[ミッションログ 87日目]
技術部との交信で、海水の淡水化にようやく終止符を打てた。
島にある破壊された施設の修復ではなく、その施設の壊れた設備をパーツとして使って淡水化装置を作れ……という予想外のアプローチだ。DIY生活が続くこの島での生活と同じで私としてはとても共感できる。(普通はしないが)
技術本部から指示された方法で、淡水化装置を作っていく。作り方に関してはすべて口頭での指示だったが、技術本部は島に何があるか、何が使えるかをちゃんと分かっているようで、意外とスムーズに作業が進んだ。4日かけて、ついに海水の淡水化装置が出来上がった。
ちょっとした自家発電機ほどの大きさがあるが、問題なく稼動する。
水飲み放題!風呂やシャワーもやり放題だ!
……とは行かない問題点がある。方法は電力駆動式だが、その稼動時の電力消費を考えると結構なパワーが必要になる。ソーラーパネルの充電を考えると常に淡水化できる訳ではないそうだ。また、使用するフィルターは消耗品のため、使えなくなった場合は交換をしなければならないが、その交換に必要なフィルターは島にあるもの=壊れた淡水化施設の部品しか使えないので限りがある。また、このサイズだと飲み水程度しか確保できないとの事だ。残念。
とはいえ、井戸を掘るような追い込みまではしなくて済んだのは幸いだ。技術部の連中もいい仕事をしてくれるな。
今日の監視任務中では沖合いを進む輸送ワ級の船団を目撃した。付近に艦娘がいない事をいい事に、護衛の駆逐艦も付けずに12隻で航行していた。戦いに負けた気がするが、今の私にとっては知った事ではない話である。南南西の方向だ。
輸送物資を必要とする事は、向こうで深海棲艦が弾薬燃料資材を消費して何かをやっている事だ。司令部からはここ数日は戦闘行為を日米両軍のどちらも行っていない。あまり考えたくないが、港湾棲姫などが活動を行っているという可能性もありえる。
港湾棲姫などの一部の深海棲艦については、偵察活動などであまり有力なデータが取れていないものの、そり活動として「深海棲艦の整備・運用・支援能力を有する」「深海棲艦を建造するドックの類を運用する姫クラス」等の推測がされている。もし正しいとすれば、恐らくあのワ級は資材をせっせと貢いで出荷しているのだろう。東京急行の連続で過労で倒れた天龍を思い出すな。
しかし、あの輸送ワ級はいったいどこからどこへ物資を運ぶのだろうか?
司令部にデータを送信して今日は休むことにした。
残り少ない酒が恋しい。
[ミッションログ 90日目]
ジャガイモ農園が思いのほか上手くいってるので、農園の拡大に乗り出そうと思う。軍の救出プランが進んでいない現状、自給自足生活になるのも時間の問題だ。イモ以外の穀物も育てていかねばならないだろう。
開墾予定地を探索し、監視所の近くに手ごろな場所を見つけたのでそこを開墾する事にした。草を取り除き、また今日も今日とてクワを振って地面を耕しての繰り返しだった。何を植えるかまでは考えてはいないが、一航戦連中の残した種を見るにあまりえり好みは出来なさそうだ。
幸いにも通信によるバックアップで農業に関しては希望が持てそうだ。
かの陸軍軍人、今村均はラバウルで自給自足体制をとり、自ら畑を耕して補給線の分断に備え、ラバウルを要塞化させたと言われている。私もそれに倣うつもりでいよう。
とにかく今日は開墾でくったくたになったので、貴重なウイスキーをショットグラスで一杯やって作業はお開き、明日は定時の監視任務以外は休息にあてよう。
そうそう、今日はジャガイモ畑について仲間に話した所、一航戦の2人が畑を見せろ見せろと煩いのでメール経由で撮った畑の写真を送りつけてやった。一航戦は私が上手く農業をやっていると認めた一方で、勝手に私たちの用意した種を使う事について不満を述べたが「農耕民族である日本人として農作を放棄し、ただ飯と盗み食いのプロに徹した者たちにとやかく言われる筋合いは無い」と伝えた所、帰還後に間宮で絶対何か奢れと念を押された。
うぬう一航戦め。腹が立つので那智農園は絶対成功させて見せるぞ。