ソードアート・オンライン外伝 ―One man's side―   作:北川みゅー

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第17話 ギルド発足

ギルドを作るのは思いのほか簡単である様だ。<ギルド作成証書>をNPCの雑貨屋から10000コルで買い、5人パーティーを組んだリーダーがそれを使用すればいいだけだった。

先程昼食に出なかったメンバーで先にパーティーを組んでおいたんだろう。シンカー氏の宣言の後、シンカー・キャスティ・ユリエールをターゲット――視線を合わせじっと集中して見る事――してみるとギルドタグが確認できた。おそらく探せば人事担当ジャプスンあたりも先行してギルドタグが付いていたんじゃないだろうか。

 

名前はギルド<MTD>、その由来は『MMOトゥデイ』の省略そのままだった。これは知名度を考慮し、より多くの人を勧誘――救済であるが――するための手段の一つでもある。

シンカー氏の話は続いているが、茅場が現れた時もそうだったが、正直言ってこういうスピーチを全て頭に入れるのは疲れる。会社での社長の話は眠くて仕方ないタイプの俺だ。だから話半分で聞いていた。これからどうしようかと考えながら。

 

 

「それでは皆さんから提出して頂いた資料を元に、役割分担を発表していきます。また、名前を読んだ方から順番にギルド勧誘メッセージを飛ばしますので、承認して下さる様にお願いします。

 役の中でも、まとめ役に就いて頂く方々には事前に連絡済みですが、と言っても、今この場にいる皆さんは全員がなんらかのリーダーという立場になる予定です。

 どうぞ宜しくお願い致します。」

 

「えー、ではまずダンジョンの攻略を勧め、上層を目指す事を目的とする戦闘部門から発表させて頂きます。

 まず第1チームがコービーさん、グレンさん、モーリスさん、アバンチュリエさん、ショウヘイさんの以上5名となります。

 リーダーはコービーさんにお願いします。」

 

 

(第1チームは全員男性で5人。おそらく<MTD>最強の5人なんだろうな。

 っていうか名前が覚えられないぜ…。)

 

 

グレンは黒髪ミディアムのイケメンだ。ゲームするよりヴィジュアル系バンドとかしてそうなイメージ。

モーリスはガタイがよく、見た目からしてパワーファイターという体型だ。サッカーよりラグビーという感じ。

アバンチュリエはロンゲで金髪、いわゆるギャル男だな。もっとも髪型と髪色は今でも自由に変更できるからリアルではどうか知らないが…。

ショウヘイも個性的だ。わかりやすく言えばモヒカン。ソフトモヒカン等ではなく、サイドはきれいに剃ってある様だ。

 

なんて、観察をしてたらもう第2チームの紹介に入っていた…。

 

 

「ではその第2部門のメンバーですが、リュウノスケさん、カルマさん、スクワートさん…」

 

 

もうこの時点で俺のメモリは一杯になり、もう頭に入ってこなかった。リュウノスケを含んで5,6人いたと思うが、まあ、直接関わる機会があればその時に覚えられるだろうと楽観視していた。

それよりも、これから言われる第3チームのメンバーくらいは覚えておかなければならない。

 

 

「続いて第3チームは、コウメイさん、アストロノーツさん、シャルロットさんの3名で、リーダーはコウメイさんにお願いします。」

 

 

直後、≪Sinkerからギルド<MTD>への勧誘を受けました。承諾しますか?≫とのシステムメッセージが表示され、すぐに右手で≪OK≫をタップした。

それから名前を呼ばれたもう2人と目を合わせ、少し離れていたが会釈をして顔の確認だけはしておいた。内、1人は女性であった。

男の方はいかにも真面目そうな、年は20代後半の男。

女性の方は20代前半に見えるが、意外に若くてしかもけっこうかわいい。

 

(最低でもB+か、いやAランあるんじゃね?)

 

等と考えていた事はもはや癖としか言えない。

この2人がなぜ攻略をバックアップする戦闘部門第3チームに配属されたのかはわからないが、非常に興味はあった。

 

 

 ・

 

 ・

 

 ・

 

 

それから紹介は続き、生産部門料理担当の所でグリフォーの名前が呼ばれた。しかしその後、民生部門メンバー管理担当の所でもグリフォーの名前が出た。そこまでほとんど名前を記憶してはいなかったが、さすがに知り合いの名前が出てくれば気が付く。

後から知った話だが、ここに集まった60名の中でも他に職を兼任する人は何人もいたらしく、人選ミスでも特に珍しい事でもなかったようだ。

 

 

「それではみなさん、一旦各チームに分かれて自己紹介等を行う時間を取ります。

 チーム掛持ちの方はどちらからでも構いませんが、両方に顔を出す様にして下さい。」

 

 

それから各リーダーには、一応全員分の名簿を渡されたが、正直名前は覚えられないからよく見てはいない。戦闘部門のチーム員と、グリフォーの名前だけ確認しただけだ。

名簿を受け取ったリーダーらは、フロアに適当に散らばって先程名前を呼ばれて確認した顔を探し、メンバーを集めている。一応戦闘部門3チームは近い所に集合している。

 

俺も自分のチーム――と言ってもあと2人しかいないが――を集めて自己紹介を始めた。

 

 

『初めまして、戦闘部門 第3チームのリーダーをやる事になったコウメイです。

 よろしく。』

 

 

