ゆらぎ荘の蹴る人と殴る人   作:フリードg

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遅くなりましたー……m(__)m
そして、進んでないです…… m(__)m


最近、自分の中で狭霧さんより千紗希さんが勝ちそうな気が……。僅差ですがw


第32話 朧さんの超接近

□□ ゆらぎ荘 □□

 

 

 昨日の結末から見れば 龍神に圧勝したと言えるだろう。でもそう簡単な話ではなく本当に色々と大変だったとも言える。

 大変だった、と思っていたからこそ、皆無事に帰ってこれて本当に良かったとほっと安堵をし、皆の帰りを待っていてくれた仲居さんも涙ながらに喜んでくれていた。

 

 ()にも誅魔忍が『カミサマ』と分類する強大な相手に幽奈が攫われたのだから。

 

 あ、因みに等のカミサマをどうやって騙くらかした……じゃなく、作戦を行ったかと言うと。

 

 

 な、なんと! 実は狭霧まで 人間の幽霊と言う事にして、幽奈と共に目の前で成仏する~と言う荒業を決行したのだ! 

 

 

 因みに、幽体はこゆずの葉札術の応用で新たに2人分を作成して それっぽく見せた。

 でも、普通にバレてしまうんじゃ? と思ってしまう所だったのだが、従者である朧の口添えと、後は何より本人の性質にあった。

 

 

「ああも、簡単に騙されるなんてなぁ……」

「ま、根が単純そうだったし。それに偽者とは言え 泣いて見送るトコ見ても悪人…… 悪神って訳じゃなさそうだな」

 

 そうなのです。

 

 納得どころか、最後は涙ながらに 『黄泉の国でも達者でな~!!』と2人を見送った。割と憎めないのでは? と思ったのだが、持ってる力がやっぱり強大である事もあって、これ以上は極力関わらない方が良い、と言う事もありそそくさと退散したのだ。近隣住民の人達に迷惑が掛かりかねないし。

 

「コガラシの一撃を受けてああもゲンキいっぱいなんだ。やっぱ凄いかな。カミサマって」

「あー、それオレも思った。結構マジで入れたんだけどなー。隙だらけだったし」

「それは仕様のない事だろう。側近の迅速な対応と、あの後朧と言う従者も手を貸していたのだ。回復するには十分な時間だったと言える」

 

 帰ってくるまでは それなりに気を張っていた狭霧も、ゆらぎ荘に到着した事でほっとしたのだろう。明らかに肩を落としていた。

 それを察したホムラは、狭霧の肩をぽんっ と一叩きしていった。

 

「お疲れ。狭霧」

「っ……。あ、ああ。ホムラもだ」

 

 狭霧の頭の中では―― ホムラが助けてくれた時の事が再び映される。

 

 朧や玄士郎には遠く及ばなくとも、相応の強さを持つ半漁の妖。狭霧は、捕まっていて身動きが全く取れなかったそんな時、目の前にホムラが来てくれた。そして手を下さずに 無力化してしまったのだ。

 あれが本物の威圧……と言うのだろう。眼に極限の力を込めて相手の眼を通じて全身に気の圧力を叩きこみ、戦闘不能にしてしまうと言う秘術。話には聞いた事がある…… と言うより夢物語みたいなもので 現実的な術じゃない、と狭霧自身当初までは思っていた。

 

 例え出来たとしても、通用するには圧倒的な実力差が無ければ難しく、更に言えば主を守る為の盾であり矛でもある妖怪に通じさせるのには、その忠誠心もかき消す程の圧倒的な力が必要だろうと分析できる。

 

 つまり、コガラシもそうだがホムラの実力もまだまだ底が見えないと言う事だ。同時に自分自身の無力さも歯痒く思ってしまうのも事実だった。

 

「(もっと精進せねば……だ)」

「あ~ら~ さぎっちゃんってば、ホムラちゃんの事惚れ直しちゃったの~? そーんな情熱的な視線を向けちゃって~♪」

「ぶっ!!? な、何を言うんですか!! 呑子さんッ!! わ、私はただ自分の不甲斐なさに呆れていただけです!! 大見得切った挙句、敵に捕まり…… くっ……」

 

 いつも通り、呑子と狭霧の絡みだったのだが、何処かいつもと違う所がある。当然、それは狭霧の表情だった。いつもは顔を赤くさせて否定しつつ 苦無を縦横無尽に操って男達に投げつける~ が主なのだが、今回は朧に負け 捕まってしまった事を本当に悔いている様だった。

 

 それを訊いたホムラとコガラシは。

 

「何言ってるんだ。狭霧のおかげでオレ達は親玉をひきつける事が出来たし、幽奈の無事だって確認できたんだぞ」

「そーだぜ。最初っから突っ込んだとしても、幽奈が無事でいられるか判らねぇから無茶は出来ねぇだろ?」

 

