南方海域ひとりぼっち   作:Colonel.大佐

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ログ 180日目

[ミッションログ 180日目]

 本日は実に良いニュースがある。

 本郷中佐が私の自衛武装入手の件に関して、特別許可を出してくれた。つまり、基地に備蓄されている武器を使用してよいとのお達しが出たのである。もっとも、弾薬庫はぶっ飛ばされているし艤装は現在大破で、目下人力修復中。使える武器と言われたらまあひとつしか無いだろう、歩兵携行用武器だ。

 なんで深海棲艦との戦いにそんなものが必要なのか?と疑問に思う人もいるだろう。でもこれは道理に適った、それなりの理由がある。

 どこの鎮守府も基地もそうだが、こういった軍事基地を警備をする人間に持たされるのはまず警棒などではなく銃火器だ。どの基地にも、艦娘以外にこうした基地の警備要員がいる。こうした警備要員が銃口を向けるのは招かれざる客――と言っても資源泥棒や出歯亀や暴れる艦娘などに限られている。そうした連中には銃火器で事足りる、というわけでどの基地にも常設されている。

 艦娘としてはあまり気分のいい話ではないが、こうした銃火器は通常の警備使用のほかに、暴動や反乱の鎮圧にも使用される。

 

 基地の閉鎖的環境、艦隊や艦娘の待遇、度重なる出撃による心労・出撃拒否、さらに上官の権限を逸脱した理不尽な命令、そういった要素が重なって艦娘が反乱を起こすとどうなるか?まず歯止めが利かなくなる、それから艦娘の艤装の主砲は上官やその取り巻きへと向けられる。そして、最終的にその部隊は指揮系統から外れて艦娘からただのテロリストになる。最終的に鎮圧される。

 

 開戦から暫くして、パラオで過酷な扱いを受けていた艦娘による反乱騒動があった際は指揮官含む22名の海軍士官が殺害され、基地設備がすべて乗っ取られ、最終的に艦娘の鎮圧として艦娘の部隊が派遣されるという海軍史上最悪の事件があった際は、士気は大きく低下し、鎮圧した艦娘も生き残った反乱部隊も、双方に深い傷を残した。

 その事件以来、指揮官たちは部下の反乱を防ぐための最終手段として武装して鎮圧するという権利を大々的に得た。それ以来、こうした武器がどの基地にも常備され、保管されている。

 艦娘を“兵器”としてみなさない風潮や、国防省上層部や内閣からの命令により現場の艦娘の待遇はよくなり、こうした反乱事件は起こらなくなったが、「艦娘を鎮圧するための武器がある」という事実については、いまだに誰もが心の片隅においている。

 

 話がわき道に逸れたが、とにかく武器が手に入る。

 武器の秘匿場所は司令棟の地下にあるらしい。一度、私が侵入を試みて電子ロックがかかった厳重な鋼鉄の扉で、開けるのをあきらめた事があったが、その開かずの扉を開いてよいという許可が下りた。配電盤にバッテリーをつなぎ、本郷中佐から教えられたパスコードを入力して電子ロックを解除。中に入ってみた。

 基地の警備要員は10人程度も満たなかったので、大した量の武装ではなかったが、今まで持っていた64式小銃と9mm拳銃とは比べ物にならない武器弾薬が保管されていた。

 

 まず64式小銃の後継、89式小銃が7丁、次におなじみの64式が3丁、モスバーグ製のポンプアクション散弾銃3丁(弾はダブルオーパックの他に、スラッグショットや何とバードショットも!)、9mm拳銃が15丁、それから、色々な弾倉が合わせて50個ほど。弾薬も紙箱や弾薬缶(ご存知の方もいるだろうが、軍用弾薬は箱の他に、密閉容器として缶詰めにされているのもある)をたんまりと見つけたので射撃訓練に当てても相当余るだろう。それから、持っていて役に立ちそうな道具で、信号拳銃も入手した。照明弾や信号弾の打ち上げに使える。友軍と接近する場面があれば役に立つだろう。それから、見つけた時は「うわぁ」と思わず声を出してしまったが、恐ろしい物も見つけた。

