問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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久々に投稿です


番外編4
探す者と求める者


 

「相変わらず大変そうだな」

 

茶を啜りながら悟は他人事の様に呟く。

その目の前には球磨川と皐が大量の書類の山に埋もれていた。

溜まりに溜まった頭首の仕事が雪崩れ込んできているのだ。

 

『分かっているなら手伝ってくれないかな………………』

 

「無駄だ、球磨川。こいつに書類仕事は出来ない」

 

「分かってるじゃねぇか、皐」

 

「若頭がそれでいいかは微妙なとこだけどな」

 

「書類仕事なんて親父も一切やってねぇよ」

 

軽く言う悟。

実際”百鬼夜行”の事務的な仕事はサトリが中心になって行われている。

とはいえ、仕事量にうんざりしている二人は恨めしそうに悟を睨むのだった。

 

「で、何か用があるから来たんじゃねぇのか?」

 

「そうだ、そうだ。聞きたい事があるんだった。最近誘拐事件起きて無いか?」

 

『何でそれを僕らに聞くのかな?』

 

「お前らのとこにもそういう話は回ってくるだろ?」

 

『回ってくるには回ってくるけど噂程度だよ。でも、誘拐事件なら(``````)話は別だよ(`````)

 

「さすが、手回しがいいな」

 

球磨川は皐に視線を向ける。

皐は溜息を吐き、頭を掻きながら書類の山に手を突っ込む。

その中から一束の書類を取り出す。

それを悟の前に投げ渡す。

 

油取りの目撃情報だ(`````````)。目当てはこれだろ?」

 

「そうだな。これが欲しかったんだ」

 

『よく分からないけど…………何でそいつを探してるんだい?』

 

「ほら、俺は”金剛の鉄火場”で優勝しただろ?それで妖刀作って貰う事になったろ。それの素材集めみたいな物だ」

 

「それだけじゃないだろ?油取りが最初に目撃されたのは封印塚跡だ。それも”百鬼夜行”が作った方の、だ」

 

皐が呆れた様に言う。

悟も頬に汗を垂らしながら目を反らす。

球磨川だけが首を傾げる。

 

「死ぬぞ?」

 

「そうとも限らねぇさ。ぞれに親父を越えるには必要な事だ」

 

「そうかよ」

 

息を吐きながら皐は諦めた様に呟く。

元から止める気はほとんど無かったのだ。

止まる気が無いのは最初から分かっていたわけである。

 

『よく分からないけど、気を付けなよ。君に死なれたら安心院さんの遊びに振り回されるのが僕らだけになっちゃうんだから』

 

「おいおい、やる気が失せる様な事を言わないでくれよ……………」

 

顔を引き攣らせながら悟は立ち上がる。

二人に背を向けてヒラヒラと手を振りながら立ち去ろうとする。

そこで皐が何かを思い出したかの様に話し掛けた。

 

「そういや、茨の奴はどうなった?」

 

「あいつなら何処かに消えたさ」

 

それだけ言って悟は今度こそ部屋を出る。

部屋を出るとちょうどお盆に茶と菓子を載せた夏歩が来ているところだった。

 

「あれ?もう帰る所だった?」

 

「そうだな。タイミング悪かったか?」

 

「いや、別に大丈夫だよ。一人分食べる量が増えるだけだからね」

 

「太るぞ」

 

「誰も私が一人で食べるとは言って無いんだけど」

 

「冗談だ。それじゃ、皐と上手くやれよ」

 

「うにゃ!?」

 

去り際の一言で一気に紅くなる夏歩。

思わず御盆を落としそうになるが何とか耐える。

振り返った時には悟の姿は何処にも無かった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「手伝って貰わなくていいのかしら?」

 

何時の間にか悟の背に張り付いていた紅葉がクスクスと笑いながら言ってくる。

悟は肩を竦めながら歩を進める。

 

「あいつらが忙しそうだししょうがないだろ」

 

「それだけでも無いでしょう」

 