 それが、フォローを入れる、同情と言った類ではなく、ただただ心から想っている事をそのまま口に出している、と言う事が 狭霧にはよく判った。

 

「それに誅魔忍の術ってかなりの種類があるだろ? アレだけの数の技を扱える狭霧の方が凄いってオレは思うんだが……。応用がかなり利きそうだ」

「あ、それはオレも思う。大体オレって気合を入れてなきゃ普通の人間と変わらねぇし」

 

 裏表のない人間などそういるものではない。狭霧もそれはよく判っているつもりだった。だが、この2人だけは違うのだろう、

 

「次は醜態を見せない」

 

 狭霧は、吹っ切れた表情で2人にそう言い。その顔を見た2人は安心した。

 

「オレも狭霧を頼る事は多いんだ。狭霧もオレを、コガラシの事も頼れ。それで相子だ」

「おう! オレはぶん殴る事くれぇしか出来ねぇけどな」

「あー、コガラシはちっとは 手持ちを増やした方が良いんじゃないか?」

「うぐっ……」

 

 何処となく楽しそうにしてる。そんな2人を見た狭霧は 少しだけ羨ましいくもあった。ホムラと同じ域にいるコガラシの事を。

 

 

 

 

 そして その夜―――事件は起きた。

 

 

『おわぁぁぁ!!』

 

 

 もう夜も遅いと言うのに騒がしい悲鳴が聞こえてきた。その悲鳴は男のもの。声の主は当然ながらコガラシだ。このゆらぎ荘に男は2人しかいないから考えるまでもない。

 ホムラは、就寝に入っていたがぱちっ と片目だけを開けて欠伸を1つ。

 

「……まぁた幽奈に抱き着かれたか? 同情はするよコガラシ。……すっげぇ心臓に悪いし」

 

 幽奈と相部屋、と言うだけでどうなるのかが本当によく判る。何故なら幽奈の寝相の悪さは半端ではなく、抱き枕にしてきたり、幽体だと言うのに浴衣を開けさせたり と大変だから。……つまり、経験者はコガラシだけではなくホムラも同じだ。

 

「ん……? でも いつものどぼーんっ が無いな……」

 

 そして、幽奈に抱き着かれた後の展開は大体が

 

 ポルターガイスト発動 → ゆらぎ荘の外へ → 池へダイブ

 

 これが一連の流れであり、毎朝同じ様な展開になっている。夜起こるのは今回が初めての事だが、全くないとは言えないだろう。でも 幽奈のポルターガイストが発動されない所に何処か違和感を覚えた。

 

「……ま、いっか。さっさと寝よう……」

「寝る前に一戦しないか? 夏山ホムラ」

「んー…… 疲れたからパス……」

「そう言うな。『据え膳食わぬは男の恥』とも言うであろう。……冬空は幽奈さまと一緒にいたから 一先ず改めた。そして 此処には狭霧さまはいない。では、男としてやる事は1つであろう?」

「………………っ」

 違和感に気付く……のは当然だ。

 だが、ここまで接近されて気付けなかったのは なぜなのか。

 

 相手が相応の使い手だからだろうか。

 いやいや或いは、目を開けば大変な光景が広がっている…… と本能的に察したから頑なに気付かないフリを、開けない様にと眼をぎゅっ と瞑っているのだろうか。

 

 ホムラ本人には判っていないが、圧倒的に後者である。

 

 だって、目を閉じて視界を遮った所で、触覚があるから。人間には五感と言うものがあり、ホムラやコガラシには第六感まであるから。

 

「おまえの慣れ親しんでいる狭霧さまには到底及ばぬが、どうだ? 趣があるとは思わんか……?」

 

 手に伝わる感触。ふにふに……と弾力があり、触り心地は抜群だと言って良い。世の男にとって。 

 それがいったい何なのか……、確認するまでもない。

 

 ホムラは、ぱきんっ! と身体が石のように石化してしまった。

 

「ふむ。そうであったな。夏山にとって女体は刺激が強過ぎるのであった。狭霧さまの感触も知らぬと言う訳か。……が、不能と言う訳でもあるまい?」

 

 すすす、と身体を密着させつつそのすべすべの感触がじんわり自分自身の身体を這っていくのが判る。目指している先がいったいどこなのかも判る。

 

 流石にそこまでは許容できないホムラはと言うと、全神経を集中させ これまでにない速度で、目にも止まらぬ速度で起き上がりつつ、布団を使ってその隣にいるであろう者を覆った。

 

「流石だ。……やはり速度の領域においても私と同等か、それ以上。精進せねばならぬな」

「……何しに来た?」

「ふむ。裸体を晒さなければ会話も成り立つ様だ。先程は石のように硬くなっていたと言うのに その切替の速さも流石の一言だ」

 

 何処(・・)が石のように………? と言う質問はアレなので置いとこう。

 ホムラは、真っ赤にさせた顔を数度叩いてもう一度目の前にいる者に。いつの間にか、自分自身と同じ布団の中にいた者にもう一度向き直した。

 

