俺は訓練場に向かった。すると、なのはちゃんに教えてもらった通り、彼女はそこにいた。
「ここにいたか、ティアナ」
「あ……一輝さん」
俺はティアナの隣に座った。
…………しばらくの沈黙がこの場を支配する。
「なのはさんから、色々聞きました」
「俺の色恋話か?」
「じゃなくて……あの、一つ聞いてもいいですか?」
「……あ?」
「一輝さん、いつ自分の過去の事を話してたんですか?」
「あぁ、俺が管理局入る時だな。ほら俺って結構特殊じゃん?だから本局のお偉いさんが色々聞いてくるもんだからさ。いっその事、俺の記憶抜き出せよって言ったら、ホントに抜き取ったんだよ。……だから、そん時に本局のデータベースに入ったやつでも見たんじゃないか?」
「はぁ、なるほど……」
またしても、沈黙が流れる。
「ティアナ、今度は俺が聞いてもいいか?」
「はい……何でしょう?」
「何でそんなに強くなろうとしてんだ?訓練見ててさ、どうもお前には焦りってやつを感じる」
「証明したかったんです……」
「……?」
「兄の……ランスターの弾丸は、ちゃんと敵を打ち抜けるって事を、証明したかったんです」
「兄って、ティーダ一等空尉か?」
「え⁉一輝さん、兄を知ってるんですか?」
「知ってるも何も、あの人は……俺の相棒だった人だ」
俺は言うべき時が来たと思い、ティーダさんとの約束を果たす。
それは、6年程前になる。様々な世界を旅していた俺は、ある重大な問題を抱えていた。
(金がない……)
いくら俺が簡単には死なないウルトラマンでも腹は減る。そろそろ職に就かなきゃマズい状況だ。そんな事を思いつつ、このミッドチルダの街を歩いていると……
「強盗だ‼誰か捕まえてくれ‼」
俺は思わず、見るからに怪しい男を追いかける。幸いな事に、そいつが犯人だった。常にウルトラマンみたいな俺から逃げられる訳もなく、犯人を取り押さえた。俺は、犯人が逃げ出さないように、とりあえず足の関節を外しておく。すると……
「ご協力、感謝します‼」
結構なイケメンが駆け寄ってきて、俺は犯人を引き渡した。
「本当に、ありがとうございました」
「あぁ、いえいえ、当然の事をしたまでですから。……俺、姫矢一輝って言います」
「僕は、時空管理局所属、ティーダ・ランスターです」
これが、俺とティーダさんとの出会いだった。
あの強盗事件からそれ程経ってない時、俺は管理局の嘱託局員として首都航空隊に入隊し、そこでティーダさんと再会した。
歳が近い事もあってか、よくコンビを組んで任務に行ったり、プライベートでも友人になっていた。そんな時、一枚の写真を見せられた。
「ティーダさん、この子は?」
「僕の妹、ティアナって言うんだ」
「へぇ……可愛いですね」
「手は出さないようにね」
「出しませんよ。俺がそんな事するロリコンに見えますか?」
「……」
「そこは全力で否定してほしかったんですけど…」
ティーダさんとの会話を邪魔するかのように、オフィスにサイレンが鳴り響いた。
『首都航空隊に通達。手配中次元犯罪者、シュラン・ゲネラールを発見。直ちに確保へ向かえ。繰り返す……』
「仕事だ。じゃあ姫矢君、行こうか」
「ですね、いつも通りやれば楽勝ですって」
俺とティーダさんは、いつも通りの任務をこなす……筈だった。
次元犯罪者「シュラン・ゲネラール」を街の路地裏で発見した俺とティーダさんは、シュランを確保しようとしたが、突如シュランの腕が獣の腕に変わり、俺たちに襲い掛かって来た。
シュラン・ゲネラールは、身体にスペースビーストの細胞を埋め込まれた人間「ビーストヒューマン」だった。
俺は何とか回避出来たが、ティーダさんは回避する事が出来なかった。だが、ティーダさんはシュランに魔力弾を撃ち込んでいたため、傷を負わせる事は出来た。シュランはそのまま逃走、俺はティーダさんに駆け寄る。
「ティーダさん、しっかりしてください‼」
「姫矢君……シュランを…追うんだ……僕は…ここまでみたいだ」
「何言ってんですか、大丈夫です。……だから、そんな事言わないでください」
「ありがとう……君に、頼みがあるんだ……妹が…ティアナが管理局に入ったら……見守ってやってほしい……僕の代わりに……頼んだよ…………ウルトラマン……」
ティーダさんは息を引き取った。どうして俺がウルトラマンだって事を知っていたのか、今でも分からない。
その後、応援に駆け付けた陸士部隊と協力して、俺はシュランを殺害した。
一度ビーストヒューマンになった人間は、二度と元に戻る事はない。殺すしか、方法がなかった。
それからの俺は、正式に管理局員として過ごした。そして、機動六課になった時、ティアナを見つけた。
「とまあ、こんな感じだ。……だからティアナ、無茶なんかしなくても、ランスターの弾丸は敵を撃ち抜いてたんだよ。お前が無茶すれば、俺がティーダさんに顔向け出来なくなる」
「……」
ティアナの瞳は涙で溢れていた。俺はティアナの肩にそっと手を乗せる。
「自分は凡人って言ったよな?それは違う。摸擬戦の時の技、あれ実はメチャクチャ痛かったんだぜ。そりゃもう、死ぬかと思ったくらいにな。……なぁ、もう凡人なんて言うな。ティアナ・ランスターはもう充分、優秀な魔導士だよ」
「う……うっ、うわぁぁぁぁ……ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい……」
俺はそのまま、ティアナが落ち着くまで傍にいる事にした。
数日後の早朝訓練終了間際、俺となのはちゃん、フェイトちゃんにちびっ子……基、ヴィータの四人は、フォワード四人に、ある重大発表をするところだった。
「はーい、じゃあ朝の訓練終了。それと、今回の訓練が第一段階終了の見極めテストだったんだけど……どうでした?」
因みに、俺はそんな話聞いてない。とりあえず、皆に合わせる。
まずはフェイトちゃん。
「合格」
続いてヴィータ。
「ま、あれだけみっちりやってダメな方が問題アリだな」
そして、俺に来た。
「まあアレだ。俺の身体をかすめるくらいにはなって来てるから……いいんじゃねぇのか」
「私も結構いい感じだと思うから、これにて一段階終了」
すると、フォワードから歓声が上がった。(主にスバル)
「明日からは、主に俺が相手してやるからな。メフィストじゃなく、ネクサスで」
「え、明日?」
スバルが疑問を口にするとヴィータが…
「ああ、訓練再開は明日からだ」
「今日は隊長たちも、隊舎で待機する予定だし、というか一輝くんは今日オフシフトなんだけどね……だから今日は、一日お休みです」
来た、遂に来た。俺が待ちに待っていたもの……。
「町にでも出かけて、遊んでくるといいよ」
休日キターーーーーー‼
ミッドチルダ郊外・スカリエッティ研究所
「……⁉被験体が逃げ出したか。まあいい、どのみちあの二つは未完成。こちらの二つはもうじき目覚める。その時が、闇が世界を支配する。その時を待っているがいい。そして、君との決着をつけなければならないなぁ…姫矢一輝いや…………ウルトラマンノア‼」
ジェイル・スカリエッティは、一輝の正体を知っている。そして、彼の言う決着とは何なのか。
次回、「安息-キュア-」
お楽しみに。