五限目が終わり次の授業までの休み時間。
隼は克也のもとへ行きさっきの話の続きを訪ねた。
「あぁ、翔はあれで頭はすごくいいんだ。入試の点数聞いたら500点中400点で名前さえ書いていれば全部満点の500点だったらしい。中学の時もそういうバカをしたとき以外満点しか出さなかったからよく天才と馬鹿を掛け合わせた天馬って呼ばれてたもんだ」
俺なんて200点ギリギリだったってのに…はぁ、テストが不安だ…。
そんなことを考える克也に気付かず続けざまに質問する隼。
「はぁ!?すごいな翔のやつ。でもだったらなんでこの学校にしたんだ?」
克也は一瞬顔を驚かせたがすぐに表情を戻した。
だが、克也の一瞬の表情の違いを翔は見逃さなかった。
「それは克也と一緒に学校に行きたかったからなんだ。小さい頃から一緒にいてお互いの考えとかほとんど理解し合ってるし、なら同じ高校通って楽しく過ごしたいなって」
克也が言葉を出そうとする前に翔が話す。
それを聞き隼は納得した。
「たしかに、入学式の前とかすごい息が合ってたもんな」
「うん!だから僕と克也が一緒の学校なのはそういう理由なんだ」
翔は笑いながら語る。その顔には他の考えなどないような無邪気な笑みを浮かべていた。
「見てるこっちも面白いしなー、じゃあまた後で!」
チャイムが鳴り隼は席へと戻って行った。
その姿を見て翔は克也の耳元で囁く。
「克也、僕の家庭事情が含まれることは言わなくていいんだからね?」
「あぁ…分かってるよ…。すまなかったな」
ううん、大丈夫だよ。と翔は笑いながらそう言い席へと戻って行った。
克也は翔の声音に冷や汗をかいていた。
ドアが開き武田先生が入る。
「あー、六限目のLHRだが、五月の頭に行われる体育祭の出場種目を選んでもらう」
五月の頭…。入学してから一ヵ月…やけに早いな。たしかに生徒同士の交流を深めるなら手っ取り早いかもしれんがもう少し遅くしてくれると授業にも余裕ができて助かるんだが…。
少しして先生が手をポンと叩き忘れていたことを思い出す。
「おっとそうだった。そういうのを決める前に係や委員を決めないとな。立候補者を優先してその後推薦って感じで行くから、よろしく」
すると姫松が手をあげた。
「図書委員立候補します」
それを見て翔もすかさず手をあげる。
一瞬先生が嫌そうな顔をしていたがきっと気のせいだよね。嫌いって意味じゃなくてめんどくさいっていう意味だったら嬉しいな!
「僕も図書委員に立候補しまーす」
「あ、あぁ…良かったわ。学級委員に立候補するのかと思ってひやひやしたわ。まあ確かにお前の頭なら本がお似合いだろうよ」
「いやですね先生。僕は本は好きですけど外で目いっぱい遊ぶのも好きですよ?」
「そういうつもりで言ったんじゃないんだが…まあいい、他の皆はどうする?」
かくして委員決めが行われた。
最初は自ら立候補する人が少なかったが克也の一言により順調に進んでいった。
それを見ていた翔は一つの提案を出した。
「克也が学級委員をすれば面白そう!」
纏まりそうと言わないのが翔らしいと克也は思ったがすぐに違うだろと心の中で突っ込む。
克也は立ち上がり否定する。
「いや、それは向いていない。そもそもクラスを纏められたとしても学級委員が模範となっていないような俺がやるのは学校の教育方針とかにも影響が出ると思う」
克也の話を聞きほとんどの人が納得していた。
人生のほとんどを一緒に過ごしてきたからこそ分かる嘘だと。
「克也、本当は面倒なだけじゃ…?」
「は?いやそういうつもりじゃ…。というかそれならお前がやれよ!」
「僕はもう図書委員だから無理だよーだ!でも克也なら皆をうまく纏められると思うんだ」
急に真剣な声音になり克也は驚く。
話を聞いていた武田先生も確かにと言わんばかりに頷く。
剛先生の話だと星宮も宮本も見かけはアレだが中身はきちんとしているらしい、他の生徒と違って。
桐生谷先生との話を思い出し武田先生も説得を始めた。
「確かに宮本ならクラスを纏められると思う。お世辞とかじゃなく今までの教師人生の中でもこんなことを思ったことは無い」
先生の言葉とあっては克也も断るに断れない。
翔のほうを見ると清々しい笑みを浮かべていた。
あー、こりゃダメだ。今のこいつから逃げられないわ。
「分かりました、学級委員をやります!」
克也が堂々と言うとクラス中大歓声に包まれた。
翔は克也に向かって小さく語りかけた。
「今日が僕の人生で初めての先制弄りな気がしてきたよ」
意味が分からず固まっていたが、少しして意味を理解し笑いながら克也は頷いた。
「そうだな、遅すぎるくらいだ」
いやぁ…まさか登校設定したと思ったらし忘れていたとは…。
読んでくださっている方々、本当に申し訳ありませんでした(;´・ω・)
次回の更新予定はちょっと間を空けて再来週の火曜日です!