魔法少女リリカルなのはNEXUS   作:ノアJAM

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別離-ロスト・ソウル-

今、俺は俺自身と戦っている。いや、正確には過去の俺だ。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

 過去の俺=ダークメフィストは右手から「メフィストクロー」を出現させ、今の俺=ウルトラマンネクサスに襲いかかる。

 

(何で……何で俺自身と戦わなきゃならねぇんだ⁉)

 

 俺はメフィストの攻撃を避けながら、先程のスカリエッティいや、ダークザギの言葉を思い出していた。

 

―――――君の心に闇を作ってあげるよ

 

 そうか……奴は、ザギは俺の心を闇に染めるために過去の俺と戦わせてる。

 

 つまりこのメフィストは……俺の記憶。それなら……

 

「目を覚ませ‼……そして、お前の本当の心を取り戻せ‼」

 

「黙れ‼…俺は守れなかった。あの子のいない世界など、消えてなくなればいい‼」

 

「そう……以前の俺はそう思っていた。でもな、そんな事をして彼女が喜ぶと思ってんのかよ……ふざけるな‼彼女は、お前さえいれば何もいらなかったんだよ‼だからどんな無茶もできた……どんな苦しみにも耐えられた。彼女は……更識簪は、他の誰よりもお前を信じてくれてるんだよ‼お前は、そんな事も分からないのかよ‼」

 

 これは、メフィストに対する言葉ではあるが、俺自身に対する言葉でもあった。

 

「俺は……俺は…………」

 

「いいか、よく聞け。お前は……俺だ。姫矢一輝だ」

 

 俺のエナジーコアが点滅しているが、気にしてはいられない。

 

 メフィストの動きが止まっている。それを見かねたザギは…

 

「所詮はただの記憶か……ならば、これだ」

 

 ザギは更に何かを呼び出した。

 

 スペースビースト・ノスフェルだ。

 

「もう記憶などに用はない。……死ね」

 

 ノスフェルはメフィストに鋭い爪で襲いかかる。俺は……

 

「なぜだ?」

 

 ザギは疑問を持った。なぜなら、俺はノスフェルからメフィストを守るために爪に斬られたからだ。

 

「な……なぜ……どうして」

 

「…言っただろ、お前は俺だって……自分の身は、自分で守らくちゃな」

 

「だからって……こんな事しても、彼女は喜ばないだろ…」

 

「確かにそうだ……だがな、そんな事でも、あの子が喜ばない自己犠牲でも……俺はやっちまう。俺は、好きでやってんだよ……格好、つくだろ?」

 

「バカが……そんな事で、くだらねぇ事やってんじゃねえよ‼」

 

「それだけでもない……俺は、今と未来、そして…過去も守りたいんだ……だから、これでいい。……お前は、闇の巨人なんかじゃない」

 

 …………やべえ、意識が……早く……言わなくちゃ……

 

「お前は…ウルトラマン……メフィスト……」

 

 俺の意識は、ここで途切れた。

 

 

 

 目を覚ました時、そこはベッドの上だった。

 

 俺がどうしてここにいるのか。その記憶が丸々抜けている。

 

「目が覚めたようだね、一輝クン」

 

「あ……アコースさん。無事でしたか」

 

 俺は起き上がろうとするが、アコースさんに止められる。

 

「まだ起きちゃダメだ。一応君は死にかけたんだから」

 

「あの……なのはちゃんは?」

 

「ああ、彼女なら無事だよ。そういえば、君が戻ったとき、相当取り乱していたから、後が怖いね」

 

「……。吹っ飛ばされないように努力します」

 

「しかし、びっくりしたよ。あの時、君が戻ったと思ったら、二人いたんだから」

 

「二人?」

 

「あ、そうか。君はあの時意識を失ってたんだね」

 

 アコースさんが言うには……

 

 

 

「もう少しだ。……なのはちゃん、砲撃の準備を」

 

「はい‼」

 

 なのはちゃんが魔法陣を展開した時、アコースさんは遂に見つけた。

 

「ここだ…なのはちゃん、撃って‼」

 

「ディバイィィィン…バスタァァァァァ‼」

 

 なのはちゃんが砲撃を放った瞬間、狙い撃った壁の前に、「ノスフェル」が立っていた。

 

