THE NIGHT PRINCESS TAKE"2"   作:(´Д` )

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ゆっくりするがよい。


Pardon all but thyself.

.......。

 

 

 

 

....何処だ?此処は?

 

 

 

....いや、"何処か"じゃない。何だ、何なのだ、コレは?

 

 

目の前に広がるは見渡す限りの純白だった。見渡す限りの白、白、白。

 

 

余りの白さに最早、魔の眷属たるレミリアにとって身体に悪そうな勢いである。

 

 

じわじわと平衡感覚がなくなる。眼が痛い。

自分は今、どうなっている?どっちが下で、どっちが上?右も左も分からない。上昇しているのかもしれないし、落下しているのかも。

もしくはそのどちらとも....。

 

永遠と続く荒涼とした感覚や索漠感に耐えきれないが、いかんせん今の私はボロ雑巾か、それに近い何かだ。

かつてあった五体に染み渡る不健全な無敵感、畏怖し、震え、それでも人々がどこか尊敬の念を抱かざるをえない程の大きく、巨大なカリスマ。

 

そんな過去の私とは今の私は似ても似つかない。

 

指一本動かない。どころではない。

指どころか腕がない。

それだけなら良い、良いのだ。腕ならどうせ生えてくる。

 

私、レミリア=スカーレットは仲間...友...思い出、愛する家族...その全てを失った。

少女たちの血が溢れ腕がもげ臓物を撒き散らし、頭部が砕け散る。

凄惨で直視できない死臭漂う余りに残酷な悪夢。 

 

(アレを止められる奴はいなかったのか?創作物なやでてくるようなヒーローは今こそ出番だろう?いや違う、違うだろう。とどのつまりーーー)

 

 

 

 ―――私はどうして皆を助けられなかった?

 

 

 

"惨め"

 

 

つらつら思考を巡らした上での回答。

 

あぁ、そうだ。私は惨めだ。酷く滑稽だ。何をやっていたんだ私は...いつもの、あの高慢な態度で私は全てを失ったのではないのか?木偶だ私は。畜生にも劣る劣悪で、最低で、愚かで、酷くて、惨めで、滑稽で、そして....

 

 

 

....バカみたいだ。

 

 

 

 

"あぁ、確かになるほど。アンタはバカだ。"

 

 

 

 

 

ッ!だ、誰?

 

 

 

 

声が、した。

女性の声だ。粗暴な喋り方だが、それと同時に神聖な雰囲気を併せ持つ声質。

...そしてコレは私の苦手な声だ。彼女自体に憎く偉大な神々の寵愛を感じる。

まるで世界自体が彼女を肯定しているかのように。

 

 

 

"何、私の事は気にしなくて構わないよ。ただの通りすがりの人間界の神だ"

 

 

 

ただの人間界の神がこんな事できるわけないじゃないか、ここはどこだ?私を解放しろ。

 

 

 

 

"あら、まだそんなに元気なのかい?"

 

 

 

 

...元気?ふん、こんなの怪我のうちにも入らないわ。唾でもつけてりゃ平気よ!!

 

 

 

"やれやれ、ただの吸血鬼にしては可愛げのない生命力だ"

 

 

 

 

 

....ココは何処なの?

 

 

 

 

"さぁ...分かりかねる。なんせあたしゃただの魔法使いだからね"

 

 

 

 

....神様は何処に行ったのよ?

 

 

 

 

 

"ところでアンタはどうしたいんだい?"

 

 

 

 

....いきなりどうしたの?

 

 

 

 

 

"私が思うにーーーアンタは酷く後悔している。戻らない過去の宝物を取り戻そうとしている。どうだい?"

 

 

 

 

 

....そうね、その通りよ、それの何が悪い?それが当主たる私の務めではないのか?

 

 

 

"当主の務め、ねぇ....一体その行動にどんな意味があるんだい?"

 

 

 

そんなの関係ないわ。私は救えた命を助けたいだけよ、意味?そんなの助けた後で考えるわよ。

 

 

 

 

"ぷ、あははっ、アンタ面白いのね?"

 

 

 

 

煩い、早く私を自由にしなさい。

 

 

 

"何を言っている、今のアンタは何よりも自由だ。"

 

 

 

....何を言っている?

 

 

 

"あぁ、その解放って自由に飛び回るという意味かい?ならーーー"

 

 

 

 

 

何を....って、きゃあっ

 

 

 

 

次の瞬間、地面が足元からせり上がってくる!!

いや、自身が落ちているというのか。

少しの浮遊感と風と、痛みと共に、レミリアは地面に降り立つ。

 

 

 

不自由を与えましょう。でも、アンタは地面を蹴り、走り回れるようになった。

 

 

 

 

 

「...随分ご大層なことをするじゃない」

 

 

 

 

 

大層なのはアンタさ、唯一の理法を外れ、摂理を歪め、創造主に真っ向から喧嘩を売るような事を算段している。

 

 

 

「...何?私を止めるのか?ならーーー」

 

 

 

 

いや、それも面白そうだけど辞めとくよ、アンタは望む方を向いて望み方へ迎えば良いさ

 

 

 

「...仮にも神様が悪魔を見過ごす気?」

 

 

 

 

私の心は私のモノ。私は私の心の赴くままに、さ。

 

 

 

恐ろしくかつ、胡散臭い魔法使い(自称)。

近寄り難い雰囲気こそ持つ彼女だがレミリアは何故か彼女を嫌いになれなかった。

それは彼女の気風からか、不思議と人を惹きつける才のせいか...兎に角レミリアはこの得体のしれない魔法使いの話をもっと聞いて見たい。

そう感じていた。

 

 

「ふふ...貴方って我儘なのね」

 

 

 

おいおい、どっちが我儘だか...世界のルールを破ってまでやりたい事なんて...我を通すにも程のがあるわよ?

