転生少女の希望譚   作:修羅

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主人公視点練習。
あれ、これって神様転生?
あれ、これってポケットモンスター?


転生少女の希望譚

 

 

私はバスケが好きだった。

それに気づいたのは、中学に入って、各部活を見学していた時だ。

私は中学に入った時、絶対に運動部に入ろうと思った。

理由はわからない。だけど、運動部に入ったら何か変わるかな、なんて考えてた。

体力も伸びるかもしれない。

もっとコミュニケーションが取れるかもしれない。

自分が、明るくなるかもしれない。そうだと思った。

ただ髪を結ぶのが嫌だっていう理由もあるけど、心変わりを理由にして髪も切った。

新しい制服を着て、少し緊張した。

でも、中学に入ったら……なんて考えて、私は新しい子達と入学式を終えた。

そして、部活の見学会が始まった。

そこで私は、運動部は何にするのかちゃんと決めていなかったので、ここで見切りをつけようと思った。

自分ができそうなもの。出来れば、チームワークを必要とするもの。

何か、自分でも頑張れるものはーーーーそこまで思っていて、出会ったのだ。

『バスケ』というものに。

初めは楽しそうだなぁというものだった。

小さい頃からバスケというものは頭に入っていたので、大体のルールはわかっている。

しかし、やはり中学からバスケはガチであった。

先輩の声が飛び交う。顧問の怒号は響く。

でも、皆楽しそうだった。

ーーーここ、かな。

私は直感的にそう思った。

だけど何か怖くて、一回目の入部調査は第二希望にした。ちなみに第一は剣道である。

しかしいざやってみれば、剣道は正座がキツイし頭に響いて気持ち悪くなってしまう。

バスケはボールの扱いが結構難しくて、他の部活に迷惑をかけてしまった。

やっぱり私は、運動は向いていないのだろうか。そう思ってしまったが、周りを見たら私と同じ人がいるので、ただ私が下手なだけだと無理矢理そう思わせた。

二回目の入部調査。ここで私はバスケを第一にした。

第三まで希望がつけられるが、その中でバスケが比較的私に合っていたので第一にしたのだ。第二が吹奏楽、第三が剣道である。ちなみに別に一回目の調査に縛られている訳では無い。別に一回目と変えてもいい。

二回目の仮入部は少し本格的になった。パスする時の手の動き。受け取る時の動作。シュートフォーム。その他の事を細かく教えられた。

結構大変だったが、どうやら私は飲み込みが早いらしく、特に受け取る時のフォームがたいへん良かったらしい。……この場合、手のフォームだった。

その時褒められて、少し嬉しかった反面、照れくさかった。

 

 

三回目の入部調査。これでどの部活に入るかが決まる。

私は迷わず、バスケ部を選択した。

無事私はバスケ部に入部し、バスケ部のメンバーとして活動することになった。

 

 

 

 

 

 

ここまではよかった。

私も、仲間と一緒に頑張ろうと意気込んだ。

しかし、夏の中頃。

夏休みに入って、間もない頃だった。

 

部内で、私に対してのいじめが始まった。

 

いや、それは私の勝手な思い込みかもしれない。ただ私が、被害妄想が高いだけなのかもしれない。

しかし私が声をかけると、私でもわかるほどに嫌な顔をして応じるのだ。

しかしそれは1年生の間だけ。先輩は、変わらず接してくれた。

しかし一年の一部の人達に、私は嫌われているらしい。

ペアを組もうとしたらあからかさまに避けられる。私が近づこうとしたら離れていく。

あれ、私いじめられてる?

そう思い始めて、私はどんどん皆から距離を取り始めてしまった。

そして、そのストレスもあったのだろうかーーーー練習中に熱中症になってしまい、私は吐瀉物をぶちまけてしまった。

幸い吐く前に皆が気づいて外に出してくれたので、なんとか処理出来るが……罪悪感でいっぱいだった。

行く前に食べたエビチリが吐き出され、吐瀉物は真っ赤。……正直、また吐きそうだった。

ごめんなさい、ごめんなさいと何度もコーチに謝ってしまい、自分でも滑稽だと嘲笑いたくなった。

熱中症になった……いや、なりかけた日はちょうど三年の先輩のお別れ会だったので、私は体調が良くなった時にまた復活した。……練習には出れなかったが。

そしてその日は顧問に送ろうかと言われたが、断って自分の足で帰った。正直、また吐きたくなった。

 

