緋弾に迫りしは緋色のメス   作:青二蒼

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ついに、来た!

5巻の終わり、ではないですけど。

いやー、色んな二次創作を見てて思うのはこれから面白くなるところで何で音信不通になっちゃうのかって言うところなんですよね。
まあ、言ってる私自身がそうならないように心掛けてはいますが。

好きでやってる以上、熱が冷めちゃう事はままある事。それに現実問題、社会人は楽ではないですしね。
だからこそ、思う。あの人の作品が読みたいと。

注意事項

・ほぼ変化なし
・シャーロック戦は途中でカット




62:End of prologue

 

 アリアと一悶着(ひともんちゃく)あったが……何とか、アリアを説得する事が出来た。 

 その後、素直になったアリアが話すにはシャーロックはアリアに聖堂に残るように言った後、聖堂の奥の扉へと入っていったらしい。

 アリアが示すその扉を開けると、扉の先にはさらに重厚な鋼鉄の隔壁があった。

 そのまま歩みを進めて行くと、隔壁の前まで来たところでその隔壁が上下・斜め・左右に自動ドアのように開かれていく。

 まるでこちらに来いと言わんばかりに目の前に道が開けた。

 隔壁の向こうに続く道へと足を踏み入れると、床は排水口のような格子組み(グレーチング)の床へと変わった。あちこちで電子盤のアクセスランプが光り、ここは何かの機関部である事を臭わせる。

 さらに先には放射能を示すハザードシンボルが描かれた隔壁があり、その隔壁が何の警戒もなく開いていく。

 警戒しながらアリアと2人……さらに隔壁を抜けた先には――

(ウソだろ……!)

 大きい支柱が8本見えたかと思えば、それは――大陸弾道ミサイル(ICBM)

 こんなの弾頭の種類によっては大国1つを壊滅させる事も可能だぞ……!

 なるほど、イ・ウーを牛耳れば確かに世界征服なんて可能って言う話が現実味を帯びてきやがった。

 この光景と起こりうる最悪のケースのスケールの違いに背筋が凍りつく。

「なんでなの……」

 隣にいるアリアも同様に驚愕しているようだが、目の前の光景とは別の事に驚いているようだった。

「キンジ、あたし……ここを見た事がある」

 いきなり訳の分からない事を言い始めたアリアだが、精神が錯乱してる訳でもなさそうだ。

 視線がきちんと定まっている。

 ただ、ただ、驚いてるだけだ。

「アリア、それは既視感(デジャヴ)ってヤツじゃないのか?」

「違うわ……確かにあたしはこの部屋を知ってる……こんな事を言うのもおかしいけど、この部屋であんたと会った事がある……!」

「そんな筈はない。俺は、現にこの場所を知らないぞ」

 何せ潜水艦自体に乗った事なんてこれが初めてだ。

 俺が返答したと同時に、どこからともなく音楽が流れてくる。

 これは……歌劇(オペラ)か?

 音量が上がっていきモーツァルトの『魔笛』だと分かる。

「音楽の中には和やかな調和と甘く美しい陶酔がある」

 唐突に語られた哲学的な言葉と同時に世界最高・最強の名探偵様がICBMの影から蓄音機を持って現れる。

「それは僕達が身を置く、争い……混沌とは対照的なものだ。このレコードが終わる頃には、戦いは終わりを迎えるだろう」

 アンプに繋がれた蓄音機を足元に置きながら、シャーロックは静かに語る。

 それから鋼の床を踏み鳴らしながら数歩前に出て、愉快そうに微笑む。

「はは、もうすぐクライマックス……解決編と言う顔だね。だが、残念ながらまだまだ序の口。この音楽と同じように僕は序曲――『序曲の終止線(プレリュード・フィーネ)』に過ぎないんだ。何かの終わりは新しい何かの始まりだ。簡単に言えば、君たちの物語はこれから始まる」

「始まり……?」

「そう、始まりだよキンジ君。この言葉の意味はじきに分かるだろう。さて、それよりも――金一君が仕掛けようとした同士討ち(フォーリング・アウト)の罠のお味はどうだったかな?」

 その言葉に俺とアリアは横目を合わせる。

 なるほど……何もかも知ってたって訳だ。

 しかも、さっきの俺とアリアの銃撃戦を仕掛けたのはシャーロックだったらしい。

 だとしても、何が狙いだ。

 銃弾を減らすのが目的なら、見事にしてやられた訳だが……

 アリアは数発、俺の方は弾倉が2つ程度しか残ってない。

 今の俺ならば弾倉2つあれば並の犯罪者集団を制圧できるだろうが、相手は常人じゃない。

 弾倉2つ、ましてや銃が通じるかも怪しそうな男だ。

「曾お祖父様――」

 アリアは気丈に一歩、シャーロックの方へと踏み出した。

「私は貴方の思惑通り、この銃で貴方に立ち向かうであろうパートナーを追い返そうとしました。ですが、止める事は出来ませんでした」

 胸に手を当て明瞭にアリアは告げる。

「すみません、曾お祖父様。彼は……私がようやく見つけたパートナーなんです。曾お祖父様の事は敬愛しています。けれど彼に協力したい……でも、それはお祖父様と敵対する事になります。お許し下さい」

