アブソリュート・デュオ 覇道神に目を付けられた兄妹 作:ザトラツェニェ
『願わくば、
俺はその言葉の意味を尋ねる余裕は無かった。
「―――っく!!」
なぜなら胸元に《
熱は瞬く間に全身へ広がり、呼吸が苦しくなる。
まるで体内で
しかし、これは儀式だ。
人を超える力―――《
「うっ、ぐ……あぁあああああああっっっ!」
血が、肉が、骨が灼けつくような壮絶な痛みに絶叫を上げ―――
直後、俺の体は《
《
だが、屈するわけにはいかない。
この《焔》を制さなければ、俺が望むものは手に入らない。
(俺は……俺にはやらなければならないことがある!!)
それを果たすまで決して足を止める訳にはいかない。
だからこそ、この荒れ狂った《焔》を制御する。
いや、そもそも制御出来て当然なのだ。なぜなら
「おぉおおおおおおおおおおっっ!!」
力の限り叫び、拳を突き上げ―――《焔》を掴む。
「《
《力ある言葉》に呼応し、俺を
「くっ……!」
余りにも強い輝きに、目を開けていることすら
《焔》が《
「これが……俺の《
「……《
そこで最初のあの言葉を口にしてからここまで、無言で事を見守っていた人物が口を開く。
それらを連想させる
《
《
だが、俺が具現化したものはおそらくその中でもかなり特異な力を放っている。
一突きすれば、いかなるものも貫き通せるだろうと思わせる《力》が輝く銀色の光と共に溢れ出しているのを見て、俺はある事を考えていた。
(……俺の魂にこれほどの力が……そして、これはあの夢の軍人と似ているようで少し違う……?)
なぜこのような強い力が俺にあったのか……そう考えていたのだが―――
それは目の前の黒衣の少女の言葉によって遮られる。
「さあ、お行きなさい。その《
くすくすと笑い声を残し、黒衣の少女は闇の中へと歩いて行って姿を消す。
後には静寂のみが残されるばかりだった。
これが俺の―――
銀色の少女が姿を見せた瞬間、講堂からまるで波が引くかのように音が消えて行く。
それは俺も同様で彼女を目にした瞬間、息を飲み言葉を失ってしまった。
一目見れば記憶から決して失われることは無い―――そう言わしめる程の容姿の少女が
腰まで届く
(……まるで
その少女に対して俺がそんな感想を持った理由は、幻想的とも言えるその容姿だけじゃない。
多くの視線を向けられていながら、まだ幼さの残るその顔には表情というものが一切見て取れなかったからだ。
やがて銀色の少女は、一拳手一投足が注目される中―――
チリン、という鈴の音とともに歩き出す。
コツ、コツ……と革靴の音が響くほどの静けさの中、周囲の視線を一身に集めたまま、けれどそれらを全く意に介す様も無く歩く姿はまるで映画のワンシーンのようだ。
彼女は俺の横を通り過ぎ、五列程前の席へ腰を降ろすと、ようやく講堂内に掛けられた
(……なぜだろうな……)
俺は、五列程前に座る少女を見て内心首を傾げていた。
なぜあのような美少女が
こんな学校―――
この学校で教わる特殊技術とは―――戦闘技術。
平和な日本において、日常必要としない術を教えるという非常に特異な学校だ。
(どんな事情があるんだろうな……)
「あの子、どんな事情があってここに来たんでしょうね」
俺がそんな事を考えていると、後ろの方から随分と聞きなれた声が聞こえた。
それに反応して後ろに振り返ると、そこには俺にとって随分と見慣れた顔が苦笑いを浮かべて座っていた。
「
「もう、私が後ろにいるってやっと気付きましたね。兄さん」
俺の事を兄さんと呼ぶこの黒髪の少女は、俺の双子の妹の
「……いつからここに?」
「う〜ん……兄さんがここに来る5分位前ですかね。私の目の前に座ったのに、本当に気が付かなかったんですね」
「色々と考え事をしていたからな。それにしても……」
俺は言葉を区切って前の方へと座っている銀色の少女へ視線を向ける。
「あの子はなぜここに来たんだろうな?」
「さあ……?でも、少なくともここで戦闘技術を学んで終わり、というものではないと思いますよ?……わざわざこんな特殊な学園に来たんですから……」
「ああ……《
《
千人に一人と言われる《
とはいえこれらの事柄は今日―――《
そんな事を考えていると、パチンとスピーカーのスイッチが入る音がした。
直後に『あ、あ……』とマイクテストの声が講堂に響く。
『一同、静粛に。間も無く入学式を開始します。進行は私、
壇上へ続く階段脇に立った二十代後半と見られる男性教師らしき人物が『静粛に』ともう一度口にすると、それに伴って講堂内のざわめきが小さくなっていく。
『ただ今より、
そして男性教師の挨拶が終わり、今度はこの学園の理事長の挨拶なのかと思っていた俺は
壇上へと向かう
(あの子は……あの子が理事長なのか……)
壇上へと立つその人物は、見紛みまがう事無く俺に《
『昊陵学園へようこそ、私は理事長の
理事長。その役職から受けるイメージとは違い、十に
そんな事を考えている内に、理事長の式辞がそろそろ終わりを迎えそうだった。
『ではこれより新入生の皆さんには当学園の
「伝統行事?」
