問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
白磁の双頭龍は火炎弾を多数放ち、先程から周囲をうろちょろする鬱陶しい物を消し去ろうとしていた。
しかし、雷鳴を轟かせて高速移動するアルマは火炎弾を軽々避けていた。
爆風の余波も狐川が狐火で膜を張る事で防ぐどころか、多少吸収していた。
駆け回るアルマに双頭龍は苛立っていた。
[GEEEYAAAAAAAaaaaaaaa!!]
双頭龍は痺れを切らし、雄叫びを響かせ突進してきた。
その間も火炎弾は放たれ続ける。
「アルマ!!此方も正面から突っ込むわよ!!」
[本当に無茶を言ってきますね!!]
文句を言いながらも狐川の要望に出来るだけ答える様に火炎弾の隙間を通り抜けていく。
狐川は先程から炎槍を構え、狙いを着ける様にしていた。
そして、擦れ違い様に叩き付ける。
「圧縮雷炎槍………爆!!」
アルマの雷と狐火を圧縮するだけ、圧縮した炎槍を双頭龍の右側の喉元に突き刺す。
雷の速度で放たれた槍は深く深く突き刺さる。
狐川の腕に反動は来ない。
そういう風に鍛えている。
アルマは上手い事、双頭龍を避ける様にして双頭龍の背後へと駆けていく。
そして、数秒経つと激しい爆音が響く。
圧縮されたエネルギーが一気に解放されて爆発を起こしたのだ。
[GEY…………GEEEEYAAAAAaaaaaa!?]
双頭龍は右首は消し飛ばされ、体内もぐちゃぐちゃにされていたがまだ生きていた。
むしろ、散らばった血肉から更なる化け物が生まれていた。
「何よそれ!!ズルくない!?」
[最初に言ったでしょう!!ちゃんと聞いていてくださいよ!!]
説明したはずの事に驚く狐川に対し、責める様に叫ぶ。
この大雑把な火力馬鹿差には手さえあれば頭を抱えたいくらいだった。
そんな間に双頭龍の血肉から生まれた化け物が飛び掛かってくる。
「鬱陶しいのよ!!」
だが、飛び掛かった化け物達は一匹残らず灰も残さず、狐火で焼き尽くされた。
さすがに双頭龍から生まれた程度の化け物なら簡単に焼き払える。
狐川は面倒そうに頭を掻く。
「面倒ね………“奥の手”で一気に決めるわよ!!」
[もう使う気ですか!?]
「血を流させたら面倒でしょうが。だから“奥の手”で灰すら残さず焼き尽くしてやるのよ!!」
その雑さにアルマは絶句しかけるが、確かに“奥の手”ならそれが出来る。
しかし、もうちょっとやりようがあるだろう、と思うのだった。
「じゃ、天狐!!アルマティア!!“三魂同調・九火雷獣”!!」
(儂らの力見せてるやるのじゃ!!)
[分かってますよ、マスター!!]
アルマは全身を金剛鉄の流動体と化すと、狐川を包み込む。
狐川を包んだまま、まるで心臓の様な形に変貌すると、雷と狐火を脈打つ様に溢れ出させる。
雷と狐火はそのまままるで固体の様に姿を変える。
完全に姿を変貌させて、その焔の瞳で双頭龍を睨み付け雄叫びを上げる。
「[[GAAAARRAAAaaaaaa!!]]」
三つに重なる雄叫びを響かせる獣はそのまま双頭龍へ向かって駆けて行く。
その姿はまるで巨大な九尾の狐だった。
だが、頭部には山羊の様な角が生えている。
そして、その身は焔と雷で構成されていた。
[GEEEYAAAAAaaaaaaaa!!]
双頭龍も対抗する様に雄叫びを上げて突進する。
が、ぶつかった瞬間に双頭龍は一方的に吹っ飛ばされた。
それだけで無く触れた箇所は完全に炭化していた。
それもそうだろう。
今の狐川達の状態は純粋なエネルギーを圧縮し、焔と雷という形で身に纏っているのだ。
触れれば消し炭になるのは当然と言えば当然なのだ。
そして、実体を持たないが故に本体が入っている核を破らない限り止まらない。
「(やっぱいいわね、これ!!)」
(確かに昔を思い出したかの様に血が騒ぐのう!!)
