問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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活動報告にてアンケート実施中


神秘を断ち切りし者

 

「見せて上げますよ、私の権能の根元を………」

 

前後左右上下、狐川とアルマによる逃げ場の無い攻撃に対してフェイスレスは呟く。

フェイスレスのギフトカードから銅剣が抜き放たれる。

 

「ッ、マスター避けてください!!」

 

その銅剣を視認した瞬間、アルマが叫ぶ。

だが、狐川は止まらずに突進を続ける。

焔の刃も炎剣も消えたのは自覚している。

アルマが何故か人型になっているのも気付いている。

それでも、狐川は止まらない。

拳を握りしめ、口を歪ませて駆ける。

 

「貴女の敗因は相手の恩恵の能力を確かめずに無鉄砲に突進したことですね」

 

フェイスレスは狐川を一刀両断する為に銅剣を振るう。

狐川は片腕を犠牲にするつもりで真上に掲げながら突っ込んでいく。

交差の瞬間、狐川は拳を放つと思わせて真横に跳んだ。

その程度のフェイントはフェイスレスも予想はしていた。

素早く剣の軌道を修正し、下段から斜めに斬り上げるように振るう。

 

「アルマッ!!」

 

「分かっていますよッ!!」

 

叫びと共にアルマが狐川を蹴り飛ばした。

その瞬間に狐川も地を蹴り、距離を稼いで吹っ飛んでいく。

予想外の展開にフェイスレスが一瞬固まる。

その間にアルマが足払いを掛けるがフェイスレスは反射的に回避する。

再び剣を振るう前に狐川が飛び込んで来る。

左腕で咄嗟に狐川の蹴りを受け止めるが、今は衝撃を殺し切れずに多少後退する。

狐川とアルマが並び立って構える。

二人とも素手であるのに対してフェイスレスには銅剣がある。

どちらが有利なのかは明確ではあった。

銅剣によって恩恵を打ち消され身体能力がただの少女並に落ちてはいるが剣の技量は本物である。

この間合いなら二人が逃げを選んでも、攻めを選んでも斬ることは可能だ。

そして、一回斬ってしまえば剣の威光が無くても数日間は霊格を封印される。

だから、一回斬ってしまえば勝負は決まったも同然だった。

どちらかが動こうとした時だった。

鉱山が激しく揺れた。

 

「「「ッ!?」」」

 

近辺は狐川が仕掛けに使った事もあり、構造からして脆くなっていた。

それにこの衝撃が加わり崩落を起こしたのだ。

フェイスレスと狐川、アルマの間にも岩石が崩れ落ちてくる。

その合間に二人が逃げの体勢に入った事に気付くが追い掛けようにも岩石と足場の崩落に邪魔をされて追い掛けれないのであった。

 

「逃がしてしまいましたか。とはいえ、あの性格なら逃げっぱなしという事も無いでしょう」

 

フェイスレスは銅剣をしまって連接剣に持ち替えると狐川とアルマを探しに行くのであった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

同時刻、十六夜とルイオス、グリーの戦いも決着が付こうとしていた。

十六夜は悪魔化した岩盤に片足以外は拘束されていた。

ただし、その状況はほぼ十六夜が意図していた物であった。

片足分拘束を砕いた事で砂煙で場を包んだのだ。

これによって何時透明化しているルイオスが来ても分かるという事だ。

残りの拘束もその気になればいつでも砕ける。

 

「そこだ!!」

 

右方向の土煙が揺らいだ瞬間に右腕の拘束を粉砕して拳を突き出す。

だが、手応えは無かった。

当たったのは隠者の兜と飛翔の具足だけだった。

嵌められたのは十六夜の方だったのだ。

その隙をルイオスは見逃さなかった。

 

騙し合いは(`````)僕の勝ちだ(`````)_______逆廻十六夜ッ!!」

 

