ゆらぎ荘の蹴る人と殴る人   作:フリードg

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第24話 仲居さん。いってらっしゃーい!

 

 

□□ ゆらぎ荘 202号室 □□

 

 

 

 202号室は狭霧が借りている部屋。

 そして、ホムラとの仕事を終えてから翌日の早朝。

 

「うーん…… ふ、普段からこの格好でも……、い、いや 私の柄ではないっ! で、でも この格好を……」

 

 狭霧は鏡の前で自分自身の姿を見て悶々とさせていた。

 一体どれだけ自問自答を繰り返しているかは判らないが、どうやら時間を忘れて没頭している様だ。

 

「いや、……しかし! だが、しかし……」

 

 もう、朝食の時間帯に差し掛かっているのだが、狭霧は時間を全く見ていない。

 そんな時、狭霧の部屋の扉が勢いよく開いた。

 

「さぎっちゃぁぁんっ! 朝ご飯よーーー!」

 

 酒瓶を片手に、狭霧を起こしに来たのは呑子。

 昨日とある事情で修羅場だった様だが それを何とか乗り越える事が出来て、嬉しさのあまりテンションMaxな様子。

 

「なななっ!!」

 

 幾ら時間を忘れて没頭していたとは言っても、ここまで堂々と部屋に入られ 更には大声を出されたら気付かない方が難しいらしく、狭霧は 身体を震わせつつ振り返った。

 

「の、呑子さんっ!! へ、部屋に入る時はノックをっっ!」

「したわよぉ~。ほーら」

 

 呑子は こんこんっ と叩くが 入ってしまっているから最早手遅れ、である。

 

「部屋に入る前にしてくださいっ!!」

 

 今の呑子は思いっきり飲んでいる様子だから、完全な酒乱。狭霧の注意が届くかどうかは判らない。それでも……呑子は見ている所はちゃんと見ている。見逃さないのである。

 

「あ~ら~っ? それって、確かホムラちゃんに褒めてもらったぁ~ って言ってた昨日の服(二着目)のヤツでしょー? まーだ着てるって事はよっぽど嬉しかったのかしらぁ」

 

 超・スーパー・ドストレートに 狭霧の心情を大暴露してくれる呑子。

 それを訊いた狭霧は、水中で苦しそうに水面をぱくぱくさせる金魚の様に 口をぱくぱくさせつつ 盛大に。

 

「ち、違いますっっ!! こ、これはそう!! つ、次の仕事にでも十分つかえるのかと、確認をっっ!!」

 

 苦しい言い訳をしているのだが、当然ながら酔っ払いにそんな言い訳は通用しない。

 

 (・∀・)ニヤニヤ と笑いながら、呑子は狭霧の肩を掴んだ。

 

「さぎっちゃぁん? ホムラちゃんをし~っかり確保しとかないと、後悔しちゃっても知らないわよぉ?」

「ななな、何言ってるんですか!」

「だってぇー 幽奈ちゃんは コガラシ君にゾッコンだからぁ、だいじょーぶだとは思うけどぉー。夜々ちゃんは ホムラちゃんの事超がつく程お気に入りでしょー? それに 4月から高校だって始まってぇ~ ホムラちゃんの人柄に触れてぇ~ 惚れちゃう子だって増えちゃう、って思うわぁ~ ヒック」

 

 完全な絡み酒状態。幾ら酒呑童子の末裔とはいっても、かなりの飲み方をしているから いつもの倍増しで絡んでくる。 

 だから、所詮は酔っ払いの戯言だ、と聞き流せば良いのだけど 狭霧にはそんな器用な事は出来ない。

 

「っ……! な、何を言ってるんですか!」

 

 明らかに慌てていたから。

 

「えぇ~ だってぇ~ ホムラちゃんってば、ほんと格好良いんだも~ん。私も貰っちゃいたいわぁー。同級生なら、ぜ~~ったい学校の放課後とか~、登下校とかぁ~。いろんなシチュエーション試せるのよねぇ。そんでもって 取材も兼ねてさせてもらうのぉー。それに実演もしてもらおうかしらぁー」

 

 呑子の取材(・・)と言うのは彼女の仕事に関わる事である。

 いずれ語る事になると思うが、今は割愛する。

 

 狭霧は、呑子の話を訊いて、妄想ワールドへと入っていってしまった。

 

