[ミッションログ 10日目]
今回はシャワーとトイレを作る事にした。
日曜大工なので骨は折れるが、やるしかないと心に決め込んで取り掛かる事にする。人間が生活する上で排泄は切っても切り離せない関係にある。艦娘が完全な機械であれば、いちいちトイレで心配しなくてもいいんだろうなとつくづく思ってしまったのは内緒である。
トイレについてだが、設計で悩んだ。どうせ私以外に人間はいないのだから隠す必要はないと思っていたが、我が家から周囲は完全に森が広がっていて、夜中に致している最中に虫やらヘビやらの襲撃を受けるのは極めて最悪のパターンである。
そこで簡単だがボックスのトイレを作る事にした。排泄物は肥料にして今後の農耕計画に役立てるため、汲み出し式にする。場所は監視所のすぐ外に作るつもりだ。さすがに森の中は危険だ。
シャワーは屋外でやってしまうとトイレと同様に問題ありと思うため、監視所の隣の部屋に作る事にした。幸いにも広さがあるし、電気も通っているしシャワーを浴びたらすぐ寝たい。
水道は引っ張ってこれないため、水タンクからノブを捻り、重力で上から浴びる昔ながらのタイプにしよう。
材料は基地から持ってくる。倉庫に建材はないが、司令棟や兵舎を含めて、備え付けの備品や設備に残骸から引っ剥がせば簡単に作れるだろう。
せっかくのサバイバルだ、DIY力を高めるまたとないチャンスだと割り切ろう。
[ミッションログ 10日目(2)]
トイレとシャワーが完成した。
ひとまず、トイレは基地の残骸から集めたトタン板や壁材を使った。屋根つきで壁は3方向あるが、ドアはない。便器の下にはドラム缶を半分にぶった切った桶を用意し、そこで溜めたら捨てるという方式を取る。映画「ジャーヘッド」で海兵隊が使ってた仮設トイレみたいなものと思ってくれていいだろう。
これでトイレは解決だ。なるべく夜間にはやらないようにするが。
それから、シャワーも作った。
しかし私は欲深い女だ、ドラム缶を改造してシャワーのタンクを作った後に、どうしても、どうしても欲しい機能が思い浮かんだのだ。
浴槽だ。
風呂に入りたいのは日本人なら誰でも思う事だ。風呂のあるなしでこのサバイバルにおける士気も高まるものだ。
どうすればいいか思案した結果、私はまたドラム缶を持ってきた。それから、バーナーで蓋を切断して、わざわざ頑張ってドラム缶風呂を作った。
悪くないな!肝心の湯を沸かす機能が無い事を除けば。
火が欲しいが、さすがに屋内で色々火を炊くと大変だ。
島には大量の木々が生い茂っているが、それを伐採して薪にする労力や、燃やした際の煙をどう処理するか考えるとあまり得策とは言えない。
しかし、燃料となるガソリンは貴重だ。どうすればいいか悩んだ末に恐ろしい案が出た。
高速建造材だ!
艦娘を建造する際に高速建造材と呼ばれる時間短縮用のアイテムが存在する。建造の際に妖精さんに持たせると、このバーナーで炙って艤装を瞬く間に生産してしまうのだ。このバーナーの熱エネルギーを利用しようという作戦だ。あくまで炎は視覚的な物で、妖精さんが作り出す幻影という戯言を言う人間もいるが、実際の建造立会いをすればわかるがあれは本物の火だ。そのため、建造ドックは不燃材で出来ているし、使用の際は一通りの安全確認など厳格なチェックが必要になる。
バーナーに関しては数がかなり余っている。上層部から支給される数や遠征の際に入手できる数と、実際に現場で使用される数が違うおかげで、どの基地でも余らせているという話を聞いたし、事実、この基地の倉庫にもとにかく大量の高速建造材がストックされていた。
あまりにも過剰在庫なので、明石の手で熱エネルギーとして調理や湯沸しに使う転用案が出たくらいだ。
これ1個の燃焼時間は恐らく長いはずだ。高速建造の際に必要とされる熱量や炎の大きさを考慮すれば、湯沸しや調理程度の炎に留めるならそのへんのガスコンロのボンベより長時間持つはずだ。実際に、建造の際は火炎放射のような長大な炎が短時間で吐かれるが、弁の調整によってはどうにかなるはず。誰も妖精さんとそのテクノロジーの仕組みについて考えた事が無いので推測でしかないが。
ではなぜこれが恐ろしい案だって?誰も実践した事が無いからだ。
出来れば明日中に実験にしよう。提督の自室にあったシャワーはつい昨日使えなくなったばかりだ。急ごう、文明的なサバイバルの為にも成功させねば。