「交換意見陳述会?」
「そや、二日後に地上本部で」
「でも、レジアス中将が行方不明のままなんて……なのは、どう思う?」
「う、うん……(一輝くん、あの事、やっぱり二人に知らせておいた方が……)」
「(いや、言わない方がいい。第一、どう説明するんだ?実はレジアスのおっさんが闇の巨人で、俺が倒した…とでも言うのか?)」
部隊長のはやてちゃんを始め、各隊長と副隊長がラウンジに集合していた。
「確かに、中将に関しては気になるところではあるが、我らの問題はそこではないはずだぞ、テスタロッサ」
「だな、今問題なのは、館内にデバイスが持ち込めないってことだ。…まあ、ここ数ヶ月は何の事件もねぇし、今まで陳述会が襲撃された事例はねぇから、大丈夫だとは思うがな」
「いやいやヴィータ、油断大敵だぜ。災厄は、忘れた頃にやって来るもんだ」
「一輝にしては、頭が回るじゃないか。意外だったぞ」
「姐さん、それ結構傷つくんだけどなぁ」
「まあまあ、場が和んだところで、警備の先着と当日の人員を決めとこか」
隊長会議の結果、先着組は俺とスターズ分隊、当日組がはやてちゃんとライトニング分隊となった。
その夜、俺は夢を見ていた。それは、今後に起こる危機の予兆だったのかもしれない。
見知らぬ場所に俺は立っていた。すると、後ろから声をかけられた。
「よっ‼英雄(ヒーロー)」
「だから……その名で呼ぶなと言っているだろう。俺にはリョウガという名前がある」
「じゃあ、私の事もレイナって呼んでよ。お前とかじゃなくてさ」
「……ハァ、好きにしろ」
この二人は、一体何者なんだ?妙に心が落ち着く。
突然場面が変わり、街中になった。
すれ違う人々は全員俺の事をこう呼んでいた。
「アレって、ウルティノイドでしょ?」
「近寄るなよ、ウルティノイドとつるむなんて、神経まともじゃないぜ」
全員が「ウルティノイド」と呼ぶ。ただ一人を除いて。
「嫌だよねぇ、リョウガは人と変わらないのに」
「言いたい奴には言わせておけばいい。お前の世話など一々聞かん」
「リョウガ、強がっても体に良くないよ」
「体調管理は完璧だ。気遣い感謝する」
「でも心配だよ。だって、私は……」
「黙れ、俺に構うな‼……俺はただ、やるべきことをやるだけだ」
夢の中の俺=リョウガは素直じゃないみたいだな。
また景色が変わると、逃げ惑う人々、炎の中に立つ巨大な影。
4~50m程の巨体と三つの顔、スペースビースト「ガルべロス」だ。
「なぜお前らは現れる?お前らがいなければ、俺が造られる事はなかったんだ‼」
リョウガの身体が光り輝く。そして、俺のよく知る巨人が現れた。
暗黒破壊神・ダークザギだった。しかし、俺の知っているザギと目の色が違う。赤い目のはずが、黄色の目だったからだ。
ザギはガルべロスに向かっていく。その力の差は歴然としていた。ガルべロスはザギの「グラビティ・ザギ」を受けて消滅した。
ザギは元々、この世界をビーストから守るために造られた存在だった。
ザギはリョウガに戻ると、群衆が押し寄せてきた。
「やるじゃん、ウルティノイド」
「当然でしょ、ウルティノイドはビーストと戦うために造られたんだから」
ウルティノイドと呼ばれる度、リョウガは不機嫌な顔をする。
リョウガは何も言わずに群衆から去っていく。すると、リョウガの後を追ってレイナが言った。
「リョウガ‼皆あなたに感謝してるんだよ」
「だったら、他にも言い方があるだろう。アイツらは俺の事をウルティノイドとしか呼ばない。……俺には、リョウガという名前があるのに……」
「そう、あなたはリョウガだよ。誰が何と言おうと、私はリョウガを信じてる。リョウガの傍にいるよ」
「……俺も……少しくらいは、お前の事を信じてもいいのかもしれないな」
リョウガは、ほんの少しだが、素直になれたみたいだった。
今度はまたビーストが現れた場所に変わった。
