問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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白夜

「おんしらが望むのは“挑戦”か___それとも“決闘”か?」

 

その言葉と共に五人の視界に爆発的な変化が起きた。

五人の視覚は意味を無くし、様々な情景が脳裏で回転し始める。

脳裏を掠めたのは、黄金色の穂波が揺れる草原。

白い地平線を覗く丘。

森林の湖畔。

記憶にない場所が流転を繰り返し、足元から五人を呑みこんでいく。

五人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔___そして、水平に太陽が廻る世界だった。

 

「……なっ………!?」

「へぇ……」

「ほぉ……」

 

あまりの異常さに、安心院と忍以外は同時に息を呑んだ。

箱庭に招待された時とはまるで違うその感覚は、もはや言葉で表現出来る御技ではない。

まるで星を一つ、世界を一つ創り出したかのような奇跡の顕現。

唖然と立ちすくむ三人と観察する二人に、今一度、白夜叉は問いかける。

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は“白き夜の魔王”___太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への“挑戦”か?それとも対等な“決闘”か?」

 

魔王・白夜叉。

少女の笑みとは思えぬ凄みに、再度息を呑む三人。

“星霊”とは、惑星級以上の星に存在する主精霊を指す。

十六夜は背中に心地いい冷や汗を感じ取りながら、白夜叉を睨んで笑う。

 

「水平に廻る太陽と……そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

 

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私が持つゲーム盤の一つだ」

 

白夜叉が両手を広げると、地平線の彼方の雲海が瞬く間に裂け、薄明の太陽が晒される。

数多の修羅神仏が集うこの箱庭で、最強種と名高い“星霊”にして“神霊”。

彼女はまさに、箱庭の代表ともいえるほど___強大な“魔王”だった。

 

『これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤かい?』

 

「如何にも。して、おんしらの返答は?」

 

勝ち目がないのは一目瞭然。

安心院や忍は全盛期なら決闘と即答していただろう。

しかし彼女達は現在、万全ではない。

しかし自分達の売った喧嘩を、このような形で取り下げるのはプライドが邪魔した。

しばしの静寂の後___諦めたように十六夜が、ゆっくり挙手をし、

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

 

「ふむ?それは決闘ではなく試練を受けるという事かの?」

 

「ああ。これだけのゲーム盤を用意出来るんだからな。アンタには資格がある。___いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」

 

「そうだね。僕もまだ完全じゃないし試されてあげるよ」

 

「儂も万全じゃないからの。試されてやるわ」

 

苦笑と共に吐き捨てるような物言いをした十六夜達を、白夜叉は堪え切れず高らかに笑い飛ばした。

一頻り笑った白夜叉は笑いを噛み殺して残り二人にも問う。

 

「く、くく……して、他の童達も同じか?」

 

『そうだね。これだけされれば僕の負けだ。試されてあげるよ』

 

「そもそも僕は最初から参加する気なかったんだけどな。」

 

返事をする二人。

満足そうに声を上げる白夜叉。

一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸をなでおろす。

 

「も、もうお互いにもう少し相手を選んでください!!階層支配者に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う階層支配者なんて、冗談にしても寒すぎます!!それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

 

「何?じゃあ元魔王ってことか?」

 

「はてさて、どうだったかな?」

 

ケラケラと悪戯っぽく笑う白夜叉。

その時、彼方にある山脈から甲高い叫び声が聞こえた。

 

「何だ、今の鳴き声」

 

「ふむ……あやつか。おんしらを試すには打って付けかもしれんの」

 

湖畔を挟んだ向こう岸にある山脈に、チョイチョイと手招きをする白夜叉。

すると体長5mはあろうかという巨大な獣が翼を広げて空を滑空し、風の如く五人の元に現れた。

鷲の翼と獅子の下半身を持つ獣を見て、暦と球磨川は驚きが籠った声を上げた。

 

「グリフォン!?」

『本物かい?』

 

「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。[力][知恵][勇気]の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」

 

白夜叉が手招きをする。

グリフォンは彼女の元に降り立ち、深く頭を下げて礼を示した。

 

「さて、肝心の試練だがの。おんしら五人とこのグリフォンで[力][知恵][勇気]の何れかを比べ合い、背に跨がって湖畔を舞う事が出来ればクリア、という事にしようか」

 

白夜叉は双女神の紋が入ったカードを取り出す。

すると虚空から“主催者権限”にのみ許された輝く羊皮紙が現れる。

白夜叉は白い指を奔らせて羊皮紙に記述する。

 

{ギフトゲーム名“鷲獅子の手綱”

 ・プレイヤー一覧 逆廻十六夜

          球磨川禊

          安心院なじみ

          阿良々木暦

          忍野忍

 

 ・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

 ・クリア方法 [力][知恵][勇気]の何れかでグリフォンに認められる。

 ・敗北条件 降伏か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

      “サウザンドアイズ”印}

 

「僕がやろう」

 

読み終わると安心院が前に出た。




相変わらず話の進みが遅いですね。
次あたりには白夜叉のところは終わると思います。

雑談
マクスウェルをマクズウェルって呼ぶのって何かしっくりきませんか?
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