緋弾に迫りしは緋色のメス   作:青二蒼

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注意事項

・グロ有り
・砂糖成分あり



72:雨のち晴れ

 

 神社には会社と同じように本社と支社がある。その支社にあたるのが分社だ。

 星伽ほどの神社ともなれば分社と言ってもそれなりに大きい。

 京都の分社に着いた頃には随分と空も夕方くらいには明けてきた。

 車から降りれば濡れたアスファルトの匂いがする道から、待機していた寵巫女(めぐみみこ)――星伽に仕える、幼い巫女達――が、レキを用意していた担架で運んでいく。

 俺、白雪、霧、ハイマキ、そしてタクシーで俺達に数十秒遅れて着いたジャンヌは、彼女らに続いて神社へと続く階段を登る。

「……遠山、ここはまるで城のようだな。ここならレキを街中の病院に搬送(はんそう)するよりは安全だろう」

 ジャンヌは周囲に冷静な視線を向けながら言う。

「ああ。俺も来る(たび)に思うが、星伽の神社は他の神社とは違うんだ」

「まるで(とりで)だよね」

 霧の言う通り、まるで砦だ。

 俺達の眼下にはちょうど俺達を乗せた2台の車が厩車殿(ガレージ)へと入って行くのが見えた。

 そこには車だけでなく川崎重工の偵察ヘリ『OH‐1』――通称『ニンジャ』――が、格納されている。

 この分社は小山の上にあり、周りは杉の木で囲まれているため狙撃手は下の方しか陣取るしかない。

 さらに鳥居以外に自由に出入り出来る場所がなく、周囲には武家屋敷のように塀で固められている。

 何にしてもこれなら本殿の内部を撃つ事は出来ない。

 鳥居の下には、先に到着した風雪や武装巫女達が守りを固めている。

 ココ達も下手に追撃は出来ないだろう。シェースチが懸念事項だが……あいつは負傷してるし、おそらくは攻めて来ないだろう。

「こっちだよ、キンちゃん」

 俺達は白雪に案内されて、救護殿と呼ばれる和風の医務室的な場所へと案内された。

 既に一室には運び込まれたレキと、ふちなしメガネを掛けた女医がその傍にいた。

「ほう、随分と派手にやられたな。血液型判定・交差適合試験(クロスマッチ)、分かり次第すぐに輸血の準備や」

 負傷状況を既に確認したらしい女医はナース達に指示を飛ばしていく。

 どうやら女医は拳銃を腰に下げているあたり、衛生武偵(メディックDA)らしい。

 衛生武偵とは、簡単に言えば衛生兵みたいなものでこうした事件などで負傷した武偵や民間人を救護する武偵だ。一般の救急隊員では近付けない武力的に危険な区域で活躍する。

 東京武偵高でもそんな武偵を育成する専攻科があり、それが衛生科(メディカ)だ。

 隣で霧は唐突に息を吐き、

「心配なのは分かるけど、休んだら? 暗い顔が余計に酷い顔になってるよ?」

 からかいながらも真面目な口調でそう言ってきた。

「――助かるよな? レキは……」

「…………助かるよ、私が保証する」

 少し間を空けて俺の目をようやく見て霧は言った。

 安心させるように微笑みながら、自信を持った目で言ってくれた。

「あの女医さん、かなり手馴れてるね」

「うん、霧さん。あの人は星伽の嘱託(しょくたく)医さんなの。京都でも一番の名医さんだよ。たまに変わった事を(おっしゃ)るけど」

「聞こえたぞー白雪ぃ」

 などと言いながらも女医の手は慣れた感じで動かしている。

 きっと普段から負傷した武偵を見ているのだろう。

 そう思わせるくらいに自然に動いている感じだった。

 素人の俺が判断出来るくらいに、彼女は名医なんだと分かる。

 誰に言われるでもなく、ここからはプロの仕事で俺は無事に治療が終わるのを待つしか出来ない。

「私も手伝おう。これでも汎欧州医療免許(パンユーロピアン・アイギス)看護助手(アシステント)資格を持っている。多少は助けになれるはずだ」

 と、ジャンヌは手際よく医療用のエプロンや手袋をし始めた。

 お前……そんな資格持ってたんだな。

 俺の隣でハイマキはレキを見守るようにその場に伏せ始めた。

 同じように負傷してるハイマキの治療をしようと巫女達が近付くが、その場を動く気配がないハイマキをそのまま治療し始めた。

 お前も心配なんだな。

「それじゃ、私は鳥居で警護でもしてるよ」

 霧は足早にその場を去ろうとする。

 そうだ、霧に聞かないといけない事が――

(……うっ)

 声を掛けようとした瞬間、何かが切れたような感覚。

 何だ? 視界が、かた……むい――

「キンちゃん!?」

「……遠山!?」

 白雪とジャンヌの声が遠くに聞こえて、俺は真っ暗な海に沈んでいく。

 