「アリア君。君は今、僕と言う存在を心の中で乗り越えたんだ。君は尊敬する僕よりも唯一無二のパートナーの方へと天秤が傾いた。まあ、その重さは僅差のようだがね。敵対すると言っても……躊躇う部分はあるだろう」

「はい。貴方に"命じられない限り"、私はこの銃を向ける事は出来ません」

「いいんだよ、アリア君。それでいいんだ。君は1人の特別な男性を理由に血の繋がった僕と敵対する事さえ決意したんだ。それは一種の成長だと、僕は思うがね」

 そう言いながらシャーロックはマッチでパイプに火を点けた。

「子供とは言え、君達は女と男だ。女心は僕の不得意な分野ではあるが、敢えて言うならば……女とは男にどれほど酷い事をされても憎みきれるものじゃない。極端な話だが『雨降って地固まる』と言うやつだね。君達は戦いを経て、より深く結び付いている事だろう」

 何やら俺とアリアの不得意分野について語り始めたシャーロックだが、1つだけ分かった事がある。

「何もかもお前の"推理"通りって事かよ」

「はは、こんなものは推理の"初歩"だよ、君」

 俺の言葉に愉快そうに答えるシャーロック。

「ですが、曾お祖父様。色々と分からない事があります。こんなのを尋ねるのは場違いかもしれませんが答えて頂けませんか?」

「勿論だよ。ただ、質問は1つだけだ。あれこれと答えては君達のためにならない」

 アリアは何を尋ねるつもりかは知らないが、シャーロックは快く答えるつもりのようだ。

「なぜ、ジャックなんかと一緒にいるんですか?」

 その言葉にシャーロックは、フムと言った感じにパイプを咥え直す。

 アリアからしてみれば一番にショックな出来事ではあるだろう。

 自分の敬愛する曾祖父さんが、ホームズ家と因縁のある名前のヤツと肩を仲良く並べてたんだからな。

「そうだね。少しばかり長くなりそうだから、無音の間奏と言う事にしておこう。本来なら曲を途中で切るなどないのだが」

 そう言ってシャーロックは蓄音機のレコーダーから針を外す。

「まず最初に言っておくとジャック君は僕が拾った子の1人でね。思い掛けない拾いモノだったよ」

 昔話を語るかのような、見た目30代の若さの割に年を感じさせるような哀愁をシャーロックは纏わせている。

「彼女の生い立ちに関しては僕としても推理できなくてね。だけど、彼女の正体は最近になってようやく推理出来た……が、それは関係ない話だね。質問に端的に答えるなら僕が拾い、彼女を"育てた"から一緒にいる。と、この解答ではアリア君……納得してくれないだろうか?」

「育てた……?」

「その通りだよ、アリア君。僕は彼女を娘のように思っている。彼女のおかげで僕は今日まで生きられた……それに、色々と助かってもいたよ」

 何か信じられないフレーズを聞いた気がする。

 ジャックを……育てた?

