問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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妖しい爺

 

『全く閉じ籠ってたら戦え無いじゃないか』

 

球磨川が溜め息を吐きながら呟く。

マクスウェルは天使を召喚してから少し球磨川と戦うと、蒼白に輝く球体に身を包んだ。

天使は時間と共に増殖している。

故に球磨川も手を出せないでいた。

球磨川の周囲には多数の天使が転がっている。

どれも-の螺子が突き刺さり、上手く体を動かせなくなっている。

全て“却本作り”の螺子だ。

 

『どうやら僕レベルに霊格を落とせば動けなくなるみたいだね。正体は分からないけど、それはジン君やリンちゃんの役目だからね』

 

言いながらも襲ってくる天使に螺子を突き刺す。

殿下も既にいない。

天使達の相手は全て請け負って話し合いにいかせた。

本当は隙だらけの本体に手を出したくはあるのだが、天使達が邪魔でそうはいかない。

 

『それに安心院さんも足止めに徹する様に言ってきたしね』

 

そこらへんには従っておく。

何か企んではいるのだろうがそこは関係無い。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

その頃、リン達は“ウロボロス”の背後にいる神群に気付きかけていたが、そこで幻想と呼ばれた男、遊興屋が乱入してきていた。

ある程度、話すと彼はこう言った。

 

「策というか、とある女を介して死神と交渉した。マクスウェルは一先ず“負完全”に任せる。鈴とグライアは俺と待機。アウラは魔導書に帰らせて、殿下は向こうのゲームに参加しろ。今こそ原典候補者としての責務を果たせ」

 

「殿下に………アジ=ダカーハと戦え、と?そういうことですか?」

 

「ああ。あの女好みの駒の動きな上に予定が早まってるが、太陽主権が二つあれば戦いにはなるだろう」

 

「な、なら私も…………!!」

 

「馬鹿を言うな。可愛い弟子にそんな無茶をさせられるかよ。それはそれであの女の計画範囲というのが気に入らねぇし」

 

ニヤリと、慈愛の欠片も感じさせない笑みを浮かべる。

目的の為に動いているのか、それとも玩具にして遊んでいるのか、この男の表情は読めない。

しかし、所々本来とは違う意味合いなのは感じた。

まるで誰かと手を読みあってるかの様に感じる。

明確に分かるのは、この場の主導権が全てこの男にあるという事実だけだ。

そこで遊興屋は一応の理由を伝え、ジンとぺストの安全は一応保障した。

殿下は遊興屋とジンの間に立って、遊興屋を睨み付ける。

 

「……………わかった。やってやるよ。“人類最終試練”………アジ=ダカーハは俺が倒す」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

アルマはマスターである狐川を放置し、人型になって黒ウサギと話をしていた。

近くにいたらどんな面倒事を押し付けられるか分かった物じゃないからだ。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

一通りの作戦を聞き終えたレティシアと白雪姫は頭を抱えていた。

 

「白雪殿、今回の作戦をどう思う?」

 

「あんな爺は信用出来まい。悪評しか聞かない」

 

「しかし、奴の力は必要ではある。奴の悪評は実力故な所があるからな」

 

「………ギフト“百鬼夜行”による全体の強化。確かにそれがあれば、アジ=ダカーハの霊格を削るのも楽にはなるだろう。しかし、それに必要な“信頼”はどうするつもりなのだ?」

 

「それが奴の恐ろしい所でもある。奴は行動で示すタイプの極端な部類でな。その戦い様を見せ付ければ、自然と場を呑み込むのだ」

 

「それが本当ならば凄まじいな」

 

「だからこそ、奴は傭兵として重宝されるのさ」

 

二人でそんな事を話していると、マンドラが訪ねてくるのだった。

用件はレティシアに対し、とある頼みをする為であった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

ぬらりひょんは煙管を吹かしながら城塞を歩いていた。

そして、とある病室の前に着くと勢いよく扉を開けた。

 

「火を消してから入りなさいよ!!」

 

開けた直後に稲妻が飛ばされてきた。

とはいえ、難なくヒラリと避ける。

 

