緋弾に迫りしは緋色のメス   作:青二蒼

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遅ればせながらお待たせしました。
なんか、いつも言ってる気がする。

緋弾のアリアAAがアニメ化と言う事で……期待はしつつもどうなる事やらです。


55:感情の板挟み

 いきなり現れた謎の美女の登場。

 授業が始まり近付いてきた事もあって段々と人が増えてくる。

 昨日の今日でカナが乗り込んでくるとは……少しばかり予想外だね。

 でもまあ、私をどうこうしようとしに来たわけではなく本命はむしろ――

 神崎に視線を向けて一つの予測を立てていると、彼女の表情が少し険しくなる。

「あんたは……カナ、でいいのかしら?」

「あら、私の名前を知ってると言う事はキンジから聞いたの?」

「詳しい事は何も教えてくれないけどね」

「そう……」

 カナは少し顔を伏せる。

 そのまま続けて神崎が問い掛ける。

「あたしに声を掛けたって事は、用があるって事でいいのよね?」

「そうね。色々と言いたい事があって来たの」

 それから目を真っ直ぐに向けてカナは、唇を開く。

 言いたい事はありそうだけど、確かめたい事もあるんだろうね。

「あなたはキンジとパートナーって事で……いいのよね?」

「そうよ」

「キンジの事、どう思ってる?」

「どうって……」

 その質問に何かを思い出したのか、神崎は顔を紅潮させて首を振る。

 さてはさっきのメールの内容でも思い出したんだろう。

「な、何が言いたいのよ!? さっさと本題を言いなさいよ!」

 誤魔化したね。

 話題の逸らし方が雑だけど。

 その神崎の言葉にカナは、

「そうね。回りくどいのは無しにして本題を言いましょう」

 

 ――キンジとパートナーを解消しなさい。

 

 面白い事を告げてきた。

 もっとも、神崎にとっては衝撃的な言葉。

 目を見開いて「え?」と、小さく声を上げる。

 呆然とした状態から段々と表情が怒りに代わり、

「なによ……いきなり何なのよ!? パートナーを解消しなさいって!!」

 金切り声を立てて、神崎は食いかかる。

「そのままの意味よ。あなたは、あの子の傍にいちゃいけない。理由を教えるつもりはないし、あなたは知らなくていい事よ」

 それを平然とカナは返す。

 まさか、ここで神崎を排除しに来た訳じゃないだろう。

 こんなに多くの人物がいる上にプロである教師陣がいる武偵高のど真ん中で悪役になりに来た。

 なんて事ではないハズ。

 むしろ神崎を焚き付けるような言動。

「ん~、いきなりな物言いすぎるんじゃない? 一体全体どうしたって言うの?」

 少し神崎の前に立って彼女がカナに飛び掛らないようにしながらも、私はカナにトボけたふりをして真意を確かめる。

「"今"あなたに用はないわ。どきなさい」

 冷たい言葉と視線が返された。

 随分とヘイトを稼いじゃったみたいだね。

 神崎が見たらビビりそうなおっかない顔をしてるよ。

 でも……なるほど、私を消しに来たわけでもないと。

 と言う事は、考えられる事は1つ。

 キンジが無意識に守ろうとした神崎・H・アリアと言う人物を確かめに来た。

 武偵高に来たのはそう言う事だろう。

「神崎・H・アリア。あなたはジャックと同じで災いを呼ぶ存在よ。そんな子を、キンジの傍には置いておきたくない」

 私を視界に入れて言ってるあたり、それは私にも向けられた言葉でもあった。

 言ってくれるね~

「ふざけないで! 何を根拠に言ってるのよ! 大体あたしをあんなのと一緒にしないで!!」

 私の背後でこっち(神崎)はあんなの呼ばわりか。

 嫌われ過ぎでしょう、私。

 でもまあ、ほとんどワザとなんだから当たり前か。

 それとどうやら言い回しから見るに、カナは神崎の中に存在する"モノ"を既に知ってるらしい。

「霧、どきなさい……」

 私に命令すると同時に金属音。

 神崎が銃を抜いたんだろう。

「やめておきなよ。妄言の1つや2つぐらい聞き流せないと――」

「黙ってて……! これは、あたしの問題よ」

 人が素直にアドバイスしてあげてるのに、神崎は突っぱねた。

 それから、私の横を通り過ぎてカナの正面に立つ。

「キンジは心の整理が出来たら、あなたの事を話すって言ってたわ」

「………………」

「だけどその張本人が出てきたからには、キンジが話してくるのを待つ必要もない。あたしがこの手で直接、あんたとキンジの関係を聞き出してやるわ!」

 どこか焦ってる感じで神崎は銃を構える。

「――出来ないわ」

 しばらく沈黙してたカナが何の感慨もなく呟く。

 

「あなたには"無理"よ」

 