「お、おい! ちょっと待てよ! 育てたって……」

「そのままの通りだよキンジ君。本来ならホームズ家として恥ずべき事なのだろうけどね。だけど、僕は良かったと思っている」

 淡々と語るシャーロックは心なしか子供を自慢する親のような顔をしている気がする。

「こう言うのも何だがね、僕としては彼女とは仲良くして欲しいと心から望んでいる。娘とひ孫が争う姿を見るのは忍びない」

 と、いくらシャーロックを敬愛しているアリアでも承服しかねるような内容を言う。

「まあ、僕も無理にとは言わないがね。これからジャック君は君の姉弟子にあたる事になるだろう。"そう言う意味"でも、僕としては仲良くしてもらいたいのだが……」

「私には……分かりません。何故そこまで……」

 消え入りそうな声でアリアは呟く。

 確かに不可解だ。

 ジャックに(こだわ)ってる様にしか思えない言動だ。

「最初は僕もよく分からなかったが、正体を推理出来た時に合点がいったよ。まあ、それは……今後の楽しみとしよう」

 そう言ってシャーロックは蓄音機の針を戻し、再び音楽を流し始めた。

「君達の疑問は全て時間が解決してくれる。焦る事はない、『果報は寝て待て』と言うだろう?」

「だったらこれを見てもお前は焦らないのか?」

 そう言って俺は事前の打ち合わせ通りにアリアの側頭部に銃口を向けて、シャーロックに問いかける。

 その光景を見て、シャーロックは黙ってパイプの煙を(ふか)す。

「君、それは人質のつもりかい?」

 俺は銃口を向けたままアリアの背後へと回る。

「兄さんから聞いたんだ。シャーロック、お前の目当てはアリアなんだろう? それに、イ・ウーはアリアがいなければ仲間割れを起こすってな」

「でも、君は撃たない」

「言っとくが、俺はヤケクソだぜ」

 喋りながらアリアの影からシャーロックの見ている方向を盗み見る。

 どうやら、ちゃんとこっちを向いているようだ。

 こんな子供騙しな作戦で目の前の偉人を動じさせる事は無理だろう。

 だが……目的はそこじゃない。こんな三文芝居をやるのは、こっちにただ単に注目させるためだけだ。

「シャーロック、お前に贈り物がある」

 俺はポッケの中を探り、あるモノを取り出し、

「――兄さんからのな!」

 指で弾いた。

 次の瞬間、空中でアリアとシャーロックの間で弾ける閃光。

 ――閃光拳銃弾(フラッシュ・グレネード)

 兄さんが俺に託してくれた武偵弾の1つだ。

 これは銃で撃たなくてもこのように、従来のフラッシュ・グレネードと同じように手で炸裂させる事ができる。

 相手は最強の名探偵。

 正面からやったところで勝ち目はない。だからこそ、こうして無力化するしかない。

「い、今よ……キンジ!」

 その言葉に顔を覆い隠していた腕を自分の腕をどけると、アリアは俺を見ていた。

 が、どこか違う遠いところを見ている様子だった。

 まさか、こいつ――!

「お前、目を隠さなかったのか!?」

「あんたはあたしの背後であたしまで隠したら曾お祖父様にバレるでしょ!」

 そう言うアリアの目は焦点が合わないながらも俺に向かって叫ぶ。

 今の閃光で、一時的にだが……アリアは失明している。

「あたしは見たわ、曾お祖父様が閃光を直視したのを! だから、早く!」

 俺はすぐさまアリアから拝借した超偵用の手錠を手に取り、駆けた。

 が、すぐに足を止めた。

 いや……止めざるを得なかった。

 何故ならそこには、平然と立つシャーロックの姿があったからだ。

「うん、今のは知恵を回した方だね。しかし、推理不足だよ」

 悠然語るシャーロック。

 今の閃光を、一体どう言う風に回避したって言うんだ……

 いや、そもそも効いていた様子さえない。

「――そもそも"盲目"なのだよ、今の僕はね」

 そう言う、事か――!

 見えないなら、光を直視しても意味ないに決まってる。

「60年ほど前に毒殺されかけて以来、僕の目から光は消えた。これはイ・ウーのメンバーのほとんどが知りえない事実だけど、僕は見えるように振舞っていた。最初の頃は推理に頼っていたがね。人間、五感の1つが失われれば残りの五感がそれを補おうと発達するものらしい。おかげで僕の嗅覚や触覚、聴覚はそれなりに発達してね。今では空気の流れや音の反射で場所が分かるようになった。今こうして君が動揺して心拍数が上がっているのも、手に取るように分かる」

 クソ……無駄だったって言うのかよ!

 兄さんが託してくれた弾丸も、アリアが身を呈したこの作戦も、何もかも!

 瞬間、俺の中で何かがキレた。

 ああ、そうかよ……お前みたいな強者に小細工は通用しないっていう訳だ。

 だったら簡単な話、正面からやるしかないだろ。

「……キンジ、逃げなさい! 曾お祖父様はあたしから説得を――!」

「そう言う訳にもいかねえだろ……! 下がれ、アリア」

 俺の獰猛な言葉に肩を震わせるアリア。

 自分の中からヒステリア・ベルセの血が沸き立つ。

 普段の俺からは考えられない程に、今の俺は血気に(はや)っている。

「シャーロック、ここで決めるか」

「何をだい?」

「探偵と武偵、どっちが強いのか」

 ベレッタを片手に俺はアリアを護るように仁王立ちし、シャーロックの前に立ちはだかる。

「キンジ君、君は17年平和な島国で暮らしてきた少年に過ぎない。対して僕は150年、世界中の凶悪で強靭な怪人を相手にしてきた。そんな君が僕に決闘を挑もうと言うのかね?」

「ああ、そりゃ高名な名探偵様から見れば俺は未熟者だろうさ。Eランクで、留年の危機が迫ってる落ちこぼれだしな。だけどな……パートナーを置いて自分1人助かろうって程、小心者でもないし、腐っちゃいねえつもりだぜ」

 俺の精一杯の啖呵にシャーロックは満足気な表情をする。

「そんなにもアリア君が大事なんだね。いやはや、大変結構な事だよ。けれどもね――」

 コートを脱ぎながら彼は、

「しかし、僕は強者として警告したつもりなんだがね。君はそれを受け入れなかった、今歩もうとしている道がどんなに困難なものか君は分かっているのかね?」

「知った事じゃねえよ、そんな事は……ただ、武偵としての本分を――遂行するだけだ!」

 早撃ち(クイックドロウ)で1発、銃弾を放つ。

 シャーロックは持っていたステッキを正面に突き出して防いだ。

 先端に当たり、銃弾が弾かれる。

「シャーロック!」

 俺は続いて2発目の銃弾を叫びながら、放つ!

