アブソリュート・デュオ 覇道神に目を付けられた兄妹   作:ザトラツェニェ

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今回は若干グダグダな感じが出ました……あまり気にせずに!どうぞ!
念の為に補足しますが、朔夜の一人称は(わたくし)です。ご了承を〜。



第二十三話

side 影月

 

「…………」

 

どうも皆さん、影月です。

なんかこの始まり方以前にもあった気がする……。

そんな事は置いといて、俺は今何をしているのかと言うとーーー

 

「……♪」

 

朔夜と共に手を繋ぎ、砂浜に向かって歩いていた。

尚、三國先生は今回もいない。聞けば朔夜が理由を付けて今朝、学園の警備に向かわせたらしい。

ちなみに三國先生は学園へ向かう前に俺の所に来て、「朔夜様を頼みます」と言い、苦笑いしながら去っていった。

 

ーーーこれに対し朔夜に「何を言った!?」と問いただした所ーーー

 

『え?貴方と居たいと言っただけですわ?それと優月共々守ってくれると言ってくれたからですわ』

 

と、普通に返されてしまった。……後半は普通に嬉しいが、前者については正直ものすごく恥ずかしい。なんだか複雑な気分だ。

 

「影月、何かお話はありませんの?」

 

「……ごめん、今はちょっと思い浮かばなくてな……」

 

「……なら、昨日は服が汚れる程激しくーーー」

 

「おい!その話はやめろよ!?」

 

朔夜の発言で自分でも凄く動揺していると分かる程取り乱す俺。

あの後ーーー色々な事をしてしまい互いに服が汚れてしまったのだ。

え?何をしたら汚れるのかって?激しくって何の事だって?そんな事……言わせるな恥ずかしい。

 

「……思い出しただけで本当に恥ずかしい……」

 

「大丈夫ですわ。私も恥ずかしかったですもの。それに影月になら私、何をされてもーーー」

 

「さてっ!砂浜が見えてきたぞ!」

 

これ以上は俺のSAN値が持たないので即話題を変える。

目の前にはどこまでも続く青い海と青い空ーーーそして、数人の見知った顔の人たちが砂浜で遊んでいた。

その中でふと、目が()()()()()()()()がいた。

 

「あっ、影月くーん♡」

 

他の人たちーーー透流やユリエなどのいつもの顔ぶれや優月もいたが、そう言ってこちらに来たのは月見先生だ。

てか、なぜいる!?そしてなぜ今日はこんなに人のSAN値を削ろうとする人ばかりなんだ!?

そんな俺の内心を知らずに月見先生はその明るそうな言葉とは裏腹にこちらに向ける顔はとても邪悪な笑みに見えた。

そしてこちらに近付いてきて月見先生は小声でーーー

 

「デートか?《異常(アニュージュアル)》」

 

それを聞いた瞬間、月見先生の首を無理やり掴み、海へ投げ飛ばした。

 

「うおわぁぁぁぁぁ…………!」

 

素の叫び声を上げながら飛んでいく月見先生(うさぎ)ーーー

そんな飛んでいく月見先生を気にせずに水着姿の優月がこちらに走ってきた。

 

ちなみにどのような水着かと言うと水色のシンプルなデザインのビキニだが、元々スタイルが抜群にいい優月の魅力を最大限に引き出すには十分なものだった。ものすごく可愛い。

 

「兄さん、遅かったですね?それとなぜ理事長がここに?」

 

「ああ、ごめんな。今日誘われた事を理事長も聞いてな……行くって言って準備に付き合わされてたから遅くなった」

 

今日朔夜に前述の事を問いただしに行った時、今日の予定を聞かれ、皆で海で遊ぶという事を伝えるとーーー

 

『私も行きますわ』

 

と言われ、問答無用で準備を手伝わされたのだ。

ちなみに手伝いと言ってもあまり大した手伝いはしていない。日傘の準備とか靴の準備、確認をしてくれとか持ち物の確認とかそんな感じだ。その他にも漆黒の衣装(ゴシックドレス)の確認をしてくれだとか言われた。……何を確認すればいいのか分からないからそれは断ったが。

 

(ってあれ?俺こき使われてるのか?)

