問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
マクスウェルが墜落した地点は崩れ落ち、マクスウェルは城塞内部にいた。
そこから動いてはいない。
外見は白主体の衣装に無機質な仮面であり、表情は伺えない。
背中からは翼が生えて、光る羽根を振り撒いている。
だが、精神に何かあったのは確かだった。
元々復活してから壊れかけていたのが、完全に壊れた。
おそらくそんな感じだろう。
しかし、そんな事よりも問題があった。
「わー・・・・・・」
「おい、これって…………」
がしゃと河澄が偶然、運悪く落下地点の近くにいたのだ。
二人して冷や汗を流す。
がしゃはまだまともに動けるレベルではない。
「GE……RE………!!」
ギラリ、とマクスウェルの顔が二人の方を向く。
明らかに狙いを定められた。
二人が顔をひきつらせた直後に何かが高速で横合いからマクスウェルに突進してきた。
「圧縮雷炎槍・爆!!小規模版!!」
[後半必要ですか!?]
「こういうのはノリが大事なのよッ!!」
現れたのは狐川とアルマだった。
足が折れて動けないのでアルマの背にしがみつきながら雷炎槍をマクスウェルに突き刺したのだ。
マクスウェルは槍を深々と刺されると転がる様に吹き飛び小さく爆裂する。
が、そんな物は大して効くはずも無い。
マクスウェルは即座に再生し、空間跳躍で狐川の目の前に現れる。
そして、その手を振り降ろしてくる。
「GE………RE…………!!」
[マスター!!]
「違う!!避けなさいッ!!」
咄嗟に防御形態になろうとするアルマを止めて回避にさせる。
アルマは困惑しながらも横に跳ぶ。
直後だった。
マクスウェルの体がブレたと思うと、先程まで狐川の顔があった部分に手が振り降ろされていた。
短距離を空間跳躍したのだ。
空間跳躍すれば防壁など関係無い。
つまり避けてなければ殺られていた。
だが、それでも終わらなかった。
空振った手はそのまま床に触れる。
瞬間床が爆発を起こす。
咄嗟の回避でそこまで距離が取れていなかったアルマ達は爆風に押される。
狐川はアルマの背から落ちて転がっていき、壁に衝突してようやく止まる。
その衝撃で傷が多少開き、全身が悲鳴を上げる。
そんな事など関係無くマクスウェルは追い討ちをかける様に狐川に手を向ける。
[マスターッ!!……ッ!?氷!?]
アルマが割り込もうとするが、足に何かが引っ掛かり動きが止まる。
そちらを見れば足元が凍結して床に足が縫い付けられていた。
こんな物はすぐにどうにか出来る。
しかし、その間にマクスウェルは狐川を殺れる。
「狐ちゃん!!」
「狐憑きさん!!」
がしゃが叫ぶが体は動かない。
河澄が水を操り放つが、マクスウェルが動きを止める事は無い。
狐川はほとんど動かない体で振り降ろされる手を睨む。
「(また……またなの。これじゃダメなのよ、これじゃ…………)」
「WE_____WEEEEeeeeeeLAAAAAAAaaaaaaaaa!!」
マクスウェルが叫びながら手を振り降ろす。
狐川にその手が触れようとした時、何かが霞の様に現れ、割り込む。
「人違いしてんなよ………変態ッ!!こいつはお前が手を出していい物じゃねぇんだよッ!!」
突如現れた悟は刀でマクスウェルの手を防いでいた。
だが、急激な温度変化によって刀は即座にヒビが入っていく。
折れると直感した悟はマクスウェルに蹴りを入れる。
そして、マクスウェルを離す。
直後に黒い羽根が舞う。
黒い羽根はマクスウェルの眼を覆い、視界を封じる。
マクスウェルが眼を押さえた所で悟は呟く。
「今だ。やってやれ、鎌音」
(了解)
風に乗って返事が聞こえた様な気がした。
それと同時に風がマクスウェルの体を縦に深々と斬り裂く。
離れた所で伏目と鎌音が待機していたのだ。
だが、そんな傷でもすぐに再生する。
だからこそ、その一瞬の隙に指示を出す。
「河澄!!お前は濡鴉と一緒にがしゃを運べ!!マクスウェルは俺が押さえておくッ!!」
叫んでる間にもマクスウェルは再生している。
再生した途端に姿を消したマクスウェルを、サトリの力で出現場所を察知してヒビの入った刀を突き刺す。
刀ごと壁に一先ず縫い付け、狐川を抱えて距離を取る。
そのやり取りの間に鴉羽を撒いていた濡鴉が烏を連れてがしゃ達に近付く。
「濡鴉ちゃん、いたんだ」
「いますよ、そりゃ。それより早く運びますよ」
「おい、その烏……まさか!!」
「そのまさかですよ」
濡鴉と河澄はがしゃの体を烏を使い浮かせると、二人で運ぶのだった。
がしゃどくろであるがしゃは人化していても結構な重さであり、運ぶのが苦労するのだった。