 今度は同じようにはいかない。

 シャーロックは今度も同じようにステッキで防ごうと銃弾を突くが、その瞬間に違和感からか僅かに眉を動かした後――

 

 ドォオオオンッ!

 

 爆炎に彼は飲み込まれた。

 そして、その余波が俺達を包む。

「きゃあっ!」

 反射的にアリアが俺に捕まる。

 俺も思わず腕を交差して、爆炎の熱さを僅かながらに防ぐ。

 なんつー威力だ。

 武偵弾の1つ、炸裂弾。

 まるでロケットランチャーでも発射したかのような威力だ。

 さすがのシャーロックもこれは推理できなかっただろうな。

 何せ、俺自身この威力は"想定外"だった。

 さすがに今ので死ぬ(タマ)じゃないだろうが……もしかしたらやっちまったかもしれない――9条破り。

 と、考えながらもシャーロックの様子を(うかが)おうと歩みだした瞬間、

「…………!」

 ビリとした刺激を肌で感じ取る。

 これは、悪寒。

 立ち込める爆煙の中から発せられるそれは、シャーロックが生きている証拠ではあるが……それ以上に。

 あいつの存在感が膨れ上がってるような、そんな感じがする。

 この感じ――

(どうなってんだよ……!)

 これは、俺達と同じ……ヒステリアモード!?

 一体、どうやって……なったんだ?

 その疑問が浮かび上がった瞬間に、すぐに答えは得た。

 シャーロックは寿命をもうすぐ迎えると兄さんは言っていた。

 もしシャーロックが死に掛けと言うのなら、これは死に際のヒステリアモード――今このイ・ウーの甲板で戦ってる兄さんと同じヒステリアモード・アゴニサンテ!

「――ここまでが『復習』だ、キンジ君」

 煙の中から現れたシャーロックは焼き焦げたコートを脱ぎ捨て、150年生きてるには似合わない鍛え抜かれた筋肉が俺の目に映る。

 初めて見た時から思ってたが、どう考えても爺さんって感じの肉体じゃないな。

 それに、よくよく考えればジャンヌやパトラと同じ超能力(ステルス)を使ってたんだ。

 ブラドの他人の能力を写し取る技術があれば、シャーロックがヒステリアモードを兼ね備えていても不思議はない。

 ここまでが復習って言うのはそう言う事だろう。

「ここからは『予習』の時間と行こう。何せ、僕はここでは古い仇敵と同じ役職――『教授(プロフェシオン)』の名を継いでいるのだからね」

 ズズ……ズズズズズと、シャーロックの言葉が合図だったかのように地響きがする。

 さっきの爆風の余波とは違う。

 この部屋自体が震えている。

 よく見てみれば、ICBMが稼働しているような雰囲気。

 すぐに発射される感じではないが、その準備は着々と進んでいるようだ。

 何だか、マズイ事がいっぺんに起きてる感じみたいだな。

 普通のヒステリアモードならここでアリアを連れて逃げるのが最善だと答えを出すんだけどな。

 それよりも俺は、ただ目の前にいるいけ好かないクソじじいをぶちのめしたくて仕方がない。

 二度と俺のパートナーに手を出すんじゃねえってな。

 野蛮だと我ながら思う。

 だが、ただただ戦いたいと言う感情が湧き上がって仕方がない。

 ――バキィィン!!