 

ただこき使われてるだけでは?とふと今思ったが、その事は考えても意味が無い気がしたので考えるのをやめた。

 

「理事長も来たんですか?」

 

「ヤー、珍しいですね」

 

いつの間にかこちらに来たいつもの面々が話しかけて来る。

ちなみにここにいるのは俺、優月、透流、ユリエ、みやび、橘、伊万里、美和、朔夜、そして先ほど海に投げ飛ばして今現在大きな水柱をあげている月見先生の十人だった。

 

「……透流、他の男子も誘ったんじゃないのか?」

 

「ああ……実は……」

 

聞くと透流はトラやタツ、他に仲がいい男子二人を誘ったらしいがーーー

トラは休日はいつものように寝るとの事、タツは仲良くなったスタッフと筋トレ、他二人もゆっくり疲れを取りたい、分校女子とデートするとそれぞれの理由で不参加になったらしい。つまりーーー

 

「さっきまで一対七だったのか」

 

「そうだ。でも影月が来てくれて助かった!」

 

「九重くん♪何が助かったのかな?」

 

そう言って透流は嬉しそうにしているが残念ながらこの後の予定を話す。月見先生はいつの間にか戻って来ていたが無視した。

 

「残念だが、午後は理事長と用事があってな。午前だけここにいるからな?」

 

「あ、私も午後になったら用事あるので抜けますね」

 

「な、何ぃ!?……い、いや、午前だけでもいいか。優月も分かった」

 

午後の事を伝え、ついでに優月も抜けると本人が言うと、透流は一瞬驚くが午前中いるだけでもありがたいと思ったのか、了承してくれた。

 

「で、これから何をしようとしていたんだ?」

 

「ああ、ビーチバレーだ。これからチーム編成する所でな、もちろんやるだろう?」

 

橘が笑いながらそう問う。俺はもちろんと言った、がーーー

 

「理事長は見てるんですか?」

 

「ええ、この格好ですもの。ちなみに私がいるからと言って、皆さん(かしこ)まらなくても結構ですわ」

 

朔夜は観戦すると言う事になった。

そしてチーム編成をした結果ーー

 

「キミとチームか、影月」

 

「ああ、よろしくな、橘」

 

橘とチームになった。優月は美和とチームになり、透流は月見先生とチームになった(透流はものすごく嘆いていたが)。

他の人ーー伊万里、ユリエ、みやびは海の方で遊んでいる。

 

そして一番初めに俺たちが闘う相手はーー

 

「兄さん、手加減はしませんよ?」

 

優月と美和のチームだった。

 

「さて、優月、本気でやるか?」

 

「もちろんです!」

 

優月はそう言うと、サーブを打った。

俺は素早く着地点に入り、レシーブ。そして橘がトスしたボールをーーー全力でスパイクした。

俺が全力で打ったボールはものすごい速さで地面へと叩きつけられた。

 

「ちょ!?兄さーーー」

 

優月が声を上げたが、ボールが砂浜に落ちた衝撃で大量の砂が舞い上がり、続く言葉は聞こえなかった。

このように大量の砂が舞い上がっているのできっと遠目から見たら何かが爆発して出来た、きのこ雲のように見えるだろう。

数秒後、舞い上がった砂がほとんど地面に落ちて辺りが見えるようになると、優月と美和のちょうど真ん中でバウンドしているバレーボールが確認出来た。

 

「よし!一点目だな!」

 

俺は嬉しそうに言うが、後ろから聞こえるだろう喜びの声が無い。それを不思議に思い、橘の方を見ると砂をかぶった橘が口を開けて唖然としていた。

 

「……あれ?」

 

そしてさらに周りを確認すると透流、月見先生、美和、そして咄嗟に傘を差したのだろうか、観戦していた朔夜も唖然としていた。

そこへ優月が頭に乗った砂を払いながら、怒ったように睨み付けてきた。

 

「ちょっと兄さん!!本気でとは言いましたけど、やり過ぎですよ!?」

 

「透流ー!皆ー!何か爆発が起きたような感じだったけど、何かあったの!?」

 

先ほどの現象を見たのか、海で遊んでいた伊万里、ユリエ、みやびが慌てて駆け付けてくる。

そんな三人を見ながら俺は呟いた。

 

「……ちょっとやり過ぎたか?」

 

「「「「やり過ぎだ!!!」」」」

 

