女子たちが満足して戻ったあと克也の元に一人の男子が近づいた。
「ところでさ、さっきのあれ克也がやったんでしょ?」
「ん?何の話だ?」
「教科書のすり替え、あれどうやったん?全然気づかなかったわ」
男子は興奮気味に話していた。
期待されているのは嬉しいが…ただ小説読みたかったからああしてただけなんだよな…。
「期待してるところ申し訳ないが、あれは俺が小説を読みたかったから細工しただけで一瞬ですり替えたわけじゃない」
「え!?だったらなおさらすげえや!あ、俺のことは隼って呼んでくれ」
隼と他愛のない話をしようとしていたとき、翔が近づいてきた。
はて、鬼の形相みたいな顔をしているがどうしたんだろうか。
「克也どういうこと!?あれ教科書じゃなかったの!?僕熱心に音読しちゃったじゃないか!どうするのさ、絶対先生に目つけられたよ!」
「いやどう見ても厚さが違うだろ…それくらい気付けバカ。それに俺らが教師たちに目をつけられないと本気で思ってたのか?」
さすがにそんなこと思ってるわけないよな…?
今まで俺らが要注意人物にならなかったことなんて一度もないだろうに。
「厚さなんて知らないよ!見たことすらないんだから!それに気持ちを改めたんだから目をつけられるわけないじゃないか!」
こいつ…どうやって授業受ける気だったんだ…?つーかやっぱり思ってやがった!バカだこいつ!
「悪かった悪かった許してくれって(笑)」
翔はふんっとそっぽを向いていた。
向いた先の隼に気付き顔を近づける。
「あれ、君はたしか神風隼くんだよね?隼って呼んでいいかな?」
突然声をかけられ驚く隼だったが、すぐに我に返り頷いた。
翔は嬉しそうな顔を浮かべながら握手を求める。
握手を交わした隼が疑問を浮かべる。
「でもよくパッと顔を見ただけで名前が分かったな」
「あぁ…それはな」
克也が補足を付け足そうとしたがチャイムが鳴ってしまった。
翔は席に小走りで戻って行き克也も机から教科書(の表紙の漫画)を取り出していた。
隼は物凄く気になっていたが渋々自分の席へと戻って行った。
克也は教科書を取り出すと教室を見回す。
すでにクラスの中で何人か仲良く話している人たちがいるな。翔は独特なオーラだから人があんま寄らないと思っていたが結構話せているな。
「ま、最初っからあんなバカやったら悪いやつだとは考えにくいか」
いい意味クラスに一人はいてもいいムードメーカーだしな。
最初の第一印象って大事だな。
克也は小さなノートにメモを取り教科書を読み始める。