 白い煙を背にシャーロックは銃撃を受けて(ひび)の入ったステッキを床に叩きつけた。

 木片が舞い上がり、そのステッキは一振りの刀へと変貌した。

 どうやら仕込みステッキだったらしい。

 そして、その刀身は素人の俺でも直感的にただの刀じゃないと感じ取った。名剣だと一目で分かるような眩い輝きを放っている。

 ぼんやりとだが、授業の内容を手繰り寄せて思い出す。だいぶ使い込まれているが、あれは種類としてはスクラマ・サクスと言う片刃剣だろう。

「いい刀だな」

「――銘については聞かない方がいい、これは女王陛下から借り受けた英国の至宝だ。それに刃向かったとあっては、後々君達の一族が(そし)りを受ける事になる」

「興味はねえよ。どうせラグナロクとかエクスカリバーとかそんなんだろ?」

 デュランダルを持ってる聖女さんもいる事だしな。

 俺が適当にゲームでよく使われるようなネームを挙げると、シャーロックは驚いた表情をする。

 それから痛快そうに笑った。

「いや、君は大したものだよ。名探偵の素質がある。僕が保証しよう」

「案外適当なんだな、あんた……」

 多少呆れながらも俺は構える。

 同時に噴射炎が部屋を徐々に明るくしていく。

「どうやら時間はあまりないようだ。1分で終わらせよう」

 言いながら悠々とシャーロックは白い煙を踏み、こちらへ歩いてくる。

「奇遇だな、俺もそう思っていたところだ」

 俺も、シャーロックに向かってゆっくり近付く。

 西部劇のガンマンのように如何にも決闘と言う感じの緊迫感。

 それがお互いに5メートル程のところで――

 

 ――ダッ!

 

 爆発し、同時に駆け出す。

 シャーロックの刀が迫り、俺はそれをバタフライナイフで()なす。

 刹那――甲高い金属音を立ててかち合ったと同時にバチッ! と火花が散る。

 俺はバックステップと同時にズシャアと背中から滑り、すぐに体勢を立て直して膝立ちになる。

 今のは……雷か?

 間一髪で避けたが、手の痺れからしておそらくそうだろう。

 おまけにシャーロックが予習と言った時点で俺が知らない事をしてくるには違いない。

 気付けばいつの間にか、白い煙だけではなくこの鼻につくような湿った感じの白いモノ――濃霧に囲まれていた。

 完全に姿を見失った。

 途端に俺の肩を何かが撃ち抜く、思わずその痛みに顔を歪ませる。

 撃たれた――! かと、思ったが……撃たれた右肩の傷口に手を当てれば血ではなく水がついていた。

 と言う事は、今のはどうやら高圧の水を俺の肩に当てたらしい。

 ビックリ人間、ここに極まる……だな。

 水に雷に砂に氷、魔法使いかよテメエは!

 曲芸師か大道芸人でも転職したらどうだと言いたくなる。

 俺が心底から悪態を吐いていると、右足に激痛が走る。

 見てみれば(すね)に横一文字の傷がついていた。

 今のは斬撃か……?! だが、斬撃にしては重量感がなかった。

 鎌鼬的な、見えない風の刃にどうやら切られたらしい。

 足の痛みで機動力を奪われた俺に向かって白い煙の塊が近付いて来る。

 真っ先に顔を出したのは宝石のような刃の(きらめ)き――スクラマ・サクスの刀身が俺の左胸に迫ると同時にシャーロックの顔が見えてきた。

 すぐさま後ろに跳び、何とか左胸に刃が到達する前に――

 

 ギイイイイィィィンン!!

 

 何とか……切り結ぶことができた!

 が、思ったよりもスクラマ・サクスには重量があるのかそのまま重さとシャーロックの勢いに負けて俺は煙を連れて壁に叩きつけられる。

 背中の衝撃に思わず吐血する。が、すぐに目の前に意識を向ければ再び切っ先が迫っていた。

 フェンシングのように構えられ、風を切り裂くような鋭い突き。

 ――間に合え!!

 ガイン! と言う音が鳴ると同時に俺は目の前のシャーロックに向かってナイフを振るう。

 しかし、彼は跳び上がり鮮やかに後退した。

 間一髪、だったな…… 

 ベルセのおかげで通常のヒステリアモードよりも速く動けた……左胸に刃が突き刺さってる何て事にはならなくて良かったぜ。

 俺は自分の左脇に当たっているスクラマ・サクスを見る。

 どうやら防弾ベストとシャツを貫いて、壁に縫い付けるように刺さっているようだ。

 それを抜き取ったところで俺は、痛みを覚える。

 チクショウ……これは、肋骨をやられたか。

「キンジッ!」

 どうやら、視力が少しは回復したらしいアリアがこちらに心配そうな表情を向けている。

 俺は『大丈夫だ』と言う表情をアリアに向けながら立ち上がる。

 今の一瞬、俺がナイフを振るった瞬間にシャーロックは剣を手放す事を躊躇(ちゅうちょ)しなかった。

 大した判断力だよ。

 流石は、武偵の原点なだけはある。

 しかし、優勢にも関わらずシャーロックの表情は固い。

「どう、やっている?」

 その言葉に俺は、

「何がだ……?」

 と尋ねる。

「このオペラが独唱曲(アリア)に変わる前に、君を沈黙させるつもりだったのだがね。君は僕が推理したよりも長い時間を戦い抜いた。おそらくは、HSSの上を行く反射神経で……それが、僕の推理――『条理予知(コグニス)』をも狂わせているんだよ」

