問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
暦と忍は作戦司令部にいた。
部屋には二人とサラ、コッペリアがいた。
コッペリアとはとあるパラドックスゲームを通して知り合っていた。
“ノーネーム”の面々が割りと苦労してゲームをクリアして助け出したりしたのだが、それはまた別の話である。
暦は椅子に座り、忍はその膝の上にちょこんと座っていた。
「君までいるとは思わなかったよ、コッペリアちゃん」
「“龍角を持つ鷲獅子”にはゲームメイカーの役割を持つ者がいないので、私がメイカーを務めさせていただく事になりました。永久機関として完成したと言っても、私が目指す完成形とは違いますし。我が父となる方を探すには、大型コミュニティに属していることが有効と判断しました」
世間話を交えながらも状況確認などを進めていく。
行方不明なメンバーについても聞いておきたかったのだ。
とはいえ、球磨川や安心院などは特に心配はしていない。
基本的に不死身な上に何かを企み独自で動いたりするタイプなのでその必要は感じない。
問題は狐川、黒ウサギやジン達である。
特に黒ウサギは危ない状態である。
それらの確認をしていると、つまらなそうにしていた忍がピクリと何かに反応する。
「お前様、“何か”来るぞ」
「ほぉ、空間跳躍に気付くのか。どうやらそれなりに特殊ではあるようだね」
「当然じゃ」
「…………クロア様。突然現れないでください。出てくる事が分かっていても心臓に悪いです」
「無言で忍び寄る死神など洒落になっていません」
「それは失礼。人の驚いた顔が性分でね」
サラとコッペリアの非難に突如現れた男が肩を竦める。
外見としては老紳士ではある。
とはいえ、何者なのかは暦には分からない。
「あんたは何者だ?」
「人にそういう事を聞く時は自分から名乗る物ではないかな?」
「あぁ……僕は阿良々木暦。こっちは忍野忍だ」
「では、改めて私はクロア=バロン。一応は君達の先輩に当たるかな?」
「という事は、“ノーネーム”の元メンバーという事か?」
「そうだ。というより創始者の一人かな?」
それならば聞くことはそれなりにある。
そして、もしかしたら忍野メメにつきても聞けるかもしれない。
「もしかしてレティシアみたいに売られたのか?」
「いいや、違うよ。それよりもレティシアが売られたという話を詳しく」
「自重してくださいクロア様」
「お前様と似た様な臭いを感じるの…………」
咳払いをするサラ。
何やら呟く忍。
「クロア様は三年前の戦いで外界に跳ばされていたそうだ」
そこからはどうやってクロアが箱庭へ戻って来たのかを聞かされるのだった。
とはいえ、暦には半分理解出来たかどうかのレベルではあったが。
話を終えるとクロアは別用がある様で何処かに姿を消した。
十六夜の部屋へ向かえとは言われたが忍野メメの事は聞きそびれた。
だが、まだ聞くチャンスはあるので十六夜の部屋で待つ事にする。
サラ、コッペリアとは各々の役割の為に一度別れるのだった。
◆◆◆◆◆
クロアは十六夜の病室に現れる。
そして、その背後を取る様にぬらりひょんが身体を蜃気楼の様に揺らがせながら姿を現す。
「…………一々人の背後を取る必要はあるのか?」
「無いな。ただ単に儂の悪戯みたいな物じゃと思っておけ」
老人二人が向き合いながら言う。
ぬらりひょんが此処にいるのはクロアが呼んだからである。
「それで?儂に何の用じゃ?」
「あんたを呼ぶとしたら用件は一つだろうが」
「まぁしかるべき報酬を払うなら儂らの力は貸す。とはいえ、今いるのは幹部三人と若い奴らだけじゃがな」
「それだけいれば十分だ。報酬ならば金も恩恵も充分用意出来るのは旗見れば分かるだろう?」