「……ッ!」

 見下したその言葉に神崎は息を詰まらせる。

 『無理』――それは神崎が嫌う言葉の1つ。

 この状況、まるで(ジャック)と対峙した時みたいだね。

 神崎はその時の事を思い起こしてるのか、手が震えてる。

「あたしは負けないわ……あんたや、あいつなんかに……ッ!! あたしは強くならなきゃいけないのよ!!」

 悲痛な思いを含んだ決意。

 私には神崎の心情が読み取れる。

 (ジャック)との邂逅、そしてその時に見えてしまったであろう敗北のヴィジョン。

 それが神崎の心に大きな(くさび)を打ち立てている。

 つまりは焦ってるんだ。

 母親の無罪を証明するために打ち倒さなきゃいけない敵がいる。こんな所で負けられない。

 そんな思いを秘めているんだろう。

 でも……そんなのではこの先、勝てない。

 防弾ガラスの衝立(ついたて)に囲まれ、砂が撒かれた闘技場(コロッセオ)にカナは目を向けるとそのまま静かに歩く。

 それから跳び上がり、2メートルはあるガラスの衝立に片手を突いて乗り越える。

 そのままフワリとした感じで着地すると神崎へと振り返り、

「いいわ。私も確かめなければならない事がある……アリア。あなたを私に見せてごらんなさい」

 挑戦的な言葉を投げ掛けた。

 神崎もそれを追うようにしてICキーの扉にカードを通して勢いよく開け放つ。

 いきなりの決闘ムードに誰もがざわついている。

 闘技場(コロッセオ)の中心で相対する2人。

 親善試合のような健全な雰囲気ではない事ぐらいは誰でも分かるだろう。

 神崎はツリ目を更に鋭くして睨んでいるけど、カナはそれを受け流すかのように涼しい顔をしてる。

 それは見る人がみれば吐息を漏らしそうな美しくも儚げな哀愁(あいしゅう)をも漂わせていた。

 現に男女問わず何人かが見惚れた顔をしてる。

 キンジに連絡は……入れないでもいいか。

 いずれ耳に入る。

 それに死ぬ訳でもない。

 私としてもしばらくは見ておきたい部分もある事だしね。

 突然に、一際(ひときわ)生徒達がざわめく。

「お前ら、何しとるんや」

 生徒達が道を開けた先で、蘭豹(らんぴょう)が瓢箪を(あお)りながら女にしては威圧感のある足音を響かせてやって来る。

 瓢箪の中身は十中八九お酒だろうね。

 それから防弾ガラスの衝立(ついたて)に近付いて中を見ると、(いぶか)しげな顔をする。

「あン? これはどう言う事や? 白野、5秒以内に状況説明せえや」

 近くに居たとはいえ、私にご指名とは。

 しかも軽い脅迫付きで。

「突然に現れた謎の女子生徒が神崎さんにパートナーの解消を要求。激昂した神崎さんが対決を申し込む。簡単に言えばこんな所ですね」

「ほう……。アレは、札幌武偵高(サッコウ)の女子制服やな。研修生が来るとかの連絡は受け取らんが……あれ? どうやったっけ? 酒飲んでたせいでイマイチ覚えとらん」

 業務連絡に酒飲んでるとか、フリーダムだね~

「まあええわ。酒の(さかな)にも見世物にもちょうどええやろ」

 なんて蘭豹は適当な事を言ってるっぽいけど、今の獣のような目の色の変わりよう。

 カナの実力が相当なものである事ぐらい見抜いてるっぽいね。

 (よわい)が19の割には目が肥えてる。

 さすがは武偵高の教師で香港マフィアの首領の愛娘(まなむすめ)

 蘭豹が跳躍し、防弾ガラスの衝立の上に片膝立ちで乗って闘技場(コロッセオ)の中にいる2人に声を掛ける。

「そこの(アマ)と神崎! 闘技場(コロッセオ)に入ったんならさっさと()り合わんかい!」

 その言葉に生徒達からどよめきが走る。

 いきなり許可が出た決闘。

 しかも神崎が対峙してる相手についてはこの学校では全く見慣れない人物。

 野次馬根性が働くのも無理はない。

 私は周りの喧騒(けんそう)をなるべく聞かないようにして、神崎とカナの会話を聞く事に集中する。

「許可が出たみたいね」

「ええ、願ったり叶ったりだわ」

 神崎がカナにそう返すと、彼女は2丁のガバメントを構える。

 対してカナは何も武器を構えようとしない。

「さっさと抜きなさいよ」

「騎士道精神は無用よ。いつでもいらっしゃい」

 神崎は催促するがカナはそう言葉を返すだけ。

 だが言葉の次には、カナの纏う空気が変わる。

 カナの正面にいる神崎は、既に優れた直感で分かってしまっているだろう。

 ――格の違いを。

「…………ッ!!」

 先手必勝だと思ったのか、気迫に呑まれる前に神崎のガバメントが火を吹く。

 真っ直ぐカナへと飛ぶ4発の銃弾。

 しかし、カナの手がブレた瞬間――

 

 ギギギンッ!

