問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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次期頭首

"湯桶の騎士”を前にして狐川は激しく落胆する。

どうせなら力付くでやろうかと右手に狐火を出しかけた時だった。

圧倒的なまでの殺気が周囲一帯にばら撒かれる。

その発生源は誰がどう見てもフェイスレスだった。

 

「皆さんに聞いておきますが。この度の無礼、決死の覚悟があってのことと受け取っても構わないでしょうか?」

 

連接剣の繋ぎ目が緩まる。

明らかにブチギレていた。

けれど、そこにも何か違和感があるような気がするのだった。

なので狐川は謝らずに狐火を展開する。

 

「えぇ、構わないわ」

 

「なら、覚悟は出来ていますね」

 

売り言葉に買い言葉で最早一触即発な気配だった。

仮面を外して静養出来るまたと無い機会だったというのに散々だった。

先程の一件で精神的にすり減らされたと思えば今はこれだ。

苛立ちは極まり、八つ辺りに近い形で狐川に対して殺意が向けられる。

まさに互いが動こうとした直後だった。

 

「マスター、おふざけはそこまでです」

 

「ガッ!?」

 

「何事も時と場合を弁えて行動してください。何でせっかく体を休める為に温泉に来たのに殺し合いを始めようとしてるのですか」

 

狐川の横っ腹にアルマの後ろ回し蹴りがクリーンヒットして狐川は吹き飛ばされる。

アルマは額を手で押さえながら苦言を吐く。

狐川は二、三回お湯の上を跳ねた上で盛大な水柱と共に着弾し間抜けな姿のまま温泉に浮かぶのだった。

 

「申し訳ございません!!お詫びに黒ウサギが背中を御流しますから、ささ、此方に此方に!!」

 

突然の展開にキョトンとしているフェイスレスに対して黒ウサギは全身に脱兎して、フェイスレスの手を握り、流し台に連行する。

フェイスレスが本気で怒っているのはみれば分かった。

なので、これ以上炎にガソリンを注いで爆発させない為に狐川を黙らせて、殺気が薄まった内に対応するのだった。

完全に他人事扱いな忍は一人流し台に向かう。

 

「話すにはいいメンバー状況かもしれんの」

 

呟きながら体を丹念に洗うのだった。

アルマは温泉に浮かぶ狐川を拾い上げると流し台に連れていく。

 

「全く何をしているんですか、貴女は」

 

「ちょっと確認の為に軽く戦おうかと思っただけよ」

 

「だから、それが駄目なんですよ。そう言うのであれ時と場合を選んでください」

 

「いや~何となくだけど……………早急に調べなければ後悔するし、答えを得れない予感がしたのよ」

 

「だとしてもです」

 

言い合いながら流し台に狐川を降ろす。

女性陣はそれぞれ体を洗った上で、湯船に浸かるのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

女性陣は一先ずは落ち着いて休んでいた。

そこからノーネームの現状について話し始めるのだった。

 

「現在のノーネームは球磨川禊を仮のリーダーとする事で執務を行っています。しかし、あくまで仮なので滞っている執務も多々あります一番大きい案件は新たに加盟したいという申し出を保留にさせていただいていることでしょうか?」

 

「YES!!対魔王、対”ウロボロス”を目的とした大連盟の案件でございますね」

 

黒ウサギが耳を立てて言う。

 

「此方は盟主をノーネームとして、”六本傷”、”ペルセウス”、”ウィル・オ・ウィスプ”を中心に締結。保留させていただいているのが”サラマンドラ”、”覆海大聖(海を覆いし者)”、”ラプラスの悪魔”、”龍角を持つ鷲獅子(ドラコ=グライフ)”でございます」

 

これは鬼姫同盟以外の階層支配者が揃い踏みである。

鬼姫同盟は組織的な事情が複雑故に参加していない。

ノーネームから誘いを掛けているのが”混天大聖(天を混沌せし者)”、”酒天童子”、”ケーリュケイオン”、”百鬼夜行”________そして、”クイーン・ハロウィン”である。

それを聞いてフェイスレスは素っ頓狂な声を上げる。

それから事情を聞くとこういうのだった。

 

「すみません。私は既に女王の勅命を受けています。同盟締結の成否に拘らず、私が”階層支配者”になることはありません」

 

「本当にそれだけかしら?」

 

狐川が唐突に呟く。

フェイスレスの態度や言葉から何か違和感を感じ取っていた。

それが具体的に分からないからこその鎌掛けだった。

 

「さぁ?どうでしょう?」

 

しかし、肝心のフェイスレスは軽く流すだけであった。

 

「何はともあれ同盟云々は置いて警告しますが女王騎士の完成は常人とズレています。________特に槍使いのメイドが派遣されたら逃げ出すことをお勧めしますよ。強制的に達人まで鍛え上げられますから」

 

明後日の方向を眺めて小さく息を吐くフェイスレス(湯桶の騎士)

何か嫌な事でも思い出したのだろう。

アルマは話が一段落したので挙手して言う。

 

「女王の件は分かりました。ですがその返答を受け取ったとしても、仮のリーダーでは対応出来ません。代理では女王の機嫌を損ねる可能性もあります。…………黒ウサギ殿、私が言わんとしていることを理解していただけますか?」

 

「ジン坊ちゃんの帰りは待つことが出来ないという意味ですね。分かっています。ジン坊ちゃんは元々頭首を退く気でした。ですから、今がその時なのでしょうね」

 

ジンは自分からウロボロスに残った。

おそらく何かやることがあるのだろうが、このままでは執務が滞るだけである。

それはおそらくジンも望んではいないだろう。

そこで狐川が挙手して言う。

 

「前々から思ってたんだけど何で代理頭首は主様じゃ無くてあいつになったの?」

 

「十六夜殿は”出来る”でしょうが…………」

 

アルマが言おうとしている事も狐川は察していた。

だが、聞きたいのはそこでは無い。

直球で言うのは躊躇われるから遠まわしで言ったがようは何故球磨川が代理頭首なのかという点である。

 

「部外者が失礼しますが、彼が代理頭首なのは彼の行動を縛る為ですよね?彼は性格的にも人格的にも味方に置いておくにもリスクがあるタイプです。それを頭首と言う立場に担ぎ上げることによって行動を制限させるのが狙いと思われますが。そして、同盟を受ける可能性が低い”百鬼夜行”との関係を円滑に進める為の駒辺りも当てはまりそうですが」

 

「推薦されたクロア様やレティシア様にはそう言った意図があるかもしれません。けれど、私は球磨川さんを信じています。それに補佐として反坂さんがついているおかげで今のところは問題無い働きをしていますし」

 

フェイスレスの言葉もおそらく大きくは間違ってはいないだろう。

黒ウサギも察してはいるがそれでも仲間をそう思いたくは無いのだろう。

狐川はそれらを聞いた上で言う。

 

「それでも、こっちにするという手もあったんじゃ?」

 

言いながら忍を指差す。

一人でゆっくり他人事の休んでいた忍が話を振られて頭を上げる。

一瞬キョトンとしたと思うとちょうどいいとばかりに口を開く。

 

「悪いが儂と我が主は今回のゲームが終わったらしばらくコミュニティを離れさせてもらうぞ」

 

 





温泉パートラストです!
全然温泉って感じじゃなかったけど気にしない方向で!

それでは、質問があれば聞いてください
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