緋弾に迫りしは緋色のメス   作:青二蒼

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時間が掛かって申し訳ない。
甘い話を試行錯誤したら、甘酸っぱい感じの何かが出来たような感じです。



43:次の舞台へ

 アドシアードの閉会式が、俺達の演奏で始まった。

 ちなみに俺は半ばヤケクソである。

 何が『もう……俺の目の前からいなくなるんじゃないぞ、白雪』だ。

 相変わらずヒステリアモードの俺はとんでもない事を口走りやがる。

 自分の意思でなったとは言え、終わってみれば未練タラタラの後悔の連続だ。

 特に、俺の実力をさらにアリアや白雪が誤解してる傾向にある気がしてならない。

「I'd like to thank the person...」

 響く歌声は、会場を大いに盛り上げてる。

 歌ってるのは不知火じゃなくチアガール姿の霧だけどな……

 つーか、すごくナチュラルに発音してる上にかなりの歌唱力だ。

 素人判断だが、上手いと分かる。

 外国人シンガーみたいだ。

 なぜ、本来は不知火が担当するはずだったボーカルを霧がやってるかと言うと俺が原因……いや原因なのか? 

 直接的にやったのはジャンヌだが、間接的な原因は俺だろう……

 ともかく右肩の負傷が原因である。

 脱臼したのを無理やり戻したせいで、やはりどうしても違和感が残るらしくチアを辞退したのだ。

 そこで急遽だが配役を変えた。

 ボーカル兼演奏と言う役目の不知火からボーカルを抜いて完全に演奏役に回って貰い、代わりに霧がボーカルを務めると言う訳だ。

 ボーカルならチアみたいに激しい運動をしなくて済む。

 歌えるのかどうか心配だったが、結果はごらんの通りだ。

 しかし、本当に何でも出来るな霧の奴。

 もう、あいつ1人でいいんじゃないか? って言うぐらいに汎用性が高すぎる。

 そう言えば……俺あいつに埋め合わせがどうとか何か言ってなかったか?