 ◆       ◆       ◆  

 

「キンちゃん!?」

「……遠山!?」

 白雪とジャンヌの声が響く。

 振り返れば、キンジの顔が私の胸に飛び込んできた。

「おっと」

 思わず後ろに下がりそうになるけどそこは踏み留まる。

 この脱力した感じ……完全に失神してる。

 だらんと垂れた腕に沿うようにドラグノフが落ちそうになるけど、それをキャッチしてキンジをゆっくり地面に近付けて行く。

「キンちゃん……! キンちゃん!!」

 叫びながら近付く白雪、いや……ホントに近いよ。

 キンジどころか私の顔に迫る勢いに思わず、チョップ。

「ていッ」

「きゃん!」

「落ち着いてよ、失神してるだけ。きっと緊張の糸でも切れたんでしょ」

 言いながら私はキンジを仰向けにして寝かせる。

 まあ一応、脈とかは見ておこっかな。

 軽く首筋に指を当てて……脈はよし、息は、大丈夫だね。

 やっぱり失神してる。

「白雪さん、空き部屋を用意して。キンジを運ぶから」

「う、うん。すぐに担架も用意するから」

 パタパタと白雪がすぐさま走る。

 全く相変わらず世話が焼けるんだよね。

 

 

 キンジを空き部屋に運び込んで、付き添いの巫女達に着替えをさせてベッドに寝かせた。

 白雪は最初、キンジの着替えをやろうとしたけど他の巫女達にさり気なく誘導されて部屋の外へ。

 理由は、うん……何となく分かる。

 しかし分社だけど白雪の対応に手馴れてたね、あの巫女達。

 きっと経験豊富な人なんだろう。

 白雪はそのままキンジの傍にいたいらしく、部屋の扉の前で守るように正座し始めた。

 相変わらずのキンジ愛だね。

 しかし、惜しかったなー……結構、いいところまで追い詰めてたっぽいし。

 もう少し発見が遅れてたら手遅れでなし崩し的にあのウルスの人形姫が死んだのに……

 私が2人を発見した時には白雪にもホトギアゲハによって見つかってたから、あの場で介入してリリヤを逃がした。

 じゃないと本格的にリリヤが捕縛される可能性があったから仕方のない事なんだけれども。

 ――やっぱり、私が直接解体(バラ)してあげれば――

 …………。

 …………………。

「……はあ」

 思わずため息。

 最近、思考と意識がちょくちょく引っ張られる。

 お姉ちゃんからはダメって言われてるのに。

 本当にどうにかしないと。

 やっぱりキンジで遊ぶのが安定する気がするんだよね。

 でも、当の本人は気絶中。

 それに私としては今、キンジとはあまり話したくない。

 遊びたいけど話したくない。

 何だろう、この気持ち。

 こんな複雑な気持ちになったのは初めてかもしれない。

 ただハッキリしてる事は、キンジの隣にいる人形が気に入らないって事だけ。

 運悪く死んでないかなー、と言う淡い気持ちを持って救護殿に立ち寄る。

 そのまま治療中により封鎖されている扉の前へと立つ。

 まあ、中は見れないんだけどね。

 そのまま扉の傍に座る。

 ああ……あとで理子に連絡をしとかないと。

 突然、妹が腕を無くして帰ってきたら気が動転するだろうし。

 それはそうと、座ったら眠い……

 夜中にドンパッチ起きた上に捜索して、結局は朝になったからそれも当然なんだけど。

 ちょっと仮眠しよう。

 そう思って目を閉じて、そのまま意識を手放す。

 ……。

 …………。

 ………………。

 ――うん?

 いつの間に私、手術してる部屋の中に入ってるんだろう。

 周りも気のせいか暗い。

 もしかして夜まで寝ちゃったかな?