「ほら、俺が時間を稼いでおくからお前らも逃げろ」
「時間を稼ぐ、とはあんたにしちゃ弱気ね」
「フフッ。だって、悟にはマクスウェルを殺せるだけの火力が無いものね」
「………紅葉、悪いが今は黙っててくれねぇか?」
「いやよ。それじゃ、意味が無いじゃない」
悟の背中に張り付きながらクスクス笑う紅葉は痛い所を囁く。
割りと傷付きながらも表向きは普通に文句を言う。
狐川は地面に降ろされると肝心な事に気付く。
「そうだ。あんた、何で動けてるのよ!!あんたも割りと重傷だったでしょうが!!」
「あぁ、それか。傷はこの通り癒えてないが…………骨は無理矢理くっつけた」
言いながら左足と右腕を見せる。
そこには、まるで凍傷になってるかの様に変色した手足があった。
「雪女が二人いただろ?片方がこういう細かい凍結が得意でな。骨を凍結させて無理矢理接合した。一歩間違えば手足が完全に壊れてたが“運良く”成功した」
「私のおかげだけどね」
紅葉がまた余計な事を言うが、今度は否定しない。
別に間違ってはいない。
成功したのは紅葉が“幸運”を寄せていたのも要因ではあるのだから。
“天運”を消費したばかりの悟では紅葉がいなければ確実に失敗していた。
…………粉雪からは三十分で溶かさないと腕が使い物にならなくなる、と言われてはいるが、そこまでは狐川には言わない。
「本当に馬鹿やるわね」
「仲間を助ける為ならこれくらいやるなきゃダメだろ?それにお前も俺の百鬼候補だし、助けておいて損は無い」
「誰があんたの百鬼候補だ、誰がッ!!助けたからって勝手に人をそんな物にカテゴリしてんじゃないわよッ!!」
「……それだけ言う元気がありゃ大丈夫だな。アルマ、頼んだぞ」
[一人でマクスウェルを相手にするつもりですか?死にますよ?]
「知らねぇのか?混血の妖怪は頑丈なんだよ」
適当な事をアルマに返しながら狐川を預け、マクスウェルの前に立つ。
混血妖怪が頑丈なのは事実だ。
でなければ骨を凍結させるなどという無茶苦茶な方法が成立するわけがない。
純血よりも“力”や霊格が劣る代わりに、膨大な妖力と頑丈さを持つ、それが混血だ。
それに親の組み合わせ次第では劣る分も埋めれるし、将来性はかなりある。
ギフトカードから予備の刀を取り出す。
これはこれでそれなりの刀ではあるが、霊格を持つレベルの名刀では無い。
故に慎重に行く必要がある。
そうして刀を構える内にマクスウェルは目の前に迫っていた。
が、それは読んでいた。
だからしゃがむ。
直後にマクスウェルの右目を矢が貫く。
悟の後方の離れた場所から皐がボウガンを放ったのだ。
そうして怯んだ所で夏歩がマクスウェルの首を裂いた。
追い討ちを掛ける様に悟が斬り上げる。
「作戦成功♪」
言いながら夏歩が再び姿を消す。
身軽故に速く軽く動け、猫又故に足音を立てず気配も消せる。
隠密するには持ってこいである。
とはいえ、初撃を加えたら皐の所まで下がっていろ、と指示は出してはある。
皐は皐で気配は消せるし、身軽だ。
それに危険を察するのも上手い。
だから、任せた。
「さて、どれだけ時間を稼げるか」
「十数秒じゃない?」
「まぁ……そのくらいだろうな」
直後、腹に重い衝撃が加わったと思うと同時に悟の周囲が爆発した。
明らかにその二種は別だと感じた。
腹に加わった衝撃により、背後に多少飛ばされた事で爆撃を直撃せずに済んだ。
おそらく伏目辺りが察知して風間辺りにやらせたのだろう。
ナイスサポートではあった。
「カハッ!?ガバァ!?……くそったれ!!壊れてるせいで動きが読みにくいにも程がある!!」
[WEEEEeeeeeeeLAAAAAAaaaaaaaa!!]
叫びながらマクスウェルが、爆風を突き抜けて目の前に現れる。
その叫びと同時に悟は頭を押さえる。
意味不明理解不能な思念が伝わってきたのだ。
壊れてる故にそれを叩き付けられて頭痛を引き起こした。
そして、それが決定的な隙になる。
「グ…ガアアァァァァァァァァ!?」
気付いた時には吹き飛ばされていた。
痛みを感じた時には壁に叩き付けられていた。
普通ならこれで終わる所だったろう。
だが、“幸運”にもちょうど逆廻十六夜がクロアの手で送られてきた所だった。
「数分のラグがあったとはいえ、凄い事になってるな。だがまぁ、それ相応に返させて貰うぞ変態魔王ッ!!」
十六夜とマクスウェルは即座に激突を始める。
故に気付かない。
天井の穴から入ってきた“影”に。
若頭派vsマクスウェルでした!!
対応はある程度出来ても火力不足で殺れはしない感じです。
それでは、質問などかあれば聞いてください。
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