 

 金属同士が激しく擦れる音が響き、防弾ガラスに何発か銃弾がめり込む。

「おい、今のなんだよ……」

 誰かが呟いた一言。

 神崎が銃弾を放ったのにカナには被弾していない。

 常人なら何もしてないのに銃弾が逸れたとしか思えないだろうね。

 大体の人が驚愕する中、教師である蘭豹は感心するように笑みを深めてる。

 私はキンジのを見てるから特に驚く事はない。

 ただの『銃弾撃ち(ビリヤード)』だ。

 肝心の神崎はと言うと地を蹴って前へと進んでいた。

 普通なら動揺して硬直するところを、彼女は愚直に前へと進んでいる。

 と思いきや、急停止して両足で地面の砂を巻き上げる。

 目眩(めくら)ましか……

 砂煙が舞う中、カナは全く動かない。

 大きな砂煙が1つカナの横に舞い上がった瞬間にその中から神崎が飛び出し、肉薄する。

 どうやら近接拳銃戦(アル=カタ)に持ち込もうと言う魂胆らしいけど……あれじゃあ遅いね。

 迫ってきた神崎を一瞥したカナの手がブレる。

 次に響くのはバシィッ! と言う鞭で叩かれたような音。

 神崎が防弾制服の上から腹を銃弾で撃たれた。

 銃弾に押され、口から強制的に息が吐き出され、苦痛に襲われてる事だろう。

 けれど神崎は歯を食いしばって踏み止まり銃口を向ける。

 だけど彼女が撃つよりもずっと早く撃ったカナの銃弾が次は神崎の右肩に当たり、向けていた銃口が外れる。そして遅れて発砲される銀のガバメント。

 すぐに撃たれた衝撃を利用し、神崎は左足を軸にしての回し蹴りに移行する。

 この戦い慣れた感じ……14歳から武偵として活動してただけはある。

 でも、場慣れしてるだけじゃ勝てない。

 見切った感じでカナが少し後ろに下がると、神崎の蹴りは空を切る。

 しかし、想定の範囲だったのか神崎は左手の黒のガバメントをカナに向けている。

 真芯で放たれた銃弾、距離的にも今度こそ間に合わない直撃コース。

 誰もが思うだろうけど、そうじゃない。

 ガバメントの弾はまたしてもカナに届く事なく、途中で見えない銃撃に弾かれる。

 立て続けに神崎はマズルフラッシュを瞬かせながら開いた距離を縮める。

 当てるためじゃなく、近付く為の牽制(けんせい)

 カナは確実に当たりそうな銃弾だけを弾き、残りは(わず)かに体を逸らして避ける。

 全ての弾を回避したカナには神崎と言う肉弾が(ふところ)に迫っていた。

 ガバメントを仕舞ってるところを見るに、お次は格闘技(バリツ)で対抗しようと言う事らしい。

 見えない銃撃には有用な距離ではあるし、確かに銃撃は防げる。

 でも目視が不可能な早撃ち(クイックドロウ)ができると言う事は、見えない速度での拳が飛んできてもおかしくないと言う事だからね。

 この勝負、とも言えない座興も早くも終わりかな?