 だとしたら、かなりヤバイんだが。

 一体どんな風に弄られるか分かったもんじゃない。

 まあ、だが……正面から受けよう。

 今回の件がそれぐらいで罪滅ぼしになるなら安いもんだ。

 それで、話を戻すと……霧が抜けたことでアル=カタのチアに欠員が出たわけだがその代わりはと言うと――

「Who flash the shot like the bangbabangbabang'a?」

 曲がアップテンポでサビに入ったところで、左右からチアガールの女子たちが笑顔を振りまいて舞台へと駆けてくる。

 その中にはアリアと"白雪"の姿が見える。

 白雪がチアガール姿で入ってきたということは……つまりはそう言う事だ。

 準備委員会の方でも、白雪がアル=カタに参加することを推していたんだから……大いに歓迎された。

 逆に霧が抜ける事に少し残念そうな顔をしてる奴も多かったがな。

「やっぱり、こんなのって……恥ずかしいよ」

 白雪の声が聞こえたのでチラリと舞台袖を見れば……何やら恥ずかしがってる様子だ。

 周りを見れば、盛り上がる人で客席は埋まっている。

 一目で盛況だと分かる程だ。

 が、人見知りをする白雪にとってはこの人数で人前に出るのは難易度が高かったみたいだな。

「ここまで来て、何言ってんのよ!」

 アリアが演奏の中、白雪に聞こえるように怒鳴る。

 それから蹴り出さられるように白雪は舞台へと出て、霧の傍へと近付く。

 霧は歌いながら軽く客席に応えるようにパフォーマンスをした後に、白雪に左手を差し伸べる。

 そして、白雪はその手を少し見たあとに霧の顔を見て――手を取った。

 まだどこか恥ずかしそうだが、霧に引かれて白雪はアリアと共に舞台の中央へと躍り出る。

 その表情は、笑顔だった。

 作り笑いではない。

 本当に楽しそうな笑顔だ。

 何だろうな……子供の成長を見守る親のような心境はこんな感じなんだろう、と俺は場違いなことを考える。

 とにもかくにも、もう白雪は『カゴノトリ』なんかじゃない。

 今回、魔剣(デュランダル)を退けた事であいつは『カゴ』を出て羽ばたいたんだ。

 歌も終盤に差し掛かり、霧は相変わらず観客を盛り上げるように煽っていく。

 それが合図だったかのように他の女子たちがポンポンを天高く放り投げる。

 限界を知らないとばかりに、再び会場が湧き上がった。

 彼女らの手の内に握られているのは拳銃だ。

 それから空砲を空に向けて撃ち、上げる。みんなテンションが上がってるのか、練習より多めに撃っている。

 物騒な仕込みだ……なんて思いながらも薄く目を閉じる。

 その中でも一際、目立つ銃声が響く。

 なんだ?

 そう思って目を開ければ霧のやつも撃っていた。

 M500でな。

 どうやら負傷してない左手で撃ってるらしい。

 お前、随分とノリノリだな。

 まあ……あいつがいつも楽しそうにしてるのは今に始まったことじゃない。さして気にする事でもないだろう。

 ラストスパートの演奏に少し集中すると、歌いながら霧がこっちに近付いてくる。

 それから、俺を見ると何故か目を細めた。

 ぞくっ。

 まさしく、そんな擬音が聞こえそうな程に俺の背筋が震える。

 ……すさまじく嫌な予感がするぞ。

 最後の間奏に入り、チアガール達がパフォーマンスを披露すると同時に霧もそれに合わせて踊り出す。

 邪魔をせず、チアガール達の踊りの調和を乱さないように魅せている。

 そんな時だった。

 アリアに合わせてバク転した瞬間に、

 

 ――ミニスカートの中身が見えた。

 

 あ、あいつッ!? スパッツとかアンダースコートを履いてやがらねえ!

 思わず曲調が乱れそうになる。

 危ねえ……ここで乱したりなんかしたら、カッコ悪いと言うか……お偉い方さんもいるんだぞ!

 テレビ放映もされてるってのに、失敗したら恐い教師たちによる折檻コンボが決まるかもしれねえじゃねえか!

 それから霧は再び歌い始め、さりげなく俺を見て、

『つまんないの』

 うるせえよ!

 そうマバタキ信号(ウインキング)で送ってきた。

 表情もどこか残念そうだ。

 霧は再びステージへと戻っていく。

 全く……イタズラする時と場所を選べよ。

 

 しかし"白"野だから"白"か――って、何を思い出そうとしてんだ俺は!

 

 結局、モロに見たのとインパクトが強かったせいでその光景が脳裏に写真のように刻まれた。

 おかげでヒステリアモードにならないかヒヤヒヤしたが、無事に閉会式は終える事ができた。

 

 

 閉会式が無事終わり、会場の軽い片付けも終わった。

 本格的な清掃やら何やらは明日からで、今日はお昼過ぎにはやるべき事が終わった。

 そんでもって今回のアドシアードの打ち上げを武藤達と一緒にやる事になった訳だが……それまで時間がある。

 魔剣(デュランダル)の件の疲れも残ってるし、部屋でゴロゴロと過ごすのが無難だろう。

 と思った、その時だった。

 携帯の着信とバイブがポケットから響く。

 アリアじゃねえだろうな……

 と思って開けてみれば、霧からだった。

「もしもし?」

『お疲れ~キンジ、今どこ?』

「借りてた音楽機材を返した帰りだ。一般校区をちょうど今出たところだよ」

『そっか、分かった』

「おい、用件はないのかよ?」

 俺が聞き返す頃には通話が切れた。

 何なんだ一体……?

