問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
「天狐!!アルマ!!」
(何じゃあ?)
[何ですかマスター?]
「“三魂共鳴”!!アルマはとりあえず跳ねて!!」
狐川がいきなり叫び、力を解放するのに疑問を覚えながらアルマは跳ねる。
その間に狐川の右目は橙、左目は黄に変わり、焔の九尾と狐耳が現れる。
直後に先程までいた場所に赤黒い炎が放たれる。
飛んできている方向を確認すると、炎槍を投げ付ける。
[マスター、何時から気付いて!?]
「以外と鼻が利くのよ」
(儂のおかげじゃがな)
「(うっさい!!)」
そんなやり取りをしている間にも次々と火球が打ち出される。
アルマに乗りながら紙一重で回避していく。
その間に右手の先に焔と雷を溜め込んで行く。
上空から巨大な敵影が彼女達を包む。
「そこ!!」
見えた先に焔と雷の塊を放つ。
敵には直撃した様で激しい爆炎が起こる。
が、敵は爆煙をつき抜けて現れる。
[GEEEYAAAAaaaaa!!]
全身が白磁の岩石で造られた、紅玉の瞳を持つ双頭龍が雄叫びを上げながら突進してくる。
強靭な爪を掲げて襲い掛かるが攻撃は速さに任せて避けていく。
避けながらも雷を纏わせた炎槍を放っていくが大したダメージは無さそうである。
「ったく、頑丈ね!!」
[当たり前でしょう!!あれはアジ=ダカーハの分身体ッ!!一体一体が神霊級だと思ってくださいッ!!]
「なら、私達にはキツそうね」
倒せないとは言わない辺りが狐川らしい。
とはいえ、出し惜しみが出来る相手でも無い。
最初から全力全開で行く。
「天狐!!アルマ!!隙見て“あれ”をやるわよ!!準備しときなさい!!」
言いながらも炎槍は放つ。
双頭龍を牽制しながらも“奥の手”の準備を進めるのだった。
他の心配は確かにある。
だが、そこらへんは仲間を信じている。
だから、今は目の前の相手に専念する。
◆◆◆◆◆
球磨川と皐は悟達と合流し、得た情報を話していた。
『…………と、言うわけなんだ』
「なるほど…………アジ=ダカーハな。いいじゃねぇか、親父に見せ付ける手柄としては充分以上だ!!」
「勝てるつもりか?」
「さぁな。だが、何事もこの目で見るまで分かったもんじゃねぇよ」
ニッ、と口を歪め立ち上がる。
皐に言われるまでも無い。
勝てる確率は低いだろう。
だが、それで止まる悟ではない。
アジ=ダカーハに挑む為に仲間達と共にそこへ向かおうと呼び掛けようとする。
が、その前に幾つもの火球が彼らを襲った。
複数の爆発が巻き起こり、悟達は爆炎に包まれる。
[GEEEEYAAAAAaaaaaa!!]
樹海と同化している双頭龍、その周囲を漂う四体の双頭龍が雄叫びを上げる。
だが、突如として爆炎が破られる。
「オラァァァ!!」
巨大な骨…………がしゃどくろのがしゃが妖怪態となって爆炎を引き裂いたのだ。
続けて幾つかの人影が飛び出す。
『“大嘘憑き”!!僕らの傷を無かった事にした』
「お前ら、普通に俺の上に乗るよな……………」
「ハハハハッ!!豪勢な出迎えじゃねぇか!!」
「うるさいわよ」
飛び出て来たのは皐の背に乗る球磨川と悟、紅葉だった。
球磨川は全員の傷を無かった事にする。
悟は楽しそうに笑いを上げるが、紅葉に茶々を入れられる。
「アジ=ダカーハ前の準備運動にちょうどいい!!行くぜ、お前ら!!」
悟が叫び、若頭派の面々が返す様に叫ぶ。
そんな中で土丸が木々の上を飛び移りながら皐達の横を並んで走ってくる。
「こいつらは一筋縄ではいかんぞ?」
「分かってるよ、土丸のおっさん。だから、あいつを呼ぶ」
言いながら首に下げた青い水晶の様な宝石をチラつかせる。
土丸はそれを見て、何かを察した様である。
「なら、いいな。一匹俺が貰うぞ」
「あぁ、むしろ頼むぜ」
話を終えると土丸は近くにいた双頭龍へと突っ込んで行く。
悟は周囲を見渡し、状況を確認し、指示を出す。
「一匹は土丸のおっさんが相手にする。樹海のは、俺らで殺る。だから、お前らも一匹任せる!!」
「しかし、若様。残りの二匹は?」
「“こいつ”に任せる」
言いながら首に下げていた宝石を紐を引き千切り、握る。
それで大体察する。
「俺に命令するんじゃねぇよ!!」
文句言いながらも双頭龍に斬り掛かって行く茨を戦闘に若頭派の面々は攻め込んで行く。
そして、悟は宝石を握りながら掲げ、妖力を注いで叫ぶ。