 退屈さに思わず欠伸をして目を閉じ、開いた時には神崎が宙を飛んでいた。

 カナは手の平を上に上げている。 

 あらら、今の瞬きの間で掌底で打ち上げられちゃったか。

 それからカナは追撃に空中にいる神崎を蹴り飛ばす。

 砂の地面へと叩き落とされた神崎が滑りながら態勢を立て直して片膝立ちになる。

「――アリア!」

 この声……キンジだね。

 予想通り、誰かからここで起こってる事を聞いて飛んできたみたい。

 防弾ガラスの衝立(ついたて)に飛びついて叫んでる。

 その一方でカナは、

「おいで、神崎・H・アリア。もうちょっと――あなたを、見せてごらん」

 神崎に手を差し伸べて憂いの顔を浮かべている。

 刹那の瞬間に鞭打つような音と銃声と神崎の悲鳴が耳に入る。

「――くうッ!!」

 神崎はとうとう前のめりに倒れた。

 たった数発とは言え、モロに銃弾を受けてたんだからかなりのダメージ。

 どこか内出血しててもおかしくはない。

 今まで苦痛に声を上げなかったのが不思議なくらいだけどね。

 キンジを見れば息を呑み、目の前で起こってる事象に焦りと動揺の表情を浮かべてる。

「蘭豹! こんなのは違反だ! 今すぐにやめさせろ!」

 蘭豹にキンジは抗議するが、

「もうちょい派手に()り合え! まだまだ生温いぞ!」

 教師にあるまじきヤジを飛ばしながら蘭豹は瓢箪を口に付ける。

 完全に聞いてないね。

 もしくはワザと聞いてないかのどっちか。

 実戦形式での実銃の使用は体中を防護する……バスジャックで使ったC装備の着用が義務付けられてはいる。

 キンジの言う通り、武偵法の違反行為ではある。

 まあ、キンジは忘れてるかもしれないけど違反如きでここの教師陣が臆する訳がない。

 だから言うだけ無駄なんだよね。

 もっとも……蘭豹には見せしめ、って言ったらおかしいけど良い刺激になると思って決闘を許可したんだろうけど。

 見世物って言うのもあながち間違いじゃない、か……

 蘭豹が頼りにならないと判断したのか、キンジがICカード認証の扉の傍にいる私へと近付いて来る。

「霧……ッ!」

 私を見つけたキンジが名前を呼んでくる。

 手を軽く開閉して私はそれに応えるが、キンジはそれどころじゃないとばかりにICカードを通そうと扉に手を掛ける。

 その前に私はパシとキンジの手首を掴む。

「どうして止めるんだよッ……」

 そう言って声を荒らげてキンジは私の手を払う。

「何でそんなに焦ってるのか知らないけど、あの中に飛び込むつもり?」

「こんなの違法だからに決まってる! それに……アリアが死ぬかもしれないだろ?!」

 本題は前者じゃなく後者。

 カナが神崎を殺しに来たと思ってる訳か。

「さすがに決闘で死にました、なんて言う事態にはならないでしょ」

「何を暢気(のんき)に言ってるんだよッ! 現にアリアが撃たれてるってのに!」

 気持ちばかりが先に走ってるせいでキンジはカナに殺気がない事に全然気付いてない。

 大体最初から殺すつもりならキンジがここに来る前に神崎は死んでる。

 もっとも……キンジにはそんな事も分からないくらい焦燥(しょうそう)感に掻き立てられてる。

「今日の朝から様子が変だよ、本当にどうしたの? と言うか私としては"生きてた事"に驚きなんだけどね」

 白野 霧()と言う人物はカナ――金一が生きているかもしれないと言う事を知らない。

 昨日の夕方の出来事も知らなくて当然。私はあそこにはいなかった。

 キンジの中ではそう言う風になってるんだから話は合わせておかないと。

 そして、私の指摘にキンジはばつが悪い顔をする。

「それは……っ」

「別に話さなくてもいいよ。私は根掘り葉掘り聞きたい訳じゃないし、ただ……ここは私にお任せってね」

 そろそろお開きにしてもいいでしょう。

「お前、何を……」

 キンジの問いに私は笑みで返す。

 スカートの中、太ももに巻きつけてあるグレネード系統を携行できるホルスターから発煙弾(スモークグレネード)を抜き取り、ピンを抜いて闘技場に投げ入れる。

 いきなりの煙幕にザワザワと生徒達が騒ぐ。

「神崎さんじゃ勝てないし、勝負の行く先は見えてるからね。私が止めに行ってくるよ」

 正直に言うと飽きたし。

「ああ、ちなみにキンジはここで待っててね」

「なんでだよ……」

「HSSでもないのに(なま)った腕でどう止めるの?」

「………………」

「ま、ここは私を信じてよ」

 ICキーを通して防弾ガラスの扉を開け放ち、私は煙の中へと歩み進む。

 室内と言う事もあって煙は中々に晴れない。

 その間に私は神崎に近付く。

「あんた、どういうつもりよ……!」

 四つん這いになって、邪魔をしないでとばかりに睨み上げてくる神崎。

 私は呆れるように息を吐きながら、視線を合わせるようにしゃがむ。

「何って、最初から直感で分かってるでしょ? 神崎さん1人じゃ、あの人には勝てない」

「まだ……戦えるわ! あたしは、負けてないッ!」

「今まで自分の直感を信じてやって来たのに、その自分の直感を否定するの?」

「――ッ!!」