[(そんな事を言ってる場合ではないでしょうが、消耗速いんですからさっさと決めますよ!!)]
そう、弱点があるとすれば濃くて純粋な力を身に纏い続けるが故に消耗が激しい事である。
アルマからしたら普段の状態で戦った方が効率のいいと思えるのだが、天狐と狐川の性格的に“奥の手”と言われているのだ。
とはいえ、消耗激しいのは分かっているので狐川もアルマに従う。
狐川が核の内側で手を構えると、大狐の口が開き、その先に雷球が作られ始める。
更に九尾の各々の先に炎球が現れる。
[GEEEEYAAAAAAaaaaaaaa!!]
双頭龍が最後の悪足掻きの様に立ち上がる。
そして、怒り狂った様に突進を仕掛ける。
だが、だからこそちょうどいい。
ちょうど射線の中へ入ってくれたのだ。
「消し飛べ、“九焔雷閃”!!」
尾の先に作られていた炎球が、口の先の雷球に吸収される。
直後に融合球が強い光を放ち、凄まじい熱線が一直線に放たれる。
地すら消し飛ばしながら放たれた熱線は双頭龍を包み込む。
双頭龍は断末魔を上げる間すら無く跡形も無く消し飛ばされた。
「見たか、私達の力!!」
(格好付けてるとこ悪いがの、その技名はどうかと思うぞ)
[私も同感です、マスター]
「……………それは黙ってなさいよ!!」
大狐の姿を崩しながら口論する。
この状態の時のみアルマティアと天狐は話せるのだ。
大狐を解除し、纏っていた焔のオーラも消して一旦体を休める。
腰に手をあて、首をコキコキ鳴らす。
その中でアルマは狐川が息切れ一つしてないのに気付く。
[割りと余裕そうですね、マスター]
「そりゃ主様が頑張ってる中で倒れるわけにもいかないでしょ」
試しに聞いてみるが、望んだ答えは帰って来なかった。
だが、一つの推論は立てれる。
[(まさか…………マスター…いや、天狐の内包する力は私が予想している以上に膨大という事ですか)]
それが本当だとしたら眠ってる力はかなりの物と思われる。
だが、狐川の大雑把さもあって本来の力が発揮出来ていないのでは?、とも考えられる。
何はともあれ持久力はかなり規格外なようだ。
そんな事を考えていると、巨峰の山頂が激しい光に包まれた。
その余波を受けながら狐川は巨峰の方を見る。
「…………どうやら主様はまだ生きて戦ってる様ね」
[……心配じゃなかったのですか?]
あまりに静かな呟きを不気味に思い思わず聞いてしまった。
狐川は感情を押し殺した様な表情でアルマを見る。
「心配よ…………でも、今の私程度じゃ助けにもならない。それどころか自殺しにいく様な物だし、主様の足を引っ張る事になる。私はそんな風になるのは嫌なのよ」
その言葉にアルマは何も言い返す事は出来なかった。
少し考え、希望を多少でも持たせる為に天軍の事を話すがそれに返って来た言葉はアルマの予想外の物だった。
「…………“箱庭の貴族”ならとっくの昔に滅んでるわよ?」
[ど、どうしてそんな大事なことを早く言わないのですかッ!!]
「え?だって、聞いてこないし」
[こういう時すら適当ですかッ!!これは最悪にまずいです!!]
それから狐川とアルマは互いに顔をひきつらせて口論しているのだった。
もし、面倒な神群が召喚され様ものならどういう事態になるか、それは狐川が思っている以上の物だった。
狐川回でした!!
合体技の外見がアルマ要素少ないのは仕様です。
派手さ重視のロマン技に近いです。
アルマ的にはそれをやるくらいなら持久力生かした方がまだマシという感じです。
それでも渋々参加しますが。
それでは、質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。