リョウガはレイナを探していた。だが、どこも逃げ惑う人々でレイナの姿は見えない。
「よりにもよって、今度はイズマエルとは、面倒な奴だ…⁉」
どこからか、リョウガを呼ぶ声がする。彼を名前で呼ぶ人物は、ただ一人。
リョウガは声のする方へ向かう。そして……
「見つけた…全く、世話の焼ける奴だ」
リョウガが安心したその時、イズマエルの火球が、こちらに来るレイナのすぐそばに着弾した。
「……‼レイナー‼」
リョウガは彼女の名前を叫びながら、レイナに駆け寄る。
「レイナ…レイナ、しっかりしろレイナ‼」
「……リョウガ……やっと、名前で呼んでくれたね」
「そんな事を言っている場合じゃないだろ‼」
「やっぱり……リョウガは、リョウガだ」
「レイナ……こんな状況で何を言っている。何でそんなに俺を気に掛ける?こんな……戦うために造られた化け物なんかを」
「違う……リョウガは…化け物なんかじゃない……私は、そう思うよ」
リョウガとレイナとの間には、確かに絆があった。
「リョウガ……私、あなたに出会えて……よかったよ……」
レイナはリョウガの腕の中で静かに息絶えた。
リョウガはたった一つの絆を失った。それに追い打ちをかけるように
「おいウルティノイド‼早く戦え‼……お前は化け物なんだよ、ただビーストを倒し続ければいいんだよ‼」
「……‼」
リョウガの中で、何かが壊れた。
「…ふざけるな……俺の事なら好きに呼ぶがいい。だがコイツの……レイナの想いを踏みにじる事は許さない。レイナだけが俺をリョウガと呼んでくれた。レイナだけが化け物として見なかった。レイナだけが……」
リョウガの目に涙が溢れる。
「許さない……俺がいなければ、レイナが死ぬことはなかった。お前たちが俺を造らなければ……この世界が存在しなければ‼……だから俺は……この世界を……レイナの想いを否定した世界を……滅ぼしてやる‼……うわあああああああ‼」
リョウガはウルティノイド・ザギに変身した。だが、ザギの目は赤色に変わっていた。イズマエルがザギに迫る。
「どけえええええええ‼」
ザギは「ライトニング・ザギ」を放ち、イズマエルを消滅させた。
ザギは手を伸ばし、レイナの遺体をすくい上げる。
「レイナ……お前を一人にはしない。今、俺もそこに行く」
ザギのエナジーコアにエネルギーが集中する。
「この世界ごと、俺の存在を消し去ってやる……ザギ・ザ・ファイナル」
この時、一つの宇宙が消え去った。
「…‼ハァ、ハァ、ハァ……今のは、ザギの記憶か?」
眠りから覚めた俺は、隣で寝ているレキを起こさないように部屋を出た。
(変な時間に目が覚めちまった……何してよう)
俺は行く当てもなく隊舎内を歩いていると、ラウンジに着いた。
「流石にもう飯は無いよな……ん?アレは」
俺はラウンジの椅子に腰かけているティアナを見つけた。
「どうしたんだ?こんな時間に…って、俺が言える事でもないか」
「あ、一輝さん……」
「……眠れないのか?」
「はい……」
「まあ、そんな時もあるさ。折角だから、少し話さないか?少しは気が紛れるかもしれない」
俺はティアナと向かい合うように座った。
「あの、一輝さんは今まで色んな世界を旅してきたんですよね?」
「ああ、長すぎていくつ世界を旅したかは覚えてないけどな」
「じゃあ、全部の世界を救ってきたんですか?」
「いや、……全てじゃない。確かに、俺は人とは違う力を持つウルトラマンだ。……でも、いくらウルトラマンでも一つの心をもった生命体なんだ。なのはちゃんやシグナム姐さん、ティアナと何も変わらない。笑いもするし、泣きもする。怒りもする。時には感情に任せて行動する時もあるから、一つだけ見捨ててしまった世界があった。……全ての世界を救う事なんて出来ない。俺はウルトラマンではあっても、神様じゃあないんだ」
「…………」
