問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
部屋に入った瞬間、虎が目にも留まらぬ突進きて球磨川と暦はとっさに左右に避ける。
「こいつがガルドか!?」
『どうやらそうみたいだね』
ガルドの姿は先日のワータイガーではなく、紅い瞳を光らせる虎の怪物そのものとなって二人を待ち構えていたのだ。
二人はガルドの背後に回るがそれは逃げ道の階段を塞がれたも同然だった。
「球磨川、たぶんあれが指定武器だよな?」
『だろうね』
二人はガルドを警戒しながらその背中の剣を見る。
「まずは武器を取るか」
『じゃないと何も出来ないからね。僕が足止めするから暦君がとってくれる?』
「分かった」
その言葉と共にガルドが再び突進してくる。
球磨川はそれを避けると足元に向かい螺子を投げ付ける。
『傷はつけれなくても拘束くらいは出来るだろ?』
螺子はガルドの足を拘束するように地面に刺さり移動しようとしたガルドは体勢が崩れる。
その隙に暦がガルドの上に跳び乗る。
「痛っ…」
剣に触れた瞬間、暦の手に痛みが走る。
剣は銀と十字架で吸血鬼性を上げている暦は触っただけで痛みを感じる。
痛みに耐えながら剣をガルドの背から取るといきなりガルドが吠える。
「GEEEEEYAAAAAAaaaaa!!」
ガルドが激しく動き、暦は振り落とされる。
空中に投げ出され、無防備な状態の暦をガルドは前足で壁に叩き付ける。
「グバァ!?」
体のあちこちから骨が折れる音がする。
ガルドが更に攻撃を加えようとするとその背後から球磨川が両手に螺子を持ち、跳び掛かる。
しかし尻尾に横殴りにされ、暦と同じく壁に叩き付けられる。
そして二人をガルドは何度も何度も殴打した。
数分後、二人は部屋の赤い染みと化した。
◆◆◆◆◆
「ハッ」
二人は気が付くと教室にいた。
目の前の教壇には安心院が座っている。
「全く本当にあっさり死ぬね君達は。まぁ剣は奪えたし、作戦もそう悪くはなかったけどね」
「まだギフトゲームの最中だから今回は速く戻った方がいいね」
そう言って安心院は指を鳴らした。
すると二人の意識はまた途切れる。
◆◆◆◆◆
球磨川は目が覚めると【大嘘憑き】で自分の傷をなかったことにする。
そして音をたてないように立ち上がる。
ガルドは今は球磨川達の方を向いてなく、球磨川は前に気配をなかったことにしているので音をたてなければ気付かれはしない。
球磨川は暦の肩に触れて、彼の傷をなかったことにする。
そして耳元で作戦をつげる。
『さあ、フィナーレだよ』
その言葉に反応してガルドが球磨川達の方を見る。
それと同時に球磨川は壁に螺子を刺す。
『【大嘘憑き】この屋敷の柱をなかったことにした』
屋敷は音をたてて崩れ始める。
ガルドは階段の方に駆け出すが床が崩れ、下の階に落下していく。
「無茶をやるなお前は!!」
『やるならこれくらいやらないとね』
暦は球磨川と剣を抱えながら崩れる屋敷を走る。
◆◆◆◆◆
屋敷は完全に崩壊して瓦礫の山となった。
その瓦礫の中から虎の怪物が出てくる。
「GEEEYAAAAaa……
しかし出てきた瞬間、暦の持つ剣に首を貫かれる。
そしてそのまま首を斬り落とされる。
「GeYa……」
十字剣の激しい光と、歯切れの悪い悲鳴。
それが虎の怪物の最期。
あまりの激痛に持っていられなくなって暦は十字剣を地面に突き刺し、座り込む。
暦の手は酷い火傷のようになっていた。
球磨川が近寄り、その傷をなかったことにする。
「ありがとうな」
『いいよ。このくらい』
暦は立ち上がると絶命したガルドに言葉をかける。
「今更だけど、お前はあんな姿より虎の姿の時の方がよかったぞ」
『さて、これでゲームは終了だね。僕としてはこんな状態の彼と戦ってる時点で負けなんだけどね』
球磨川はいるであろうガルドを鬼化させた者を考えながら言う。
「それは死んだこいつに失礼だ」
『そうだね』
『このゲームは僕達の勝ちだ』
そして二人はガルドの死体を背に歩き出した。
vsガルド終了です。
球磨川さんが暦の傷を【大嘘憑き】で治したのは吸血鬼の再生より速いからです。