問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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趣味の悪い術

 

警戒する悟。

だが、陰陽師の少女はそんな様子を見て笑い始める。

 

「キヒヒ、キヒヒヒヒヒヒッ!!そんなに警戒しなくても大丈夫よ。そもそも陰陽師はぬらりひょんの奴が相当前に滅ぼしたでしょ?」

 

「確かにそうだが…………絶滅したわけじゃねぇんだよな。つーか、お前はまさか蛍か?」

 

「そのまさかってわけ」

 

ウインクしながら横ピースする陰陽師の少女。

何だかんだ気が抜けて頭を抱える悟。

陰陽師は二人が言う通り、かなり今やかなり稀少種である。

それもこれも百数十年前程に陰陽師達が“百鬼夜行”に喧嘩を売ったのが原因である。

大方、大妖怪を一網打尽にするつもりだったのだろうが実力差を計り切れなかった様で返り討ちになったわけだ。

しかも、ぬらりひょんの怒りを買い、完全に大元から末端まで壊滅させられたのだ。

少数生き残ってる物の妖怪達の抑止力になるレベルではない。

 

「で、その陰陽師の体を何でお前が操ってるんだ?」

 

「ぬらりひょんに封印される前に私を退治しようとした陰陽師達がいてね。生意気だったから一族全員皆殺しにして喰らい尽くしてやったわけだけど、その中に可愛い子がいたから式神にしたわけ」

 

「死体人形か?」

 

「半分正解って所かな?厳密には死体じゃないからね。とりあえず生け捕りにした後に“調整”を加えた上で物語を憑かせて人形にしたのよ。栄養は物語から補給されるから餓死の心配はないし、ついでに不老の属性も加えてるから外見も変化しない。精神はもはや死んだも同然だけど肉体は生きてるって事、まさに生きた人形ってわけよ」

 

「趣味が悪いわね」

 

「あんたも大概でしょうが、家潰し」

 

「私の場合は憑いた相手が力を使わなければいいだけの話だもの」

 

睨み合う蛍と紅葉。

何時もの事なので特に止めはせずに話を進める。

 

「そもそもどうやって操ってる?……………式神とか言ったが、まさか」

 

「そのまさか♪私“が”陰陽術を行使して式神としてしてるわけよ。厳密にはもっと複雑だけどね♪」

 

「まぁ………お前の場合は使えても不思議じゃないんだが」

 

「“陰陽師”だって立派な物語ですからねぇ。それに物語は発動していなくても“体内に取り込んでる”分は知識としてあるからね。知識さえあればいいのよ、知識さえね。物語として発動しなくても、その子に行使させれば問題無く発動するんだから」

 

では、どうやって物語として発動しなくて式神として少女を使役しているか、という話ではあるがそこが複雑な部分である。

まず、陰陽師の物語を発動させた状態で“小袖の手”という妖怪の巻物に手を加えた物を解放する。

当然、存在が改変されようと妖怪は妖怪なのでその本質で行動しようとする。

そこで陰陽師として“小袖の手”を式神に加工する。

青行燈と“小袖の手”では格が違うのでそれくらいは容易いのだ。

式神として加工された“小袖の手”の手は妖力ではなく呪力で動く。

“小袖の手”は元々着物の妖怪である。

なので、形すらも加工し、青行燈の望んだ服に姿を変えさせる。

それを陰陽師の少女に纏わせる。

つまり憑かせる。

そこで改変された本質が発動する。

“小袖の手”を纏った少女の体は完全に“小袖の手”の支配下に置かれる。

これで少女は結果的に青行燈の式神と化す。

更に仕上げとして“小袖の手”の所有者を少女に設定する。

式神としての呪力補給は所有者から行う。

所有者の少女から呪力を吸い上げ、“小袖の手”は憑いてる少女に栄養を補給する。

栄養の補給さえしっかりしていれば呪力は延々と補給される。

つまり循環しているのだ。

あくまで使役者は青行燈なので体のいい駒が出来上がるわけだ。

式神としての“小袖の手”は少女ごと呪符へと姿を変えれる。

起動時に陰陽師の物語を発動する必要はあるがそれは一瞬で済む。

そして、起動時に大量の呪力を送るので多少術を使役させても循環は崩れない。

更に青行燈自身が陰陽術を行使するより少女に行使させた方が楽な上に精度が高い。

元々陰陽師の体なのでそこらへんは体に染み付いているのだ。

本質は妖怪ではないとはいえ、カテゴリ的には妖怪な青行燈が使うよりもいいのだ。

 

「それでそんな式神まで出して何しに来た?」

 

「もちろん悟の治療よ。うっかり忘れてたけど、この子に回復系の術を行使させればいい話だったし」

 

「そういう事か。なら、頼む」

 

「了解♪」

 

聞くだけ聞くとさっさと呪符を取り出して術を構築し始める。

どうもどうやら骨を凍結させて無理矢理接合させてるのもお見通しな様でそちらも平行して治療してるようだ。

そこで悟は一つ思い当たる。

 

「そういや、こんな所に意識を飛ばしてアジ=ダカーハの相手はいいのか?」

 

「そちらは問題無いわよ。だって、この意識はコピーされた人格パターンによる物だし。繋がりはあるから向こうの現状は把握出来るけど、戦闘中に意識が他所を向いてるなんて事にはなってないわよ」

 

「なら、いいな」

 

「クスクス、まだ何かするつもり?」

 

「あんたは黙ってなさいよ」

 

紅葉の問いに答える前に蛍が遮った。

再び睨み合いになる。

 

「何?消されたいの?今なら陰陽術で消し飛ばして上げれるけど?」

 

「あら?そんな人形如きで私を消し切れると思ってるのかしら?」

 