 あいつの考えることは未だによく分からない。

 だが、イタズラ好きな事を考えれば何らかの仕掛けをしてて俺を待ち伏せしてる可能性がある……と言うか高い。

 しかし、どこで仕掛けてくるか皆目見当がつかん。

 携帯を仕舞って正門へと向かい、門を出てさらにさらにバス停へ――

「動くな」

 行こうとしたところで脅された。

 俺は隣を向く。

「何してんだよ、霧」

 グロックをこっちに向けてる霧がいた。

 俺の反応がイマイチだったのか、不機嫌そうに唇を尖らせてる。

「もうちょっと反応してよ」

「どう反応しろって言うんだ……」

 銃を向けられてるのに俺が反応しないのは、どこかのピンクのツインテールが霧以上に俺に向けてくるからだろう。

 霧だからと言うのもあるが、それでも向けられること自体にかなり慣れ"過ぎてしまって"いる気がする。

 深く考えるのはやめよう……まだ俺は、普通の感性を持っていたい。

「それで、電話をしたのは何なんだよ?」

「見て分からない?」

 と、霧は銃を仕舞ってから自分の姿を誇示するように両腕を軽く広げる。

 今の霧の姿は、ワンピース姿だ。

 上は黒で、スカート部分は灰色。

 特に派手な装飾とかもない……霧の性格とは逆に落ち着いた感じの印象を受ける服装だ。

 そして、ファッション誌で見た事があるような小さめのショルダーバッグを(たずさ)えている。

「誰かとどこかに出かけるのか?」

「……察しが悪いね。私が電話を掛けてここにいる理由くらいわかるでしょ?」

 分かんねえよ。

 呆れるように霧は言うが、俺は心の中で答えた。

 霧は俺を指差す。

「出かける相手はキンジだよ」

「俺かよ……」

 思わず肩を落とす。

 その俺の反応に大して霧は、

「――貸し」

 グサッ。

「――埋め合わせさせて欲しい」

 グサッ。

 と、2回も言葉を突き刺さしてきた。

 そう来たか……さすがにそう言われると何も言い返せん。

「まあ、無理に付き合って欲しいとは思ってないけどね~」

 なんて言って霧は逃げ道を作ってくれてはいるが、実際は選択肢なんてないじゃねえか。

 目もどこか笑ってやがるし。

 でも、まあ……魔剣(デュランダル)の事については何度も言うように俺に責任がある訳だ。

 ここで断るのは人として違うだろう。

「分かったよ、ちょうど俺も時間が空いてるからな。付き合うよ」

 俺が了承すると、途端に霧は無邪気に笑う。

「よかった。それじゃ、早く行こ」

「分かったから、引っ張るなよ」

 俺の言葉を余所に、霧は勝手に俺の手を取って引っ張る。

 なんつーか、霧にしてもアリアにしても……俺を勝手に引っ張っていくんだよな。

 今のこの状態が、何となくだが俺の立ち位置を表してるような気がする。

 何となくだけどな。

 

 