ようは傭兵コミュニティである、ぬらりひょん達を雇うという事である。
戦力は幾らあってもアジ=ダカーハ相手では足りないくらいだ。
そして、ぬらりひょん達は自主的に協力する事はない。
彼らはあくまで“説教”に来ただけだからなのだ。
「まぁ請求は後できっちりするとして。儂も“奴”とは戦っておきたかったからのぅ」
「知り合いなのか?」
「まともに戦った事は無い。巻き込まれても面倒だから逃げてただけじゃ。そん時に何度か顔を合わせたくらいじゃ」
それでも、アジ=ダカーハを相手にして生き延びているだけでも大した物である。
のらりくらりとぬらりひょんは生きてきたのだ。
だが、その実力は本物であるのはクロアは知っている。
サトリとくっついた辺りから大人しくなったとはいえ、過去は魔王に負けず劣らず暴れていた物だ。
「策はあるのか?」
「それはラプ子にでも聞いてくれ。あんたが戦線に加わると聞いたら作戦もそれなりに変わるだろうがな」
「そうか。まぁ儂は儂でやりたいようにやるだけじゃ」
言うだけ言って仕事を請け負う事だけ決めてぬらりひょんは姿を消す。
まずは気配が消え、次に姿が霞の様に消える。
もはやクロアですら認識出来ない。
これがぬらりひょんの厄介な所である。
「とはいえ、彼らが加わってもこの戦い何人生き残れるかね?」
「へぇ?それは聞き捨てならないな」
クロアの呟きは意識を回復させた十六夜に聞かれているのだった。
◆◆◆◆◆
とある病室。
「悟、治療は終わったようね♪」
「おい、今はさすがに抱き付くなよ?この状態で抱き付かれるとか洒落にならないからな?」
「分かってるわよ、それくらい」
“説教”から解放された悟は病室にいた。
割りと心配していた蛍が抱き付き掛けるが骨に響くので止めておく。
そして、ソファーの方で寝転がる皐に目を向ける。
「他の奴らは何してるか分かるか?」
「ふぁぁ……俺に聞くことか?」
欠伸をし、首をコキコキ鳴らしながら皐が体を起こす。
皐は割りと軽傷なのだ。
「吹雪粉雪はナース服着て手伝い、がしゃは治療中、濡鴉と伏目は戦場の状況把握の手伝い、夏歩と河澄と鎌音も何かを手伝ってる。土丸のおっさんはおっさん達で何かを話してる。紅葉の奴は消えた。茨と風間はどっか行った」
「…………大体分かった。俺も寝てる場合じゃねぇな」
「ダメよ。悟は怪我酷いんだから寝てなくちゃ♪」
起き上がろうとする悟を蛍が無理矢理寝させる。
身を案じてやっているのだが少々力を入れ過ぎてはいる。
◆◆◆◆◆
茨は土丸達の所に来ていた。
「茨じゃねぇか。どうかしたのか?」
「………“あいつ”は来てねぇよな?」
「“あいつ”?」
茨の言葉にピンと来ない輪入道が首を傾げる。
土丸は茨の表情を見て大体察するが口には出さない。
仕方ないので牛鬼が言う。
「酒呑童子の奴なら来てないぞ。あいつは別用がある」
「あぁ!!そういう事な。お前さん、まだ酒呑の野郎が苦手なのか」
「別に苦手ではない。鬱陶しいだけだ」
酒呑童子とは、コミュニティ“百鬼夜行”でぬらりひょんと一番付き合いの長い妖怪である。
茨の事を気に入り義子扱いを勝手にしている。
茨としては父親として認めていないので鬱陶しい事この上無いのだ。
気付かれない様にホッとした動作をするが話は終わってなかった。
「来てはいないが、伝言ならあるぞ」
「伝言?」
それを聞くと、茨は顔を歪ませるのだった。
そして、少しするとぬらりひょんが現れ、傭兵としてアジ=ダカーハとの戦いに参戦する事を告げるのだった。
城での出来事でした!!
伝言に関しては後々。
若頭組は城の手伝いをしている感じです。
紅葉がいないのはよくある事なので悟も対して気にしてはいません。
それでは、質問などがあれば聞いてください。
感想待っています。