 私の言葉にギリと歯軋りをし、

「あんな事を言われて、引き下がれる訳ないでしょう……ッ!」

 神崎は立ち上がった。

 意地を張ってるね~

 ………………。

 ……仕方ない、予定変更して付き合ってあげるか。

 カナに武偵高(ここ)での私の立ち位置を見せるついでに。

 内心呆れながらも私は立ち上がる。

「そう言えばお互いの実力を再確認したいって言ってたよね?」

「……?」

「神崎さん1人じゃ勝てなくても、"2人"なら……どうかな?」

「2人……って」

「神崎さんがそれでも1人でやるって言うなら、私は何も言わないけどね。勝手に1人でやればいいよ」

 その時は無理矢理に終わらせるだけ。

 静かに顔を向けて言った私の提案に神崎は、

「足、引っ張らないでよ」

 私の言ってる意味が分かったのか、ただそれだけ言ってガバメントを抜いて構える。

 根性とプライドだけは一丁前なんだから。

 私の提案を受け入れたのはカナを倒してキンジとの関係を聞き出したいからか、はたまた神崎も成長してるという事なのか……

 それとも『無理』だと言われたから意地になってるのか。

 ま、どれでもいっか。

 ようやく見えるくらいに白い煙幕が晴れていくと同時に、カナは目を細め、蘭豹は鋭利な視線で射抜いてくる。

「くぉらッ白野! 決闘に水差すなや!」

 未だに残ってる煙幕の向こうから縫うように視線が射抜き、蘭豹がそう私に怒鳴り散らしてくる。

 そんな蘭豹に私は立ち上がり、顔を見上げて1つ要望をする。

「先生、神崎さんと一緒に参加してもいいですか?」

「あん? 何を言うとんのや」

「見てたらじっとしてられなかったんです」

 その後に口パクで、

『このまま終わるのももったいない気がして』

 と言った。

 読唇術で読み取った蘭豹が、少し驚いた顔をしてから考えるように顎に手をやる。

 このまま戦っても神崎に勝ち目はない。

 蘭豹ほどの女傑(じょけつ)なら最初に動きを見ただけで分かるだろう。

 カナがそれほど実力を出してない事にも気付いてる。

 今日(こんにち)の武偵高でも教師を除いて珍しい本物の実力者が突然に現れた。

 このある種の貴重なチャンスを蘭豹が見逃す訳がない、それに教師以前にカナの事を個人的に気になっていそうだしね。

 それからポニーテールを揺らし、ニヤリと蘭豹は口角を上げる。

「ええやろ……ただし、無様な姿見せたら(しご)き直したるからな」

 彼女は私の提案に乗った。

 私の言葉に一理あると思ってくれたみたい。

 キンジはと言うと私を見て呆然としている。

 そりゃ止める筈の人間が飛び入り参加したら、なんでなんだ? って言う感じにもなる。

 そんなキンジに私は視線を合わす。

 向こうも私の顔をしっかりと見たところで、

『私を信じて』

 と唇だけを動かして伝える。

 いつもの笑みを浮かべながら、たったそれだけ。

 キンジは難色を示す顔をして答えを出すのを迷ってる感じ。

 しかし、キンジの答えが出るまで蘭豹が待ってくれる訳もない。

「と言う訳や、2対1になるが……問題ないな?」

「ええ、別に構わないわ」

 拒否権の無さそうな蘭豹の確認にカナは興味なさそうに平然と返す。

 ――表向きは。

 西部劇のガンマンがやるような銃を抜こうとする(わず)かな指の動き。

 私を撃ちたい討ちたいって言う思いが見え隠れしてる。

 でも、殺気に敏感な女傑が見てる手前。

 妙な動きをすれば、すぐさま排除される。おまけにキンジも見てる。

 カナにとっては非常に微妙な状況だ。

 感情の板挟み。

 どこまで自分の本心を(いつわ)れるか、だね。

「仕切り直しや……始めッ!!」

 蘭豹の持つM500が号砲を放つ。

 さーて、どんな風に演じようかな。

 

 ◆       ◆       ◆  

 

 蘭豹が掛け声と共に銃声を放つ。

 煙幕が完全に晴れない内に動いたのは霧だ。

 残ってる煙幕の塊の中に身を隠すとその中からさらに煙が湧き出る。

 おそらくはあの煙幕の中でまた発煙弾(スモークグレネード)のピンを抜いたんだろう。

 アリアも素早く立ち込める煙幕の中へと身を隠す。

 そこでようやく本格的に()り合うんだと言う事を理解した。

 何故だ……

 カナに関してもそうだが、霧の行動が理解できない。

 俺じゃカナを止められない。

 そんな事は分かってる。けれど、あいつら2人でもカナに――兄さんには勝てない事を俺は知ってる筈だ。

 それを分かっておきながら黙って俺は何を送り出してるんだ。

 あいつは最後に『私を信じて』と声に出さず綺麗な唇を動かして言った。

 信じてやりたい、が……この場面でどうするのが正しかったのか俺には分からない。

 ただ、黙ってこの闘いを見ているしかない。

 そうしている内にもカナの周りは白い煙の壁が反り立つ。

 角度的に何とかカナの姿が見えるが……アリアと霧の姿は未だに見えない。

 一体あの煙の中で何をしているのか皆目見当がつかない。

 カナへと飛び掛かるタイミングでも見計らっているのだろうか?