 

そしてまた家に帰って、吐いた。

 

 

 

 

この熱中症の原因は、私が勝手に思い込んでいるいじめのせいかもしれない。

しかしバスケ部を簡単にやめられるわけがない。せっかく親が払ってくれているのだ。私も頑張らなくてはならない。

そして私は精神的ないじめに耐えて、二年に上がった。

 

しかしまた問題が起こった。

 

 

 

二年になって間もない頃。

今度はクラスでのいじめが始まった。

 

いじめのリーダーは、私の隣の男子だった。

隣の男子は私が何かをする事に「臭い」と言った。

ちゃんと体も洗っているのに。

そしてそれを援護するかのように、悪ガキと思われるクラスメートが臭いとはやし立てた。

もう私の心は限界だった。

しかも、先輩は夏休み中には引退してしまう。

まだ私は仲間外れのままだ。

それに、クラスの一部の男子にも嫌われている。

女子は仲は保っているので、私はなんとか保っていけた。

しかし、これはさすがに限界だった。

授業中、隣の男子はよくに言う不良系だった。

だから授業は全然受けないし、違う男子に話しかけている。

しかも、私の前の人とだ。

おかけで授業に集中出来なかった。

しかも、事ある事に机を蹴ってきて、私はそれに集中しすぎたせいで、肝心の授業には集中出来なかった。

結果、テストの点数は落ちた。

さらにヒートアップしていく。

今度は帰るとき、私の靴やスリッパが片方無くなった。

幸い下駄箱の上に置かれていたので、またあいつらの仕業かともう半分諦めていた。

しかしこのくらいなら私も時間をかけないし、あいつらにとっても不利だ。

先生には話していない。

いや、先生は察している。現に私の担任だった人は、私に対しての悪口だとすごくその男子に注意していた。

しかしこの靴事件は知らないであろう。それに話すつもりもない。こんなくだらないことに、先生を巻き込みたくなかった。

しかし、それは予想外のことでバレてしまった。

靴やスリッパが隠されて一週間が経った。バスケ部で朝練もあるので、いつもは朝早くから学校に来ている。

今日は外での練習だったので、教室に行くには下駄箱に行かなくてはいかなかった。

下駄箱に行って、私は絶句した。

 

両方、隠されていた。

 

アホだな、と私は冷めた目で辺りを見渡した。

本当に馬鹿だ。こんなことをしたら、先生にバレてしまうではないか。もっとうまくやれ糞ガキ共が。と、珍しく心の中でキレてしまった。それを表で出すことは無い。

結果、スリッパは全然見つからず、登校してきたクラスメートの女子に心配されながら探していたら、それを見かねた先生が声をかけてきた。

その日、私は借り物のスリッパで過ごすことになった。

 

その後、私のスリッパは見つかった。どこにあったのかは、よく聞き取れなかった。

 

 

 

 

そしてストレスがたまりに溜まって、何回か体調を崩した。

そしてそれを親が勘づいて、私に問い詰めた。

 

私は白状した。

 

 

 

 

 

 

その後、私をいじめていた男子達は担任と、学年で怒らせてはいけない先生にこってり絞られ、それ以来いじめはなくなった。

そして私は、バスケ部をやめた。

バスケ部のことも少しだけ親に話した。

そしたら親は「やめてもいい」と、言ってくれた。

大好きなバスケをやめてしまうのは、少し嫌だった。

だけど楽しくないのなら、バスケをやる気なんて、起きなかった。

退部届けを出した次の日、私は部活には行かなくなった。

いや、行けないのだ。私はもうバスケ部ではないのだから。

親もわかっているので、強く正式にやめるまでバスケ部にいなさいとは言わなかった。

しかし行かなかった次の日。

私をいじめていた人が「何で来なかったの?」とわざわざ言いに来た。

もしかして伝わってない?と驚いて、何も言えず、私はただ暴言とも言える言葉を受け止めていた。

やれやる気がないのとか、やれ皆頑張ってるのになにしてるの、とか……他は言葉がきつすぎて覚えていない。

それを、毎日も受けた。

またストレスが溜まった。

 

 

退部届けを出して二週間後、顧問に呼び出された。

一体一で話せる部屋に移動して、顧問は「何でやめた?」と私に聞いた。

私は「いじめられているように見えてしまって、ストレスで体調を崩しまくってしまった。もう家族や他の人に迷惑をかけたくないから、やめた」と言った。

それを聞いた顧問は、「君はいい選手だった」と言った。

それは嬉しかった。だからごめんなさい。

私は耐えきれなかった。精神的に鬱になりそうで、嫌になってしまった。

ごめんなさい、でも私は、バスケは大好きです。

それだけを言って、顧問……先生は、笑った。

 