朔夜、伊万里、ユリエ、みやび以外の人たちが俺に向かって叫ぶ(朔夜は呆れていた)。

その後は俺もついでに優月も力を抑えてビーチバレーをする事になった。

ちなみにその時の結果は俺たちの勝ちだ。

その次、透流と月見先生のチームと闘っていたのだがーーー

 

「九重の……不埒者ーーーっ!!」

 

試合途中に透流が月見先生を押し倒したような姿勢になり、月見先生がろくでもない事を叫ぶと同時に橘が絶叫して走り去りーーー

 

「誤解だーーーっ!!」

 

透流は月見先生をジャイアントスイングで海へ放り投げ、橘を追いかけて行き、ビーチバレーは一旦中断する事となった……。

 

「……月見先生も月見先生ですね……」

 

「くすっ、璃兎はああいう者ですわ」

 

「……理事長、楽しんでるだろ……」

 

 

 

ビーチバレーを終えると、みやびが朝早くに起きて用意した弁当を皆で頂く事にした。味は文句無しに美味しかったのだがーーー

 

「影月、食べさせてくださいな」

 

『…………え?』

 

手にサンドウィッチを持った朔夜が普通にあーんを要求して来た時は全員が時が止まったかのように動きも思考も停止した。

無論それは俺もなのだが、いち早く復帰して聞き直す。

 

「……俺、疲れてるのかな?幻聴が聞こえた気がするんだが……気のせいだよな優月、皆?」

 

俺が他の人に聞くと月見先生ですら無言で頷いた。そして優月も口を開く。

 

「……はい、私も聞こえた気がしますけどきっと気のせいですね。まさか理事長が食べさせてほしいなんて「言いましたわ」……い、言う筈が……」

 

『…………』

 

その場がとても微妙な雰囲気に包まれる。それと同時に俺に向けられる鋭い視線ーー今日は厄日かっ!?

 

「どうしましたの?早くしてくださいな」

 

「…………聞き間違いでは無かったか……分かったよ、ほら、あーん」

 

俺は周りからの刺すような視線を、極力気にしないようにしながら朔夜の口元へソーセージを運ぶ。

 

「んむっ……はむ、ん……」

 

朔夜は周りの事など気にした様子もなく、ソーセージを咥え始める。

その光景はなぜかとても色っぽく見えてーーー

 

「ーーっ!!」

 

脳内に浮かんだ光景を頭を振り消散させる。……え?何が浮かんだのかって?ご想像にお任せいたします。

その光景を誰もが信じられないといった表情で見ていた。しかしーーー

 

「……兄さん、いつの間に理事長とこんなに距離を詰めたんですか……?」

 

「ひっ!?……ゆ、優月ちゃん……?」

 

ただ一人、優月だけは無表情でーーーしかし溢れ出る殺気を隠さずに俺を睨み付けていた。

そんな殺気の余波を受けたみやびは涙目になりながら震え、他の人は冷や汗を……あの月見先生までもが、かいていた。

 

「うぅん……ふぅ……美味しかったですわ、では……」

 

ソーセージを食べ終えた朔夜は本当に気にした様子も無く、サンドウィッチを置き、弁当の中から玉子焼きを箸で掴みーーー

 

「お返しですわ。あーん」

 

『!!!??』

 

朔夜が俺の口元へと玉子焼きを近付けてそう言うと、再び全員の時が止まった。

数秒間、全員が固まった後に横から凄まじい殺気を感じた。

恐る恐る横を見てみるとーー

 

「……兄さん、後でじっくりと事情を聞かせてもらいましょうか」

 

「……はい……」

 

優月の威圧に気圧され、弱々しく返事をした俺だった。

あ、朔夜が差し出した玉子焼きはしっかりと食べました。美味しかったです。

 

 

 

 

 

 

午後は予定があるからという事で、俺と朔夜そして優月は皆と別れた(終始皆からの視線が痛かった)。

そして今は砂浜から分校へと向かう道を三人で歩いているのだがーーー

 

「……どうしてこうなった……」

 

俺の両腕に抱き着く二人(朔夜と優月)を見てため息をつく。

右を見れば朔夜が、左を見れば優月が俺の腕に抱き着いているのだが正直歩きづらい。

美少女二人が腕に抱き着いていて、それで歩きづらいなんて他の人から見ればすごく贅沢な悩みだろうが。

 

