ソードアート・オンライン外伝 ―One man's side―   作:北川みゅー

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第1話 リンク・スタート

『リンク、スタート!』

 

 

社会人になってゲームをする機会が減った私にも、いわゆるフルダイブ型のVRMMORPGは魅力に感じた。周りの友達にはあまり話した事はないけど、実は今までにも様々なMMORPGをやってきた隠れゲーマーだ。

色々やったMMORPGの中でも、特にスキル制のモノや生産スキルが充実しているモノが好きだった。だからこそ、この<ソードアート・オンライン>はレベルの概念もあるものの、私の購買意欲を満たすのに十分なシステムであり、だからこそ私は久しぶりにゲームを手にする気にもなった。

あいにくオープンβの1000人という極小の抽選枠には漏れたけど、正式版はなんとか手に入れられた時は本当に舞い上がって喜んだなぁ…。

 

 

さて、ゲームが起動され、さっそくキャラクター作成を始める。

 

 

 

(えーと、性別は女でキャラの名前は…

 いつも付けてた『Koume』でいいかな。

 

 ふむふむ、顔は結構細かくカスタマイズできるのね。

 自分のキャラはやっぱりかわいくしないと!

 身長は…わざと低めの145cmにしておこう。

 黒髪ショートボブで、中学生・高校生くらいのイメージにして…)

 

 

 

この名前、本名には全然関係ないけど、今までのどのゲームでも大体この名前にしていた愛着のある名前だ。ちなみに漢字が使える場合は『小梅』であった。

キャラクタークリエイトも以前にやったMMORPGでのキャラをイメージしている。キレイなお姉さん系よりもかわいい少女系の方が「パーティーを組もう」等の声がかかりやすいという実体験からの選択だ。

 

 

(よし、OKっと)

 

 

そして目の前がホワイトアウトしたかと思ったら、数秒後にはもうゲーム内のバーチャルフィールドであった。

 

 

(すごいすごい!自分の体の様に動いたり走ったりできる!すごい感動!!)

 

 

初めてVRMMOの世界に降り立ったその場所は、100層に連なる巨大な天空の城、<アインクラッド>の第1層である。現在午後3時半、正式サービスが開始された初日のため、私以外にもたくさんの人がいて、顔こそ多少違う――美男美女だらけ――もののみな同じ様な初心者装備の服を着ていた。

どこかのお祭りの様な喧噪の中、早くも露店を開いて食べ物を売っている人がいたり、「フィールドでの戦い方を教えるよ!」と声をかけてる人達もいる。こんなに早く行動が出来るなんて、あれはベータ出身の人かな?うらやましい!(怒+笑)

 

基本的な体の動かし方やメニュー操作に慣れた後は、さっそくソードアート・オンラインの特徴である、<ソードスキル>を試してみようとフィールドの方に向かってみる事にした。

もともとリアルの世界では、何か特別習っていた事も部活に入っていた事も無いが、スポーツは全般的に苦手ではない方だったしゲーム歴も長いし、そんなに不安もなく期待感だけで頭が一杯だった。

 

 

<圏外>に出てみたら、町中程では無いにしてもたくさんの人がいた…。あちこちで、数人で1匹のイノシシを追いかけているみたいだ。その時、追いかけているプレイヤーの片手剣が青白く光った――と思ったらすごい速さでイノシシに突進して攻撃した!ベータ出身者が作った情報サイト<MMOトゥデイ>を始めとして、SAO情報は仕入れてきてある。今のがソードスキルで、あれは<ソニック・リープ>ね。そしてあのイノシシは<フレンジーボア>。例えるならスライム程度の敵らしい。スライム1匹に5,6人で勝負してるなんて…。そう思ったらちょっと笑えてしまった(微笑)。

 

そうやってぼーっとフレンジーボアや他のプレイヤーの動きを観察していたら背後から声をかけられた。さわやかな男性の声だ。

 

 

「やあ、こんにちは。

 キミは狩りに参加しないの?」

 

 

小柄な少女のアバターであるため、初対面であってもだいたいこの様に敬語無しで話しかけられる。

さらさらストレートロングで極薄い色の金髪の男性をじっと凝視――つまりターゲットを合わせてみた。しかしパーティを組んでいなければ名前も表示しないようだ。正式サービスが始まったばかりなのに全身分の軽金属鎧を装備して、武器は両手剣を背中に背負っている。ぱっと見て明らかに強そうとわかる。

とりあえず返事をしてみる。

 

 

『こ、こんにちはっ!』

『イノシシは数が少ないし、

 も少し場所がすいてから戦ってみようかなって思ってました…。』

 

「そうだよね、ここは町からも近いからね。

 町の北西側から15分くらいまっすぐ歩いた先に穴場があるんだけど、

 どう?俺達と一緒に行かない?」

 

 

そう言った金髪ロンゲの後ろには2人いた。

1人は黒髪短髪で、いかにもテニスが得意そうなイケメン。手には片手直剣と盾を持っている。もう1人はピンク色の大きなポニーテールが目立つ女性だ。145cm設定の私の目線が肩くらいなので170cm近い長身だろうけど、胸はしっかり大きい…。こういうアバターを作るって事は、たぶんこの人は男性プレイヤーかな…。武器は2mくらいもありそうな両手槍だ。

 

 

『でも、まだ1回も戦った事ないし、たぶんお邪魔になると思いますので、』

 

 

と喋ったところでイケメンに遮られた。

 

 

「ボクもまだログインしたばかりで戦闘はしてないから、同じだね」

 

 

と言ってさわやかに微笑む。

隣のポニーで巨乳のお姉さんも笑顔で「うんうん」と首を縦に振っている。

そこに一瞬の間を置いて金髪ロンゲが話を結論付けた。

 

 

「まあ、今日だけのパーティって事でもいいしさ、一緒に行こうよ!

 俺はグリフォーって言うんだ、ヨロシクゥ!」

『え、よ、よろしく?』

「で、あっちの男がナオトで、ピンクの髪の女はサヤナだ。」

「よろしく」

「よろしくね。えっと、あなたの名前は?」

 

 

今日だけになるかどうかはわからないけど、どうやらパーティを組む事は決まったらしい。

パーティを組めばパーティメンバーのHPバーと共に名前も確認できるのだが、だからと言って名乗りを止める事はしなかった。

 

 

『コウメです、よろしくお願いしますm(__)m』

 

 

そう言い終えるよりも早く、≪Griffoからパーティへの勧誘を受けました。承諾しますか?≫というシステムウインドウが開いた。ここはYESを選択せざるを得ない状況だった。

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