 取り敢えず電気は……これか。

 壁にあるスイッチを押せば、そこに現れたのは一面の赤。

 みんな赤色。

 さっきの女医も、巫女も、ジャンヌも。

 部屋自体がほとんど赤色に染まって、誰の臓器か分からないけど、とにかく内蔵が部屋の一角にまとめられたように積み上がってる。

 私はその光景につい肩を落とす。

 ……やっちゃったか~。

 仮眠なんて言って意識を手放したのは駄目だったか……夢遊病よろしく無意識に行動してしまったらしい。

 両手を見れば、赤色に染まってる。

 いや、当然なんだけども。

 取り敢えず……ぱっと見て負傷具合がマシそうな壁を背にして倒れてるジャンヌに近付いて見る。

「どうも~ジャンヌ? 生きてる~?」

 声を掛けてみても反応はなし。

 あれ? よく見たらこれ、四肢が離れてる。

 ……あーなるほど、人形っぽく繋がってるように見せてるだけか。

 無意識で器用な事してるね、私。

 と言う事は人形みたいに中身が見れちゃったり。

 そう思ってジャンヌの着てる医療用のエプロンをチラリと上げてみれば、うん、子供の大事なお部屋まで見えてる。

 さすがは私だ。

 だけど、聖女の末裔だから火炙(ひあぶ)りにすればよかったのに。

 そこは無意識だから考えられなかったんだろうね。

 まあ、こんな所でどうやってするのかは分かんないけど。

 肝心の人形姫さんはどうかと思ってベッドを見れば、どうやらこっちに手は出してないらしい。

 いや待てよ、布団で隠れてるだけかも。

 そう思って布団をめくってみる。

 やった♪ 手を出してなかった。

 お姉ちゃんからは止められてたけど、ヤってしまったものは仕方ない。

 だったらこの場で最後まで解体(バラ)して楽しんだ方がいい。

 そう思って私はすぐ傍にある医療用メスを取って、ウルスの姫の病人服の前面をはだけさせる。

 文字通り、人形みたいに白い肌。

 思わず指でなぞって感触を確かめる。

 うん、いい触り心地。

 中身はどこから確かめようかな♪

 あ、そうだ……銃弾は人の心を持たない、なんて撃つ時に言ってるから"心"があるかどうか確かめてあげよう。

 そうなると肋骨が邪魔だから、その下から裂いて――

「霧、お前……」

 声がして振り返ってみれば、扉の所にキンジ。

 信じられないと言った感じの表情。

 何を見てるのかも理解出来ない、言い表せない、反応出来ない。

 まさしく絶望を顔に出してくれてる。

 私は打ち震える、あの時と同じ。いや、金一が亡くなったと思った時以上の表情だよッ♪

 もし、ここでこの人形を解体(バラ)したらどうなるのか!

 どんな反応をしてくれるのか楽しみで仕方ない♪

 我慢なんてしなくていい……!

 私を満たして♪

 メスは勢いよく、肌の海の中へ――

 ………………。

 …………。

 ……。

「ん」

 心地よい目覚め。

 ぼんやりとして、すぐに意識がハッキリし始める。

 そして周りを見て理解する。

 夢オチ……か。

 いい感じの夢だったけど、所詮は夢。

 覚めれば手に残る感触も感情も霧散していく。

 リアルな夢だった。

 けれども余韻(よいん)には(ひた)らしてはくれない。

 何故なら夢だから。

 心地よく目覚めても後味は悪い。

 欲求は未だに満たされず、気分は晴れない。

 切り替えよ……今、何時かな?

 仮眠と思ってたけど結構ガチで寝てたみたいだし、時間も経ってるだろうね。

 携帯を見れば、時刻は正午近く。

 我ながら座ってよく寝てたもんだよ。

 しかし、夢の中まで"そう言う内容"になっちゃうあたり本格的にヤバいかもね。

 それはそうと、時間も経ってるしそろそろキンジは目が覚めたかな?

 外は……まだ雨らしい。

 何となしに私はキンジの所に行く前に鳥居の近くへと向かう。

 警護している白雪の妹である風雪、その近くへと。

「白野さま、どうかされましたか?」

 気付いた彼女が普通に私に話し掛けてくる。

 まあ、昨日宿泊して多少話してるからね。

 彼女から白雪に関しての愚痴を聞くくらいには親密度は上げてる。

 実際のところ、何て言うのかな? 姉妹はバランスが取れるように育つって事がよく分かった。

 白雪がおっちょこちょいな性格な分、その次女である彼女は落ち着いている。

 反面教師で育った感じがするよ。

「いいや……不審な影がないか、私も気になってね。それに暇ではなくても、退屈はしてそうだから話し相手になろうかなって」

「そんな、お気遣い頂かなくても大丈夫です。それよりも、お休みにならなくて良いのですか? 昨日、異変が起きてから山の中を単独で探しておられてお疲れなのでは?」

 私の事を心配してくれている。

 白雪の貴重な友達、と言う事もあってかそこら辺を配慮して彼女から色々と世話をして貰った。

「さっき寝ちゃってね。おかげで、睡魔は消えたよ。神社にいるから魔除けされたかな? おかげでスッキリ目覚めたよ」

「それは、良かったです」

 と、彼女は微笑む。

 睡"魔"と"魔"除けを掛けたジョークなんだけど、分かってくれたのかな?