(だとしても――)

 そう心の中で呟きかけた時に、カナの両脇から煙の塊が飛び出す。

 2本の刀を交差させ突っ込むアリアと右手で逆手に持ったサバイバルナイフをカナの腹に突き立てるように霧が迫る。

 完璧な挟撃。

 だけどカナは視線を素早く左右に動かした次の瞬間には何故か長い三つ編みの髪揺らすとアリアの刀は弾かれる。霧のナイフは振られる前に手首を抑えられた。

 すぐに霧はナイフを手放し、落ちたナイフを左手で握ったかと思うとそのまま安全装置(セーフティ)のついた刃がカナへと再び向かう。

 しかし、その刃はカナに届くことはなかった。

 右手の人差し指と中指に挟まれた刃――二指真剣白羽取り(エッジ・キャッチング・ピーク)

 それは()しくも、ジャンヌの時に俺が使った技だ。

 ヒステリアモードでなければ出来ない離れ(わざ)だが、俺に出来て俺以上にヒステリアモードを使いこなすカナに出来ない道理はない。

 霧はすぐに次の動きに移ろうとしたが、カナの方が速い。

 左脚で軽く霧の足を払って浮かしたかと思うと、そのままカナは霧をアリアの方へ投げ飛ばした。

 弾かれた体勢からアリアは硬直し、次のアクションが出来ない。

「くっ――!」「……っ!」

 2人はそのまま煙の向こうに(まと)めて飛ばされ、消えた。

 直後にズザザザ、と砂を滑る音がする。

 どうやら音から察するに霧を受け止めて踏みとどまったらしい。

 ――バッ!

 と思ってると間髪入れずに大きな煙の塊がカナの頭上を飛び越える。

 そして煙がちぎれ空中に現れたのはグロック18を持って、逆さになってる霧。カナの背後に2丁のガバメントを構えたアリア。

 これまた2方向から攻める形となった。

 グロックとガバメントの銃声が同時に鳴り響くが、カナはその前に煙の中にいち早く飛び込んだ。

 当たり前だが、カナが霧の作りだしたこの煙幕を利用しない手はないだろう。

 しかし、この煙幕はカナの手の1つをほとんど封じている。

 いかに不可視の銃弾(インヴィジビレ)と言えども対象が見えなければ撃ちようもない筈だ。

 煙幕が張られてから今までカナが発砲してない事からの予想だが、だいたいあってるんじゃないだろうか。

 カナが煙に逃げ込む事を当然とばかりに予想してたのか、霧とアリアは一瞬で合流しカナの逃げた方へと突っ込んだ。

 …………。

 ………………。

 なんだ、一気に静かになったぞ。

 これじゃあ一体どうなってるか分からない。

 もうじき煙幕も晴れそうだ。

 その瞬間に人影が2つ、同じ方向に煙幕から飛び出した。

 真正面で対峙するように出た2人。

 俺から見て左端にカナ、アリアの順番。

 一緒にアリアと飛び込んだ筈の霧がいない?

 疑問を覚えると同時にアリアの横から弾丸のように飛び出した霧がナイフを構えて迫る。

「ありゃ……?」

「――!」

 アリアを見た霧は困ったような声を上げながら滑るように止まり、アリアも目を見開く。

 ……反応からして何か予定が狂ったのか?

 何にしてもカナの正面に2人仲良く並んでしまっている。

 完全に補足された。

 思わず俺はICキーの扉を開け放つ。

 次の瞬間にドン、とすぐさま霧はアリアを突き飛ばす。

 

 パパパパパァーン。

 

 そして、見事に霧だけがカナに撃たれた。

 霧は咄嗟(とっさ)に背中を向けたことで腹部への直撃は免れたみたいだが、それでもダメージはでかそうだ。

 そんな光景を目にして俺はどうしようもなく(いきどお)りを感じる。

 もうこれ以上はいいだろ……!

 何の意味があって戦ってるんだ!

 俺はカナの前に立ち塞がろうと駆けてる途中、

「やれやれ、降参降参」

 痛そうにしながらも両腕を上げて霧はそんな風に白旗を振った。

 その言葉に誰しもが唖然(あぜん)とする。

 俺の足もつい止まった。

「あんた……何を、言ってるのよ……!?」

 食いかかったのは蘭豹ではなくアリアだ。

 突き飛ばされたからか、立ち上がろうとしながら霧を睨み上げる。

「これ以上は限界と判断したまでだよ。現に立ち上がるのもやっとみたいだし」

「まだ、あたしは……やれるっ!」

「そうは言っても神崎さんは動きが鈍ってるし、2対1でこの実力差……見極めも大事だよ」

 と、霧は遠回しにアリアに敗北を認めさせようとしてる。

「だったらあんただけ下がってなさいよ!」

 対してアリアはまだやるつもりらしい。

 何をそんなに意地になってんだよ……!