 

 

 

そして正式に、私はバスケ部をやめた。

 

 

 

 

バスケ部をやめた後は凄く暇で、ゆっくりと登校した。

そして教室に行く時、かつての仲間がコーチ……いや、バスケ部のコーチに何かを言われているのが見えた。

それが何なのかは、私にはわからなかった。

 

そして充実した中学生ライフを過ごし、私は三年生となった。

 

 

 

どっちかっていうと、新しい部活に三年のクラスメートで、私の心は浄化されていった。

 

ああ、なんとも幸せなのだろう。

しかし、卒業が迫っている。

そして、高校受験も。

私は一般試験だと思い込み、凄く勉強した。

 

しかし。

 

 

 

 

ある日、登校すると校長先生が私を呼び止めた。

要件は「推薦は勧めたか?」ということだった。

この時、推薦を勧めるとはどういうことか理解していなかったので、「いいえ」と答えた。

それを聞いた校長先生は「何やってんだおめぇ!」と、何故か叱られた。

その後、担任の先生に推薦できるか聞いてこいと言われた。なんなんだ一体。

 

早めにと言われたので、私はホームルームが終わった後、担任に聞いた。

しかし担任は凄く残念そうな顔をした。

どうやら推薦は、冬休みに入る前に決まるらしい。

それは惜しいことをしてしまった。なら私は、もう推薦の資格はないのか。

担任が「どうして聞いたの?」と聞いてきたので、「校長先生が聞いてこいと」と言った。

そしてその会話は終わり、私は授業に戻った。

さて、家に帰ったら勉強頑張るか。と意気込みながら。

 

しかしそれが突然変わるとは思いも知らずに。

 

 

帰ってスマホを弄った後勉強しようかと着替えていた時、突然祖母に呼び出された。

学校から電話が来てると言われ、私は何かしたのだろうかと内心不安になった。

しかし内容は「推薦のことで話がしたい」とのことだった。

何故?もしかして、もう推薦ができないことをきっぱりと言うためだろうか。こっちは全然そう思っていないので、まぁ行くだけいってみようということになった。

また制服に着替え直して、私は学校に向かった。

そしたら、担任と教育指導の先生が、私を待っていた。

談話室に通されて、まず私は説明された。

推薦は冬休み前に決まるということ。本当だったら、今推薦は通されないと。

それはわかっている。どうせ推薦枠に行けれないのであろう?

しかし、違った。

先生は「でも」と言い直した。

 

「校長先生が君に推薦で声をかけられたのは、驚いたよ。そこで私達は考えた。校長先生が認めてくれた生徒を、一般で留めるわけにはいかない。君がいいなら、推薦入試を受けてはみないか?」

 

……まじかよ、と驚いた。

こんな展開、思ってもみなかった。

でも担任も、教育指導の先生も、凄く考えて出した答えだ。

後は私の答えである。

しかし、先生は続ける。

 

「今から推薦入試に向けてやるには、暫くは一般入試の勉強はあまりできない。あくまで推薦入試が目標ということだから、推薦入試に集中していただく」

 

つまり、推薦に落ちたら一般は厳しくなるということか。

それを聞いて、私の心は揺らいだ。

どうしよう。確かにうまい話だが、落ちたら一般が不利になる。推薦入試がどんなものかわからない以上、ここで、自分で決めるのはよくないと判断した。

私は親と相談すると言って、先生達にお礼を言って帰った。

 

 

 

夜、推薦のことで話をしようとしたらお母さんにめっちゃ喜ばれて、「絶対受けろ!」と言われた。

……嬉しそうだから、その期待を無駄にしてはいけないな。

どうやら、話し合いは皆無のようだ。

 

 

翌日、私は担任に推薦入試を受けると言い、私の推薦入試に向けての勉強が始まった。

 

 

 

 

 

……と思ったが。

どうやら推薦入試はスピーチと質問だけらしい。テストとかそういうのはないようだ。

三分できっちり終われるよう、スピーチ用の原稿を渡された。これを明日、担任に提出する。

私の推薦は急だったので、早く仕上げて万全に準備を整えなければならない。

今は、二月の中頃。

推薦入試はーーー三月五日。

時間は一刻を争う。

私は放課の時間に、その原稿を書き進めた。

 