「……俺、なんかフラグ建てたっけ?」

 

そう呟いて何かこうなるような出来事あったかと思考した。

ーーーうん、バッチリあったな。昨日の夜とか昨日の夜とか……。

 

「……そういえば、二人とも用事って何ですか?」

 

優月が不機嫌そうな声色で問う。

 

「……その前に優月こそ何の用事があるんだ?」

 

そういえば俺と朔夜は優月の方の用事も聞いていない。

すると優月は少し驚いたような顔をした後に顔を赤らめながら言った。

 

「兄さんの用事を手伝おうかなって……ただ、それだけです!」

 

そう言って顔をぷいっとそらす優月。なんでそんなに怒ってるのかは分からないが、こっちも可愛いな……とか思っていると、ふと思う。

そういえば俺も朔夜に用事があるって言って連れて来られただけで内容までは知らないのだ。

 

「ちょうどいいですわね。貴方方二人に話がありましたの、優月も来てくれてよかったですわ」

 

「話?」

 

俺が問うと朔夜は妖艶な笑みを浮かべーー

 

「島内を散歩しながら、話しますわ」

 

そう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空の色が段々と暗くなり、日没まで後、三十分くらいかという頃ーーー

 

「……大体の事は分かった。朔夜は念の為にメルクリウスに学園の警備を頼んだんだな?」

 

「三國先生を向かわせたのは監視ですか?」

 

「ええ、学園にいるのはもちろん頼りになる精鋭達ばかりですわ。三國もですが、それでも念の為に……ね」

 

俺たちは海側に突き出た断崖で、今までの会話内容をまとめていた。

 

「それにしても、俺たちの《焔牙(ブレイズ)》が聖遺物と似たような性質を持っていたとはな……」

 

「でも確かにそれなら色々と筋は通りますね」

 

俺たちの《焔牙(ブレイズ)》も特別だと言う話も朔夜からしてもらった。

新しい永劫破壊(エイヴィヒカイト)の被験者ーーーそれに対し少しは動揺したがこれはこれで便利な所があるのでそこまで怒る事でもなかったし、納得する所も多く、文句はあまり無かった。

 

「よし、話も終わったし、二人とも戻ろうぜ?」

 

確認する事もしたので、戻ろうと言う俺に二人は頷き、分校へ帰ろうとした時ーーー

 

「……救援信号ですわね。内容は?」

 

持ち物の中にあった通信機へ学園本校からの救援通信が入った。

内容は銃器を手にした正体不明の部隊から襲撃を受け、劣勢であるという報告だった。

 

「心配ありませんわ。増援は送られます。なんとか持ち堪えなさい」

 

朔夜はそう言って、通信を終える。

朔夜から警備のレベルを聞くと、《超えし者(イクシード)》ーー《(レベル4)》が二名、《(レベル3)》が十数名。軍隊ならば三百人以上に匹敵する戦力であり、さらに二年生、三年生の訓練生も残っている。

さらに三國先生がいるという、かなり強固な警備だが、それでも劣勢らしい。

 

「目的は朔夜の研究か?」

 

「おそらくそうでしょう。予想はしていましたわ」

 

しかし、色々と対策していたので至って冷静な対応の朔夜。

そしてーーー

 

「ここにも来るでしょう。いえ、もうすでに数名はこの島に潜んでいるようですから来るのは確実ですわね」

 

そう言って空を見上げる朔夜。

俺たちも空を見上げると昨日、分校の屋根から朔夜と一緒に見た時と同じような満天の星空が広がっていた。

一つ一つの星が光っていてとても綺麗だがーーーその中で一つおかしな光り方をする物を見つけた。

 

「なんだ?あの光?赤と緑が点滅しているぞ?」

 

「確かにしてますね」

 

「ーーーっ!!影月、優月!赤と緑の位置はどっちですの!?」

 

不思議な光について優月と話していると、それを聞いた朔夜が血相を変えて問い詰めてきた。俺たちは《超えし者(イクシード)》なので高くにある星や高高度の光もはっきりと見る事が出来るが朔夜は普通の人だ。問い詰めてきたという事はその光が見えないのだろう。

 

