問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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ストーカーの最期

 

「チッ、獲物を取られたな」

 

悟はジャックと混世魔王の攻防を見ながら呟く。

紅葉が背中から腕に移動しながら首を傾げる。

 

「今なら私の力で殺れるんじゃない?」

 

「今は必要無い上に、簡単に“天運”を消費してたまるか」

 

「そうだね~考えなしに使って、気付いたら一生分の天運を消費してたとか笑えないもんね~」

 

「そういや球磨川と皐はどこにいった?」

 

「ジャックの加勢に行ったよ~」

 

「あいつら…………抜け駆けしてんじゃねぇよ!!」

 

顔をひきつらせながら自分も加勢に行くのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「“完全共鳴”」

 

膠着状態の戦闘にうんざりした狐川が呟くと、アルマの姿が稲光を纏う、水銀のような流体へと変わる。

狐と完全に共鳴させることにより“天空”をある程度補ったのだ。

 

[ご命令を、マスター]

 

「貫け。ただそれだけよ」

 

豪と空気が熱膨張を起こして爆ぜる。

その音と同時に黒龍の胸に鮮血が舞った。

アルマが黒龍の胸部を打ち抜いたのだ。

先ほどまでの速度とは比べ物にならない。

正に雷光の如き一撃である。

 

「グッ、ヌゥ!!」

 

角で右胸を貫かれて後方へと追いやられる。

そこへ更に狐川が追撃する。

 

「“狐走炎”」

 

焔の塊が狐へと、姿を変え、黒龍へと向かっていく。

そして喰らいついた瞬間に爆発する。

それが何十発と続く。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

(チッ。面倒なことになってきたな)

 

混世魔王は飛んでくる螺子を、向かってくる刃をさばきながら戦況を把握する。

“主催者権限”を持つジャックと、アルマテイアの城塞を従える狐川、そして謎の三人組。

グライアは致命傷を負い、敵はまだ武器を隠し持っている。

流石に分が悪いかと、肩を竦めた。

 

「残念だが、そろそろ潮時だなァ。ヒヒ、そろそろお暇するかね」

 

『逃げれると思っているのかい?』

 

「逃がすわけねぇだろ俺達が」

 

「それに俺の“主催者権限”が発動している限り、お前はこの“煌焔の都”からは出られない」

 

反坂の上で螺子を構える球磨川。

背中に紅葉を乗せながら、刀を担ぎ、混世魔王を見る悟。

ナイフを構え、腰を落とすジャック。

三人に囲まれる混世魔王だが、余裕の笑みを浮かべて巻物を取り出した。

 

「なぁに、仕切り直すだけさ!!テメェらはそれまで、巨人族とでも遊んでやがれ!!」

 

巻物が解かれ、浮かび上がる文字。

虚度光陰_____対象を中心に体感時間を止める呪い。

全員、視界がモノクロームになるまでは把握できたが、それまでだ。

ただ一人を除いては。

狐川の前から黒龍が消えて。

悟、紅葉、反坂、ジャックの前から唐突に、混世魔王は姿を消し、球磨川が血塗れになって吹き飛んだ。

 

「「球磨川!?」」

 

悟と反坂が同時に驚きの声をあげる。

しかし球磨川はすぐに傷をなかったことにして立ち上がる。

 

『どうやら体感時間を操る類いの力みたいだね。僕には効かなかったようだけど、返り討ちにされたね』

 

「ですが奴には“主催者権限”が発動してます。この都市から逃れることは___」

 

その時、都市を守る外壁が砕ける音がした。

外堀の駐屯兵たちが突破されたのだろう。

一同は口惜しそうに歯を食いしばりながら、共にやるべきことを確認する。

悟と球磨川は反坂に乗って、別方向で暴れている若頭派を呼びに行く。

狐川とジャックは、突破された外壁へと急ぐのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「何の話だ?」

 

「こちらの話だよ」

 

向き合う安心院とマクスウェル。

 

「君の所の上と話をつけてきたんだよ。そして僕も魔王連盟に加わることになったよ。君と似たような立場でね」

 

「よく入れたな」

 

言いながらもマクスウェルは臨戦体勢である。

 

「それ相応の条件を出したからね」

 

「それで私が邪魔とはどういうことだ?」

 

「ただ単に僕の目的的にね、ここまでくれば君は邪魔なだけ何だよね」

 

「何を企んでいるか知らないが私を殺そうというわけだな」

 

「そうだよ。君には消えて貰った方が都合がいい」

 

聞いた瞬間、マクスウェルは今の状態では分が悪いと判断して、空間を跳躍しようとする。

 

「……何故だ!?何故跳躍出来ない!?」

 

「僕のスキル、空間歪曲のスキル【掌握する巨悪(グラップエンプティ)】で空間を遮断させて貰ったよ。これで君とのやり取りは一切外に出ない。僕が殺したとバレたら困るからね」

 

驚愕するマクスウェルだったが次の瞬間、腹を貫かれた。

ただでさえ致命傷を幾つも受けた状態だったのだ、反応は遅れる。

そしてそれが命取りになる。

 

「消滅のスキル【目障りだ(アイバーニッシュ)】」

 

マクスウェルの体は首を残して、消えた。

跡形も無く消滅する。

更に、スキル強奪のスキル【鹵獲膜(ロブカーテン)】により、境界門の開閉、炎と吹雪、人形達を強奪する。

 

「大丈夫。例え君が死のうとも君が存在した証しは僕の中に残るから」

 

安心院は冷たく笑うと、魂を吸うスキル【吸魂植物(ポータブルソウル)】により魂を取り出し、記憶を奪った後に魂を砕いた。

 

「さて、後はこれを目立つ所に置くだけだね」

 

そう言って安心院はマクスウェルの生首を持ったまま姿を消すのだった。

 

 





マクズウェル死亡でした。

安心院さんに関しては後々。
マクズウェルを殺したのにも意味はあります。

それでは質問、感想待っています。
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