁ、真壁弥羽」
「でお送りいたしますヤッホーイ!!」
すると突然早瀬先輩の携帯が鳴る。
何でオレまで。
「とりあえず最初のコーナーは『質問コーナー』だ!」
「以外と普通ですね」
「はっ、はい!」
side紫亜
『まぁ、今日が初めてで三通しかないけどな!』
『いや、逆に三通も来てることに驚いてますよオレ』
『まずは一年のとある美少女からの質問』
『自分で美少女って』
『最近真壁くんが変わったと思います。恋でもしたんですか?』
こ、こ、こ、恋ー!!
いやいやさすがに弥羽くんも高校生、恋の一つや二つするよね。
してたらしてたでショックだけど。
『どうなんだ?真壁!!』
『多分、重石が一つ無くなったからだと思います』
『重石?』
『プライベートですから人には言えません』
重石、多分蒼士君のことだよね?
『ヘェ〜、恋じゃないのか、つまんねぇ〜』
『えっと、その、私は良いと思いやすよ!』
『ありがとうございます水無月先輩』
『次の質問は金髪少女の友人さんか』
『今度はどんな質問ですか』
『最近兵藤×木場のカップリングが出てますがこれは本当ですか?っだってさ』
『オレは詳しくは知りませんけど早瀬先輩は知ってますか?』
『そうだな〜。あっ!そう言えばこの前木場と兵藤がデュエットをしたな』
『わっ、私も最近木場君が兵藤君の話をすることが多いと感じています!』
確かに、あの二人には最近ホモ疑惑が流れてますけどさすがにそれはさすがに……。
『いや、それはさすがに……でも人の恋は人それぞれだし』
弥羽くーん!それどういう意味!
『お前の周りにもそういうのがいるのか?』
『いや、今日知ったばかりですけど、オレの勘違いかもしれませんし』
『とりあえず言ってみろよ』
『いや、オレの勝手な予測ですけど最近搭城が音無の方を熱く見ているから搭城が音無のことを好きなのだと』
えぇー!!弥羽くん違う!!それ違う!!
小猫ちゃんは弥羽くんのことが好きだよ!!
それに気づかないの!!
この鈍感!!
『おいおい』
『あっ、あの多分それ違うんじゃ』
『そうか?』
『まぁ、良いや次のお便りは』
そう言えばわたしのお便りまだだな〜。
『音符さんからのお便りだ』
って、私の!!
『最近好きな人にキスしてしまったのですがどうすればいいんですか?』
ウワァァァァァォァァァ!!
恥ずかしい!!
『?何でこれで困るんだ?』
『えっ、当たり前じゃないですか!!』
『そうなのか?』
『流石だよ真壁!よし!次はってもう無えのかよ!!』
『一回目ですからね』
『じゃあ締めよろしくな!真壁!!』
『えっ!?何言えばいいんですか!!』
『じゃあこれ読めよ』
『わかりましたよ!』
何言うんだろ?
『えっと、オレは彼女を作らないんだ。オレは誰のものにもならない……永遠の
うっ、なんかこっちが恥ずかしい。
『何照れてんだよ!』
『煩いですよ早瀬先輩!って水無月先輩!』
『じゃ、また今度な!』