ソードアート・オンライン外伝 ―One man's side― 作:北川みゅー
【貴方自身の経歴】
・社会人、営業職
役職は無いものの6人チームのリーダーを任され、新入社員教育も担当。
・MMORPG<EO>において10人規模のギルド(A)を設立(2年)。
その後80人規模のギルド(B)と合併し、サブマスターとなる(3年)。
ギルド内の対人に興味のあるプレイヤーを集め、15人でギルド(C)を設立(1年)。
対PKチームとして活動し、私は主に戦術立案を行っていた。
・MMORPG<UQ2>において、100人規模のギルド(D)に所属。
加入後1年程でギルドマスター(GM)が引退を表明し、選挙が行われた。
会社組織の様な部門を作るという提案により勝利し、GM就任(3年)。GMが狩りに行く先を決める等の独裁制を撤廃し、各部門長という役職を置いた。
戦闘部門、生産部門の他、流通部門を企画して戦闘・生産をしないプレイヤーにも新しい遊び方を提案した。私自身は全部門の統括と流通部門長を兼任した。
流通部門とは、ギルド資材の確保と販売品・店舗管理を専門に行っていた。
まあこんなものでいいだろう。俺はバカ正直なA型だから、全然盛ってないからな。<EO>のギルド(C)の頃は楽しかった。対人エリアの何でも屋として、そこでしか採取できないアイテムの入手や、それ目的の人の護衛や遊撃戦等。ただのパトロールや、複数ギルド合同の大規模戦で敗走した時も<いかにして生きて帰るか>が楽しかった。デスゲームとなったSAOにいる今では、自分自身の命の危険があるからもうそんな状況にはなりたくないがね。
それからしばらくして、知り合いの多くがEO引退をした後、俺自身も引退して<UQ2>を始めた。
たまたま入ったギルドが大きめなギルドであったわけだが、人数は多いがGMを始めとして常連メンバーが「○○行こうぜ」と切り出したら狩りに出かけ、生産者に武器を作ってもらいたくてもログイン時間が合わないと頼めない、ギルドショップはGMが1人で一括管理していたから――途中でめんどくさくなったんだろう――品切れが続出し、品切れが長く続く店には客足も途絶えるといった悪循環を辿っていた。
当時学生だったそのGMが就職を機に引退する事になったのだが、後任は選挙によって選出する事になったのもなかなか面白いやり方だったと言える。普通は常連メンバーの誰かに任されるのが多いと今まで思ってきたからだ。中堅的存在でしかなかった俺はそれに立候補した。ちなみに忍者少女<小梅>ではなく、サブキャラクターである<孔明>で名乗りを上げた。
ギルドHPの掲示板に掲載した分業案は「面白そう」と、多少マンネリしてきたベテランから、ベテランの狩りについていけない初心者まで幅広く好評を受け、見事当選を果たした。そして俺、孔明は流通部門を仕切ってギルド内の動きを活発化させると共に、戦闘部門では初心者向けに効率のいいスキル上げ指導もしていた。
この過去の話は語ると小説が出来そうな雰囲気なので、まあ置いておくとしよう。
何が言いたいかと言うと、俺は<小梅>――以前に<光目>と無理やり名付けた事もあったが――として生きる事をやめ、これからは新たに<孔明>としてやって行く事を決断したという事だ。
【ギルドにおける貴方のプラン】
・目的について
このギルドの目的は、ゲームを攻略するという大目的の他、第1層で生活している人達に食糧を配布するという事です。それについて反対意見はありませんが、1点解釈が違います。その2つの目的はそれぞれ別の事柄ではなく、ゲームの攻略のためにギルドメンバーに食糧を与える、と捉えれば良いと考えます。つまり食糧を配布し、人間らしい生活が取り戻せた後には、せめて低層のMOB程度は狩れる様に戦闘指導もし、SAOプレイヤー全体のレベルアップに貢献すべきです。
一部の人達だけが攻略にあたるより、より多くの人達が攻略という目標を見る、それこそが将来的にゲームクリアに繋がるのでなないかと思います。
