問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
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そこはまるで墓場のようだった。
焼き焦げたような巨大な十字架が斜めに突き刺さり、その周囲に四色の十字架が中央の十字架を囲むように突き刺さっていた。
それぞれは鎖で繋がっており、時折何かを蓄えるかのように輝いていた。
周囲には草木が生い茂り、花も咲いていた。
だが、それはある者の手によって崩れ去る。
いきなり黒い雷が中央の十字架に落ち、周囲の十字架と繋がっていた鎖が焼き切れる。
すると、地面にヒビが入っていく。
ヒビは徐々に大きくなっていき、十字架は傾いていく。
そして、それが一定を超えた時だった。
何かに吹き飛ばされるかの様に中央の巨大な十字架が弾け飛ぶ。
「あー・・・ようやくか。ようやく解放か……………」
十字架が刺さっていた場所からは足が生えていた。
どうもどうやらその足が十字架を蹴り飛ばしたようだ。
足は一旦引っ込むとノソリと人影が十字架があった場所から現れる。
同時に四つの十字架が強く輝き始める。
人影がそれらに視線を向けた頃にはそれぞれの十字架から鎖が放たれるところだった。
「こんなもので今更私を止められるわけが無いでしょ」
人影は溜息を吐きながら何処からともなく棒状の物を、否、大きな旗を取り出して振るう。
周囲から襲い来る鎖を弾くと同時に黒い瘴気が周囲に放たれ、十字架を砕いた。
そうして人影の姿が露わになる。
その姿は少女と呼べる物であった。
平均的な女性の身長よりも背は高く、それでいて細身であった。
控えめな胸は大きいとも小さいとも言えない物であり、それが少女の細々しさを強調させていた。
灰色に金が混ざったような煤けた色合いの髪は腰よりも長く、首辺りで適当に縛られていた。
だが、それはガサツな印象を与える物では無く、むしろ少女によく似合っていた。
煤けた色合いではあるが艶やかな髪はまさに美しく、白く白々しい肌に似合っていた。
少女は十字架が完全に機能停止した事を確認すると旗を突き刺した。
大地が脈打つ。
比喩では無く生命力が少女へと収束されていく。
草木は枯れて、花が散る。
逆に少女は満たされていく。
吸い上げた力によって満たされる。
ものの数分で草原は枯れ果てた荒野に変わり果てるのだった。
その所業をさして気にすることも無く少女は立ち上がる。
「さて、せっかく封印が解かれたわけだし再び兵を集め戦争を始めるとしましょうか」
ボロボロの修道服を纏いし少女は首に十字架を下げながら何処かへと歩き出す。
そのはずだった。
だけれども、どれを引き留める者がいた。
「おぉ!!我が聖女よ!!遂に御目覚めになられましたかッ!!私はこの日を幾星霜もの間待っておりました」
その叫びはまさに歓喜の叫びだった。
漆黒の鎧を身に纏いし騎士はその顔を歓喜に染め上げて叫びを少女に捧げるのだった。
対して少女は心底鬱陶しそうに息を吐くと騎士の近くに立つとその後頭部を掴み取って全力で地面に叩き付けるのだった。
「遅いのよ。たかが封印を抉じ開けるのに何年掛かってるのよ」
「申し訳ございません!!私はただ…………」
「まぁ別にいいわ。あいつらの封印をあんたが解けるとも思っていなかったし」
「貴女様の期待に応えられない我が身をただただ惨めに思いますよ」
騎士は顔を上げて少女に跪きながら言う。
ひしゃげて血が触れていた。
顔面から凄まじい量の血が流れ落ち、片眼は潰れ、歯も半数以上砕けていた。
だが、それでも、騎士は平然としていた。
少女もさして気にすることは無い。
何故なら数秒もしない内に肉が蠢き始め、内側から盛り上がっていく。
そうこうしている間に傷口は塞がり、眼も歯も新たな物に変わっていた。
「相変わらず気持ち悪いわね」
「私ごときが力を得るには醜さを受け入れるしか無いのですよ」
「どうでもいいことだけどね。それで?この周囲の死体はなに?」
「あぁ…………
二人は同じ方向を見る。
そこには死体の山があった。
否、そんな生優しい物ですら無かった。
それらはまるで何かを組み立てるかのように組み上げられていた。
ある意味においてそれは芸術なのだろう。
これが絵画ならば評価もされただろう。
だが、実物として存在するそれらはただただ狂気を感じさせるオブジェであった。
それでも少女は嫌悪するのでは無く呆れた顔をしているのだった。
「相変わらず悪趣味ね」
「
「あっそ。でも、それでは
そう言うと少女は旗を地面に突き刺す。
旗から地面を伝い、”
黒の紋様の様なそれはオブジェにまで浸透する。
脈打つような音をそれらが響かせる中で少女は呟く。
「クソッタレな神に代わって私があなた達を救いましょう。”
その声と共にオブジェが漆黒の焔に包まれる。
悲鳴のような物が響き渡り、オブジェから肉が剥がれ落ちる。
焔は唐突に消え、残ったのは骨だけであった。
その骨達がカタカタと動き出す。
人間骨格一つ分ずつがそれぞれ意識を持つように立ち上がり、少女に従うように跪く「。
少女は旗を地面から抜くと大きく振るう。
そうして、一瞬でも旗の影に包まれた骨格達は影の内に消えるのだった。
「素晴らしい!!貴女の力は一切衰えていないようだ!!」
「当たり前でしょ?それより、こんな些事より、
「私のように貴女が解放されたら即座に動ける様に備え各々準備を進めております。ですが、一部の者はいまだに封じられております。それでもかつてと同等の戦力は揃っています」
「なら、駄目ね。全然駄目よ。かつて以上の物が私には必要なのだから」
「では、今後は騎士団の戦力増強を?」
「えぇ、それを終えたら戦争よ。神々が作りし平和を砕き散らし奴らに安息を与えない戦火を生み出しましょう。それこそ、
憎々しさを隠すことも無く吐き捨てる。
騎士はただ畏まりましたといい、付き従う。
神を憎みし少女は自由を得て、戦いの火を撒き散らすべく歩みを再開する。
◆◆◆◆◆
「うん。やはり、彼女はいい素材のようだね。これなら存分に彼らを引っ掻き回してくれそうだよ」
当然のように
それに気付かずに、自覚せずに少女は動き始める。
人外は彼女が予想の外に出てくれるのを期待しながら笑うのだった。
「でも、まぁ彼なら彼女の業火すら呑み込んでしまうかもね」
一つの可能性を思い浮かべながら人外は次なる一手を打つ為に姿を消すのだった。
新キャラ回でした!
新キャラといってもまだ正体は謎ですが
とはいえ、ヒントは散らばっていますが
それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!