 少しばかり話題を出して、何か情報を言ってくれないか試してみよう。

「しかし、きな臭いね。100万元を報酬に2人を狙うなんて」

「そうなの、ですか?」

「ああ、風雪さんは別の車に乗ってから知らないよね。キンジの電話での会話を聞いてたからね、ちょうど同じ車にいたし」

「何故、お2人を狙ったのでしょうか……」

「さてね。キンジは変わった高校生で、レキさんは狙撃の天才っていうだけだと思うんだけど、何か危ない事に首を突っ込んだのかな~」

「――蕾姫(レキ)?」

 風雪がレキの名前に反応を示した。

 ん? これはビンゴかな。

「少し、気になる事があります。白野さまもついてきて下さい」

 私はその風雪の言葉にきょとんとした振りをする。

 それから足早に鳥居を離れる風雪にすぐさま付いていく。

 そのまま御殿の裏手に上がり、装備していた和弓や鎧を別室に預けると風雪は白雪の場所を巫女達に聞いて真っ直ぐそこへと歩を進める。

 どうやら進展がありそうだね。

 そのまま膳殿(ぜんでん)へと進んでいく。

「失礼します」

 正座をしながら(ふすま)を静かに開けた風雪。

 その向こうでは食事中だったらしいキンジ、白雪、ジャンヌの姿が見える。

 白雪の様子は若干おかしいけど。

 キンジの慌てぶりから見て、修羅場みたいだね。

 そんなキンジはその場を切り抜ける話題逸らしのためか、

「か、風雪……外の様子はどうだ?」

 助かったとばかりに聞いてきた。

「――今のところは何もありません。現在、警護は寵巫女(めぐみみこ)達に任せています」

 そう言って風雪はキンジに一礼してから白雪のところへと向かう。

 そして、何やら耳打ちしてる。

 私も部屋の中へと入るとキンジがこっちを見てくるけど、私は上手く視線を逃す。

 やっぱり、今はあんまり話したくない。

 キンジを直接見たら、何故かそんな気分になった。

「…………間違いないのですか?」

 白雪が急に呟いた。

 風雪からの報告は、ちょっと危ない雰囲気の白雪を正気に戻す程のものだったらしい。

「ゴメン、キンちゃん。私、ちょっとレキさんの所へ――失礼します。ごちそうさまでした」

 パチンと、白雪は箸を置いた。

 そのまま彼女は半分も食べてないお膳を残して、私の方へと近付いてそれから部屋を出て行った。

 ふむ、どうやら余程重要な話らしい。

 あの人形姫の出自とかウルスについて知ってるのかな?

 まあ、私は大抵の事を知ってるけど。

 それはそうと……話題を適当に出して正解だったね。

 風雪も白雪に続いて部屋を出ようとする。

 気になるし、ついて行こう。

 私はキンジ達を一瞥(いちべつ)して、風雪達の後ろへ。

 人形姫のいる救護殿へと向かう。

 そこにはどうやら治療が終わったらしい人形姫が布団に寝かされていた。

 周りの巫女達が彼女を見守っており、先に到着していた白雪は人形姫の近くで何かを観察しているようだった。

「どうですか、白雪姉さま?」

 風雪が聞いてから間を置いて、観察が終わったのか白雪は正座したままこちらに向き直る。

 その表情は重々しい。

「色金は、ありません。ですが、もしそうなら……彼女はやはり"彼の地"の巫女なのでしょう。『星伽史西聞(ほとぎしせいぶん)』を、書かれているとしたらあの書物です」

「分かりました」

 そう言って風雪は一礼して下がる。

「どうも、何やら引っ掛かる部分があるみたいだね」

「……霧さん」

 私の名前を呟いた彼女は、複雑な表情をしてる。

 これからの事を話すべきか話すまいか。

 そんな感じだね。

「別に聞いて欲しくないなら、私はこの場でさよならをさせて貰うよ。でも、キンジ達が狙われた理由と言うか……今までの事がどこかで繋がってる気がしてならないんだよね」

「それは……」

「さっき言った"色金"に関しても、そう。イ・ウー、色金、レキさん、そして神崎さん……バラバラなようでいてどこか実は線が続いてる。そんな気がするんだよ」

「………………」

「察しが良いのが自慢だから、何となく分かる。深入りすれば危ないんだろうね、きっと。イ・ウーの一員とやらであるジャンヌさんを逮捕した時点で、無関係ではないような感じもするけどね」

