問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
「ぬぅぅん!!」
「GYAa!?」
土丸が飛び掛かり、双頭龍を殴り飛ばす。
骨が砕ける様な音が響く中で双頭龍が回転しながら吹き飛んでいく。
「なんだ、なんだ!?お前さんの力はこんなもんかぁ!?もっと楽しませろや!!」
「GEEEYAAAAAAaaaaaaaaa!!」
双頭龍が怒り狂った様に火炎弾を放ってくる。
土丸は拳に妖力を貯めると、そのまま火炎弾を弾き飛ばした。
周囲に着弾した火炎弾が爆発を起こし、爆煙を上げる中で土丸は笑っていた。
「いいねぇ………血が騒ぐ!!確かにこりゃ“準備運動”にはちょうどいい!!」
かつて、ぬらりひょんと共に暴れていた土丸にとって双頭龍など“準備運動”に等しかった。
笑い声を上げて、嬉々として双頭龍へと向かっていく。
◆◆◆◆◆
「鴉羽一閃!!」
濡鴉が鴉羽を散らし、双頭龍の目を塞ぎながら斬る。
烏達では相手にならないので自ら戦いに言ってる。
そこで出来た隙に夏歩が爪を剥き出しにして、飛び掛かる。
「ニャア!!」
「“風閃”」
同時に鎌音が風の刃を放つ。
夏歩が右の翼を、鎌音が左の翼を裂く。
翼を失った双頭龍は飛べず、落ちていく。
「風間、今です」
「剛打!!」
そこへ、伏目が風間に指示を出す。
風間が溜めに溜めた風の打撃で双頭龍を地に叩き付ける様にする。
一方、双頭龍から流れ出た血から生まれた化け物達は吹雪と粉雪が対処していた。
「凍って砕けろ」
「貫かれて凍れ」
吹雪が起こす冷気の風によって細胞単位で凍り付き、砕かれていく化け物。
粉雪が氷柱で化け物達を貫き、凍結させる。
河澄は吹雪と粉雪が生み出した氷に触れて、水に変える。
「縛水槍!!」
水を槍の様に操り、落下してきた双頭龍に刺さる様に放つ。
双頭龍の体を貫いた水は動きを縛る様に巻き付き、双子の雪女がそれを凍結させる事で完全に拘束する。
だが、それで止まる程双頭龍は甘く無い。
「GEEEYAAAAAAaaaaaaaaaaa!!」
氷にヒビを入れ、抜け出そうとする。
更に火炎弾を放とうとする。
が、その前に巨大な骨の腕が下方から殴り上げた。
がしゃがギリギリの所で割り込んだのだった。
下から殴られ、口を強引に閉じられた事で口内で火炎弾が爆裂する。
「GEEEEYAAAAAAAaaaaaaaaa!!」
口から血と煙を吐きながら怒り狂う様に雄叫びを上げる。
再度、火炎弾を放つが、がしゃの頑強な骨によって防がれる。
「茨!!」
「ごちゃごちゃうるせぇよ…………」
がしゃが叫ぶ前から近付いてた茨が擦れ違い様に一閃斬り裂く。
双頭龍から大きく血が溢れる。
その返り血を一滴も浴びずに茨は振り返る。
「最初から俺に任せりゃいいんだよ」
そんな事を呟きながらも更に斬り掛かるのだった。
◆◆◆◆◆
「“天火”の怪、発動」
蛍は二体の双頭龍を前にしながら、巻物を一つ開いて呟く。
直後に空から火の玉が降り注ぐ。
一匹は用心深く火の玉を避けるが、もう一匹はうっかり火の玉に触れてしまう。
それが運の尽きである。
触れた直後に双頭龍が燃え上がる。
その様子を蛍はケラケラ笑う。
「そうよね、そうよね。トカゲじゃ念仏唱えれないし、雪駄であおぐ事も出来ないわね………傑作、傑作。さて、お次はこれ、“外法頭”の怪」
次の巻物を取り出すと、蛍の手に髑髏が現れる。
そして、燃え盛る双頭龍の血を髑髏に浴びせる。
直後に燃え盛る双頭龍が苦しむ様に息を荒げる。
炎には慣れて来た様だが新たな苦しみが加わった様だ。
その双頭龍の血から生まれる化け物にも呪いの紋様がその身に刻まれ、命を落としていく。
「GEEEEYAAAAAAaaaaaaa!?」