昔から文を書くのは好きだった。

だからこういうのには自信があった。

どんどん筆が進み、いけると思ったその瞬間。

私は原稿を見直して絶句した。

……くっせー。

なんともくさいセリフが飛び交っている。

これではダメだと、また修正した。

 

担任に提出してその翌日、担任から指摘された。

もっと自分の長所を書くとか、部活で何をしたかとか、自分の趣味を全面的に出せとか、とにかくいろいろ。

なかなか難しい。

私は指摘された部分を修正して、また提出した。

 

そして翌日また提出し、提出した翌日。

私は原稿合格をもらえた。

 

 

この時期ではインフルエンザが流行っていた。

当然、私のクラスも例外ではない。

二、三人がインフルエンザで休み、私の周りの人もインフルエンザで休んでいった。

推薦入試も近づいているので、ここではあまりかかりたくないなと、私は授業を聞きながら胸に思った。

 

 

そして推薦入試当日。

 

 

 

なかなかの出来だ。と私は帰りながら自画自賛をした。……自画自賛というのはおかしいか?まぁどっちでもいい。

結果、なかなかいいと思う。スピーチはちゃんと噛まずにゆっくりと言えたし、質問にもちゃんと答えられた。

しかし「今までのニュースを見て、どう思いましたか」は驚いた。てっきり「最近のニュースで印象に残ったのは」だと思っていたので、少し言い淀んだ。しかしちゃんと自分の意見が言えたので、よしとしよう。

さて、結果は明後日に聞かれる。

受かってると、いいな。

 

 

 

結果、推薦入試に見事合格した。

 

 

 

その報告を受けた時はもう頭真っ白になって、紙とか受け取ってたな。公立の高校はなかなか受からないとめっちゃ焦っていたが、無事に受かってよかった。

その夜、お祝いのカレーを食べた。美味しかったです。

 

 

さて、残すことは卒業式である。

皆泣くんだろうなーと思いながら、卒業式の練習をしている時。

 

私、ぶっ倒れました。

 

幸い先生方が運んでくれたが、熱を測ればあらまびっくり、39度を超えていました。

実はインフルエンザが過ぎたであろうこの時期に、私の学校ではまた新たにインフルエンザが流行ってしまったのである。現に隣のクラス五人と、私のクラス一人が犠牲になった。その六人は卒業式には出れなくなってしまった。

ちょっと待て、まさか私もインフルエンザとかありえん?と熱に魘されながら焦ったが。

結果、インフルエンザでした。

ちなみに卒業式の三日前である。あ、オワタ。

もうこれは諦めるしかない。何で私はこうも不幸なんだ。

全然納得がいかないので、お母さんに卒業式の動画撮ってきてと無理矢理行かせました。だって私も見たかったんだ。皆の旅立つ姿を。

できれば、同じ土俵に立ちたかった。

 

こうして、私の中学最後の卒業式は、幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

改めて書き留めると泣きそうになった。

ここまで頑張ったな、私。

いじめられ、またいじめられ、やっと開放されたと思ったらインフルエンザで卒業式に出れない。

あれ、結構壮絶?

 

「……って、本当に頑張ったなー私」

 

ペンを置きながら、ふとまたそう思う。

やっと私は、高校生になれた。

今日、自分の足で高校の学校に行くのだ。

もう失敗はしない。

絶対に、最高の高校ライフを過ごしてやろう。

……初日からこんな早朝にこんなことを書くのは、なんでなのかは私もわからない。

もう中学生の私とはお別れ。

そして初めまして、高校生の私。

 

「……よし!」

 

時刻は七時。起きた時間から三時間くらい経過している。

ご飯も食べた。準備もバッチリだ。

後は、制服を着て、学校に向かう。それだけである。

 

椿(つばき)ー。そろそろ準備ー」

 

「はーい!」

 

お母さんが事前に知らせてくれた。

さぁ、高校の制服を着よう。

 

 

 

少し緊張する。

髪も改めて切った。負けないよう、運動もいっぱいした。

バスケを愛する気持ちは変わらない。

高校にも、バスケ部はあるのかな?