「えっ!?えっと……こっちから見て右が赤で左は緑ーーーあっ!!」

 

「……おいおい、それってまさか……」

 

「ええ、おそらく軍用機ですわ!」

 

飛行機には航行灯と呼ばれる物が付けられている。機体尾部と主翼の両端に付けられているのだが、右が赤、左が緑ならばこちらに向かって飛行中という事になるのだ。

 

前に色々と授業予習と題して、習うだろう所を調べていたら知った事なのだが……。

 

 

朔夜曰く、この島周辺を通る航路の民間機はほぼ無いとの事。機密を保持する為に国に頼んで規制してもらっているらしい。

さらにこちらに向かって飛んできているとなれば民間機とは考えにくいーーーとなれば残る可能性は一つだ。

 

「しかも、あの高さーーーもしかしてHALO(ヘイロウ)降下ですか?」

 

高高度降下低高度開傘ーー通称、HALO。

一万メートル程の高さを飛ぶ航空機から飛び降り、地上三百メートル程でパラシュートを開く降下方法だ。

これも後々、授業で習う事なのだが調べていて覚えた事だった。

 

「まずいな、もしそうだとしたら後数分くらいで降り立つだろう!」

 

「ーーーっ!!広場に戻りましょう!!」

 

そう言うと同時に俺と優月は走り出す。朔夜は俺が背負った。

優月は走りながら詠唱を唱え出す。

 

「私が犯した罪は

War es so schmahlich―」

 

「心からの信頼において あなたの命に反したこと

ihm innig vertraut-trotzt'ich deinem Gebot,」

 

唱えるのはベアトリスさんと同じ詠唱。能力は稲妻を発生させる事だが、今この場では稲妻を発生させる為に発現させるのでは無い。

 

「私は愚かで あなたのお役に立てなかった

Wohl taugte dir nicht die tor ge Maid,」

 

「だから あなたの炎で包んでほしい

Auf dein Gebot entbrenne ein Geuer;」

 

優月は自身を雷化させ、雷そのもののスピードで広場に向かい、大切な皆を助けて守ろうとしているのだろう。

俺はその気持ちを深く感じ、共感し、頭に浮かんだ言葉を(うた)った。

 

「さらば 輝かしき我が子よ

"Leb' wohl,du kühnes, herrliches Kind!"」

 

「ならば如何なる花嫁にも劣らぬよう

"ein bräutliches Feuer soll dir nun brennen,"」

 

「最愛の炎を汝に贈ろう

"wie nie einer Braut es gebrannt!"」

 

ただ頭に浮かんだ言葉を俺は高らかに詠う。なぜ詠ったのかは分からない。なぜ浮かんだのかも分からない。だが、その詠唱を唱えている最中、優月がこちらに振り向きいつもの顔で笑った。

ああ、なぜ浮かんだか?なぜ詠ったのか?そんな理由はどうでもいい。今思っている事は同じで最悪な事態にならぬように行動しようと思っているのは変わらないのだから。

そして最後の詠唱を二人で詠う。

 

「「我が槍を恐れるならば この炎を越すこと許さぬ!

wer meines Speeres Spitze furchtet, durchschreite das feuer nie!」」

 

刻一刻と時間が迫る中、詠唱が終わる。大切な者たちを守ろうとする為に唱えられた詠唱が終わる。

 

「創造

Briah―!」

 

「雷速剣舞 戦姫変生!

Donner Totentanz―Walkure!」

 

 

 

 

 

詠唱が終わると同時、雷となって広場へと向かって行く優月。

 

「先に行きます!!絶対に皆さんに手出しさせません!!」

 

そう言ってあっという間に見えなくなる優月。それを見ていた俺に背負われている少女がくすくすと笑いながら耳元で言った。

 

「本当に貴方たちは頼りになりますわね♪それと二人ともかっこよかったですわ」

 

「ふっ、お褒めに預かりまして光栄だ。後で優月にも言ってくれよ?さあ、俺たちも行くぞ!」

 

俺は朔夜にお礼を言うと優月の後を追って広場へと向かうのだった。

 




いよいよ三巻もクライマックスです!
もしかしたら結構強引な所はあると思いますが……生暖かい目で見てください……(苦笑)
誤字脱字・感想意見等よろしくお願いします!

いつも見てくれている方々に感謝です!
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