年下に見える相手に対し、タメ口混じりの敬語というおかしな形になったが、これも自分の癖の一つかもしれない。

 

 

『えーと、アストロノーツさんとシャルロットさん、だね?』

 

 

それぞれの方を向きながら名前を確認したが、ここは特におかしな捻じれも無く、男がアストロノーツで女性がシャルロットであった。ちなみに、『男』『女性』という同じでない言い方も癖なんだろうな。

 

 

「シャルロットです。よろしくお願いします。」

「あ、アストロノーツです。よろしくお願いします。」

 

 

二人とも名前が長いなと感じたので、『シャルとアストと呼ぶ事にさせてもらっていい?』と聞いてみたら「OK」との事だった。

 

 

『まず俺の事から簡単に話そうかな。

 前にEOとUQ2ってMMORPGをやってたんだけど知ってる?それでギルドマスターをやってた事があってね。その時にちょうどこの<MTD>みたいな戦闘部門・生産部門みたいに分業製やリーダー制を取り入れたりしたって経験もあって、それでリーダーに選ばれたんだと思う。

 以前は対人ギルド、と言っても対PKなんだけど、そういう事もしていた。実際に自分で戦う事ももちろんあったが、チーム編成や攻撃手段等の戦術、補給・退路の確保等の戦略等を組み立てる事を自分の役にしてました。

 ちなみにスキルは槍と索敵を上げてる所ですが、これからまた変えるかも。』

 

「EOもUQ2もやった事あります!もしかしたらどこかで会ってたかもしれないですね~。」

 

 

これはアストロノーツだ。

 

 

「僕も以前やってたMMOでギルドを作っていて、その時は初心者を集めて色々教えたりする、そういう指導ギルドみたいな形でした。

 その経験を買われて、戦闘指導のこのチームになったんだと思います。あとは一応“院”で行動科学の研究みたいな事をしてるので、それもあるかもしれません。

 スキルはランスと大盾と疾走を取ってます。」

 

 

ランスと言ったのは、盾装備もあるらしい事から片手用突撃槍の事だろう。本来は<トーナメント>と呼ばれる馬上試合で使われるあのランスだ。大型武器であるランスと大盾を持ち、それを疾走スキルでスピードを補って突進するという戦い方、実に面白い。こういう構成を考える点からしても、MMO経験者だとはわかる気がした。

“院”というのは大学院だろう。行動科学とは何か俺にはわからなかったが、心理学みたいなものだろうかと考えをまとめ、ひとまず置いておいた。

 

そしてどういう人なのか気になるのがもう1人の方だ。

 

 

「えーと、私はシャルロットです。

 今までゲームは全然してなかったんですけど、このゲームは自分で動くっていうのが興味があってやってみる事にしました。元々スポーツは得意だったのもあって結構慣れてきて、後はもう早く元の世界に帰りたいという思いでギルドに応募しました。

 スキルは“ほそけん”と疾走と軽業です。宜しくお願いします。」

 

「“さいけん”って言う方がカッコいいですよ。

 武器的には“レイピア”って呼んでしまってもOKです」

 

『なるほど、スピードタイプですね。』

 

 

ゲーマーの学者とスポーツ美少女。美少女と言っても20代だろうから美人って言った方がいいのか?肩まである濃い栗色の髪は、毛先15cm程度だけパーマがかかっている。黒髪ストレートを後ろで縛り、前髪パッツンなグリフォーとは違う雰囲気がある。これが20歳前後である事の差か、等という感想は心の中に閉まっておく。

自己紹介を聞いて、アストが戦闘部門第3チームに来た理由はまだわかるが、シンカー氏がシャルをここに振り分けた理由が気になる…。戦いたい・戦えそう、だけど第2チームに入れるには不安、死なせないために第3チームで鍛えたいといった所か、等と読んだ。

まあとにかくこれが俺のチームの運営陣となるわけだし、上手くやっていきたい。ネカマの可能性のない女子が同じチームにいるのはやはり気分がいいな、等を思ってしまう俺であった。

 




コウメイ以外のスキル値はあくまでもイメージする上での参考です。
※スキルは300までは簡単に上がる様になっています。

――――――――――――――――――――――――――――

Koume Lv.8
両手用重槍 356
投剣 234
索敵 365

Griffo Lv.6
両手用剣 268
軽金属装備 181
料理 355

Sayana Lv.10
片手用曲剣 392
軽金属装備 341
軽量盾装備 331

――――――――――――――――――――――――――――

Jinen Lv.8
両手戦斧 373
応急回復 91
暗視 347

――――――――――――――――――――――――――――

Kobe Lv.13
両手用剣 425
重金属装備 376
疾走 410
武器防御 120

Ryu-nosuke Lv.10
片手用曲刀 338
革装備 279
武器防御 440

Astronauts Lv.7
片手用突撃槍 310
重量盾装備 248
疾走 262

Charlotte Lv.5
片手用細剣 179
疾走 241
軽業 222

――――――――――――――――――――――――――――

コービーはレベル的にはキリトやディアベルと並ぶトップクラスで、リュウノスケやサヤナも所謂攻略組に加われる程度のゾーンに位置しています。コウメイ自身はそれよりまだ一歩下になりますが、主街区から出ていない人達が数多くいる事を考えれば、全体の中では上位になります。
尚、第1層のクリアレベルは、トッププレイヤーで20前後くらいではないかと想定しています。
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