 ……そうか。

 どうやらシャーロックは、アゴニサンテや通常のヒステリアモードを知っていてもベルセについては知らないらしい。

 知らないものを推理する事は不可能だ。

「つまるところ、君は僕にとって数少ない推理を仕損じた人物と言う事だよ。君は、賞賛に値する人物だ」

 自分の思い通りに行かなかったって言うのにシャーロックは痛快そうに、嬉しそうに微笑む。

「俺はあんたに認められる程の男じゃないさ。ちょっと頭が悪くて乱暴な学校の一生徒に過ぎないんだよ、俺は」

 言いながら俺は持っていたナイフを手の中で回して、ポッケの中へ仕舞う。

「――何故、武器を収めるのかね?」

「待っててくれたんだろ?」

 俺の言葉にシャーロックは、キョトンとした顔をする。

「あんたは、俺を攻撃するチャンスは何回もあったはずだ。それをしなかったって事は、待っててくれたって事なんだろ?」

 さっき俺が濃霧に囲まれてた時、高圧の水に撃たれた時、風の刃に体勢を崩した時……少なくとも機会は何回かあったはずだ。

 それを追撃や奇襲ではなく、正面から切り結んで来たって事はそう言う事なんだろう。

 本来なら、こんな余裕をかませる程に俺は強い訳じゃない。

 だけど……このまま敵に貸しを作りたくないのが本音だ。

 それに、貸し借りは返済する時期を見失うと延々と貯まっていくからな。

 連想して霧の顔が思い浮かぶが、今は考えないでおこう。

「ともかく、これで貸し借りはなしだ」

 そう言って俺はスクラマ・サクスをシャーロックへと投げつける。

 それを受け取った瞬間にシャーロックは恥ずかしそうに顔を赤くし、頬を掻く。

 何だか似てるな、俺にからかわれた時のアリアに……血の繋がりを感じさせる。 

「いやはや、君は大した快男児だよ。君自身は否定するだろうが、それでも僕としては君を賞賛するよ。こんな気持ちになったのはライヘンバッハ以来だよ」

「これはバッハじゃなくてモーツァルトだろ」

 流れる独唱曲(アリア)に耳を傾けながら答えると、シャーロックは小さく吹き出した。

 そう言う意味分からん笑いのツボもアリアに似てるな。

「ふふ、こう言うのも何だがね。僕は君が気に入ったよキンジ君。ジャックが君を見て退屈しないと言うの頷ける」

 ……おい、何か今名探偵様の言葉からとんでもない事を聞いた気がするんだが?

「戦いの中で不謹慎だとは思うがね……ここからは君に敬意を払い騎士道精神に(なら)ってボクシングといきたいところだが、残念ながらこの独唱曲(アリア)は僕の最後の講義を知らせる合図なんだ」

 その言葉と共に、シャーロックの体から異様な緋色の光が漏れ出す。

 これは……! さっきアンベリール号で見た、アリアが纏っていた光と同じ!?

 それは段々と輝きを増して行き、後光のようにシャーロックの体を包み込む。

「――僕がイ・ウーを統率できたのはこの力があったからだ」

 それからシャーロックは語り始める。

「だけど、僕はこの力を不用意に使わなかった。何故なら『緋色の研究』――緋弾の研究が未完成だったからね」

 言葉を続けながらシャーロックは銃を1つ取り出す。

 ――アダムス1872・マークⅢ。

 かつての大英帝国陸軍が使用していたダブルアクションのリボルバーだ。

「緋弾を撃てるのか? お前も」

「キンジ君が言う緋弾とは、別の現象のことだろう。おそらくは、古い日本の言葉で『緋天・緋陽門』と言う緋弾の力の1つに過ぎない」

 言いながら、リボルバーの弾倉から1発しか入ってなかったであろう弾丸をシャーロックは見せる。

「これが、『緋弾』だ」

 見せられたのは淡く、薔薇のように、炎のように情熱的に輝く緋色の弾頭。

 あれがただの弾丸ではない事は明白だ。

「緋弾と言葉の通り、これは弾丸の形をしているが……形は何でも良い。これは日本では緋々色金と呼ばれる金属なのだからね。峰・理子・リュパン4世が持っていた十字架(ロザリオ)も同族異種で極微量の色金を使用しての合金だ。イロカネは、僕らの想像を越える超次元の物体だよ。それこそ普通の超能力が霞み、児戯(じぎ)に思えるような『超常世界の核物質』なのだよ」