 

 舞台は学校の終業後。……つまり放課後。

 

 学校の玄関口で狭霧が上履きを下駄箱に片付けて、帰ろうとした時だ。沈みかけた太陽に照らされ、夕日色に染まっているホムラが立っていて……。

 

『狭霧。……たまには、一緒に帰らないか?』

 

 と誘ってくる。

 帰り道は 一緒なんだ。だから一緒に帰ったとしても全く不思議じゃない。寧ろ帰らない方がおかしい。と判断した狭霧は。

 

『ふ、ふむ。今日は仕事は入っておらんしな。別に構わん!』

 

 焦りを隠せられないが、それでも懸命に動揺を隠そうと努力していた。

 そんな狭霧に微笑みかけると、ホムラは隣に立った。

 

『狭霧。……一緒に帰るんだから。ほら……。今回は オレからする』

『な、なにをっ!?』

『大丈夫だ。……オレは優しくするよ。ほら』

 

 ホムラはそう言って狭霧の手を握った。

 2人の熱がゆっくりと混ざり合い、そして1つに溶けていく。どちらの体温が高いのか もう判らない。

  

『ははっ。確かあの時、狭霧は妙に乱暴だったからなぁ。オレは 腕を引っこ抜かれるかと思ったよ』

『っ……! あ、あの時はっっ!』

『ああ。……判ってる。オレだってそれくらい判る。……オレだって 狭霧の手……握るの……。緊張するんだ』

 

 ふいっ とそっぽ向くホムラ。そして、それを その仕草を見て思わず二度、三度とホムラを見る狭霧。

 

 

――ホムラが、緊張している? ……照れている?

 

 

 鈍感朴念仁であるホムラが、今間違いなく狭霧の事を意識している。

 つまり完全に異性として意識している。今は夕日の色で誤魔化していると思うのだが、顔も絶対に朱く染まっている。

 身体の温度が高いのは、狭霧だけじゃない。

 

『………』

『………』

 

 そして、2人は共に下校をした。

 

 暫くの沈黙が流れるがしっかりと手は握って歩いている。

 2人で夕日の中へと入っていくかの様に。

 

『次、腕を組む時は……』

『っっ』

 

 ホムラは、狭霧の方を向いて、ニコリと笑いかけた。

 

『仕事とか、関係なく 狭霧の意思でしてくれると嬉しい。……オレ、オレは………狭霧の事……が…………………』

 

 

 

 

 顔から盛大な炎が。火炎放射器でも内蔵しているサイボーグか? と思える様な大火炎が巻き起こりそうになる。

 

「そしてぇ、とても大きく美しい夕日。黄金色に染める街中を~ 歩いていったのだったぁ。照らされる(シルエット)はぁ 着実に先程よりも小さく纏まっている~。そう、運命の赤い糸はぁ2人の距離を更に縮めたのだった~。~fin~」

「は、はっ!!」

 

 今の今まで耳元で囁く様に刷り込みをしてくれていたのは呑子さん。

 狭霧が妄想ワールドに入ったのではなく、呑子によって誘われてしまっていた様だ。

 

「の、のんこさぁぁぁん!!!! いい加減にしてください!!!!」

「きゃーー、さぎっちゃんが怒ったぁ~♪ もーちょっとしたお茶目じゃなぁい」

「やりすぎなんですっっ!!!」

 

 狭霧が怒ってる最中、ゆらぎ荘に轟音が走る。

 

 

 

『きゃあああ! こ、コガラシさぁぁぁんっっ!!』

『んん………? ああ、幽奈おはよぉぉ……“ぼちゃんっ!”』

『お、おはようございますぅぅ、す すみませーーーーっっ……』

 

 

 

 いつもの起床アラームだが、今日は少し遅い気がする。

 

「あっはは~ コガラシちゃんと幽奈ちゃんも休日も変わらないわねぇー。これはほんと天然の目覚まし時計。二度寝防止にもなるわぁ」

「……まったく」

 

 そう、少し遅いのは休日だからだ。 

 コガラシのバイトも少しばかり余裕があるから、今日は長めに寝る様にセット? していたのだ。

 結局は幽奈が起きるかどうか、で時間が決まるから 関係無いのだが。

 

『おーい、狭霧。それに呑子さんもいるんだろ? もう朝ご飯出来てるって仲居さんが。幽奈たちもそろそろ来ると思いますし、食堂に集まってくださいよ』

 

