始業式のこともあり、翔と克也はすでに有名人になっていた。
教室に行くまでの間に翔たちのことをチラチラと見る人が多かった。
克也はやれやれと疲れたような顔をしていた。
それを知っているのか知らないのか、翔は笑っていた。
「でもあの先生すごかったよね。僕たちのことあんなに簡単に捕まえるんだから。きっと人間みたいな見た目だけど本当はゴリラとかなんだよ!
「ま、確かに人間離れしていると思うぜ、俺もお前もだがな」
翔のキラキラとした顔に克也は頬が緩む。
まったく、いつもいつも楽しいことを考えられるこいつが羨ましいぜ。少しは見習ってもいいかもな。
「あ、でもあの先生となら毎日鬼ごっこしても楽しそうだよね」
「すまん翔、やっぱ見習えないわ」
いきなり自分のことが話題になり疑問を浮かべる。
教室のドアが開かれ先生が教卓の上に日誌を置いた。克也たちは急いで自分の席に座る。
「さっきも会ったがこのクラスを担当する武田真人だ。口調は昔からこんな感じだったから直せないが話してて嫌だっていうやつがいたら教えてくれ、そいつに対しては普通に話すよう努力する。担当科目は国語で、分からないところがあれば聞くように。それじゃ生徒のみんなも自己紹介よろしく」
そう言って武田先生は一番前の生徒を指差す。
翔は指差す行為を見て少しイラッとしたが抑えた。
自己紹介は順調に進んでいき克也の番になった。
「えー、○○中学から来た高橋克也です。初っ端から色々やらかしたけど気にせず話してくれると嬉しい。好きなことは「叫ぶ」こと嫌いなものは「この世界」。こ…」
自己紹介が途中で止まり少しざわついた。
当の本人である克也はこっちをジッと見つめる。
僕はサッとそっぽを向いた。
(まさかバレた…?)
チラリと様子を窺うが、すでに克也は前を向いていた。
克也は咳ばらいをして再び自己紹介に戻る。
「えっと、好きなことは楽しく話すこと、嫌いなものは特にない、これから一年間よろしくお願いします」
自己紹介は着々と進んでいった。
「姫松千代です、これから一年よろしくお願いします」
翔はその自己紹介を聞くと姫松のほうを見る。
どんな表情をしているのか気になったが次の自己紹介は自分なので深く気にすることはできなかったた。翔が立ち上がるとクラスがざわついた。
「えっと、はじめまして。よく小学校の頃から「バカ」って言われていて勉強が「すっごい苦手」らしいです。人と話すのが好きなので気軽に話してくれると嬉しいです。男子女子気にしないで話してくれると嬉しいです。あ、名前は「バカ」宮「太郎」ってちょっと待ったぁぁ!」
翔が叫び克也めがけて走り出した。
だが克也のパンチを喰らい翔は撤退を余儀なくされた。
「もとはと言えばおまえが最初にやってきたことだろ、お互い様だ。二回目はやらんからもう一度自己紹介しとけよ」
翔はブツブツと言っていたが気を取り直して再び自己紹介を始める。
「えっと星宮翔です。これから一年間よろしくお願いします!」
翔はぺこりと頭を下げ席に座った。
クラスに笑いが広がり結果オーライという形になった。
「星宮翔…不思議な人…」
誰にも聞こえない小さな声で少女は呟いた。
みなさん始めまして、男爵芋です。
皆さんはこういう自己紹介になったりしたことはあったでしょうか。
もしなくてこういう自己紹介をしたかった!とか思ってくだされば嬉しいなと思います。
始めてみてくださった方も、読み返してくださっている方も読んでくださりありがとうございます。
四日から七日の間に更新はしますので!
それでは…イソイソ