「いきなり酷いのぉ。そんなに儂が嫌いか?」

 

「当たり前でしょうが………数百年も私を封印した奴がどの口をッ!!」

 

煙管をギフトカードに入れながら、改めて入ったぬらりひょんの言葉に対し、悟のベッドの隣に座る、稲妻を放った張本人である蛍が睨みながら叫ぶ。

しかし、ぬらりひょんは蛍を無視して視線を悟の向かい側にいる狐川に向ける。

 

「あぁ……こりゃスマンのぉ。知らない嬢さんまでおったか」

 

「いえいえ、お気にならさず」

 

「ちょ、無視すんじゃないわよッ!!」

 

柔らかい笑みを向けるぬらりひょん。

狐川は丁寧に笑顔を浮かべながら言う。

蛍はひたすら叫んでいる。

 

「いや~騒がしくなりましたねぇ」

「これも総大将の存在故にですかねぇ?」

 

「いや、親父と蛍の因縁のせいだろ」

 

包帯を整える吹雪と粉雪に適当に答える悟。

頭をかきながらぬらりひょんに声を掛ける。

 

「親父、何の用だよ」

 

「いきなりそれを聞くか?」

 

「長話したらもっと騒がしくなるだろうが」

 

「それもそうじゃな」

 

向き合う親子。

狐川は興味が無さそうにお粥を食べる。

 

「本題だけなら一言で済む。ようはお前らは次の戦い前線に出るな、って話じゃよ」

 

「何でだよ!?」

 

「何でもクソもあるか。お前もボロボロな上に体力擦り切らしてる奴らばっかじゃろうが。はっきり言って前線に出てこられたら邪魔じゃ」

 

「皐もか?」

 

「あれは特に制限はせんよ。コミュニティを抜けてるからのぉ」

 

「息子として心配じゃないのか?」

 

「心配じゃよ?とはいえ、教育方針的には奴には自分で決断させる必要があるからの。奴が道を選べば止める気は無い」

 

「じゃあ、何で俺はダメなんだよ」

 

「お前も息子として大事じゃ。儂の後を継ぐんじゃろ?ならば、無茶をする時はここじゃなかろう。それくらいは見分けろ」

 

「………そうかよ」

 

いまいち納得がいかない感じではある。

とはいえ、確かに今は必要以上に無茶する時では無い。

仲間も割りとギリギリではある。

無理矢理納得しようとすると、ぬらりひょんが更に言ってくる。

 

「ああ。それと、お前の友人の茨木童子じゃが、将来有望そうじゃし、ちと借りるぞ」

 

「うぉい!!それとこれとは話が別的な感じかッ!?」

 

「別に牛鬼達をつけるし、特に外傷も無さそうじゃから連れてくだけじゃ」

 

「………何でそうなる」

 

「酒呑の奴から頼まれてる事もあるからの」

 

「酒呑さんから、か。なら仕方ねぇか。あの人、茨の事をかなり気に入ってるからな」

 

「じゃ、納得したの。納得したならゆっくり傷を直すんじゃな」

 

そう言って、病室を出ようとするぬらりひょん。

頬を膨らませていた蛍が悟に抱き付いてくる。

ナース服の吹雪と粉雪もノリで抱き付く。

部屋を出る一歩前、そこで何かを思い出したかの様にぬらりひょんは足を止めて振り返る。

 

「それと言い忘れた。お前に“百鬼の器”は速いんじゃよ」

 

その一言と共に“獅子王”を見せ付ける様にしてから霞の様に姿を消した。

言い忘れたというわけでは無かろう。

明らかに嫌味を吐き捨てていっただけだ。

 

「この………糞親父がッ!!絶対見返してやるッ!!」

 

そんな叫びが直後に響くのだった。

一部始終を見ていた狐川は呆れた様な顔をするだけだった。

 

「親の前だと、割りと別な面を見せるのね」

 

小さく呟きながらお粥を食べ進めるのだった。





親の前と他では割りと違う面が出るタイプでした。
とはいえ、どちらも素ではありますが。

それでは、質問などがあれば聞いてください。
感想待っています。

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