「はぁ~い」

 

 何とも言い難いタイミングで、狭霧の202号室の前を通り過ぎるのはホムラだ。

 後少しばかり早く来ていれば、悶々としてる狭霧を目撃して その心を少し知る事が出来たかもしれないのに、運命とは酷なものである。

 

 兎も角、狭霧は顔を真っ赤にさせながら部屋の扉を開いた。

 

「こ、こらぁぁ! ホムラぁ!!! ふ、婦女子の部屋に来るとはどういう了見だぁ!」

「って、コラ! 朝っぱらからゆらぎ荘を壊すなよ。オレは仲居さんに起こしてくる様に頼まれただけだ。折角作ってくれたのに、冷ましたら申し訳がないだろ?」

 

 ただテンパっていた狭霧に、これまた超正論を突き付けられてしまった為、もう頷く事しか満ちはないだろう。

 

 でもそこは狭霧。

 

「直ぐに行くっっ! 先に行ってろ!! ぜーーーったいに入ってくるなよ!!」

「そんなに大声出さんでも聞こえてるって。それに 部屋の中にまで入らない入らない。だから、早くしろよ? オレは夜々を呼んでくる。屋根の上で寝てるらしいから」

 

 ホムラは、そのまま離れていった。

 

 これは。……ホムラを追い返した事が狭霧にとって、良かったのか……、悪かったのか……。

 

「良いわけないわよぉ。さぎっちゃん。ほーら、追いかけなくっちゃ!」

「いい加減にしてください!! ほら、行きますよ!!」

「わーんっ さぎっちゃん怖ぁぁ~~い」

 

 流石の狭霧も何度も何度も言われ続けば、今朝くらいは耐性が様だ。それ以上は動揺する事なく 呑子を引っ張って連れていくのだった。

 

 

 

 

□□ ゆらぎ荘 外 □□

 

 

 とりあえず朝食だから、夜々を起こしに行く所のホムラ。

 夜々が外に、ゆらぎ荘の屋根で眠っているのはよくある事だし、仲居さんにも確認を取ったから間違いないだろう、と外へ出てきたのだ。

 

 そこでばったり出会ったのがコガラシ。

 

 どうやら 幽奈にすっ飛ばされてから戻ってきた様だ。

 

「毎朝毎朝ご苦労さん。皆の目覚まし時計だな」

「好きでやってんじゃねーっての!」

「は、はぅぅ…… わ、わたしのせいですぅぅ……」

 

 幽奈のポルターガイストは、結構な衝撃波と衝撃音を生む。

 あれだけ騒げば気付かない~訳はなく、皆しっかりと目を覚ますのだ。……あ、撤回しよう。夜々はなかなか起きる事が出来ない。

 ホムラはゆらぎ荘の屋根の方を見上げた。

 

「ほらほら、コガラシ。とりあえず夜々だ」

「ん? ああ、判った」

 

 ホムラの言葉に従って コガラシも屋根の方を見上げた。

 そこでは春の暖かい朝の陽ざしを受けつつ、猫神の温もりも感じつつ グッスリ すやすやと眠っている夜々がいた。

 

「おーい、夜々ー! 起きろー」

「そうだぜー、それにそんなトコで寝てたらあぶねぇぞー!」

 

 大きな声で起こそうとするが、夜々はなかなか起きない。見事な鼻提灯まで作って完全に熟睡している。

 

「ふむ。仕方ない。夜々にはいつもの手だ」

「いつもの手?」

「直ぐ判るって」

 

 ホムラは、こほんっ と咳払いを1つした後。

 

 

「夜々~、朝ご飯の時間だぞ~~! 早くしないと無くなるぞ~~!」

 

 

 と、先ほどと同じくらいの声量で呼び込むホムラ。

 それを訊いた途端、夜々の目が開いた! カッ! と言う擬音とセットで。

 

「だめっ! 夜々のごはん、とっちゃだめー!」

 

 ぴょんっ! と飛び起きたのは良かったんだが、そこは屋根の上だ。少しばかり危ないからコガラシは。

 

「おいっホムラ! 確かに判りやすいが、ありゃあぶねぇぞ!」

「大丈夫だって」

 

 ホムラがぱちんっ とウインクをしたかと思えば、一緒に眠っていた筈の猫神もすっかり目を開いて答えていた。

 