「GEEEE………GEYAAAaaaaa!!」
無事な双頭龍が蛍へと火炎弾を放つ。
だが、それは蛍が軽く扇子を振るうとかき消された。
此方は素の能力である。
「ヒヒッ、トカゲ程度が私を傷付ける事が出来るわけないでしょうが………ヒヒヒヒヒヒッ!!」
先程とは人が変わった様に暗い笑いを上げる蛍。
彼女は百物語の百一番目の物語、青行燈。
先程から行っている様に百の物語を自在に振るえはするが自身は所詮物語が集まっただけの存在。
それゆえに存在が曖昧であり、性格すらもコロコロ変わる、ただ一つの想いを除いて。
目立ちたがるのもその存在をかんそくされなければ曖昧な存在が更に消え掛かるからである。
曖昧な事を除けば、百物語の集合体であり、その全ての霊格を背負う青行燈の力はかなり大きい。
「これで仕舞いよ。“樹木子”の怪」
蛍が巻物を掲げると周囲の木々が突然脈を打ち始める。
そして、苦しみ転げる双頭龍へと狙いを付ける。
数多の枝が槍の様に伸ばされ、双頭龍へと襲い掛かる。
枝は双頭龍を貫き、血を吸い上げていく。
「GEEEEEYAAAAAAAaaaaaaaaa!!」
無事な方の双頭龍が火炎弾を木々に向けて放つが、吹き飛ばされ様と関係無く双頭龍へと襲い掛かっていく。
「鬱陶しいわね……まぁ“天火”はもういらないし、こっちにするとしましょうか」
蛍が天火の巻物を閉じると、双頭龍を包んでいた炎が完全に消える。
まるで元々燃えて無かった様に消えた。
蛍が代わりの巻物を広げると、双頭龍の火炎弾を何かが防いだ。
一度に使える物語は“三つ”までなのだ。
けれども、これが本来の性能というわけではない。
とある“事情”によって、蛍の力はかなり抑えられているのだ。
実体の無い光の塊な様な物が火炎弾を遮ったのだ。
「“護法童子”の怪、トカゲ程度に破れる代物じゃないわ…………さて、それじゃあ私もイタダキマス♪」
そう言って、蛍は数々の枝に貫かれた双頭龍の上に乗っかる。
その背に腕を突き刺す。
そこから根の様な物が伸びて血を吸っていく。
「…………やっぱ、トカゲは不味いわね」
味に文句を言いながらもしっかりと喰らう。
蛍は体質的に最低限しか妖力の回復が出来ない。
それゆえに消費が回復を上回っているのだ。
だからこそ、外部からの補給に頼るしかないのだ。
方法としては色々ある。
人間なり妖怪なりの血を吸うなり、肉を喰らうなりするのも手段の一つであった。
“昔”はそれが主な手段だった。
現在は悟からの妖力譲渡が主である。
ちなみに百物語の集合体である蛍にとっては純粋な物より混ざり物の方が美味に感じる。
特に悟は極上の味な様だ。
木々は食事を終えると、双頭龍の肉を引き裂く様にして枝を戻していく。
霊格すら蛍に喰われた双頭龍の血肉はもはや分身体を作れすらしない。
当然、その真上にいた蛍は血肉にまみれる。
だが、その表情は狂喜に満ちた笑みだった。
「あぁ………いいわぁ………これよ、これ!!この感覚がいいのよ………………久々に味わうこの感覚!!最っ高よ!!」
クルリ、と一回転すると血肉は嘘の様に消え、綺麗な姿の蛍に戻っていた。
しかし、久々に“昔”の感覚を味わい蛍のテンションはかなり上がっていた。
血の臭いを嗅ぎ、喰らう感覚を久々に感じ、かなり血が騒いでいた。
狂喜の笑みのまま、無事な方の双頭龍へと向かっていくのだった。
若頭派回前編でした!!
青行燈と土丸は若頭派の中でもかなり飛び抜けています。
悟本人よりも強いです。
青行燈に関しては物語を自由自在に扱うに近い存在です。
ただし、“事情”によって力が抑えられてます。
“事情”については後々。
悟からの妖力補給は悟の方からやってる感じです。
それでは、質問などがあればきいてください。
感想待ってます。