 これ以上は見ていられない。

「もういいだろアリア! これ以上やって何の意味があるんだよ?!」

 カナの銃弾がアリアに届かないように2人の間に割り込みながら言う。

「意味なら、あるわよ……!」

 そう言いながら立ち上がるアリア。

 それを見て霧はにこやかに微笑みながら困った顔をすると言う器用な表情で正面からアリアに近付き、

「ほいっ」

 軽くアリアのこめかみあたりをコツコツと叩いた。

 すると、力を失ったように霧の方へと倒れた。

「お、おい……アリア?」

 俺が思わず近くに寄って見るとアリアは気絶していた。

「ああ、脳脊髄液(のうせきずいえき)を揺らして気絶させただけだよ」

 霧はそう説明するが……何だよそれ。

 傍目から見ても特別な事をしたようには見えないが、あんな事で気絶させられんのかよ。

「けっ、せっかくの酒がマズくなってもうたやないか」

 蘭豹がガラスの衝立から降りてきて、不機嫌そうな……

 いや、不機嫌そうなじゃなくて不機嫌な顔をしてこっちへやってくる。

「おら、お前ら散れ! 3秒以内に散らんかったら撃ち殺す!」

 その蘭豹の言葉に蜘蛛の子を散らすがごとく、みんな手馴れた感じで静かに出ていった。

 いきなりの展開。

 思わずカナを見ると――

「……んっ……ふあ……」

 手を口元にやってあくびをしていた。

 先程までの闘志は微塵もない。

 おそらくは『あの時期』が近づいてるんだろう。

 それからそのままカナは背中を向けて去ろうとしたところで一瞬だけ横顔をこちらに覗かせる。

 何かを睨むように少しだけ目を細めて、すぐに歩みだした。

 何だ、今の……?

最初(ハナ)からこう言うつもりやったな、白野」

 こっちはこっちで霧が蘭豹に顔を覗き込むようにして睨まれている。

 最初から……?

「えへへ」

「下手な誤魔化し笑いすんなやアホ」

「でも、あのままだと神崎さんは先生が何を言っても聞かなかったと思いますよ?」

「そん時の心配をお前がせんでええんや、ボケ。教育にええ見世物として続けさせても問題なかった所をホンマに水差しよってからに」

「ちょ、ちょっと待てよ。あのまま続けてたらアリアは死んでたかもしれないだろうが!」

 蘭豹の言い草に俺が食って掛かると、豹のような鋭い目を俺に向けてきた。

 思わず身震いする一瞥(いちべつ)をしたあとに再び霧へと目を向ける。

「おい、白野」

「ああ、はい。完全に昼行灯(ひるあんどん)です」

 いきなり何故か霧に(けな)された。

 それから蘭豹が呆れたような目を向けながら、酒を飲んで言う。

「遠山……死んでたかもしれんとかほざいたが、あの(アマ)は始めから殺気なんぞカケラもなかったやろうが」

 カナに、殺気がなかった……?

 その言葉に俺はいつの間にか出入り口に去って行くカナの後ろ姿を見る。

 武偵高の教師である以上、蘭豹の見る目は確かだ。

 嘘を言ってるようには思えない。何より、蘭豹はアリアと似た様な野生の獣じみた鋭い直感を持っている。

 それはいくら今みたいに酒に酔ってたとしても見事に当たる程のものだ。

 以前にも何度か見た経験がある。

「よくよく考えてみなよキンジ。さっきの決闘で殺気を振りまいてたら、先生が気付かない訳がないでしょ? それに、あの人がその気ならキンジがここに来る前に神崎さんはとっくにやられてるよ」

 確かにそうだ。

 カナがその気なら、霧の言うとおり俺が来る前に終わっていただろう。

 なら、何のためにカナはここに……?

 そんな疑問が浮かび上がる。

「ん……」

 意識が戻りかけてるのかアリアが小さく声を上げる。

 カナについての事は取り()えず横に置いておこう。

 それよりもアリアだ。

 俺は霧から渡されるようにアリアを背負い、闘技場を離れた。

 

 ◆       ◆       ◆  

 

 やれやれ、イマイチな茶番劇になっちゃったかな?