 

 

 

 

「無理を通して道理を蹴っ飛ばす、私の心は私のモノ。私は私はの心の赴くままに、でしょ?」

 

 

 

 

暫しの沈黙、名もなき魔法使いは思う。

この吸血鬼、あまりに我儘、まるで子供の癇癪のようだ。

しかしなぜだろう、そんな筋金入りの馬鹿にある種、尊敬の念を禁じえない。

狂信ともいえる仲間への信仰、世界への愛。

盲目的で、歪んだーーー否、歪んでしまった吸血鬼の行く末を見てみたい、そう思った。

自身の楽しみと世界への意味が増え、思わず魔法使いは貌を歪ませ、にやりと嗤うのだった。

 

 

 

 

.....ふふっそうね、上出来だ。悲しい事にどうやら私はアンタを気に入ってしまったようだ。

 

 

 

 

 

「ふん、当たり前よこういう人を惹きつける魅力ってのは本人さえ知らず知らずのうちに滲み出てしまうものなのよ」

 

 

 

 

ん....それが普段のアンタか、どうやら調子を取り戻したらしい。

 

 

 

 

 

「えぇ、お陰様で...で、早くここから出して頂戴。私には果たすべき使命があるの」

 

 

 

使命、ねぇ....アンタまたあの泥に突っ込む気かしら?言っとくけど....二度目はないよ?

 

 

 

レミリアの脳裏にまるで走馬灯のように蘇る忌まわしい記憶。

恐ろしく単純で分かりやすい死の濁流、殲滅、制圧、悲鳴、怒号、狂気。

正直、理解が出来なかった。

 

 

 

"ぶるり"

 

 

怖い。素直にそう思った。精鋭を誇る我が戦力がなす術もなく、たちどころに屠られる。

目の前で惨劇が繰り返され、そしてそれをただ何もできずに見つめるだけ....それが...それがどれだけ恐ろしいことか...ッ

 

 

 

 

 

ふふっアンタ、弱いのね。

 

 

 

 

「ッツ....!?何を...」

 

 

 

 

 

 

"何もそのままの意味さ。我を通すには強さが足りない。口だけの我儘、そんなモノただのガキの癇癪にすぎない。ならお前はどうする?ガキがどうする?地面這いずり、おっかなびっくり、みっともなく生き続けるかい?それとも"今"を呪いと切り捨て、全てを諦め、地獄にでも帰るかい?さぁ、どうする?レミリア、レミリア=スカーレット"

 

 

 

 

突然の問い、試されている。

そう思った。

反抗の一つでもしたいところだが、駄目だ。

この問いは避けては通れない道だ。

どのみち通らないといけない道なのだ。

数ある選択、どれもが答えで、どれもが道。

ならば私はーーー

 

 

 

 

「ふん、なら私はその全てを選択しよう。一を捨て十を助ける?二兎追うものは一兎をも得ず?そんなもの、弱者の言い訳だ、私は我儘なんだ、何より吸血鬼なんだ。化け物なんだ。雑作もない、吸血鬼なめるなよ、神。絶望以上に私は、偉大なるもしかしてを探しにいくのよ」

 

 

 

避けては通れないなら走破しよう。

全てを背負おう、制覇しよう。

もう誰かが哀しむのは嫌だ。

月並みな台詞しか言えないがとにかく私は、やる。

幸運な事に私は人ならざるものだ。

ならば私は、化け物になって、魅せる。

憎き混沌を基礎におき、平穏を望み、混沌を理解しよう。

 

 

 

 

 

"あは、そうかい。いやいや、悪い少しアンタを見くびっていたみたいだ。上等。それだけ聞ければ充分だ。"

 

 

 

「もういいでしょ?早く私を解放しなさい」

 

 

あぁ、悪い。そうだったわね...っとその前に、頑張るアンタにお姉さんからささやかなプレゼントだ。

 

 

 

 

そういうとレミリアの身体に光が満ちる。

暖かく、しかしドス黒い光だ。

 

 

 

与えるは始祖の能力。暴虐の限りを尽くした原初の力。この力を使い、アナタは何をする?

 

 

 

「ふん、そんなもの決まっている」

 

 

 

 

透ける身体、どうやら此処を出られるらしい。

何もない所だったが存外、楽しめた。

酷く無機質な風景を忘れないように何度も瞬きして、忘れないように眼に焼き付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー■■■、よ。」

 

「ーーーそうか、未来で待っている」

 

 

 

 

 

 

....................。

 

 

 

 

......。

 

 

 

 

 

 

"誰も未来を認められない。"

 

 

 

 

 

 

 

"目の前の懺劇を認められず、背を向けるか吸血鬼。"

 

 

 

 

"...............。"

 

 

 

 

"ならば「過去」という「未来」に何を見つける?"

 

 

 

 

 

 

"なんだか面白そうだねぇ...暫く、観察させてもらおうかね.....願わくば、狡い悪魔に祝福を"

 

 

 

 

 

"まぁ、その。"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしゃここにいるよ。

 




さて、どうしよう。
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