「キヒヒッ!!そう油断してられる今の内よ。治療が終わり次第にただの人形じゃないってのを見してやるから」

 

「そう楽しみにしておくわよ」

 

ギスギスした空気をスルーしながら悟はサトリの力で周囲を探索する。

そこで目的の反応が近くにある事を確認する。

 

「おい、皐!!いるなら出てこいッ!!」

 

「呼んだか~?」

 

フラリと物陰から皐が出てくる。

その背後には夏歩もいる。

 

「まだ何か企んでるのか?」

 

「別に大層な事じゃねぇよ。決着くらいは見ておきたいだけだ」

 

その言葉に皐の顔は更に面倒そうに歪む。

大体何の為に呼ばれたのか察したのだろう。

こういう時に一反木綿としての仕事は大体一択ではあるが、それでも面倒な物は面倒だ。

何はともあれ、治療が終わるまで一同はそこで待機しているのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

城塞でのマクスウェル戦後、球磨川の目の前に安心院が現れていた。

 

『まだ何かやらせるつもりかい?僕としては忍ちゃん達に加勢したい所なんだけどね』

 

「あの戦いは君が乱入したら台無しになるよ。だから、君には別の事をやって欲しい」

 

『結局は裏方担当って事かい?』

 

「そう嘆く事も無いさ。ちょっと金髪吸血鬼メイドの相手をして来てくれればいいだけだからさ」

 

そんなこんなで何処とも知れぬ場所に転送されるのだった。

周囲は森だった。

そこで何かを待つかの様に待機してる金髪メイドを見付ける。

 

『やぁ。どうやら君が安心院さんの言っていた金髪吸血鬼メイドみたいだね』

 

「………………」

 

球磨川の声を聞いてすぐに彼女は腰の彼女の背丈程もある大剣を手にする。

 

『おいおい、話もせずにいきなり戦うつもりk

 

一閃。

球磨川が何かを言うよりも早く大剣は横に振られた。

そして、球磨川の首と胴が離れる。

辺りに多量の血が撒き散らされるがメイドは気にもせず、目すら向けずに元の体勢に戻る。

 

『全くさぁ………君達は本当に不意討ちが好きだね』

 

「ッ!?」

 

今度こそ、メイドは本気で驚いた顔をする。

それもそうだろう。

首を跳ねたはずが殆ど一瞬で元に戻ったのだから。

再生では無い。

周囲に撒き散らされた血すら消えていた。

原理も分からずに困惑する。

だからこそ、隙が出来た。

球磨川は一気に距離を詰めて螺子を放つのだった。

が、戦いの年期が違った。

メイドはすぐに冷静になり、螺子をヒラリと避け、返す刀で大剣を振るう。

胴体を真っ二つにするが、これもやはり地面に転がる頃には元に戻っていた。

 

「よく分かりませんけど……………とりあえず死ぬまで殺させてもらうわよ」

 

『ハァ……何でそんなに僕を排除したいのか知らないけど。たとえ何であろうと、僕は悪くない』

 

純血の吸血鬼と混沌よりも這い寄る過負荷の戦いが始まる。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

三頭龍と規格外三人の戦いは膠着していた。

だが、それは表面上だ。

よく見れば分かるが明らかに規格外三人のジリ貧であった。

そして、ジリ貧の要因の一番の原因はぬらりひょんであった。

 

「ゴバァ、……ハァ…ハァ…チッ、全く厄介な体質になった物じゃのう」

 

[そういう事か。ぬらりひょん、貴様はもう限界のようだな]

 

三頭龍はぬらりひょんの今の状態を完全に把握していた。

突然の吐血も原因は外傷ではない。

 

「誰が限界じゃ。あまりワシを甘く見てるとその首吹っ飛ぶぜ?」

 

口から血を垂らしながらも目は死んでいない。

それどころか更に燃え上がっていた。

結局の所、その強さが原因なのだ。

ぬらりひょんという枠を遥かに越えた力の代償だ。

鵺の単独撃破から始まる彼の功績は霊格をかなり高めていた。

そして、今なお進化を続けている。

だが、急激過ぎたのだ。

急激な進化と膨大な力に体の方が耐えれてないのだ。

故に普段は老人の姿になる事で力を抑えているのだ。

そうしなければ体が崩壊していくのだ。

まさに今の様に。

しかし、そんな物で止まるぬらりひょんでは無い。

体の崩壊など気にせずに三頭龍へと向かっていく。

だが、蓄積されたダメージも重なり、動きが鈍ってるのも確かだった。

再生能力が無い分、忍と比べて体力の問題もあるのだ。

 

「儂から目を離すとは余裕じゃの!!

 

[吸血鬼がちょこまかと!!]

 

忍は再生を前提にあえて完全に回避せずに攻撃を仕掛ける。

故に多少の攻撃では動きを止めれない。

そこへぬらりひょんも加わり一進一退の攻防を続ける。

その間に蛍は三鈷剣を構えながら三頭龍の死角に飛び込んでいく。

そして、首筋へと飛び掛かる。

 

「貰っ[甘いわァ!!]

 

三頭龍は急激に体を後方へと下げた。

奇襲は読まれていた。

空振りによる隙を三頭龍が逃すわけが無い。

 

[終わりだ……死ね!!]

 

横一閃に振り払われた爪が蛍の体を抉る。

蒼い衣は紅く染まり、臓物血肉撒き散らし、蛍の体は裂けた。

しかし、その口元には不敵な笑みが浮かんでいるのだった。





蛍死亡でした!!
それで終わるかはともかく!!

蛍はかなり倫理感狂ってます。
当然ですが。
悟も陰陽師少女をサラリと流す辺り歪んではいます。

それでは、質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。
アンケートに答えてくれると嬉しいです。

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