 聞く人が聞けばいけしゃあしゃあと、どの口が言うんだと突っ込みを受けそう。

 いやほら、マッチポンプって素晴らしいよね。

 何がどう素晴らしいかは分かる人にしか分からないけど。

「それじゃ、白雪さん。キンジ達によろしくね」

 取り敢えず、ここら辺で引いてみよう。

 私はそのまま分社の外に出るために出入り口に向かう。

 で、結局は救護殿の外に出ちゃった訳だけど。

 今日はこのまま帰るしかなさそうだね。

 あそこで居座ったら不審な感じがするだろうし。

 いや、白雪さんなら「話を聞かせて貰うよ」って言う感じに強引にでもいけそうな気がするけど。

 ほら、私そう言う無理矢理なのってあまり好きじゃないしナンセンスだと思ってるから、今日のところはこれでいいや。

 リリヤの様子を見ておかないといけないし、それから――

「霧さん――!」

 声に振り返れば白雪が慌てた様子で走ってきた。

「どうしたの?」

「霧さんも、その……話を聞く必要があると思う、の」

 息を少し切らせて、たどたどしい言い方をする。

 私は一息吐く。

「別に私だけに話せない事に責任を感じてるなら、それは違う、とあらかじめに言っておくよ」

「そうじゃ、ないの。それも……ちょっとはあるんだけど。でも、違うの。このまま何も知らずにいたらきっと、もっと危ない事になるって……そう思ったから」

 この時点での白雪の心情を推察するに。

 星伽は色金に深く関わってる、それこそかなり古い時代から。

 その星伽と友人関係にある私、しかもイ・ウーの1人を協力してではあるけど捕縛してる上に今回の襲撃でココ達の邪魔をした。

 イ・ウー達からもそうだけど色金関連で狙われる理由も充分にある。

 あんまり単独で行動してると、訳も分からない襲撃者が来ないとも限らないし、私を人質にして星伽の中心人物である白雪に何かしらの脅しが来ても不思議じゃない。

 いや、実際はそうはならないんだけども。

 ともかく色金について知らずにいれば、安全な部分もあるけどそれ以上に私自身に身に覚えのない危険が迫る可能性があると。

 それが嫌で白雪は私に話そうとしてる、こんな所かな。

 何よりもキンジ以外の数少ない"友達"、だもんね。

「武偵は自立せよ、別に巻き込まれたところでそれは自己責任だからね。気にするなって言うのは、白雪さんには酷な話かな?」

「そうだよ……だから、私……霧さんには傍にいて欲しいの。キンちゃんと同じで、遠くにいると不安で」

 ……ん? 何か、おかしくない?

 そう"言う意味"じゃないとは思うけど……何て言うか今の言葉がある意味告白っぽく聞こえたんだけど。

 うん、今の言葉が私じゃなかったら勘違いする男子がいそう。

 白雪の様子からして、これはただ単に不安なだけなんだ。

 ふーむ、やっぱりジャンヌの襲撃以前に私の事を占ってから未だに様子が少しおかしい。

 ここまで人を不安にさせる結果とは、一体……うごごごご。

 何て、理子みたいにネタに走ってみるけど実際のところ気になる。

「そこまで言うなら仕方ないね。その代わり、根掘り葉掘り聞かせてもらうよ」

 一先ずはその事を置いておいて、屈託のない笑顔を白雪に向ける。

「う、うん。もちろんだよ! ちょっと話せない事も、あるけど……」

 嬉しそうに肯定してから少し目を泳がせる白雪。

「それはまあ仕方ないとして……キンジが気絶してる時に襲ったりはしてないの?」

「お、おそ――!? そ、そんなはしたない事はさすがに、ききき、キンちゃんに悪いから……」

 あれだけ既成事実とか言っておきながら、そこはヘタるんだ。

「ま、それは冗談として。なるべく助けにはなるよ、"友達"なんだからね」

 私はそう言いながら微笑み、白雪もつられて微笑んだ。

 

 

 再び救護殿に引き返した私達。

 そこには既に風雪が待機していた。

 先程と違うのは、他の巫女達の様子だね。

 まるで要人を警護してるような……重々しい雰囲気だよ。

 その時だった、キンジとジャンヌもちょうどやって来たようだ。

 キンジ達もこの雰囲気がさすがに分かったらしく、口を(つぐ)んでいる。

 白雪が最初に沈黙を破った。

「……キンちゃん。少し、お話しないといけない事があります。キンちゃんは、聞きたがってなかったけど……ごめんなさい」

「聞きたがってなかった……? 何の話だ?」

「――色金の事です」

 その言葉にキンジは何かを考えてる様子だった。

 思い当たる事は色々とあるだろう。

 お父さんからある程度のヒントは出されてるだろうし。

「先月、キンちゃんが入院してる間にアリアから聞きました。イ・ウーで何があったのか。だから、キンちゃんは知ってるよね? 色金と言うものの存在は」

「ああ、知ってる。イロカネ……アリアが持ってるのは緋々色金で、その常人を超能力者に容易く変えてしまう程の金属。その金属と適合するには、条件があって……プライドが高く、子供っぽい人格じゃないとダメだって言うのは知ってる」

「そう、色金は人の心と結び付く金属。理解し辛い事かも知れないけど、そう言うものなの。でも、それは……緋々色金の場合」

 白雪の言い方からして他にも色金があるみたいだけど、実際に3種類あるのは私も知ってる。

 緋々色金(ヒヒイロカネ)瑠瑠色金(ルルイロカネ)璃璃色金(リリイロカネ)