どうしよう、バスケ部に入りたいが、中学……いや、囚われてはいけない。ここからは、高校生の私として生きていくんだ。

 

「……よし」

 

ちゃんとローファーを履いて。

鞄も背負い直して。

そして、見送ってくれるおばあちゃんとお母さんに、こう言う。

 

「行ってきます」

 

「はい、行ってらっしゃい」

 

「気をつけてね」

 

「うん!」

 

さぁ、この扉を開けよう。

扉を開けて、外に出る。

春の風が、私を歓迎してくれるみたいだ。

さぁ、行こう。

 

 

 

 

新たな一歩を、踏み出そう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危ないッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『死の、一歩を』

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

あれ、何で私、目をつぶっているのだろう。

まだ眠っている訳ではない。だって私は、学校に向かったはずである。

こんなところで寝ていたら、事故に会うかもしれないじゃないか。

 

「実際に、事故に遭って死んだがな」

 

……は?

 

 

 

「ッえ」

 

視界が広がった。

しかし、私はまだ混乱したままだった。

何で辺りが真っ白なの?

何で私は寝そべっているの?

道路は?

車は?

私の家は?

 

あの痛みは、何だったの?

 

「まぁ、最初はそうじゃろうな」

 

また、あの声だ。

しかもそれは、後ろから。

振り返るのが怖い。

振り返ったら、何もかも失われるような気がしてならない。

でも、振り返らなきゃ。

それには逆らえず、私は振り返った。

 

「……なんじゃ、もう落ち着いたのか?」

 

そこには、お爺さんがいた。

しかしちょっと変で、天使のような格好をしたお爺さんだ。

お爺さんは何かを書いているようで、私の方は見ていない。

待って、本当にこれはなんなの?

私早く、学校に行かなくちゃいけないのに。

 

「まだ飲み込めておらんようじゃのう、死人(しびと)よ」

 

それに答えるかのように、お爺さんは呆れて言った。

……し、びと?しびとって、死んでる人のこと?

え、何なの?

 

「待って、しびとってどういうこと?ねぇお爺さん、ここはどこなの?」

 

「……たく、いつものパターンじゃな。教えてやる」

 

お爺さんは一回咳払いをして、こう言った。

 

 

「ここは死人が集まる世界。つまり、現実世界で死んでいった魂が集まる世界じゃ。また、天国か地獄かも決める場所でもある。理解したかのう?」

 

 

……は?

死人が集まる世界?

『現実世界で死んでいった魂』?

待って、それだと私は。

 

ーーー死んだことになる。

 

「そりゃ、お前さんは死んだからのう」

 

「……う、そでしょ!?」

 

思わず叫んでしまう。

だって、本当に急すぎる。

学校に向かおうとしたらいきなり死んだって言われて、冷静にならない方がおかしい。

何で?私の身に何が起こったの?

混乱していると、お爺さんが紙を捲りながら言った。

 

「死因じゃが、居眠り運転のトラック運転手に轢かれたんじゃ。病院には搬送されたが、間もなく死んだよ、お前さん。ちなみにお前さんは天国行きじゃ」

 

「ま、って。待ってよ!そんなの信じられるわけない!お願いだから、私をお母さんのとこに帰して!」

 

「無理じゃな。だってお前さん、死んでいるから」

 

はっきりと、そう告げられた。

ーーー嘘だ。

だって私は、今日、運命の日なのに、やだ、これじゃあ。

私が、変われない。

嫌だ。

嫌だ。

嫌だぁ……!

 

「……嫌だよぉ……!」

 

涙が出てきた。

それを止める気力もなかった。

こんな終わり方、私の人生の終わり方が、こんなあっさりとしているなんて、嫌だ。

もっと色々したかった。

結婚もしたかった。

色々なことに挑戦したかった。

友達と何処かに行きたかった。

もっと、もっと私は。

 

生きたかったのに……!

 

 

「……まぁ、こんな死に方をした死人は、お前さんのように泣き崩れる」

 

お爺さんの声が、少しだけ優しい声になった。

 

「しかし、それも運命。永く生きながらえ老死するか、事故に遭って死ぬか、何者かに刺されて死ぬか、それもまた運命。つまりお前さんが死ぬのは、一種の運命だったのじゃ。気に止むことは無い。お前さんのような死人は、いくらでもいる」

 

その優しい声が、あまりにも私を滑稽にさせていく。

やめてよ、運命なんて、死ぬ運命なんて望んでいない。

私は、こんな所で死ぬ運命じゃないの……!