 ……どうやら詳しくは分からないが、色金とやらは常人を簡単に超能力者に変化させる事が出来るようだ。

 十字架をもっていた理子がその1人。

 だが、分からない。

 パトラと戦ってた時に何故アリアが今のシャーロックみたいな緋色の光に包まれたのかが、分からない。

 アリアの持ち物にはあんな緋色のモノは無いはずだ。

「いずれにしても、世界は新たな戦いの局面を迎えている。それこそ……銃が発明されて戦い方が変わったように、核が生み出された時のようにね。イロカネは既にその存在を多く知られ、様々な国、機関でも極秘裡に研究が進められている。僕の『緋色の研究』のようにね。僕の祖国――イギリス、そしてアメリカはもちろん、ロシア、中国、日本。アンダーグラウンドな機関ではイ・ウーだけではなくイギリスの有名な"あの結社"、バチカンやCIA、アジア大陸北方のウルスに、日本では宮内庁の星伽が――いや、これは少々口を滑らせすぎたか。

 国を上げてイロカネの研究、監視をするケースは枚挙(まいきょ)(いとま)がない程だ。

 僕のように高純度・大質量のイロカネを持つ者は常にお互いのイロカネを狙いつつも、その超常の力に手出しが出来ないでいる」

 シャーロックは先程の緋弾を籠め直し、

「だが、この緋弾を使うのは後にして……君の見たものをもう一度お見せしよう」

 そう言ってシャーロックが輝き始めたかと思うと、人差し指をこちらに向ける。

 緋色の光がシャーロックの腕に螺旋を描いて、その人差し指に集まっていく。

 ――これは!?

「君が見たのはこれだろう?」

 そうだ。

 パトラの時と同じ、アリアがその指先に集めていた光だ!

 あのピラミッドの一部を丸々(えぐ)りとったかのような一撃を、こいつも撃てると言うのか?!

 マズイ……マズイぞ、これは……!

「……キンジ……なに? 何が、起きているの……?」

 アリアはまだ視力が完全に回復していないのか、今の状況を把握できずにいる。

 ただ優れた直感で何か恐ろしい事が自分の身に迫っている事を察知しているようだった。

 そう俺が理解した次の瞬間、アリアの体も光だした。

 シャーロックと同じように緋色に。

 それはパトラの時と同じように指先に緋色の何かが集まり、シャーロックのよりは小さいが太陽のように輝き出す。

「え……なに、これ……?」

 どうやら光の明暗は分かるらしく自分の体に起きた異変に気付いている。

 アリアの言葉の中には混乱と同時にどこか恐怖心が混じっていた。

「アリア君。これは『共鳴現象(コンソナ)』と言う一種の連鎖反応だよ。2つの音叉(おんさ)のうち片方を鳴らして近付けるともう片方も共鳴し、鳴るのと同じように大質量のイロカネを持つ者同士は片方が覚醒するともう一方も覚醒するのだ。いや、音叉は2つではなく……"3つ"だろうけどね」

 そう言ったシャーロックはどこか遠くを見つめていた。

 何かを(うれ)い、娘を心配する父親のように。

 

 ◆       ◆       ◆  

 

「――がふっ!」

 目の前で吐血する金一。

 もう、満身創痍(まんしんそうい)と言った感じだ。

 心臓付近を撃ち抜かれた上でよくもまあ、ここまで戦えたもんだね……

「そろそろ、病院でも行くかね。幸いにも目の前に無免許の医者がいるが」

 と言っても、そこらの医者に引けは取らないと自負してるけどね。

 私からの提案に金一はニヒルな笑みを浮かべ、

「悪いが、地獄からの誘いならお断りさせて貰おう」

 私を死神だと言いたげな皮肉を返してくる。

 やれやれ……意地って言うヤツかね。

 キンジに似て逆境の中で情熱的と言うか、熱くなるんだから。

 そう思っていると、私の体が唐突に光り出す。

 それは段々と輝きを増して行き、色が付き始め、やがては淡い緋色へと変わっていく。

 どうやら、そろそろ序章は終わりみたいだね。

 同時にお別れの時が近付いて来ている。

「どうやら君との楽しい舞踏会もこれで一度お開きのようだ」

 私は気障(きざ)ったらしく別れの言葉を紡いでいく。

 それよりも金一は私を見て驚愕しているようだった。

「お前……まさか――」

「ああ、見ての通りだ。私は"保有者"だよ。もっとも、勘のいい人物には既に知られているだろうけどね」

 まあ、上には上がいると言うヤツだね。

 いくら見た目を誤魔化せても私の中にあるモノまでは隠しようがない。

 そもそも変装は、そう言った意味も含んでたんだけどね。

 楽しみでもあるのは否定しない。

 最初はこのイロカネに振り回される日々だったよ。

 制御の仕方が分からず、誰彼構わず襲っては殺し、お父さんがいなければ危うく体を乗っ取られるところだった。

 今でも何て言うか、声が聞こえるんだよね。

 それにお父さんの話だと私の殺人衝動はどうやらイロカネの副作用らしいし、五感と言うか身体能力が他人よりも高いのもかなりイロカネと同調率が高いが故の弊害(へいがい)らしい。

 まあ、弊害と言うよりは副産物っぽいけど。

「ああ、安心したまえ。別に知られたところでどうこうするつもりはない」

 むしろ知って広まったところで、ねえ?