 これらが共通してるのはどれも超常の能力を秘めていると言う事。

 ちなみにリリヤがいた研究所で同調させようとしていたのは璃璃色金な訳だけど。

「色金には種類が有って、その1つが……璃璃色金」

「リリイロカネ……? それを、レキが持っているのか?」

 白雪の言葉にキンジは考えをそのまま口に出す。

 しかし、白雪の傍にいた風雪が否定する。

「白雪姉さまや、私が失礼ながらお体を検分させて頂きましたが――違います」

 それから彼女の近くに置いていた桐の箱から巻物を1つ取り出し、それをしゅらと、伸ばしながら説明し始める。

「恐らく、レキ様は郷里で色金の傍で長く過ごされていたのでしょう。璃璃色金と通じる、彼の地の巫子の様な役割をされていたと思われます。この星伽史西聞(ほとぎしせいぶん)……この書は星伽に伝わる史書ですが、その璃璃色金の記述がございます。『璃璃色金は穏やかにして、その力、無なり。人の心を(いと)い、人心が災厄をもたらすとし、ウルスを威迫す。璃璃色金に敬服せしウルスは、代々の姫に己の心を封じさせ、璃璃色金への心贄(こころにえ)とした』とあるのです」

「……ウルス……」

 その言葉が引っ掛かたったのかキンジは呟く。

「なるほど、やはりウルスか」

 今の会話を腕を組んで聞いていたジャンヌは合点が言ったとばかりに呟いた。

「……知っているのですね、彼女達の事を」

 白雪は少しだけ、目を吊り上げてジャンヌに視線を向けた。

 少しだけキリッとして見える。

「遠山からレキの調査を頼まれた時に、その単語に聞き覚えがあった。5年前に色金絡みでシャーロックが交渉に行っていた――なるほどヤツが言った通りと言う訳か」

「ヤツ?」

 キンジはジャンヌに誰の事だ、とばかりに視線を向ける。

「これは……もう終わった事だが、私が星伽の拉致(らち)をする準備の段階でジャックに情報提供を頼んだのだ。その時に神崎と協力関係にある人間について教えて欲しい、とな。そうして、その際にヤツは言った……レキはウルスの子だと」

 それからジャンヌはアイスブルーの瞳を瞬かせて――

「その言葉を念頭に置き、通信科(コネクト)の中空知によるお前がレキから抜き取った音を音響分析して、レキの出身地は絞られた。その1つを居住地とするのが――ウルス族」

「どこの部族だ、それは。聞いた事がないぞ」

「それもそうだ。ウルス族はロシアとモンゴルの国境付近、バイカル湖南方の高原に隠れ住む少数民族だからな。だが、彼女らの祖先は遠山も聞いた事があるはずだ。かつてその弓と馬でアジアを席巻した蒙古の帝王――チンギス=ハン。ウルスはその戦闘技術を色濃く受け継いだ民族の1つであり、末裔(まつえい)だ」

 そのジャンヌの言葉にキンジは事情を知ってるであろう風雪に視線を向ける。

 しかし、今の説明に何も言ってこないと言う事は真実である事を証明している。

「かつてウルス族はその弓と長銃の腕を恐れられた傭兵の民だった。が、それも次第に数を減らし……これももう言って良いだろう。5年前のシャーロックの訪問の際には既に47人しか生き残りがいなかった。それも、その全員が女だったらしい」

 ふむ、なるほどね。

 この人形姫がチンギス=ハンの血統だった事については知らなかったけど、そうなると……。

 この人形姫が日本人に近い特徴を持ってるのが気になる。

「髪の色とかはともかく……どうもレキさん、日本人ぽいんだよね。てことは、まさかあの説……本当だったりしないよね?」

「あの説とは?」

 ジャンヌがそこは知らないのか、私に聞いてくる。

「義経がチンギス=ハンって言う説」

 私の言葉にキンジも白雪も目を丸くする。

 キンジは半分呆れてそれはないだろう、的な感じで。

 対して白雪は本当に驚いてる感じだった。

「霧、それは作り話――」 

「そうなの、霧さん。チンギス=ハンは――千年前に大陸に渡った九郎判官(くろうほうがん)――源 義経なの。当時の蒙古帝国ではゲンギスケンって読まれてて、それが変化してチンギス=ハンになったの」

 キンジが否定しようとしたら、白雪が肯定を示した。

 それを聞いたキンジはさっきの白雪と同じ、驚いて目を丸くした。

「白雪……それ、作り話じゃないのか?」

「作り話、って言う事にしたの。江戸時代にバレちゃったから、後で星伽が……史学者の先生とかにお願いして……」

「星伽が?」

「うん。その当時、星伽神社は源 義経が大陸に渡れるように手を貸したの。ナイショで、津軽から船を出して……」

 確実に史学界に嵐が巻き起こる大事件を秘密がバレちゃった的なノリで暴露する。

 隣にジャンヌ・ダルクの子孫がいるんだけどそこは突っ込まないんだね。

 今更だけど。

「当時の星伽神社は、政治的に複雑な立場にあったのですが……義経様が大陸に作られた帝国を正式に国家として承認し、その頃から色金についての情報を()り取りしていたのです。そして、蕾姫(レキ)という名前は、その純血姫が代々使われていた名前の1つです」