ヤバッ、ついつい語ってしまった。これ、完全に引いてるよな。
「す、すまん。何かいきなり語って。引くよな、俺には似合わないから」
「やっぱり、一輝さんは一輝さんですね。安心しました」
ティアナは笑っている。
「引いてない……のか?」
「引いてません。真面目な顔をした一輝さんを見て、少し驚いただけですから」
「そっか、なら安心だ。……じゃあ、少し軽い話でもするか」
「え?」
「ティアナってさ……レズ?」
「…………はい?」
「いや、いつもスバルと一緒にいるし、時々くっつかれても満更でもない顔してるからさ」
「どうしてそうなるんですか⁉私はレズじゃありません‼ちゃんと男性で好きな人はいます‼」
「あ、いるんだ……誰?」
ティアナはしまったという顔をした。
「え、あ…いや……それは、言えません」
「そう。言いたくないなら、これ以上は聞かないさ。……そろそろ俺は部屋に戻るが、お前はどうする?」
「私も戻ります。明日は現場に先着ですから」
「だな、でも、一つだけ間違えてる」
「え?」
「もう今日だ。…さて、時間は…………」
俺の時が止まった。
「どうかしました?」
「ティアナ…もう、夜明けだ」
「えええええええ‼」
俺は寝不足、ティアナは完全徹夜。直後、ラウンジに入ってきたなのはちゃんとヴィヴィオ、それにレキに白い目で見られた事は、また別の話。
惑星ルルイエ
ジェイル・スカリエッティ=ダークザギは、闇の巨人「ダーラム」、「ヒュドラ」を復活させることに成功した。しかし、復活した二巨人はルルイエから出ようとするが、ザギの張った結界に阻まれてしまった。
「君たちの力では、あの結界を破る事は出来ないよ」
ザギの言葉に、ダーラムとヒュドラは不満の声を上げる。
「うおおおお‼…もう我慢できねぇ‼」
「早く人間どもの恐怖の叫びを、この体いっぱいに浴びてぇ‼」
「もう少し辛抱してほしいな。…君たちにやってもらいたい事があるんだ。彼らと共にね」
ザギは映像を二人に見せる。そこには怪鳥「シビトゾイガー」と「恐竜兵器ウェポナイザー1号・2号」が映し出された。
(さあ、見せてみろ姫矢一輝……君が信じる心の光を……そして私は…………俺は)
機動六課のヘリポートには、俺とスターズ分隊と見送りのライトニング分隊とヴィヴィオ、レキの姿があった。
「じゃあ、先着組、ただいまより地上本部に向かいます」
「何で俺まで先着組なんだ?」
「何でって、何が起きるか分からないから、ウルトラマンがいた方が安心かなって」
「あ、そう」
ヴィヴィオがなのはちゃんに歩み寄る。
「……ママ」
ん⁉……ママ?ママって言ったか⁉いつ子供産んだんだなのはちゃん‼
「ヴィヴィオ、なのはママは、ちょっとお仕事に行ってくるから、お兄ちゃんと待ってるんだよ」
「…うん」
ヴィヴィオの見送りで、俺たちはヘリに乗り、六課を後にした。
地上本部に向かうヘリの中、俺は浮いていた。なぜなら、ヘリの中にいるのはパイロットのヴァイスさんを除けば、男は俺一人で、周りには女の子しかいない。
(……キツイ……またこの状況かよ。なんで俺の周りには年頃の女の子が多いんだ⁉流石にそろそろ嫌になってくるぜ)
「どうかしました?一輝さん」
「おお、スバルか。…こうも女の子に囲まれると、色々……な」
「管理局最強の男でも、女には弱いってか、笑えるな」
「うるせぇよ、オチビの副隊長」
「チビ言うな‼」
「見た目には勝てないと思うけど?」
俺とヴィータの言い合いを見ていたティアナとなのはちゃんは
「兄妹みたいだね」「兄妹ですね」
「「一緒に言うな‼」」
そんな他愛のない会話をしながら、地上本部に向かう俺は、何だか妙な胸騒ぎがした。
次回、第15話「3000万年の復讐」
登場ウルトラマン ウルトラマンネクサス、ウルトラマンティガ
登場怪獣 シビトゾイガー、ウェポナイザー1号・2号、ダーラム、ヒュドラ