「何しに来たんだ。朧……」

「判らないか? 私が来た理由。夏山であれば判るだろうと思ったが」

「……幽奈をさらいに来たか?」

 

 そう、現れたのは朧だった。

 攫いに来たのか? と訊いたホムラは一瞬だけ表情が険しくなる。

 

 その表情から怒気に似たモノも含まれているのが判る朧。

 狭霧を捕まえた時のホムラの殺気を、直接ではないものの間近で感じ取った。朧の目的上 ホムラと敵対関係になるのは非常に好ましくない為、直ぐに首を振った。

 

「違う。そうではない。だが、私はより強き龍雅家を作ると言う目的は変わらない」

「……成る程。つまり、幽奈だけではなく、ゆらぎ荘の他の皆も攫う……と言う事か?」

「早合点をするな。それならばこう正面からお前の所へと来たりはしない。玄士郎様を一撃で倒した冬空コガラシ。その冬空と同等の力を持つ夏山。そんな強者がいる此処の場所に戦を仕掛けるも同義な事をする訳が無いだろう」

「なら 何故だ……?」

「………閨に男と女。据え膳食わぬは男の恥。状況から察すると見えてくるだろう」

 

 そう朧の言う様にホムラは大体判ってきていた。ただ、口にしなかっただけで。

 

「夏山の子を授かりに来たのだ。無論、冬空の子もな。これが最善の一手。2人の拠点が固まっていたのも実に幸運だ」

「………はぁっ!? な、何言ってるんだっ!」

「む? 判らないか? 強者たるお前たちの子。龍雅家を強くするのに最適な手段だ」

「な、ななな! だ、ダメだろっ! お、オレまだ、が、学生っ! そんな子供が子供なんて……っ」

「問題ない。元服は過ぎている。身体は強靭健康そのものだ」

「い、異議ありぃぃ!!」

 

 押し問答が続く中、先に更なる一手にうってでたのが朧。 

 

「目的の為ならば手段は選ばん。そして、冬空コガラシよりも遥かに扱い易い」

「な、なに………… ッッッ!!!」

 

 朧はホムラが素早く飛び起きた時と同等の速度で素早く布団を散らすと、自らの身体をホムラにぴたりと付けた。

 

「夏山ホムラ。お前の弱点は女体……裸体だ。その強固な身体こそはそのままだが 身体は硬直する。そこが狙い目」

「や、やや、やめ、やめ……っっ」

「そして生殖行為は可能とみた。早速子種を……」

 

 あっという間に篭絡されつつあるホムラだったが、ここに勝利? の女神が微笑んで? くれた。 

 

 ばんっ!! と勢いよく開くホムラの部屋の扉。

 

 仁王立ちしており、凄まじい殺気を含みつつ見下ろしている者が1人。

 

「む?」

「………貴様ら」

 

 誰が来たのかは直ぐに判った。そしてこの後何が起こるのかも直ぐに。

 

 

「何をしておるかぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 無数の苦無が雨霰のように降り注ぎ、朧の行為を中断させた。

 やってきたのは当然狭霧。騒がしいから直ぐに駆けつけてきた様だ。因みに幽奈とホムラが相部屋だった時、似た様な事があったので、その時の経験が活きた……と言うのは言うまでもない。

 

「雨野 狭霧。安心するが良い」

「安心なぞ出来るかぁ!!」

 

 持ち前の瞬足を生かして狭霧の攻撃を全て回避する朧。怒涛の攻撃が続くが、全て躱し、時には遮り。

 

「私の目的はあくまで夏山、若しくは冬空の強大な力を龍雅家に齎す事。2人からそれぞれの子を授かるのが理想だ。どちらにも恋慕の情はない。故に伴侶となるつもりも毛頭ない。冬空の正妻は幽奈さま、夏山の正妻は雨野狭霧で良いだろう。私は妾くらいが丁度良い」 

「せせせ、せいさいっっっ!? って、側室制度(そんなもの)はこの国には存在せんわぁぁぁ!!」

 

 

 

 やんややんや と騒がしくなった所で そのどさくさに紛れてホムラは脱出できた。

 

 

 

 

 

 

 

 ふらふらと、外へと出て夜風に当たる。

 

 どうやら ゆらぎ荘に新たな住人が増えそうだ。

 

「……勘弁してくれー」

「お。やっぱ ホムラのトコだったか。朧は」

 

 外でばったりと出会ったのがコガラシと幽奈。

 朧に襲撃? されて今ここにいる同士と言う訳だ。

 

 

「なんでだ―…… もうコガラシだけで良いだろ……、じゅーぶんだろ……。そーいうの」

「何でオレだけなら良いんだよ! オレだって心臓に悪いわ!」

「はわわわ! 落ち着いてくださいお2人ともーーっ!」

 

 

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