 霧に連れられてきたのは、学園島にあるシャレたカフェだ。

 ここは確か、武藤が言うには東京武偵高の女子がよく利用してる所だったはず。

 現に同じ制服を着た女子が何人かいるのが見える。

 霧が相手なら変な噂もそんなに立たないだろうが、油断はできない。

 騒がしいのがデフォルトだからな……武偵は。

 それにこう言うところ苦手なんだよな。

 何て思ってるうちにも、2人掛けのテーブル席へと案内される。

 そして、お互いに座ったところで俺が口を開く。

「で、どうしてここなんだよ」

「特に意味はないよ」

「おい……」

「細やかな打ち上げのつもりだからね。色々と終わったことだし」

 打ち上げ、ね。

 確かにアドシアード期間中は、色々とあったな。

 魔剣(デュランダル)ことジャンヌ・ダルクは、面談(尋問)の最中だろう。

 教務科(マスターズ)の連中に引き渡す時にジャンヌが少し反抗的に顔を逸らした瞬間、綴が『ニヤァ』と口を歪ませたのを俺は偶然見てしまった。

 今思い出しても寒気がする。

 あいつのあんな笑顔初めて見たが……今頃ジャンヌがどうなってるのか想像するのも恐ろしい。

「今にして思えば、よく勝てたよな。あんなビックリ人間相手に」

 と、俺は感慨深く呟く。

 対して霧は何でもないように言った。

「そう? 私からしてみればさして珍しい事でもないと思うけどね」

「ああ、うん。お前はそう言うと思ったよ」

 むしろ、霧が驚いてる所なんてあまり見た事ないしな。

 と言うか、今にして思えば霧自身も色々と謎に包まれてる。

「どちらかと言うと、キンジの方がビックリ人間だろうけどね。まさか指2本で大剣を受け止めるなんて思わなかったし」

「アレは……お前には分かってるだろうが――」

「自分の本当の力じゃないなんて言うんでしょ? 言わなくても分かってるよ」

「アリアには言うなよ。俺の本当のこと」

「別にそんなに念を押さなくても言わないよ。あ、すみません紅茶とこのパフェ1つ」

 通り掛かった女性店員に注文を言うと、霧は再び俺に向き直る。

「だけど秘密って言うのはどこから漏れるか分からないからね~。身近な人には早めに話しておいた方がいいんじゃないかな?」

「簡単に言うなよ……」

「だけど、そうやって先送りにするのは禍根を残すことになるかも知れないよ~? どうして教えてくれなかったの? って感じでね。まあ、簡単に言える話でもないのは分かるけどね。変態シンドローム」

「変なネーミング付けんな」

 ある意味間違ってないから大きく否定もできない。

 それに、ヒステリアモードも『返對(へんたい)』って呼ばれてるしな。

 いくら当て字とは言え、ウチの爺ちゃんはよく平気で言うもんだよ。

「クス、まあ安心してよ。私は色々と"聞くだけ"だし、誰かに言い触らしたりしないよ」

 霧がそう言うと同時に、思わず俺はドキリとした。

 こいつ、普段は無邪気なくせに時々雰囲気がガラリと変わりやがるんだよな。

 大人っぽいと言うか何と言うか、とにかく年上の女性を相手にするような感じだ。

 いつもの屈託のないものと違う笑みに、不意に俺が視線を逸らしたところで霧が注文した品物が目の前にきた。

「ではすみません。紅茶が2つとパフェでございます」

 女性店員が柔和な笑みを浮かべて品を置いていくが、俺は注文してないぞ。

 その事を言おうと思ったら、突然にパフェを盛ったスプーンを口の中に突っ込まれる。

 女性店員が去ったあとに霧はスプーンを引っこ抜く。

「言ったでしょ? 細やかな打ち上げだって」

「いや、確かに言ったが……いきなり何すんだよ」

「野暮なことを言いそうになったから」

 と、言いながらも霧は先程のスプーンでパフェを食べ出す。

 俺の口の中に入ってたんだからちょっとは気にしろよ。

 内心でそうツッコミながらも俺は呆れて見る。

 女子はどこに行っても甘い物に目がないのだろうか?

 なんて、思っていると霧は俺の視線に気付く。

「どうしたの? 一緒に食べたいの?」

「いいや、遠慮する」

 即座に否定しながらも、聞いてる俺が恥ずかしくなってくる。

 こいつ……何でそんなことを平気で言ってくるんだよ。

 何て言うか、アリアや白雪には出来ないことだな。

 理子あたりなら平気で言ってきそうだが。

 ……そう言えば、アイツ(理 子)は今頃どうしてるんだろうか?

 イ・ウーとやらに身を置いてるのだろうかと、少し気になった。

 そう言えば、霧は……理子の事を知ってるんだろうか?

 『武偵殺し』であった事を――

「そう言えば、霧」

「ん~?」

「理子について、何か知らないか?」

「ああ、理子? アメリカに出張中らしいよ」

 どうやら、霧の反応を見るに本当のことは何も知らないらしい。

 しかし、理子のヤツ……意外とマメだな。

 てっきり何の連絡もしないと思ったが、ハイジャックの時の言葉は真実だったって事か?

