ソードアート・オンライン外伝 ―One man's side―   作:北川みゅー

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第4話 混乱

(つまり、このゲームをやめようと思ったら死ぬ、って事?)

 

 

私がそういう感想を持ったのと同時に、誰もがそう思った事だろう。

しかし「そんな事できるのか!?」という疑問の声も上がっている。が、声には出さないけどたぶん出来るだろうと思う。今の時代、マイクロウェーブ発生器は小型になっているし、ちょっと大きめのバッテリーが内臓されていたら簡単な話だ。これは某電機メーカーに勤めていて、電気機器には明るいから妙に納得した。

つまり、茅場というローブの言う話は、ソードアード・オンラインというVRMMORPGの中に監禁されたのと同じ事だと誰かが呟いた。そう、この<城>をクリアするまで無期限で。

 

それから茅場の話は続いたが、『明日からの仕事とか、外への連絡はできないのかな』と考えていたため、話半分で聞いていたが、すでに200人以上が永久退場したという部分はよく覚えている。

そしてすでにメディアがこの状況を報道し、私達プレイヤーがこれ以上外部の要因によって退場する危険性は少なくなっているという話を聞いた。

 

 

「しかし、十分に留意してもらいたい。」

「今後、ゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能しない。

 ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に…」

 

 

この続きはある程度予想できた。「現実世界でも永久退場する」って言いたいんでしょ?

 

 

「諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される。」

 

 

ほーらね。まあ言い回しは違うけど。なんて誰かに勝った気になっていたものの、つい数時間前に死の淵にいた事はすっかり忘れてしまっている様だ。もちろんパーティを組んだ人達も、ヒットポイントゼロ、イコール死という危険を冒してまでいきなりレベル3のリトルネペント狩りなんて行かなかっただろうが。

周りのプレイヤーの反応は様々だった。怒号を上げて怒りをぶつけようとする人、帰りたいと泣き崩れる人、反応に困って笑うしかない人等。

 

それから開放される条件の話があった。つまりこのゲームをクリアすれば、その時生き残ってる人は全員が安全にログアウトできる、と。

私が知ってる情報によれば、1000人が参加した2か月間のオープンβでは第6層までクリアされたらしい。今度は1万人で100層だと、何か月かかるんだろう?咄嗟に計算しようとする癖があるが、蘇生不能で人数がどのくらい減るのかを読めないために諦めた。諦めたけど、みんながそう考えたのかやけに静かになっていた。

この一連の流れももしかしてイベントの1つではないか?という考えをする人も中にはいるだろう。でも典型的A型である私はバカ正直にその状況を受け入れた。もちろん、今後どうするか等はまだ考えてはおらず、単純に状況を受け入れただけ、であったが。

 

 

「それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。

 諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。

 確認してくれ給え。」

 

 

誰もが同時に指2本を振ってメニューを出し、アイテム欄を確認した。おそらくみんなが同じ物を受け取ったのだろう。手に<手鏡>を持ってる人が見えるが、自分のアイテム蘭にも同じ物があったので、オブジェクト化した。

その鏡に映るのはつい3時間程前に設定した自分のアバター<コウメ>である。黒髪ショートボブで目がくりっとした、誰が見てもかわいいと言える少女である。もっとも、周りの誰を見ても美男美女ばかりであるが。

 

 

(で、これが何?

 これが自分の本当の顔だと思ってプレイしろって事?)

 

 

と思ったやいなや、突然自分や周りの人を白い光りが包み込んだ。目の前が真っ白になって何も見えなくなった、と思ったその数秒後に光が晴れ、異様な景色が広がった。

まずすぐ近くにいたはずの人が3人がいなくなっていた。正確には、グリフォー・ナオト・サヤナと同じ装備をしている別人になっていた。しかしまだパーティは解除していないので名前からして本人であると確認できたので、声をかけてみた。

 

 

「えっ…ちょっ…、何これ!?」

 

 

と手鏡を見たグリフォーが驚愕している。

金髪ロンゲであったグリフォーは、髪の長さこそ肩を過ぎたくらまであるが髪色は黒で、…なんと女性になっていた。学級委員か図書委員をやっていましたというイメージだ。

声も見た目の通り女声になっている。

 

 

「うわぁ!ボクになってる!!」

 

 

これはナオトの声だ。ほとんど変わらない。

黒髪短髪さわやか系イケメンのナオトは、デブとはまでは言わないが中肉中背、イケメンには程遠くなっていた。勝手にホストのバイトだと思ってたけど、それはありえない(笑)。

年は若そう、高校生くらいなんだろうか。

 

そして、サヤナは無言で言葉が出せないでいる。

ピンク色の髪をポニーテールに結び、巨乳が目立つお姉さんであったサヤナ。私にとっては男性プレイヤーという予想でいたが…、予想通りであった(爆笑)。装備は変わっておらず、巨乳が目立つ女らしい服を着ていたのだが、男性のアバターに変わってしまったために完全に女装姿でキモい事になってしまっている…。

たぶん20代中盤のサラリーマンなんだろうな。“明日は会社”って言ってたし。

 

 

周りを見ても、男女半々――むしろ女性キャラの方がが多かった印象があるが――だったはずが、女性プレイヤーの大半が女装した男へと姿を変えていた。今は7:3か、いや8:2くらいで男性ばかりになっている。男性アバターが女性アバターに姿を変えたのはグリフォーくらいだろうか?他にはあまりいない様だが。

もちろん元から男性だった人も女性だった人も、美男美女ばかりではなくなっていた。

 

今度はパーティメンバー3人の方から「コウメ?」と声をかけられた。

返事はせずに、慌てて自分の右手に握られた手鏡を覗きこんだ。

 

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