 風雪は、巻物にある漢文の中にある『蕾姫』と言う部分を示す。

「随分と詳しいね、風雪」

「私は外交担当の巫女ですので、あらゆる宗教に関してそれなりの知識があります。しかし、白野さまからレキ様の名前を聞かなければ何も分からなかったでしょう」

 と、私の言葉に風雪は謙遜する。

 対して妹の方が活躍していたために白雪は落ち込んでる様子。

「気を落とすな白雪。レキが源氏の末裔で、どこかの姫様だったなんて――思いつく訳がない。俺も、すぐには理解出来ないよ」

 キンジはそれを見てそうフォローする。

 思ったよりも有用な情報はなかったけど、1つだけ分かった事はある。

 ――璃璃色金は穏やかにして、その力、無なり。人の心を(いと)い、人心が災厄をもたらすとし、ウルスを威迫す。

 この風雪が読み上げた文面からしてリリヤが人形みたいに空虚だったのは、それが璃璃色金の適合条件……心を、感情を封じる事だったからな訳だ。

 その色金は、人間と言うものを否定する位置づけらしい。

 緋々色金は恋と戦を好む。つまりは人の大きな感情を好んでる。

 随分と対照的だね。

 もし、そうだね……色金に宿る"何か"がいるなら、私と璃璃色金は話が合わなさそうだ。

 個人的にそんな感想を抱いたのだった。

 

 ◆       ◆       ◆  

 