 

 パンツァーファウストⅢだ。110mm個人携帯対戦車弾、LAMと陸軍で呼ばれている代物だ。大型のもので軽ワゴン車ぐらいの大きさとなる足つきの深海棲艦駆逐艦、ならびに小型陸上型深海棲艦に通用する兵器のひとつで、沖縄撤退戦ではこいつがそれなりに効果を上げた。

 

 むろん、深海棲艦に利くという事は艦娘にも利くというわけだ。

 まあ、軍のシステムを考えれば持たされるのも当たり前だろうが、反乱を起こした時にはこんなもので攻撃されるのか……もっと行儀よくしなければいかんなあ。始末書で済んでるというのは実は幸せな事なんだな。

 

 しかし武器は武器、それも派手な花火を打ち上げる武器とくれば僥倖である。ありがたく頂戴する。

 それから、私にとって最高の武器も手に入った。

 手榴弾と、C4……軍用爆薬である。撤退時に基地設備を破壊する際に使用する代物であるが、幸か不幸か、撤退時には使わなかった。慌てていたから無理もないだろう。私が弾薬庫から失敬してダイナマイト漁や夏期特別那智の花火ショーをやった際にここへ隠されてしまったようだが、ようやく爆薬が手に入った。最高だ!

 ありがたく使わせてもらおう。

 

[ミッションログ 185日目]

 艤装の修復作業について一通りおさらいするべき時期だと思う。

 私の艤装は大破していた。原型をとどめているが、機関部は死に、通信機器は寝る間も惜しんで苦心してやっと回復、さらに武装は全損、ついでに言うと僅かな浮力しかないので無理やり進水すると死ぬという有様であり、私の艤装はぶっ壊れている。

 

 陽炎型駆逐艦、伊勢型戦艦、飛鷹型軽空母の中破した予備艤装があるが、これは無理やり私が装着しても作動しないというのは艦娘のシステムをご存知の人なら周知の事実だ。

 しかし予備艤装がない以上、もし仮にここから抜け出すような事態になった際に、艤装があるなしで生存率が大きく変わる。そのためにも艤装の修復を行わねばならない。

 幸いにも艦娘開発部は一丸となって艤装修復という問題に立ち向かってくれている。

 

 今回の修復作業で、開発部は以下のアドバイスしてきた。「高速修復材を使い、中の原液を使い修復を行う」「修復用の工具は一般的な工具でも十分対応できる」「欠落した艤装パーツは、他の艤装のパーツを流用すること」「那智型艤装の外装パーツとボディ部分、コアの部分は絶対に他の艤装パーツのものと交換しないこと」……これが条件だ。

 他の艦娘の艤装をバラしながら、妙高型の艤装へ継ぎ足してく様はさながらマッドサイエンティストの実験のようだ。「生きてるぞ!生きてるぞ!!」 

 

 さて、仮に艤装修理が完了したとして次なる問題は燃料と弾薬だ。

 艦娘用の燃料は基地に残っているガソリンで賄えるか少し疑問である(量という点で)。弾薬に関しては問題ない、ついこの間に司令棟の武器庫から使える武器弾薬を貰った所だ。

 

 少し話がわき道に反れるが、艦娘がこの戦争で重宝されている理由として、運用コストが安いという面がある。もちろん、強いには強いが、護衛艦を建造して投入するよりかは、人間を訓練して艦娘にさせる方がはるかに安い。艤装の運用コストも、使用される弾薬と燃料は妖精さんの力で補正が利くため、こういった通常の弾薬の火薬やそのへんのガソリンでも、調合して妖精さんのテクノロジーにかかれば不思議と艦船の主砲やエンジンに匹敵する力となる。

 

 つまり、我々の使用する砲弾の炸薬は、この銃火器の火薬で賄えるわけだ。

 輸送ワ級が水際まで迫ってきたら、私はこいつで迎撃する事が出来るのだ。主砲の修復を優先しても損は無いだろう。




仕事が忙しすぎて日刊更新できる程の量を書いてる暇がねえ。
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