でも、死んだのは事実。

それから、目を逸らせれないのも事実。

嫌だ、こんな運命、認めたくないのに。

頭の中では、この運命を認めている自分がいる。

否定して。

私は死んでいないって。

これは夢なんだって。

お願いだから、否定してよ……!

 

「しかし、過ぎたことを悔やむのはよくない。ここは前を向いて、天国に向かうのじゃ。よいな?さぁ、立て」

 

お爺さんが私を無理矢理立たせた。

でも足元がおぼついて、自分が何をしているのかもわからない。

そのまま私は、お爺さんの手によって何処かに連れていかれる。

ーーー天国って、どんなとこなの。

 

「草原や花畑が広がっているぞ」

 

私が、自由に動ける場所なの?

 

「まぁそれくらいしかないからのう。のんびりと過ごせるんじゃないのか?」

 

それじゃあ、何も出来ないと同じではないか。

嫌だ、縛られるなんて嫌だ。

早く、早くーーーーー。

 

「……………………ぁ」

 

ハッと、思い出した。

そうだ、この手が、あるではないか。

出来るかわからないけど、試してみる価値はある。

 

「……お爺さん」

 

「なんじゃ?」

 

お爺さんは素直に私に答えてくれた。

一度深呼吸をして、そして言う。

 

 

 

「転生って、できないの?」

 

 

 

それが私の、最後の手段。

何もしないなんて嫌だ。

私も歩きたいのだ。

何かしたいのだ。

未来に進みたいのだ。

だから、どこかのラノベでやっていた転生に全てを賭けた。

これが私の、最後の希望。

 

しかしお爺さんはその言葉を聞いた途端、深く溜息を吐いた。

 

「お前さんみたいな奴は仰山いた。ある者は生きたいと、ある者は遊びでと、ある者はチャレンジ精神を、ととてもくだらないことじゃった」

 

そんなに、転生を望んでいた人がいたんだ。

なら、私にも可能性がある。

しかし、とお爺さんは続ける。

 

「今、ここで転生はーーーー莫大なる痛みと、仰山の怨念を被り、死に至らしめることになるのじゃ」

 

「……え?」

 

どういうこと?

楽に、転生はできないということ?

お爺さんは一回咳払いをして、また続ける。

 

「よいか?転生というのは、人生をやり直す、つまり赤子の頃から「巻き戻す」のじゃ。そのままの姿で生き返るのは転生とは言わん。じゃから、転生する為に身体を「小さく」しなければ、転生はできん。しかしその小さくするというのが死に至らしめるのじゃ。お前さんの身体じゃと、電車に一生轢きづられる痛みか、それ以上の痛みを味わうことになる」

 

「え、待って、意味がわからない!」

 

「じゃから、転生する為に体を小さく、言うなれば赤子の姿まで身体を縮ませなければならない。お前さんだって、骨を切られたり折られたり、無理矢理小さくさせられたら痛いじゃろう?それと同じことをする」

 

それじゃあ、痛みがあるのは当たり前だ。

しかし怨念も受けるとはどういうことだろう。

いや、もっと別の方法で転生は出来ないのか?

 

「他の転生はないの!?」

 

「あるぞ。というか、そっちの方が痛みもないし楽に転生できる」

 

「何!?教えて!」

 

「天国で時を待つことじゃ」

 

……天国で待つことが、最善の転生?

でも、一週間とかなら大丈夫。

それが痛みも感じず行けるなら、私は。

 

「そうじゃな……期間は、100年から1000年の間くらいじゃのう」

 

「……は?」

 

「何を言っておる。一週間程度とかでも思ったか?そんな程度だったら、天国にいる死人はもういなくなっておるわ」

 

……100年?

100年も、待たなきゃいけないの?

私は死んでいるから、別に100年経っても変わらない。

だけど100年なんて、長すぎる……!

こんなの、待てるわけない!

なら、やっぱり痛みを感じて転生するしか……。

 

「そもそもじゃ。お前さんは何で転生したい?」

 

お爺さんが訝しむように問いた。

……私が転生したい理由。

凡人みたいな理由だけど、頑張って伝えれば何とかなるかもしれない。

 

「今日が私の、運命の日だったの。私自身が変わる日だったの。そんな日に突然死ぬなんて、私が納得出来ない。だから私は、私自身を変えるために転生する。未来を切り開いて、また希望に向かっていきたい!生きて、自分の足で!歩みを進めたい!それが私の、転生したい理由なの。お願い……転生、させて」

 

お願い。

この際、痛みを感じてもいい。苦痛を味わってもいい。どんなに怨念を被ってもいい。

それを乗り越えて、転生したいの。

お願い、お爺さん。

 

お願い……!

