問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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ギフトカード

「それで今日はギフト鑑定をお願いしたかったのですけど」

 

気をとりなおすように黒ウサギが言う。

あの後、長々と続けられた議論は何故か黒ウサギに向けられ、強引に着替えさせようとしてくる面々を安心院達の協力により止めて貰ったのだ。

 

「ギフト鑑定?専門外どころか無関係もいいところなのだがの」

 

白夜叉はゲームの賞品として依頼を無償で受けるつもりだった。

困ったように白髪を掻きあげ、着物の裾を引きずりながら五人の顔を両手で包んで見つめる。

 

「どれどれ……ふむふむ……うむ、五人ともに高い素養が高いのは分かる。しかしこれではなんとも言えんな。おんしらは自分のギフトをどの程度把握している?」

 

「企業秘密」

『同じくだね』

「僕も同じく」

「「全部」」

 

「うおおおい?いやまあ、仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃ話が進まんだろうに」

 

「別に鑑定なんていらねえよ。人に値札貼られるのは趣味じゃない」

 

ハッキリと拒絶するような声音の十六夜と、同意するように頷く四人。

困ったように頭を掻く白夜叉は、突如妙案が浮かんだとばかりにニヤリと笑った。

 

「ふむ。何にせよ主催者として、星霊のはしくれとして、試練をクリアしたおんしらには“恩恵(ギフト)”を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度よかろう」

 

白夜叉がパンパンと柏手を打つ。

すると十六夜、暦、球磨川の眼前に光輝く三枚のカードが現れる。

暦と忍、球磨川と安心院は同枠扱いのようだ。

カードには各々の名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。

 

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム“正体不明(コード・アンノウン)”

 

ワインレッドのカードに阿良々木暦・ギフトネーム“吸血鬼・眷族”

           忍野忍・“吸血鬼・純血”“怪異の王”“心渡”

 

ブラックのカードに球磨川禊・ギフトネーム“大嘘憑き(オールフィクション)”“実力勝負(アンチスキル)”“却本作り(ブックメーカー)”

         安心院なじみ・ギフトネーム“限界要領(オーバー)”

 

各々の名前とギフトが記されたカードを受け取る。

黒ウサギは驚いたような、興奮したような顔で三人のカードを覗きこんだ。

 

「ギフトカード!!」

 

「お中元?」

『お歳暮?』

「お年玉?」

 

「ち、違います!!というかなんで皆さんそんなに息が合っているのです!?このギフトカードは顕現しているギフトを収容できる超高価なカードですよ!!」

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか!!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!!」

 

黒ウサギに叱られながら五人は各々のカードを物珍しそうにみつめる。

 

「そのギフトカードは、正式名称を“ラプラスの紙片”、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった“恩恵”の名称。鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

「へぇ。じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 

ん?と白夜叉が十六夜のギフトカードを覗きこむ。

そこには確かに“正体不明”の文字が刻まれている。

ヤハハと笑う十六夜とは対照的に、白夜叉の表情の変化は劇的だった。

 

(“ラプラスの紙片”ほどのギフトが正常に機能していないとはどういう……)

 

ギフトが正常に機能しない。

そこで白夜叉の脳裏に一つの可能性が浮上した。

 

(ギフトを無効化した……?いや、まさかな)

 

浮上した可能性を苦笑と共に切り捨てる。

十六夜のように強大なギフトを身に宿す者が、奇跡を打ち消す御技を宿しては大きく矛盾する。

その矛盾の大きさに比べれば“ラプラスの紙片”に問題があるという結論の方がまだ納得できた。

六人は暖簾の下げられた店前に移動した。

 

「今更だが、一つだけ聞かせてくれ。おんしらは自分達のコミュニティがどういう状況にあるか、よく理解しているか?」

 

「ああ、名前とか旗の話か?それなら聞いたぜ」

 

「ならそれを取り戻すために、魔王と戦わねばならんことも?」

 

『聞いてるぜ』

 

「……。ではおんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」

 

黒ウサギはドギリとした顔で視線をそらす。

そして同時に思う。

もしコミュニティの現状を話さない不義理な真似をしていれば、自分はかけがえのない友人を失っていたかもしれない。

 

「そうたぜ。打倒魔王なんて格好いいだろ?」

 

「格好いいで済む話ではないのだがの……全く。無謀というか勇敢というか。まあ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。それでも魔王と戦う事を望むというなら止めんが……そこの娘二人。今の不完全な状態じゃ死ぬぞ」

 

「忠告ありがとう。一応肝に銘じておくよ。」

 

「次はお前の本気のゲームに挑みに郁からの。覚悟しておけ」

 

「ふふ、望むところだ。私は三三四五外門に本拠を構えている。いつでも遊びに来い。……ただし、黒ウサギをチップに賭けてもらうがの」

 

「嫌です!!」

 

黒ウサギは即答で返す。

白夜叉は拗ねたように唇を尖らせた。

 

「つれないことを言うなよぅ。私のコミュニティに所属すれば生涯を遊んで暮らせると保証するぞ?三食首輪付きの個室も用意するし」

 

「三食首輪付きってソレもう明らかにペット扱いですから!!」

 

怒る黒ウサギ。

笑う白夜叉。

店を出た六人は無愛想な女性店員に見送られて“サウザンドアイズ”二一0五三八0外門支店を後にした。




もはや定例な遅い展開(笑)

とりあえずゴールデンウィーク中にvsガルドは終わらせたいと思っています。
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