 ………………。

 ダメだ、俺には判断できん。

 取り敢えず、あんまり下手な事は言わない方がいいだろう。

 アリアと同じで勘が鋭い霧の事だ。

 もしかしたら、勘付いてるのかもしれないけどな。

「そうか。それはそうと、たまにはこんな時間もいいかもな」

「いつも騒がしいからね。だけど退屈はしてないし、キンジの慌てようが面白いから別にいいんだけど」

「俺がよくねえよ」

「あ、それと料金は割り勘で」

「俺も払うのかよ!?」

 

 

 梅雨入り前だっていうのに俺の財布の中身を改めて見れば、冬前の秋のような状態だ。

 実りはとっくに過ぎてる。

 いや、下ろせばあるが……あまり積極的に任務(クエスト)を受けてない俺の貯蓄はお察しくださいと言った感じ。

 今回のジャンヌの件もアリアの独断で報酬は無し。

 タダで依頼を受けるって言ったのはアリアだし、あいつに付き添ってた俺にも当然に報酬は無い。

 報酬を貰ったのは正式に教務科(マスターズ)の依頼を受けていた霧だけだ。

「貴重な財産が」

「そう思うなら、依頼を積極的にやりなよ」

 相変わらず霧は辛辣だ。

 だけど、正しくもある。

 学園島の沿岸にあるベンチで、俺はため息を吐く。

 目の前には東京湾が見え、その向こう岸には乱立するビル群が見える。

 何となく横を見れば、霧がさっきの俺と同じように静かに東京湾の方向を見ていた。

 こうして黙って見ればこいつも美少女なんだよな。

 セミロングの黒髪が潮風に揺れ、甘い香りを運んでくる。

 いつもとは違う……ミステリアスで儚げな雰囲気があった。

 それから俺が見ている事に気付き、「ん?」と言った感じに小首を傾げている。

「あー、いや……何でもない」

 思わず俺は空気を濁すように言った。

 今思えば、霧とゆっくり2人でいるのは久しぶりかも知れない。

 それに何だか安心するんだよな。

 自然に欠伸(あくび)が出る。

「眠いの?」

「いや、そう言う訳じゃないんだが……何だかな」

「寝たかったら寝てもいいよ。確か武藤たちと打ち上げの予定があるんでしょ? その時には起こすよ」

 それから自分の太ももを示すように軽く手で叩く。

 頭を乗せろ、と言う事なんだろう。

 誰かに見られたらどうするんだと思ったが……こんな場所に来る物好きもいないだろう。

 それに、霧なら大丈夫だろう。

 アドシアードの閉会式みたいな時にやるのは勘弁だが、こう言う時にはイタズラする様なヤツじゃないしな。

 逆に寝なかったら何されるか分からん。

 起きてる時より寝てる方が安全というのも変な話だ。

 と思いつつも俺は頭を乗せ、横になる。

「おやすみ」

 どうやら……思ってたよりも、疲れてたらしいな。

 霧のその一言がスイッチだったかのように俺の意識は、静かに沈んで行った。

 

 ◆       ◆       ◆

 

 10分も経たないうちに、私の太ももの上で寝息が聞こえる。

 すっかり安心仕切ってる。

 そんな事が一目で分かる光景だろうね。

 ここで首を切ればどんな表情が見れるのか……少しだけ試したくなる。

 まあ、もちろんそんな事しないけどね。

 そんな時だった。

 着信音もなく携帯が震える。

 私は静かに出る。

「はい」

『ルミから伝言は受け取ってるわね』

 いきなりそう言って出たのはお姉ちゃんだった。

「うん、受け取ってるよ。私が選んでいいんだよね?」 

 キンジの顔を少し撫でながら答える。

『あなたの選んだものが私の、"答え"よ。けほっ……』

「分かったよ」

『あと、リリヤを動かしたわ。彼女を使いなさい。あとは任せたわ』

 それだけ言って、お姉ちゃんから通話が切れる。

 リリヤが来る、ね。

 どうやら今度も、

 

 ――楽しいことになりそうだね。

 

                     Next Stage!!

 




次回からブラド編ですが、結構ダークな話になる予定です。
キーワードは、闇堕ち。

ほとんどオリジナルになるかもしれない。

あと甘い話――砂糖が吐けるような話を書きたいですね。
もう、読んでるこっちが『ウボァ』って言いながら砂糖を吐いてしまうような感じのヤツがいいですね。

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