 立ち位置を見せるつもりで飛び込んだけど……あんまり見せられなかった感じだね。

 キンジがアリアを背負い、そのまま救護科(アンビュランス)へと先に行った。

 私は後から行く事を告げて一旦救護科に向かう途中の廊下で別れた。

 廊下の先の角を曲がる所で、理子が壁に背を預けて立っていた。

「その様子だと、観てたみたいだね」

「無茶するよね……全く」

「そう思うんなら止めればよかったのに」

「あそこで邪魔したらキーちゃん、機嫌悪くなるでしょ?」

 そこら辺は分かってるんだ。

 私は少し苦笑する。

「かもね。まあ、どっちにしろ結果は変わらなかっただろうけど」

「……ところで、どうしてカナちゃんは武偵高に来たのかな?」

「さてね。色々と確かめたかったんでしょうよ」

 神崎・H・アリアという人物、弟であるキンジの様子、そして武偵高での私。

 彼女(彼?)の事は後回しにして……

 そう言えば気になる事が1つあったね。

「ところで理子」

「なに?」

「昨日の続きはどうする?」

「……えぅっ!?」

 これまでに聞いた事のない驚愕の声と共に勢いよく壁と私から距離を取る妹。

 昨日の続きと言われてすぐに思い出したのか羞恥に染まった顔をする。

「あの……キーちゃんさ、最近思うんだけど。もしかしてそっちの"気"があるの……?」

「いや無いけど。ただ単に好奇心」

「嫌な好奇心だね……」

 すぐに私にその気がないと知って理子は呆れ顔になる。

 その後に何だか思い出した顔をする。

「そうだ。夾竹桃もジャンヌも捕まったことだし、一度会う事になってるんだけどキーちゃんはどうする?」

 ああ、それは会っておかないと。

 話したい事もいくつかあるし。

「同席させて貰うよ。連絡は後でお願いね。ちょっと神崎さんを見てくる」

「うん、分かった」

 そこで私と理子は別れ、私は道を引き返して救護室へと向かう。

 あれだよ。様子見って言うのもあるけど……私も無傷って訳じゃない。

 袖を(まく)って後ろ肩を見れば(あざ)になってる所がある。

 弾丸の直撃を受けた背中はもうちょっと酷いことになってるだろうけど、骨とか内蔵組織とかは大丈夫だから問題なし。

 言ってしまえば打撲で済んでる。と言っても金属バッドで思い切り殴られてるようなものだから、それで済んでるって言うのおかしな話なんだけどね。

 まあ、軽く冷やせばなんて事はない。

 さてと、キンジ達はどこの救護室に――

『おい、待て! 俺に八つ当たりをするな!』

『うるさいうるさいうるさい! あんたなんかどっか行きなさい!!』

 すぐそばで聞こえる喧騒。

 どうやらこの救護室らしい。

「待てって言って――ぐおッ!!」

 慌てて扉から飛び出て来たキンジにコールドスプレーの缶が頭部にヒット。

 ちょうどよかった。

 冷やすものが欲しかったんだ。

 そのまま私の方に飛んできたスプレー缶をキャッチする。

「ご苦労様だね」

 こっちに気付いてない様子だったので私から声を掛ける。

「霧……」

「ん、どうかした?」

「………………」

 少し私を見て目を伏せたキンジ。

「ありがとな、止めてくれて」

 それから顔を上げて静かにそう言った。

「いいんだよ別にお礼なんて」

 遠慮とかそんなんじゃなくて、実際問題としてマイナス要素が多いし。

「それじゃ」

 キンジの横を通って私は神崎のいる救護室へと入る。

「一体何の用よ」

 入った直後、ベッドの上で体育座りしてる神崎が膝の間から睨むように見てくる。

 何の用って言われてもね。

「普通に自分の手当しにきただけだよ」

 近くにあったパイプ椅子を手に取り、背もたれを前にして座る。

「どうして止めたのよ……」

 それから細々とした声で問いかけてきた。

「力量差があり過ぎた。それに冷静さも欠いてたし、あのままじゃ日常生活に支障をきたす怪我にも繋がりかねなかった」

「あんなこと言われてッ……冷静でいれる訳ないでしょ! それにあんたが止めなければ勝つ方法はいくらでも――」

「あの見えない銃撃にも対応出来たって?」

「………………」

 何も言わないって事は、やっぱり"あれ"に対抗する手段が自分にはない事ぐらい分かってはいるんだ。

 ただ……その現実を受け入れようとはしてない。

 敗北が目に見えて分かっていても、拒絶している。

 こっちもある意味では板挟みになってる。

「上には上がいるもんだよ。時には退く勇気や、負けを享受する強さも持たなきゃ」

「あんたも、キンジと似たような事を言うのね」

「へー、キンジも言ったんだ。珍しい……。ま、それは置いておいてキンジも神崎さんの事が内心では心配なんだよ」

「……そう、なの?」

「どういう理由かは分からないけどね。でも、心配してるのは確かだよ」

 私の言葉に目を瞬かせて、何かを思い返してるような顔をする。

 さっきキンジに強く当たって追い出した事を反省してるのかな?

 しばらく考え込むような形で膝を抱え込む。

 それから私は軽く自分の手当をして神崎を残して救護室を去る。

 今回はこれで一段落って所かな。

 




遅れた理由? くされ戦記や久遠戦記が面白くてですね……
他にも色々と。
緋弾のアリア19巻を読んでたのもあるかな?

メヌエットはソフィーと会わせたら面白そう。

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