「進行表には何も書かれていないけど……」
後ろの席に座っていた人たちが言う通り、壁に貼られている表を見ても、本来なら理事長の式辞に続くのは在校生代表による歓迎の挨拶の筈だ。資格の儀というものは書かれていない。
しかし理事長はそんな疑問もお構い無しに続ける。
『それでは《資格の儀》を始める前に、隣に座る方を確認して下さいませ。その方が
俺は隣の席に座る相手を確認する。当然、隣の人も俺を見て確認する訳だが、俺はこの後何かろくでもない事を言われる気がした。
そしてそんな俺の予想は見事には的中してしまう。
『これより、貴方達には
理事長が行事の内容を伝えられた瞬間、そこかしこで驚きの声が上がる。
「なんだよそれ!?聞いてないぞ!?」
「適性があれば入れるんじゃなかったのかよ!?」
「決闘なんて、そんなの無理よ!!」
『
新入生たちの驚きとは正反対に、涼しげな顔で理事長がとんでもないことを口にする。
「入学試験ねぇ……なるほど、つまりこれは最初の試練ってことか」
俺が講堂内の全員に聞こえるように言うと、新入生達がさらにざわめきだす。
確かに入学試験が無いとは言っていないし、《適性》があれば入学
(それにしても負けたらすぐに除去して立ち去れとは……そう言うって事は、当然情報規制も徹底さされているんだろうな)
『……ご理解を頂けましたら、試験のルールについて説明いたしますわ』
決闘の内容は簡単に訳すと、素手で闘う、学んだ武術などで闘う、物を投げるなど、基本なんでもあり……つまり《
嫌なら逃げ出してもよし、勝敗はどちらかが敗北宣言をするか戦闘不能になるまで。
制限時間は10分間で、それを超えるとどちらも不合格……将来必ず闘い、命がけで闘うことや命のやり取りがあるという《
『……それでは、開始前にひとつ《
「……ん?」
俺はどこか含みのある理事長の言葉に首を傾げたが、二つ前の席に座った新入生の質問で一旦思考を切り替える。
「パートナーの変更……は……」
その新入生はそう問うも―――
『―――できませんわ。貴方は受験で数学が苦手だから他の得意な教科で苦手な数学分の評価をしてくれと仰いますの?』
返ってきた無慈悲な言葉へ、彼はその後を続けることが出来なかった。
おそらく理事長の返答を聞く限り、過去に同じような要望を問い投げ掛けた者が居たのだろう。
確かにそのような要望を言いたくなる気持ちは分かるが、理事長は容赦無く歯車を動かしてしまう。
『闘いなさい。
鋭い声―――同時に講堂のみならず学内すべてに鐘の音が響き渡る。
そして一瞬だけ間を置き―――
「うわぁああああああっ!」
誰かが発した叫びが本当の合図となった。
状況をようやく
同じように悲鳴を上げつつ、その場でパニックに陥る者もいる。
いまだに状況に心が追い付かず、
そして―――この試験を、決闘を受け入れ、闘う意思を持った者が《力ある言葉》を口々に叫び、あちこちで紅蓮の《
剣、槍、弓―――視界に映る幾多の武器、それを手にすると試験相手へ向けて振るう。
講堂内へ
そんな周りの様子を見回した俺はすでに《
だが、突如少し離れた場所で強い力を感じたと思うと、一瞬だけ
光が収まったのを確認して、その方向を見ると妹の優月が光り輝く《
「へぇ、あれが優月の《
閃光で相手を倒すなんて中々面白いなぁと思った俺は少しだけ笑った後に相手に向き直る。
「さて、じゃあこっちも早くやってしまおうか」
そして《力ある言葉》を言う。
「《
俺はその言葉によって、《
それは俺が今まで見てきた夢に出てくる黄金の髪をして黄金の槍を持っていた軍人とは違い、全体的に銀色の光を強く放つ槍だった。
穂先には
「申し訳無いけど終わらせてもらうぞ」
俺がそう言うと槍から放たれていた威圧はさらに強くなり、向けられた相手はすぐに倒れて気を失った。
「………………」
俺はその後、10分経つまで他の戦いを見学する事にした。
side優月
『闘いなさい。
その言葉の後、誰かが発した叫びで入学試験という名の決闘が始まりました。
私は隣の席に座っていたパートナーに向き合いましたが、その子は私を見て
「《
私は《力ある言葉》によって現れた《
その《
決闘相手の方は、私の剣と顔を見て顔を青くしていますが、恐怖で体が動かないようで敗北宣言も言えないようです。
私は自分の剣を上に掲げ、相手に向かって一言呟きました。
「ごめんなさい……」
そう言いながら、私は剣に力を込めます。
すると私が持っている剣から
周りを見ると私が放った閃光の影響なのか、気絶して倒れている人が数人程見受けられました。
それから私は10分経つまで、決闘で気絶させたパートナーの保護をしながら他の人の闘いを見たりしていました。
side out...
そして10分経ち、入学試験が終了し理事長が壇上に上がる。
『……それでは最後に、この言葉を贈らせて頂きますわ』
理事長はそこで一旦言葉を止め、新入生全体を見回し―――
再び、あの言葉を口にする。
『願わくば、
キャラ設定はいずれ書く予定です。
誤字脱字・感想意見、よろしくお願いします。