 

 

 

 

 

 

 

「……お前さんの理由はわかった」

 

パッとして、私は顔を上げた。

だけど、

お爺さんの顔は、険しいままだった。

お爺さんは何処からか出したのか、杖を取り出して前に向けた。

 

「ならその信念が本物かどうか、試させてもらう」

 

杖を振ると、『真っ黒い空間』が現れた。

しかし所々亀裂が入っており、そこから覗く眩い光が、私に当たる。

お爺さんは左に避けて、空間を指した。

 

「今ここで転生をしたいのなら、この空間に飛び込みなさい。しかし、さっきも言ったとおり、ここに飛び込むと同時に、お前さんに痛みと、怨念が降りかかる。お前さんの身体は縮みに縮まって、そして赤子の体型になって、生きていたら転生できる。ーーーー生きていれば、じゃがな」

 

ゾクリとした。

つまり、生きなければ転生できない。

それくらい痛みは激しく、怨念が降りかかる。

考えるだけでも恐ろしい。

だけど、ここを越えなきゃ、私を変えられない。

深呼吸をする。

もうちょっと、落ち着いて。

 

「この空間で死んだら、お前さんは虚無の魂となり、二度と転生できない。それでも、この空間に飛び込むかのう?」

 

二度と転生できない。

その言葉に、一瞬息を止めた。

でも、もう決めた。

ここでも死ぬわけにはいかない。

私の信念がどれ程のものか、あなたに教えてあげる。

 

 

「……飛び込む。それしか、選択肢はーーーーーない!」

 

距離をとって、助走をつく。

 

そして私は一気に走り、そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

その空間に、飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間。

 

 

 

 

 

 

「あ、あああああああああああああああああああああああああああッッッ!!」

 

私に、尋常じゃない痛みが走った。

骨が軋む音がする。

血管が浮き上がって、気持ち悪い。

 

「い、がぁ!うあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

叫ばなければ、この痛みを堪えきれなかった。

耐えろ、耐えろ私。

乗り越えろ、乗り越えろ!

しかし、さらに。

 

『許さない』

 

「!ひ、ぁ」

 

私に、追い討ちが走る。

脳内に聞こえる、禍々しい声。

恐らくこれが、怨念の声。

 

『転生させない』

 

『死んでしまえ』

 

『転生したいのに』

 

『砕けろ』

 

『壊れろ』

 

『いなくなれ』

 

『転生するな』

 

 

「ッぜってぇ転生してやるゔ!私は、負げない!」

 

怨念の声なんか気にするな。

転生することにだけ集中しろ。

私の決意が、どれほどのものか、それを証明するんだろう!

 

「!いがああああああゔゔゔゔゔゔゔゔ!!!?おおおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

もう何を言っているのかもわからない。

怨念の声が、繰り返される。

血が吹き出される。

骨がどんどん軋む。

私の声が高くなる。

私の体が小さくなる。

痛い。

痛い。

凄く痛い。

涙が出てきた。

何でこんなことになった。

それは私が望んだからだ。

転生したいと、望んだからだ。

だからこれは、私への罰。

 

そして、私への、チャンス!

 

 

「負けない負けない!まげない!まけなあああい!頑張れ頑張れがんあああばれ!ばああああああ!!が、んば、ああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

意識が持っていかれそうだ。

頭の痛みも酷い。

 

『飲まれろ』

 

『無くなれ』

 

『転生するなんて許さない』

 

まだ、怨念の声が続いている。

……だから。

 

「やめねぇって、言ってるだろぉがああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

金切り声みたいなのが出た。

でも、もう叫ぶ力もない。

やばい、叫びすぎた。

あれが最後の叫び。

いつの間にか私の体は血だらけだった。

手もちっちゃかった。

体も小さかった。

髪もなくなっていた。

服もなくなっていた。

視界も狭かった

……しっ、ぱい?

 

「……ぁ、ゃ……だ……」

 

もうこんな声しか出せない。

もう何処に向かっているかもわからない。

失敗だ。

私は、耐えきれなかった。

 

私は、生きれ…。

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、真っ白な光に包まれた。

それは暖かくて、まるで誰かに抱かれているような温もりだった。

 

『ーーーばーーーーかーーー』

 

誰だろう、低い声が聞こえる。

 

 

『ーーーああーーーー!!』

 

 

高い声も聞こえる。

 

 

『がんばーーーー、しーーーー』

 

 

また、低い声。

 

でも、別の声。

 

 

 

誰かに引っ張られる。

その手も、暖かくて。

落ち着いて。

でもさっきの声は?