「うぁっ」

 

 夜々が 丁度ずるっ と脚を踏み外して落ちそうになったが、見事に猫神は夜々を口でぱくんっ とキャッチ。

 

「おはよう夜々」

「おはよー、ホムラー コガラシもー」

「あ、ああ……」

 

 コガラシは、ここまで見越した計算か? と改めてホムラの頭の回転と言うか、頭自体の良さに脱帽気味だったが、決して言葉にはしなかった。

 

「夜々。コガラシも言ってるが そこはやっぱり危ないぞ? 別の場所にすればどうだ?」

「えー、でもここが一番気持ちいいから~ 暖かいからっ! 夜々のお気に入りの場所だからっ!」

「まぁ……言ってみただけだ。ただ 怪我だけはするなよ?」

 

 夜々はにこっ と笑いながら猫神と共に下に降りると。

 

「ん~、なら ホムラと一緒が良いっ」

「……ん?」

 

 夜々は眼を輝かせながらつづけた。

 

「夜々の好きな場所、ホムラがいるとこっ! ホムラと一緒なら、お天道様と同じくらい、あったかいっ」

「…………」

 

 夜々のあまりのストレートなセリフには、流石の朴念仁なホムラにもぐらっ とくるものがある。そして夜々は更にいつも通り。

 

「ホムラ~ ごっはんっ♪ ごっはん~♪」

 

 ご飯が何よりも好き。と言った様子でホムラにくっつく。

 

「す~~っかり餌付けしてるな? ホムラ」

「まぁ……な。だが、コガラシも……だろ?」

「んー? コガラシがどうしたの??」

「いや、……後々の楽しみにとっとけよ。夜々。……今に良い事がある」

「ほんとっ? コガラシっ!?」

「あー、まー……そーかもな?」

 

 コガラシも生返事。

 だが、夜々はホムラの言う事に間違いはない、としっかりと思っているから安心してにこっ と笑った。

 

 そのままの状態(夜々がくっつきっぱなし)で 食堂にまで行ってしまったから、盛大に狭霧に怒られたのは言うまでもない事だった。

 

 

 そして、朝食の最中の事。

 

「それにしても、猫神って夜々の事 マジでしっかり守ってるんだな。……なんでだ?」

 

 コガラシは疑問を口にしていた。

 猫神が守る事を判っていてホムラは手を出さなかったのだから。

 

「あぁ、猫神は宿主を守る習性があるからだ」

 

 コガラシの疑問に答えるのは狭霧。

 

「猫神は気まぐれに人間を宿主とし、宿主に様々な力を与えるが、誅魔忍軍でも基本的には無害とされている妖怪だ」

「へぇー そんなのが夜々に取り憑いてんのかぁ」

 

 それを訊いて、ホムラも追加説明をする。基本的には宿主に力を与えたり、護ったりするのだが、稀がある。

 

「最初見た時はビックリするよな。……だが、あの猫神はなかなか人懐っこい所もあるんだ。……オレの事も助けてくれた時があるし」

「そー。猫神様は ホムラの事も大好きで、仲良しだから!」

「ふーん……。でも なんでだろうな? 夜々に憑いてる事もそうだし、仮にもカミサマなんだろ?」

 

 まだまだ疑問が尽きないホムラ。

 だが、答えはシンプル。

 

「夜々が言ってだろ? ……夜々と猫神は仲良し。それだけで充分守る理由になる」

「そー! とっても仲良しだから……!」

「そ、それだけなのか……」

「そうだ。難しく考えない方が良い」

 

 それだけしか言いようがないのだから、仕様がない、とコガラシに軽く言い聞かせるホムラ。

 

「ふむ。それに普段は夜々の中で眠ってるらしいんだが、夜々から出て外で遊ぶ姿もよく見かける。ちゃんと夜々の所に帰ってくる辺り、夜々が気に入られているのは間違いないだろう。……その、夜々が気に入ってる……のが、ホムラだ。だから、その気持ちが猫神に……だと思う」

 

 最後の方が非常に表情が引き攣ってる様だが、見事最後までそのセリフを言えた狭霧を褒めてあげたい! と思わずにはいられないゆらぎ荘の住人だった。(ホムラ以外の住人)

 

 夜々の隣に座って朝食を食べてるこゆずは、笑いながら言った

 

