問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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“南瓜の王冠”

 

意識を取り戻したジャックは一つの決断をしていた。

体が崩れかける中で出来る最期の手段。

“契約書類”を握り潰す。

 

(もう助からぬのならば………この僅かな命で、為せることがあるのならッ!!)

 

考えられる外法の中でも最悪の手段。

一〇〇年も積み重ねてきた贖罪の全てを無に帰しかねない手法を以て、ジャックは両腕に力を込める。

 

子供たちの未来を守れるのならば。

 

最期の一瞬までその願いに殉じる事が出来るのならッ!!

 

(私は…………魔王に堕ちても構わない_____!!)

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

蛍に迫る無数の刃。

一つの黒い物体が流星の様に刃をすり抜けていく。

そして、蛍の目の前に迫っていた刃との間に割り込む。

 

「俺の仲間に何しやがるッ!!」

 

そんな叫びと共に龍影の刃と割り込んできた刃が衝突する。

激しく火花を散らした後に割り込んだ刃の方が砕けた。

が、それでも龍影の軌道は変えれた様で右肩をかする形となった。

蛍のではない。

悟のだ。

割り込んできたのは皐に乗った悟だったのだ。

血の溢れる右肩を気にせず、悟は蛍を抱き寄せる形で掴む。

 

「大丈夫か?」

 

「…………」

 

「ん?」

 

返事をしない蛍に首を傾げる悟。

だが、そんな事を気にしてる暇も無いのだが。

こうしてる今も龍影の刃は迫っている。

そんな中で蛍は悟に飛び付いた。

 

「悟♪やっぱ私の目に間違いは無いわねッ!!活躍して惚れさせてやろうかと思ったけど、逆に此方が更に惚れる事になるとは思わなかったわよッ!!」

 

「ちょ!?蛍ッ!?よく分からんが一旦離れてくれねぇか!?紅葉の“幸運”で回避は出来ていたが、もう囲まれたッ!!本格的にヤバイから!!」

 

「そうよ。あんたは邪魔なのよ」

 

「黙ってなさい。ガキ死霊」

 

「それはあんたよ、蜘蛛女」

 

相変わらず睨み合う紅葉と蛍。

溜め息を吐く皐。

だが、時間は待ってくれない。

彼らを囲んだ龍影がすぐそこまで迫っていた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

万象を撃ち抜くかのような、赤い閃光だった。

悟達に迫っていた凶刃は全てそれに弾かれた。

助けに来たはずが逆に誰かに助けれたようだ。

彼らの前には燃える様な瞳を宿した人影があった。

或いはそれは、本当に炎と情熱の化身だったのかもしれない。

衣服だけでなく髪と瞳も炎上し、地獄の住民かと見紛うような険しい横顔。

その顔に心当たりはあった。

そして、声を多少震わせてその名を呼ぶ。

 

「「ジャック……?」」

 

悟と皐は同時に言った。

それほ…ザザッ……までに目のま…ザザザ、ザザッ!!…愕していた。

ザザザザザザザ、ザザッザザザザザザザッ!!ブツン!!

 

「まぁ………割り込むとしたら此処かな?」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

よく分からない場所。

そこを呼ぶとしたらそうとしか言えなかった。

そもそもに置いて存在しない空間。

“人外”が“盤面”を観察する為に用意した空間。

 

「悪いけど、君達の視点に割り込ませて貰ったよ」

 

「まぁ………放置しても構わなかったんだけどね」

 

「でも、やっぱり気に入らなくてね」

 

「君みたいな奴に“彼”の最期の戦いを見せるのはね」

 

「だって勿体無いじゃないか。君みたいな高見の見物を決め込んでる奴に“彼”の覚悟を見せるなんてさ」

 

「ただの高見の見物をでも無いからね。上層のゴタゴタすらも君にとっては他人事なんだろうさ」

 

「けどね、僕は動こうともしない奴は嫌いなんだよ。“盤面”に手を加えもせずにただ眺めるだけなんてね」

 

「不公平もいい所だよ。だから、“平等”にする為に割り込ませて貰ったよ」

 

「ん?おいおい、この後に及んで他人事かい?」

 

「君だよ、君。君に言ってるのさ。分かってるんだろ、▲■▼■」

 

「…………全くまとも名前を言わせないなんてひねくれてるね」

 

「球磨川くんとは大違いだけどね」

 

「まぁいいさ。ちゃんと決着くらいは見せて上げるから安心しなよ」

 

「おいおい、そんな所から仕掛け様としたって無駄なくらい君なら分かるだろ?」

 

「大人しく待っていなよ。心配しなくても君の予想通りの展開にはなっているよ」

 

“人外”語り掛ける。

何処か遠くにいる“存在”に。

まるで小馬鹿にする様に彼女は接する。

相手がどんな“存在”か把握した上で。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

ザザザザザザザ____星の如く駆け抜けたジャックはその速度を維持したまま光の粒子となって散って逝く。

両者の戦いが終わった後に残ったのは、三頭龍のみ。

魔王に堕ちた果てに悪神に正義を保証された“南瓜の王冠”。

ジャックの霊格は一欠片も残さず消えた。

その奇跡の証として_____悪神の心臓を剥き出しにして。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「中々極上の物語ではあったようね。私が書き残しただけでは霊格を模倣する事すら無理でしょうね」

 

「でも、物語を語る者として貴方の物語は私がしっかりと保証してあげる」

 

「誰にも汚れ穢れさせない。書き換える事もされない物語としてね」

 

それは気紛れでもあり、性質の一つでもあった。

多くの物語を語る末に現れる存在。

故に極上の物語は守り残していく。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「あいつの事はよく知らんが……………若造があそこまでの覚悟を見せたんじゃ。ワシもそろそろ大きく決めておくかの」

 

死は大きな波紋を残す。

その波紋は次々とぶつかり形を変えていく。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

空中城塞の断崖絶壁。

 

「…………ジャック」

 

その戦いの全てを。

十六夜は、無感情な瞳で見届けた。

時間にすれば一分にも満たない死闘。

ジャックが三頭龍に残した傷の数々は紛れもない、希望そのものだ。

だがそれでも。

十六夜は一言、血を吐くように告げる。

 

「この…………この、大馬鹿野郎が……………!!」

 

ジャックは満足して逝ったのかもしれない。

しかし彼を糾弾した。

それは何も己を犠牲にしたことを糾弾しているのではない。

今日まで大事に積み上げてきたはずの人生の全てを、財産を台無しにしたことに怒りを感じているのだ。

この戦いを乗り切れたのなら、ジャックと“ノーネーム”は、より多くの財産と軌跡を綴れたはずなのだ。

クロアは彼の肩を掴み、いさめるように首を振る。

 

「十六夜君。彼を責めたい気持ちは分かる。だが今はそんな場合ではない」

 

「…………分かっている」

 

有りっ丈の苦渋を奥歯で噛み殺し、十六夜はラプ子IVに視線を向ける。

 

「最終作戦結構だ。今度こそ、あの魔王を仕留める」

 

 

 





いよいよ最終局面!!
ジャック関連は変え様が無いのであんな感じに!!
安心院さんが割り込んだ相手については後々に。
文字数はそのままです。

それでは、質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。
アンケートに答えてくれると嬉しいです。


そういえば、27日から配信のスニーカーのwebに問題児の短編が載るそうですよ?
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