上空から十六夜の背中目掛けて落下するルイオス。

対して十六夜はルイオスが何処にいるか分からない上に体勢が崩れていた。

互いの明暗は分かれていた。

獅子座の恩恵も星霊殺しの鎌が相手では分が悪い。

更には上を取られている体勢的にも迎え撃つのは不可能だ。

だが、騙し合いで劣勢を取らされた十六夜の沸点は、そんな条理に降る程柔ではない。

 

「上等だッ!!だったら上下左右、全方位纏めて(``````)吹き飛ばしゃ(``````)いいんだろうがッ(````````)_______!!」

 

振り被った拳を、そのまま大地に突き立てる。

瞬間、大地震を錯覚させる程の衝撃が鉱山街全域にまで届いた。

十六夜が本気で拳を叩き付けた岩盤は突き立てられると同時に粉滅し、地殻にまで突き刺さる勢いで周囲を瓦解させていく。

山は傾き、洞穴は各所で崩落が始まり、観客席にも岩石が幾つも落ちてくる事態に陥った。

故に誰ももう一つの衝撃に気付かなかった。

崩落の対処をサラやマンドラ達や黒ウサギ達ノーネームの面々がしていた事も合わせて気付かれなかった。

鉱山の中でもう一つ大きな衝撃が響き渡った事を。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「時間も無いのでな、悪いが譲ってもらうぞ」

 

「私は敗者だ。それを拒否出来るわけが無いだろう」

 

一つの決着が同時刻についているのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

狐川は岩盤に背を預けて座っていた。

息を荒げ、口元には血が広がっていた。

 

「何だか知らないけど地震には助けられたわね」

 

「それよりも大丈夫ですか?」

 

「大丈夫よ、この程度ならまだ何とかなるわよ」

 

フェイスレスから逃げた後、少しして狐川は吐血した。

原因は分からないが、狐川はあえて大丈夫という。

 

(いや、今の状態は危険じゃぞ)

 

「(何?あんたが言うレベル?)」

 

(十年続いていた儂らの結び付きが揺らげば危険に決まっとるじゃろ)

 

「そういうことね」

 

「どうかしましたか、マスター?」

 

「なんでもないわ」

 

天狐の言葉で狐川は自身の状況を察するのだった。

狐憑きという状態は狐川の霊格として最早定着した物だった。

しかし、フェイスレスの銅剣によってそれが打ち消されたのだ。

それにより急激に変化した霊格によって体が傷付き吐血したというわけだ。

そして、不安定な状態は続いている。

 

「(なんとかならないわけ?)」

 

(無理にいじらず大人しくしておくしか無いの)

 

「(それじゃダメなのよね)」

 

(無茶すれば儂の霊格がお前を呑み込む可能性すら出てきてしまうんじゃが)

 

「(明らかに私よりあんたの霊格のが安定してるしね。けどまぁ、何とかなるでしょ)」

 

(相変わらず適当じゃなあ)

 

「(いいのよ。それに十年以上続いてる私達の繋がりがそう簡単に崩壊するわけが無いでしょ)」

 

そう言って天狐を納めると狐川はアルマの方に向き直る。

先程アルマは銅剣を見た瞬間に警告を叫んだ。

ならば、その正体を知っているのだろう。

それを聞いてみた。

 

「あれは”天叢雲剣”です。おそらく周囲にある全ての神秘を断ち切る類の権能でしょう。”全権領域(箱庭二桁)”クラスの力に等しい物です。正直私達の手には余るものですよ」

 

「けど、そんな初見殺しをとっておくということは」

 

「はい、リスクもあるのでしょう。しかし、現状の私達ではあの神剣を使われたらほとんど力を封じられたも同然ですよ」

 

「そうなのよね。せめて、素手での戦闘という現状はどうにかしたいわね」

 

二人は天叢雲剣対策の為に話し合う。

おそらく時間はそんなに無いだろう。

しかし、何もしないよりはマシではあるだろう。

だが、それゆえに二人は自分達に近付く影に気付かないのであった。

 

 

 





ゲームも中盤を過ぎてまいりました!!
狐川達が逃げれたのはほぼ偶然です
完全な無策状態の中で十六夜が起こした地震で助かった形です


それでは、質問があれば聞いてください
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