もちろん戦闘に出たくないプレイヤーは生産職でもいいでしょう。ただ少しでもプレイヤー全員の士気が上がる事によって、攻略を目指すプレイヤーにも良い影響をもたらすはずです。
・自分自身のプラン
私自身は元々MMORPGが好きなゲーマーであり、攻略を目指した戦闘も行いたいと思います。
しかし私1人が100の戦力を持っているとするならば、100以下の人達を100に育てる事、それこそが私のすべき事であると思います。もし10人が戦力100に育てば、私1人の場合に比べて10倍の戦力となります。『急がば回れ』『米百俵の精神』という言葉の通り、ゲームクリアが目的だからこそ、じっくりとした教育を施す事が必要です。
直接戦闘をする事の他に私に出来る事は、戦闘・戦術訓練です。始めはクリアを目指すという事を謳うのではなく、今後はじまりの町から出た際に簡単に命を落とさないための護身術や生き延びる知識を広めるという事から進めたいと思います。
そしてもう1つ、はじまりの町に住む人達が前向きに生きられる様に、意識改善が目的の広報活動も提案致します。前線や攻略状況等の戦闘関連の話ではなく、新作の料理のレシピや景色のいい場所等を紹介する本の様な物を定期刊行してはどうでしょうか。文章作成やレイアウト等はご協力は難しいかと思いますが、営業マンですのでネタを仕入れてくる事ならば可能だと思っています。
・要望
ギルドの運営業務、または上記プランについて、自分に出来る事は精一杯勤め上げるつもりではあります。しかし一点だけお願いがあります。ある程度の自由行動を許可して頂きたいと思います。
この2日間パーティを組んだ友人がおり、彼は前線を目指してこの町を発ちました。前線を目指したいという事でありませんが、ある程度のレベル上げは今後も続けたいと思っています。私は他者より少しでも優位に立ちたいと思っているゲーマーでもありますので、何卒宜しくお願い致します。
Koume
名前の読み方についても、綴りの脇に“読み”欄があったので、しっかり「コウメイ」と書いておいた。
(あー、眠い時間に書いたから何を書いたかよくわからない…。
まあもうこれ以上考えても文才の無い俺には直しようがないから仕方ないな。
ある程度は諦めも肝心だ。)
最後に要望として書いた自由行動について、そこに書いたレベル上げをしたいという目的も嘘を書いたわけではないが、理由は他にもある。おそらくあの30人程度の数であれば、その場にいたほぼ全員が採用される事だろう。その中でもなるべくシンカー氏に近い位置にいたいという権力欲である。
ゲームを効率よくクリアするためにこのギルドに協力するという、あくまでも自分が元の世界に戻りたいがための行動であるから、ギルドに完全に自由を奪われるのは本意ではない。立ち上げ前であり、どの様な雰囲気のギルドになるかはまだ予想が出来ないので、この様な予防線を張る事にしたというわけだ。
そしてもしこの“自由行動の特権”が認められなかったとしても、“広報活動の一環としての取材”という第2の手も打ってある。時間が無く、眠い状態で書いた――これは自分のせいではあるが――その辺りは抜かりがなかった。
時刻は日付が変わってからすでに2時間半を過ぎていた。
(今日はオオカミ探しはやめておこう。
あのオッサン…名前何て言ってたかな…忘れた…。
まあいいけど、今日も夜勤してるんだろうか…?)
等と考えている内にまた眠りについてしまっていた。起きる時はアラームが鳴ればスッキリと起きれるのに、眠気、つまり睡眠欲についてはよくシステムが出来ている様だ。
Koumeは、<小梅>が漢字名であってアクセントは ↓↑↑ でしたが、
<光目>と自分で決めてからは ↑↓↓ で名乗っていました。
Sayanaは逆で、当初は ↑↓↓ でしたが今は ↓↑↑ で名乗る様にしています。
性別が変わってアバターが変化しても名前は変えられなかったSAOですが、
漢字の名前を付けられない事が幸いしたかな、という設定です。