「え……?」

 

「これは、ちょっとマズいかなぁ」

 

 ノスフェルはその巨大な爪でなのはちゃんを殺そうとしたが、それは一人の巨人によって阻まれた。

 

 それは過去の俺、「ウルトラマンメフィスト」だった。

 

―――――大丈夫か⁉

 

「「……一輝クン(くん)⁉」」

 

―――――なぜ、俺の名前を?……そうか、アンタたちが未来の俺の仲間か。なら話は早い、そこに転がってる俺を安全な場所まで運んでくれ。コイツは…俺が倒す‼

 

「分かった。…未来の君は、僕らが必ず守るから安心してくれ」

 

 アコースさんとなのはちゃんが俺を安全な場所まで連れて行くと、メフィストはノスフェルと戦い始める。

 

 過去の俺の戦い方は……まあ、ちょっと……な。

 

―――――よくも、俺自身と戦わせやがって…生きて帰れると思うなよ‼

 

 メフィストは、ノスフェルの爪を回避すると、手刀で右腕を切り落とし、それでノスフェルの腹を切り裂き、怯んだ瞬間口から生えている牙をもぎ取って背中に突き刺す。

 

「一輝クン……あんな戦い方してたんだ」

 

「フォワードのみんなが見たら……泣いちゃうかも」

 

 今の俺から見ても、全く同意見だ。

 

―――――どうした、もう終わりか?ほら立てよ‼

 

 メフィストは倒れたノスフェルを起こして、尾を持ち地面に叩き付ける。その中で、ノスフェルの尾はちぎれたが、メフィストはそれを捨てて、更に攻撃を加える。

 

―――――そろそろ頃合いだな

 

 メフィストは、立つことすら危ういノスフェルに、必殺光線を放った。

 

―――――ダークレイ・シュトローム‼

 

 ネクサスの「オーバーレイ・シュトローム」と同等の威力を持った光線を受けたノスフェルは、原子分解して消滅した。

 

 

 

 ノスフェルを倒したメフィストは、人間の姿(あの学園の制服を着た俺)に戻り、なのはちゃんたちの元へ駆け寄った。

 

「もう大丈夫だ。……?どうしたんだ?」

 

「あ……いやぁ、同じ一輝くんでも、違うんだなぁって」

 

「…何だそれ……とにかく、今はこの、未来の俺の命を救うことだ」

 

「そんな事が出来るのかい?」

 

「出来るさ。俺を誰だと思ってやがる?……ウルトラマンだぜ」

 

 すると、過去の俺の身体が輝き出す。

 

「俺が目覚めたら……例を言っといてくれないか?」

 

「「お礼?」」

 

「俺の大切なものを、思い出させてくれて…ありがとう」

 

「……必ず、伝えるよ」

 

 なのはちゃんは強く頷いた。

 

「じゃあな。……がんばれよ」

 

 そして、光になって俺の身体に入っていったらしい。

 

 

 

(ってことは、俺は過去の自分に救われたってことか。……こっちこそ、ありがとうよ)

 

「さて、君の意識も戻ったし、僕はそろそろ失礼するよ」

 

「え?」

 

「君たち二人の邪魔はしたくないからね」

 

「二人?」

 

 アコースさんが下を指さした。俺が目線を落とすと……なのはちゃんが眠っていた。

 

「ずっと君が起きるのを待っていたんだ。……じゃあ、またね」

 

 アコースさんは出て行き、俺は……

 

「迷惑かけっぱなしだったな……ごめんね」

 

 俺の言葉に応えるようになのはちゃんが目を覚ます。

 

「……一輝くん?…………一輝くん⁉」

 

「……えっと…………おはよう?」

 

 俺は寝起きのなのはちゃんにレイジングハートで殴られた。

 

「本当に一輝くんだよね⁉本当に今の姫矢一輝くんだよね⁉」

 

「本当……本当だから殴るのやめて‼マジで痛いから‼」

 

「あ、ごめん……でも、心配したんだから」

 

 俺はけが人を殴るお前の頭が心配だよ。

 

 

 

 その後、俺の病室に押し掛けた六課メンバーの過剰な見舞いで、数ヶ月の入院生活を強いられた。




次回、「弟分-レキ-」
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