南方海域ひとりぼっち   作:Colonel.大佐

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ログ 3日目

[ミッションログ 3日目]

 

 起床後に屋上へ上がり、周辺海域を双眼鏡で確認し深海棲艦の影が無いか確認してから今日やる事――安全な場所探しを考えていた。

 私の住処だが、やはり島の内部――森の部分しか無いだろう。

 

 元々この島は人が住む集落があったが、放棄された廃墟になっている。しかしそれは大分昔の話で、そこは現在木々と草が生い茂っていて開拓は面倒くさい。それに開けているから深海棲艦の偵察機に見つかるとコトだ。

 

 次の候補は森の中だ。南洋なので住むにはかなり不便だし、虫や動物と戦わなければいけないが、それでもマシだろう。トリプルキャノピーとは行かないが、それでも木々が私の存在をカバーしてくれるはずだ。それか、広い場所を見つけて偽装網を使い、カモフラージュするという方法も考えられる。

 

 そうだ、山の上にある通信アンテナとレーダー施設はなるべく使わないと昨日言ったな。一晩おいてから考えたが、場所的に周囲を見渡せるしちょうどいいのでは?と考えを改めて使ってみる事も考えてみた。そこで今朝、双眼鏡で島の山にある通信アンテナとレーダー施設を確認してみた。

 破壊されていた。恐らく4日前の空襲の際に破壊されたのだろう、という訳であの施設を使うのは却下だ。深海棲艦はよほど私をターザンみたく野生へ追い払いたいようだ。

 

 次に何かいいアイデアは無いか探していた。森の中で家をつくる案も考えたが、今の私は艦娘ではなく人間だ。19歳の私が出来る範囲のDIY能力で素晴らしいアウトドア感たっぷりの小洒落たログハウスなど作れやしないだろう。却下だ。

 考えとしては装甲車なり輸送トラックなり何なりを持っていって、森の中で車中泊するのもアリだと思ったが、それは無理な話だ。海軍基地だから装甲車はないし、みんなオープントップの車両だ。それに狭い。

 だが、基地と島の見取り図を見ていてピンと来た。

 

 島の四方には深海棲艦の上陸を警戒して監視所が作られている。東西南の3方向にあり、北側に位置する基地は監視棟がある。山の頂上にもあった。

 

 監視所と言っても、コンクリート製の頑丈なトーチカみたいなもので、中は寝泊り可能になっている。一度、島を一周するジョギングをした時に見た事があったが、しっかりと擬装網をかぶせてあったのは覚えている。そこを拠点にするのが一番良い策だ。しかし、島はジョギングで一周できる長さであるとはいえ、回るのにかなり時間がかかる。

 

 そこで、基地内に使える車両が無いか探してみた。資材の運搬用に使っていた軽トラックを発見したのでそれを早速使うことにした。

 

 空襲の難を逃れて無傷だったようだ。そりゃ軽トラだからな、深海棲艦も脅威とは思わなかったのだろう。だが連中は見落としている、こんな軽トラでも今の私にしてみれば最強の秘密兵器だ。ガソリンの残量も問題ないし、格納庫に裏にあった車両用のガソリンタンクはまだ生きていた。使い切るか、中のガソリンがダメにならない限りは使えるだろう。

 

 そうだ。さっき言ったが私は19歳だ、艦娘の特例で酒ぐらいは大目に見てもらっているが運転免許は持ってない。しかしここは日本国内ではないし、基地の外に出れば日本じゃないという屁理屈で夕張とさんざんジープを乗り回して遊んで提督から始末書を書かされた武勇伝がある。運転はお手の物だが基地内で動かせば完全な違反になるが、私一人のこの基地では誰も咎めない。最高だな。

 見てろよ、私は今にこいつを走らせて生き延びる術をかき集めてやる。軽トラがあれば怖いもの無しだ。明日に備えて、今日はギリギリ生きていた提督の自室のシャワーを浴びて寝よう。

 

 

[ミッションログ 4日目]

 

 今日は島の南側にある監視所へ行ってみた。

 軽トラックを走らせて、轍と連絡用の電線を頼りに監視所へ到着したが、第一印象としてはかなり良かったと言っておこう。

 コンクリート製で、大きさはよくある1階立て民家ぐらいか、形といい大きさといい、昔見た戦争映画に出てくるドイツ軍のバンカーそっくりだ。迫りくる歩兵をなぎ倒せるMG42が無いくらいか。

 この監視所を使っていたのは基地の警備要員だ。つまり艦娘ではなく、警備の兵士である。

 とは言っても仕事の空いた整備員がローテーションを組んで警備していただけで、たまに駆逐艦の艦娘もそのローテーションに入る事すらあった。さすがに重巡以降のクラスになってくるとそんな雑務は対象外とされたが、知っていたら1日目にはここに避難して様子を見ていただろうな。

 

 念のため拳銃を用意し、撤退時にブービートラップが仕掛けられていないかよく確認をした上で、バンカーの中に入った。

 コンクリートがむき出しの壁に、狭苦しい場所だったが換気扇はついていたし、クーラーは無いが中に扇風機を見つけた(イエーイ)、電気は通っておらずスイッチは入らなかった(FxxK)。

 てっきり広い一部屋かと思っていたが、コンクリートの壁で仕切られて2部屋になっていて、監視するための部屋と、交代で休むための休憩室(外からドアを開けて真っ先に入るのがこの部屋だ)の2つに分かれている。

 

 休憩室と言っても、ベッド2つに椅子と机とロッカーしかない簡素な物だったが、今の私には最高級のスイートルームである。住処としてもってこいだ。ここを使う事にしよう。

 

 この監視所を使うにあたって、クリアするべき課題は4つだ。

 一つ、電力の供給。二つ、生活に必要な設備の設置。三つ、深海棲艦の空襲を避けるための偽装。四つ、トイレをどうするか。

 しばらくはここと基地を行き来しながらこの方法にどう対処するか考えるとしよう。とりあえずは、いつ空襲があるかわからないので倉庫の物資をここへ持ってきて、備えるようにしなければ。 

 

 私の要塞だ。じっくり時間をかけてコーディネイトしよう。

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