「体力テスト 前夜祭」
入学式が終わりその次の日、学年全体での体力テストが行われた。
翔と克也は体育着に着替え体育館へ向かおうと歩いていると黄色い声が辺りに響き渡る。
「はぁ…。まったく克也はモテるんだから少しは自重しようよ」
「待て翔。これは絶対俺は悪くないぞ…っておわっと!?」
翔に否定しようとしていた克也に女子たちが群がる。
それを見て翔は面白そうに笑いながら歩いて行った。
「おい、待てっ!見捨てるのかっ!」
「見捨てるも何も先に行くだけだよー」
翔は大笑いをしながら歩いて行った。
体育館へと着いたが開始の時間までまだあり、時間をつぶすため話し相手を探していた。
探して少し経つとやややつれ気味な克也を見かけ声をかける。
「大丈夫?その調子じゃ今回も僕の勝ちかな?」
「は…何を言っていやがる。今回は俺が勝ちに行ってやるぜ」
二人は火花を散らせながら自分たちのクラスのもとへ行く。
チャイムが鳴る響くと体育館の舞台裏から桐生谷先生が現れる。
「「うげっ!?」」
二人の苦悶な声が体育館に響く。
辺りを見回し視線を感じたのか二人とも野次馬に紛れ込もうとしている。
クラスの人たちはクスクスと笑っていた。
「始業式の時みたいなミスをするなんて最悪だぁ…」
桐生谷先生はそんな二人の会話は聞こえず話し始める。
「小学校、中学校でもやっているだろうから詳しい説明はしないが、くれぐれも怪我はしないように。それと手を抜いたりするなよお前ら、俺がちゃんと見ているからな。もし抜いている奴らがいたら俺が放課後みっちり叩きこんでやる」
その言葉に全員が息を呑む。翔と克也を除いた全員が。
その様子を見ながら先生はため息を吐いた。
「まったく…星宮と宮本は俺の側で計測をしてもらう。反省していないようだからな」
その言葉に二人は立ち上がる。
「ちょっと待ってよ!なんで化け物みたいな先生の側でやらないといけないのさ!そういうのは克也が得意だから克也だけにしてよ!」
「そうだぜ先生。俺はまだ化け物の仲間入りした覚えはないしなるつもりもないから翔だけにしてくれよ」
少しの沈黙の後翔と克也は取っ組み合う。
互いに動いたのは同時。
「ど…どういうことかな克也…。まさか僕のことを売るなんて思わなかったよ…」
翔は力を籠めながら克也とにらみ合う。
「その言葉…そっくりそのまま返してやるよ…!」
克也も力を籠めヒートアップする掴み合い。
一触即発にも見える光景に周りの生徒は焦っていた。
しかし、それは先生の鷲掴みにより中断される。
「お前らは俺が見ている!いいな!?」
耳に響く大音量に翔ったちは頷くしかなかった。
「「は…はい…」」
「まったく…どうしてお前らは静かに話を聞くことができないんだ…」
先生はブツブツと文句を言いながら舞台のほうに戻って行った。
翔たちは痛む頭を押さえながら座り込む。
こうして体育テストの事前説明は終わり、翔と克也の知名度が上がったのであった。