 ジャンヌは神崎かなえとの裁判関係の用事で去って行った。

 最後の銃弾――ジャンヌはレキが、もし今回のように危機に陥ればそれを使って自決する可能性を話してくれた。

 あいつは、人間なんだ。

 それは俺が既に知っている事だ。

 その事を胸に強く刻む。

 ……? 今、縁側の角に霧がいたような。

 って言うか、忘れかけてたが……あいつ何でか不機嫌なんだった。

 そこも聞いておかないとな。

 直接的に俺とあんまり話してくれねえし。

 さっきの説明の時もあんまりこっちに視線を合わせないし、食事の時に入ってきた時も俺の視線に気付きながら逸らすし。

 追い掛けるか。

 レキは何故か俺を霧に近付けたがらないからな、寝てる今が絶好のチャンスだ。

 俺は整備したドラグノフをレキの枕元に置き、霧のいた方へと歩く。

 角の向こう側には……いねえな。

 あいつ、かくれんぼとか得意そうなんだよな。

 しかも分社とは言え広い、敷地を探すのは骨が折れる。

 巫女さん達に聞いて回るのが早いか。

 ……。

 …………。

 ………………。

 おかしい、これだけ巫女達に聞いてもどこにいるのか分からん。

 近付いてるのは確かだ。

 だが、近くにいると思ったらまるで幽霊みたいにすり抜けてる感じがする。

 完全に避けられてるな、これは。

 一体、俺が何したって言うんだ。

 最近はあまり話せてないって言うのはあるかもしれないが、それもレキの狙撃拘禁のせいだしな。

 そこら辺、あいつなら分かってくれてるとは思うんだが……

 仕方ない――

「おい、霧。聞こえてるんなら出てきてくれよ。俺が何かしたなら教えてくれ! 謝るから」

 と、俺が言うと霧からメールが来た。

『やだ』

 なんでメール何だよ……

 まあ、それは置いといてどうやら聞こえてはいるらしいし、答えてはくれるらしい。

「じゃあ、何に対して不機嫌なんだよ」

 それからまたメール。

『さあ?』

 さあ、ってなんじゃそりゃ。

「自分でも分かってねえのかよ」

『うん』

「俺に何か出来ねえのか?」

『分かんない』

「……その、何だ。何でも付き合ってやるから機嫌直してくれ」

 ……今度はすぐにメールが来ない。

 少し、待ってみるか。

 そう思って縁側に腰掛ける。

 もう正午も過ぎて、夕方の手前だ。

 雨が上がったおかげで綺麗な日差しが見える。

 雲の隙間から差す光が水蒸気に当たってるのか、それが光の線を描いて幻想的だ。

 そんな事を考えてたら、またメールか。

『前、向いたままでいてね』

 そう霧からメールが届いた。

 向いたまま、な……ここで振り返りたいが、そんな事して余計に不機嫌になられたら今度こそ何も聞けなくなりそうだ。

 ここは我慢だ。

 俺の背後から何かが足音と共に近付く。

 霧なのかどうかは分からんから前を向いたままでいる。

 すると、座るような音が聞こえたと思ったら背中が重くなる。

 この雨上がりの匂いに混じる……紅茶っぽい香りは、確実にお前なんだろうな。

 って言うかここまで来て会話はなしですか、霧さん。

 振り返れないからあれだが、多分……今は背中合わせで座ってる状況なんだろう。

『最近、私に構ってくれないよね』

 意地でも喋らないらしい。

 背後から携帯の操作音が聞こえたあたり、来るとは思ってた。

 他の人から見たら変な光景だが、まあ気にせずに話そう。

「仕方ないだろ、狙撃拘禁されてたんだからな」

『あ、そうだったんだ』

「お前は力になるって言ったけど、あの時はレキが危ない雰囲気だった。お前を巻き込みたくなかったら断ったんだよ」

『私に何かあれば大手を振って助けを呼べたのに』

「何かあってからじゃ、遅いんだ」

 こっちはあのジャンヌの一件で()りてるんだ。

『最近ね、お父さんを亡くしたの。1ヶ月以上前の話だけど』

 唐突に切り出された話題。

 俺がその文面を見た瞬間、何も言えなくなった。

『それからは、退屈でね。今まで楽しかった事が少しだけつまらなくなった。レキさんがキンジを拘束してからは、余計にね。何よりもそんな風に束縛してるのが気に入らない』

「それは、レキに対してか?」

『そうだよ。訳も分からずキンジから私を遠ざけるような真似をして、不満がないと思う?』

 霧の言う事は、もっともだろう。

 いきなり自分が危険なんて言われて、そんな風にされたら当然だ。

『しかもキンジはキンジで拒絶しないし』

「いや、それはお前……拒絶したら死ぬぞ、多分」

 あの時のレキはマジで俺を撃ちそうだったからな。

『頼ってくれれば良かった。そうすれば、私が何とかした』

「お前に貸しを作るのは勘弁だ」

『既に貸し1つだよ。ピンチを救った人が誰かは忘れないでよね』

 やっぱり、あの時も勘定に入ってるんですね……

 思わず肩を落とす。

「それはそうと、結果論だがレキはどうやら俺を守ろうとしたらしい。よく分からないが、新しい敵が迫ってるって話だ」

『今回の謎の襲撃者みたいな?』

「ああ、そうだ。だから俺としては、お前を――」

 そこまで言ったところで、後ろから撃鉄を起こす音がする。

 こいつがこんな事するのは珍しい。

 アリアと違ってマジで撃つ事はないだろうがそれでも冷や汗が出そうだ。

『分からない? 私が聞きたいのはそうじゃない。貸しとか借りとか、そう言うの気にしないでもっと頼って欲しかった。今まで一緒にやって来たのに』

 ……ああ、そうか。

 思えば俺は、あの一件の事をまだ引きずってるんだ。

 色々と巻き込みたくなかった結果、こいつを信じて頼ろうとしなかった。

 だから霧は不機嫌なんだろう。

 ある意味、霧を裏切ったんだろうな……俺は。

「悪かったよ」

『反省した?』

「ああ……」

『じゃあ、お詫びのチューして』

「……――ッ!?」

 え、あの、霧さん?

 お前、こんな時に何言ってるんだよ?!

『それで今回の貸しはチャラにして上げる。断ってもいいよ、その代わり夜中にキンジと同じベッドに忍び込んで白雪さん呼ぶから』

 なんつーえげつない選択肢を出しやがるんだっ!?

 思わずその携帯の画面を凝視してると、

『30秒以内に「はい」か「いいえ」で返信してね』

 そんなメールが着信しやがったよ!

 お、おい、どうするキンジ。

 これがイタズラなのかマジなのか、分からんこの選択肢。

 いや、断れば確実に白雪コールはするだろう。

 コイツの性格上。

 だったら、最初の方がまだ安全……いや、違うだろ。

 ヒスったら何するか分からん以上、こっちの方が危険……いや、それでもいつものイタズラでした、パターンかもしれない。

「~~♪」

 背後で鼻歌をし始めた霧からして、間違いなく楽しんでやがるッ。

 ど、どどど、どうする。

 残り10秒ぐらいだぞ、多分。

 と思ったら、またメールだ

『私の事は嫌い?』

 お前、こんな時にそんなの聞くのズルくないか?!

 すぐに俺は「いいえ」と、送る。

 すると、

『そっか。お詫びのチューと合わせて聞いたつもりなんだけど、「いいえ」か』

 お前……

『代わりに残りの修学旅行、一緒に回ってくれるよね?』

 その文面を見た時、俺は呆れて少し笑いながらすぐに「はい」と送った。

 すぐに霧が隣に座って、俺にいつも通りの屈託のない笑顔を向けてくれた。

 




乗るしかない、このビッグウェーブに。
今回のFGOのイベント……騙して悪いが、をされましたね。
まさかキュートなタイトルでほんわかイベントかと思いきやまさかのガチイベでしたでござるの巻。

それと……エゴが2人来てしまった悪いな、みんな。

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