 私を襲うバカがいるとはあまりいるとは思えないし。

 いや、むしろ襲ってきて欲しいかな?

 向こうから私の遊び相手になって来てくれるんだったら、大歓迎。

 まあ、生かして返す気はないんだけど。

 それに金一をこんなところで退場させるのはもったいな――忍びないし。

「それよりも金一君、君の望み通り……イ・ウーは今まさに崩壊しようとしている」

 その私の言葉と共にズズズと、地響きが大きくなっている。

 船体から何かが飛び立とうとしているのが分かる。

 しかし、お別れ……お別れか。

 偽りの顔で見送るって言うのも、何て言うか嫌だね。

 幸いにして周りは濃霧。

 見ているのは金一だけ。

 それに見られたところで正直減るもんじゃないし。

 私は躊躇いもなく、特殊メイクのマスクを破り捨てる。

 そしてシルクハットを取って頭を振り、自分の長いブラウンとピンクブロンドのグラデーションの髪を出す。

「だけど、忘れない事だね。これはほんの序章……終わりは新しい始まりなんだよ」

 私は素顔を出し、声も地声で微笑みながら語り掛ける。

「それが、お前の正体……なのか?」

「そうだよ。家族以外で素顔を見せるのは金一、君が初めてなんだからね」

 その金一の視線は驚愕と同時にどこか見とれているような感じだった。

 意外だったかな?

 まあ、男だと思ってのが女性だった何て普通にビックリするだろうけどね。

 ミサイルハッチが開き、乗り物であるICBMが飛び立とうとしている。

 そのままゆっくりと頭を出したかと思うと、ICBMは加速し始める。

 8つのICBMの内、その1つにキンジと神崎さんが張り付いているのが目に映る。

 あれにお父さんが乗っているのか……

 だけど、その姿は濃霧と噴射炎でよく見えない。

 と思いきや、上から何かが2つ落ちてくる。

 それを私は上に手を伸ばしてキャッチする。

 胸元に持っていき手にしたモノを見てみれば、それはお父さんが愛用していたパイプと一輪の白い薔薇(ばら)の蕾だった。

 そう言えばパイプは予備もあったね。

 白い薔薇には私宛の手紙? ではないね。

 ただ単に『Dear daughter(親愛なる娘へ)』と書かれている厚紙だ。

 この薔薇自体が手紙って訳かな?

 ふふ、何て言うんだろう……このくすぐったい感じ。

 どこかむず痒くて、でも楽しいとは違う。

 自然と笑みが零れそうになるこの感情は……

 でも、同時にどこか沈んだ気持ちも湧き上がる。

 これでお父さんと会えるのも最後。

 そう思うと、何て言うんだろう……少しだけ自分の世界に色が欠けたような感じ。

 パズルのピースが抜け落ちて、埋まらない穴が出来た感じ。

 私の中で今までなかったモノが生まれるような感覚。

 何かの感情なのは分かる。けど、それが何なのかは分からない。

 もどかしいもんだね。

 それと、こっちのパイプは私のお姉ちゃん――ソフィーに渡すものらしい。

 厚紙には達筆な筆記体の英語で名前が書かれている。

 そして私は手向けと、お返しの意味も込めて手にした白い薔薇を海へ投げる。

 それからすぐに金一へと目を向け、

「それじゃあ、次の舞台でまた会おうね」

 無邪気にそう言う。

 瞬間、イ・ウーの隣から何か大きな質量のモノが浮上したような水音を上げる。

 巻き上がった海水は、雨粒となってこちらに降り注ぐ。

「なんだ、アレは……!?」

 濃霧の中から見えるシルエットに金一は呆然とする。

 それは船だった。

 イ・ウーと同じくらいの大きさの潜水艦。

 魚のようなフォルムをしたそれは、ゆっくりと私達の目の前を横に移動する。

「それじゃあ、私はこれで失礼するよ。今度は欲望が渦巻く戦役の中で会おうね♪」

 それだけを言い残して、私はその潜水艦へと跳び移る。

 

 これからが第1幕の始まり、今はこう心の中で言ってあげよう――『緋弾のアリア』、君の物語はこれからだよ。

 

 プロローグは終わりなんだ……これからは私も、もう少し表に出てもいいよね? お父さん。

 

                        The End of JUST a Prologue!!

 




さて、少しだけジルちゃんの生い立ちに関して分かった訳ですが……
うむ、何か他の伏線にもう勘付いてそうな人がいそうだ。

自分としては正直なところ不安なんですよね続けられるかどうか。
まあ、それは置いておいて。

次回からは、原作では夏休みと言う事で色々とオリジナル要素を盛り込みたいかなーと考えています。
もちろん、原作から離れない程度には。

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