「来い!!百物語の主にして、百物語そのものである鬼!!“青行燈”!!」
直後に宝石は強く青い光を放つ。
空間に青いヒビが入り、強引に空間が何処かへと繋げられる。
空間が破れ、幾つもの青い巻物が溢れ出る。
巻物は一ヶ所に集まり、青い光を吸収し、姿を変える。
そうして現れたのは死体の様に白い肌、青みが掛かった白髪、額には白い鬼角を一本生やし、深く濃い青の着物を纏った女性だった。
冷たい瞳、和服に似合う控えめな胸、それらが彼女を美を輝かせていた。
が、周囲を見回すなり、口を歪め、その印象を台無しにする。
そして、扇子を取り出し、双頭龍に突き付ける。
「ふふっ」
女性は静かに笑う。
そして、この場の全員に自らの存在を示すかの様に叫び始める。
「聞くがよい!!見るがよい!!覚えるがよい!!我は!!我こそが百の物語を身に纏い、従える者なり!!進むは鬼道!!広めるは悪名!!我を恐れ、我を広めろ!!我が名は“青行燈”、青鳴 蛍なり!!満を持して、我参上!!」
名乗り、派手に後光を青く輝かせる。
扇子を広げ、大袈裟に振るう。
「最初に言っておく!!私の強さは泣けるわよ!!」
派手に風を巻き起こし、自身の存在を知らしめる。
その様に一同はただ見ているだけだった。
『悟君、皐君。あれはなんだい?』
「……………見ての通りだ」
「ハッ、ハハハハハハッ!!いいね!!やっぱりお前はいいよ、蛍!!」
球磨川の問いにかなり適当に答える皐。
悟に関しては聞いておらず、大笑いしている。
その背に掴まる紅葉は呆れ顔である。
名乗りを終えた蛍は周囲を見て、悟を見付けるなり飛んでくる。
「悟!!ようやく私を呼んだわね!!」
満面の笑みで悟に抱き付いてきた。
しかも地味に空中を普通に歩いて近付いて来ていた。
その様子は完全に召喚された直後の雰囲気とは真逆だった。
「長い上に痛いのよ、この蜘蛛女」
「は?」
紅葉が呟いた直後にまた雰囲気が急変する。
というよりも簡単にキレた。
「何が言いたいのかしら、クソチビ?それと、せめて鬼の方で呼べ」
「蜘蛛は蜘蛛でしょ?それに鬱陶し、騒がしいのよ」
悟を挟んで紅葉と蛍が視線をぶつけ合う。
悟は慣れてるのか、止めもしない。
球磨川はその気迫に冷や汗を流す。
『えーと、もしかして犬猿の仲って奴かな?』
「……もしかしなくてもそうだ。あの二人は出会う度にあんな感じだ」
『悟君も難儀な物だね』
が、そんな喧嘩の間も大人しくしている双頭龍では無い。
痺れを切らして火球を放ってくる。
皐が回避しようとするが、その前に蛍が扇子を軽く振るう。
それだけで火球はかき消された。
蛍は視線を紅葉から双頭龍へ移す。
「ウザイのよ!!トカゲが私の邪魔してんじゃないわよ!!殺されたいの?」
気迫だけで双頭龍二匹を怯ませる。
蛍は溜め息を吐いて、悟の方に向き直る。
紅葉に関しては視界から完全に外している。
「じゃあ、ちょっと邪魔なトカゲを消してくるから…………」
「分かってるよ。好きにしろ」
「それじゃ、イタダキマス♪」
言った直後に悟の唇を奪う。
頬を赤くし、舌を絡めて色っぽくキスをする。
だが、悟の方は冷や汗を掻いている。
理由は単純、キスによって経口摂取という形で妖力が奪われているのだ。
とはいえ、仕方無い事でもあるのだが。
「はい、ゴチソウサマ♪」
口と口を離すとその間に唾液の糸が繋がる。
その糸が切れると蛍は口を押さえながら笑顔を見せる。
その顔に悟も少し頬を紅くする。
「そのくらいで頬紅くしてんじゃないわよ」
「……うっさい」
紅葉の呟きには小さく返す。
その間に蛍は皐の上から飛び降りていた。
そして、扇子を軽く振るって双頭龍二匹を吹っ飛ばす。
「釣って刻むけどいいわね?答えは聞いてない!!」
言いながら口を歪め、ドス黒い殺気を放ちながら双頭龍へと向かっていくのだった。
一方、悟達も樹海と一体化した双頭龍との戦いを始めていた。
『それじゃあ、僕らも』
「やるとするか!!」
皐の上で“獅子王”と螺子を構えるのだった。
青行燈参戦でした!!
性格としては目立ちがり屋です。
とはいえ、“性質”的にそこらへんは仕方ない部分はあるんですがそこらへんは後々。
悟がされるがままに妖力奪われてるのもそれに関連します。
なんと言うか今の段階で言える事はかまりありません。
名前の読みは
青鳴(あおなる)
蛍(ほたる)
です。
名付けたのは悟です。
それでは、質問があれば聞いてください。
感想待ってます。