「あはは。でも良いなぁー猫神様は。大好きな人と一緒に、いつも一緒にいららえるんだね。ボクにも憑依能力があったらなぁー」

 

 こゆずも猫神の能力が欲しい様子だった。……そして 理由はよく判る。

 

「千紗希さんの事、ですか?」

 

 幽奈が理由について訊いた。間違いなくこゆずが一番好きなのは、彼女だと言うことを知っているから。

 こゆずは、頬を赤くさせながら頷いた。

 

「うんっ! そーだよ! だってやっぱり……千紗希ちゃんのおっぱいはボクの理想だからさっ……‼ あ、でも ここの皆のおっぱいも凄く素敵だよ!? あくまでボク個人の理想の話だからねっ!! 皆のおっぱい! とってもかわいくて素敵だよっ!!」

「……コラ。そう言うのは 連呼しなくていい」

「はうっ、ご、ごめんなさい」

 

 ぽこっ、と頭を叩くホムラ。

 こゆずは、たぬきとしては成人になっている様だけど人間形態ではまだまだ幼女。そんな不健全な単語を連呼するのは教育上あまり宜しくないだろう。

 こゆずもその辺りの事は少しずつではあるが、学びつつあるから素直に頷いた。……少しずつ(・・・・)だから、その辺りは悪しからず。

 

「あのねっ、とっても迷惑かけちゃったけど、ボクはほんとにホムラ君やコガラシ君、幽奈ちゃんには感謝してるんだー。仲居さんのごはんを毎日食べられるなんて、こんな幸せなことないよ~~」

 

 こゆずの言葉には全面的に同意だ。

 

「うんうん。仲居さんの料理は絶品よねぇ~♪」

 

 朝っぱらから酒を煽ってる呑子も同じく。

 

「同じく。オレも挙手だ。いつも感謝してる」

 

 ホムラも同じく。毎日の楽しみの1つでもあるのだから。

 

「ふふっ、皆さんが喜んでくれるので私も作り甲斐がありますよー。あ、でも 私は明日から温泉組合の慰安旅行なのですが……、大丈夫でしょうか? 皆さん」

 

 それは仲居さんにとって、少々不安が残る事だった。

 数日間不在になってしまうのだから。

 

「ああ。大丈夫。ここで手伝いの仕事もさせてもらってるし、使い勝手は判ってるつもりだよ。……まぁ、仲居さん程じゃないけど」

「……ホムラにばかり頼るつもりも無い。仲居さん。私達は大丈夫です。朝夕の食事を皆で分担する様にしますし、ここの掃除も同じく」

 

 ホムラと狭霧がそう言う。

 狭霧にとっては、ホムラの料理が絶品なのは知っている。……夜々が本当においしそうに食べているのを見ているし、実際自分自身も食べて本当においしかったから。

 

 でも、それは嬉しいんだけれど…… 夜々がホムラに抱き着く様なシーンが生まれてしまうから、それだけは宜しくないのだ。狭霧にとって。

 

 そうとは知らず、皆は納得をしていた。ホムラだけに頼るのは申し訳ない、と思っているのは少なからず全員が同じだから。

 

「ま、数日くらい大丈夫だろ! オレも結構腕に自信ありだ」

「ふふ。楽しんできてください!」

「そぉよねぇー、仲居さんもたまにはゆっくりしなきゃぁ~」

 

 皆の言葉を訊いて 仲居さんは笑顔になった。

 

「ありがとうございますっ! では、お言葉に甘えさせてもらいますね」

 

「「「はーい! いってらっしゃ~~い!」」」

 

 

 こうして、快く仲居さんを送り出した住人達だったが……。

 

 

 狭霧の言う各人分担に~ と言う方法が、色々と後に大変な事になってしまうのだった。

 




Q:「すっごく、すごーーーく久しぶりだね? このコーナー《?》 忘れてた??」

A:……はい。すんません



Q:「夜々ちゃんの好きって気持ちは、ぶっちゃけ どのレベル??」

A: 基本的に異性としては まだ。……気付いてないだけかも。



Q「ゆらぎ荘でお手伝いをしてるホムラ君だけど、仲居さんに代わって皆に料理出したりしてる?」

A:基本的にホムラの手伝いは運搬作業。力仕事が中心。厨房を守ってるのは仲居さん。
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