あれ、なんか眠くなってきた。

転生、したかったなぁ。

結局、失敗なのかなぁ。

もしかしたらこの声は、天国にいるおじいちゃんの声だったりして。

じゃあ他の声は、なんだろう。

もう、だめだ。考えられない。

ちょっと、眠たい、なぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■□□■

 

 

 

「……なんじゃと?」

 

老人は、真っ黒い空間を見つめながら、驚きの声を上げた。

そして真っ黒い空間は、役目を終えたかのようにーーー静かに、閉じていった。

 

「……転生、したじゃと?馬鹿な……」

 

杖をつきながら、老人は頭を抱える。

この転生は、死人の魂を燃やし尽くす危険なものだった。

過去、老人の言い分も聞かずしつこく転生させろと言ってきた死人は、これを受けーーー虚無の魂となったのは数知れない程である。

その中で転生出来たものなど、指で数える程だった。

だから老人は転生にはあまり乗り気ではなかったし、死人ーーー特に若者の死人はあまり好きではなかった。

しかし。

 

今転生したのは、まだ十代の少女。

まさか少女は、これを乗り越え、転生したということか?

 

「……ありえん……」

 

誰かがこの転生を成功させた度に、否定の言葉が出る。

それくらい、この転生での生存率は低い。

しかし、転生したのは事実。

 

「……また、面倒なことになるぞ」

 

老人は静かに、溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

□■■□

 

 

 

 

暖かい。

誰かに、抱かれている。

誰だろう、でも目を開けれない。

 

「……私の子……」

 

あ、女の人の声。

 

「エンペルト、この子が俺達の子だぞ!」

 

男の人の声。

エンペルトって、何だろう。

あれ、なんか変な声が聞こえる。もしかして、これがエンペルトって人?

 

「名前は決まってるんだろ?」

 

男の人が、誰かに言った。

たぶん、女の人。

女の人は応える。

 

「ええーーーー

 

 

 

この子の名前は、『ユキノ』。私達の、希望の子よ」

 

 

それは、私の事を指しているのだろうか?

……ちょっと待って。

 

なら私はーーーーー?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユキノ、あなたに希望が訪れますように」






( ゚д゚)

( ゚д゚)<一万文字超えたぜ……。

主人公視点練習で、皆さんにも評価をもらおうと思ったら、いつの間にか一万文字を越えていました。
しかもポケモン要素が最後だけッ!( 」´0`)」Oh nooo。
この後。
主人公目が覚める→転生した!やったぜ。
→転生後の父と母を覚える。やった、私生きてる!
→産まれた土地がトバリシティということを知る→え、まさかの外国?
→ポケモン初見→なんだこいつ!?
→ポケモン大好きになる→やべぇポケモンまじ可愛い
→シンジと会う→あらイケメンショタ
→シンジと過ごす→シンジくんめっちゃヤンチャなんだけど
→ちょっとしたトラブル→死ぬかと思った
→トレーナー宣言する→チャンピオンに、俺はなる!
→シンジと約束する→絶対一緒に旅しようね!
→新人トレーナー→シンオウリーグを目指します!
→レイジ事件→シンジと決別する→約束はどうしたの?
→シンジを負い続ける

という流れ。
アニポケ次元のダイパ次元。いや、実はダイパにまた熱が入りました。
サトシとはいつ会うんでしょう。この後の続きの文考えてない(絶望)
まぁ今回は短編だから、続きがあるかどうかもわからないっす……。

今回は転生に力を入れてみました。
楽に転生できる?甘ったれるんじゃねえよ!転生だって楽じゃねーんだよ!をテーマ。
文だけ見るとどれくらい壮絶か想像がつくね!
ちなみに転生中の主人公、もとい椿ちゃんは実際は体は小さくなり血だらけになりーのふっくらと肌が形成されていきます。つまりお腹の中にいる赤ちゃん状態になります。
実はあの血まみれ表現、お母さんの体の中という風にしたくて、血だらけにしたんだよね……。
冒頭の椿ちゃんの中学時代……過酷だったね。

それじゃあまたお会いできたら。











僕のベストパートナーはジュペッタです。

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