[ミッションログ 61日目]
最近の仕事は目下、倉庫の棚卸し作業だ。
倉庫の物資は本当に玉石混合である。コピー用紙だとか、誰が着るんだか解らない制服やら、用途の解らない装備品、使い道があまりない陸戦装備、医療物資、建造物資など様々だ。それらの物資の中から、必要な物を取捨選択し、使う物を別場所へ移動させている。
深海棲艦の爆撃こそ無いものの、最近は艦載機の活動が活発化して来ている。いつも定時になると、上空を飛び去っていき、定期的に戦闘機動を洋上で繰り広げては何もせずに去って行く。
私の仮説だが、おそらくこの海域は深海棲艦の演習海域か何かではないかと思われる。まだ生存し抵抗している基地があるならわかるが、飛距離の短い艦載機がこうも頻繁に、偵察でも何でもなく無意味に飛び交っているのを見るに、恐らく軽空母や正規空母の艦載機の習熟訓練を行っているのではないだろうか。
無害なうちならまだマシだが、最悪なのはこの基地が「爆撃演習目標」として制定される事である。演習用として爆撃するふりなら結構、実弾をバラ巻かれた日には私が悲鳴を上げる。
と言うわけで、物資の壊滅を防ぐための棚卸しだ。それから、物資の分配場所として、使っていない監視所を使う事にする。
もし仮に、私の住んでいる監視所が爆撃や砲撃を食らって使い物にならなくなっても、別のアジトを用意する必要があると感じたからだ。そのため、こうして倉庫から物資を持ってきては、残った監視所に置いて分配している。
分配して被害を無くすというのは結構重要な事だ。
この基地に来てまもなくの頃、私は大量の酒を兵舎の自室に隠していた事があったが、当時、艦娘の非行を取り締まっていた大淀(むろん一航戦の隠れ食いを摘発したのも彼女だ)にバレてしまい酒を没収された事があった。それから大淀と演習でガチンコの流血沙汰殴り合いをして互いに営倉へぶち込まれて痛み分けとなったが、あれ以来、酒は一箇所ではなく別の場所に複数隠してキープする事にしていた。もっとも兵舎ごと爆撃されてパアになったが。許さんぞ空母ババア、絶対に許さん。
と言うわけで手を付けてなかった兵舎A棟2階を明日にでも漁る事にしよう。
そうそう、我がジャガイモ農園は順調に進んでいる。近いうちに虫対策をしておかないとな。
[ミッションログ 62日目]
望月が残したゲームを30分ほど遊んでいた。
望月は睦月型駆逐艦の中で特にやる気がない。実に面倒くさそうであり、水雷戦隊の軽巡たちは望月のケツを引っぱたいて戦闘に引きずり出すのが日課になっていた。神通が一度本気で望月をグーパンでぶん殴った事があった時は流石に提督が出てきて大問題になった。
望月を堕落させている生活をどうにかすべきだ、との事で一度、望月が持ち込んだ私物のマンガやゲームは神通の手で根こそぎ没収された。珍しく彼女は私に泣き付いてきた。
そこで「没収されたぐらいで泣くな馬鹿もの、こういう時は別の視点で遊ぶ事を考えろ」とありったけの“悪巧み”を教えてやった。ゲームやマンガだけが楽しみじゃないぞ、と私と望月は一緒になってイタズラをしでかしたものだ。かくして私と望月はこの艦隊でも相当の問題児扱いされるに至ったが、私としては仲間が増えたので嬉しかった。むろん、望月と付き合って休日はごろごろとボードゲームをしたりした。
しばらくして望月にビデオゲームの所持許可がようやく出たが、あろうことか提督から支給されたのはゲームボーイだった、ポケットでもアドバンスでもない、ガチンコの初代だ。提督が8ビット世代だった事を忘れていた私と彼女には寝耳に水だった。それでも暇つぶしに代用が無いため、楽しく使う事にした。
これでは
とにかく、今日は望月と長月の私室からゲームボーイを拝借した。ソフトはテトリスしか入ってないが暇つぶしには丁度いいだろう。電池は充電可能なものを望月がセットで持ってたので、これで一安心だ。
出来れば別のMP3プレイヤーでもあればいいかなと思っていたが、そんなものは無いので諦めた。望月と長月の部屋からは複数の菓子も入手できた。とは言ってもポテトチップス2袋だけだったが、今の私には十分ありがたい。恨むなよ望月、こいつは賞味期限が切れる前に私がありがたく味わおう。