「まぁそうだな。そろそろ俺も単体で油取りくらいには勝てる様にならないといけないとは思っているな」

 

「でも、私の手は借りるんだ?」

 

「お前は別枠だ。お前くらいの反則を使わなきゃ出会え無い(`````)からな」

 

「その時点で力不足じゃないかしら?」

 

「痛いとこを突いてくれるなよ………………」

 

「事実だからしょうがないじゃない」

 

「そうではあるが、言っていいことと悪いことがな。今更の話ではあるが」

 

溜息を吐きながら資料に目を通す。

行方不明者の年齢に規則性は無く、場所も特に目立つところは無い。

それでも、共通点はあった。

誘拐の現場そのものを目撃した者は存在しない。

なのに、何時の間にか油取りの仕業(``````)と言う噂が広まっているらしい。

それだけで本物と断定出来る情報だった。

悟は無意識に口を歪めながら油取りの捜索を始めるのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

横薙ぎに棍棒が振るわれる。

それをしゃがんで躱すと、軽く刀を振るい腕を斬り落とす。

耳障りな悲鳴を上げている間に間合いを詰めて胴を横一線に斬り裂く。

 

「弱い………」

 

背後から振り下ろされる大槌を半歩移動して躱す。

振り向き、大槌の上に足を乗せて動きを封じる。

そのまま大槌を足場に跳んで、首を斬り落とす。

 

「弱い」

 

巨大な鉞を反射的に右の刀で受け止める。

瞬間的に刀全体にヒビが広がる。

即座に刀を捨てて間合いを詰めて左の刀で喉を貫く。

そのまま振り上げて頭部を真っ二つにする。

 

「弱い!!」

 

舞い散る鮮血を突き破って放たれる拳を片腕で軽く受け止める。

そのまま関節を狙って蹴りを入れて骨を砕く。

更に頭を掴んで地面に叩き付ける。

砕けた頭部から爆発的に血が飛び散る。

 

「弱いんだよ、雑魚共が!!」

 

心底詰まら無さそうに茨は叫ぶ。

彼の周囲には屍の山が出来ていた。

”金剛の鉄火場”の後に目を覚ました茨は純粋に力が足りないと感じていた。

牛鬼や酒典童子に追い付くどころか悟にすら勝てないのが現状の茨だった。

結果は引き分けであったがいずれは引き離されると直感した。

故に今まで以上に力を求めて”百鬼夜行”を離れた。

そして、手当たり次第に戦いを挑んだのが現状だった。

鬼の集まりらしき集団は死屍累々の山へと変わっていた。

そのどれもが茨にとっては期待外れの雑魚だった。

血肉は撒き散らされ、湖のごとく血溜まりが出来ていた。

屍の山の上に詰まら無さそうに茨が立っているとカランカランと足音が響いた。

茨は何となくそちらに視線を向けるが人影は無かった。

 

(わらわ)の配下を此処までするとはそれなりに力はあるようね。まぁこいつらは下僕以下の駒だけど」

 

「ッ!?」

 

背後から声が聞こえ、振り向いた時には遅かった。

腹に蹴りを入れられて吹き飛ばされていた。

茨は即座に体勢を立て直してどうにか着地する。

屍の山の上に視線を向けるとそこには和装の女性が立っていた。

烏帽子を被り、玉飾りの付いた簪を付けていた。

その黒髪は黒曜石のごとく美しかった。

紅色の着物を肩を出した状態で身に着けている。

着物ではあるがミニスカのごとく足は出ていた。

白のニーソの様な物を纏い、下駄を履いている。

眼を引くのは腰に携えらている三本の刀だった。

茨から見ても凄まじい力を感じる代物だった。

女性は茨を見下しながら口を歪める。

 

「貴方、(わらわ)の下僕にしてあげましょうか?」

 

「誰がなるか」

 

「そう。でも、いいの?仮にも(わらわ)の配下に手を出したのだから下僕にならないなら殺す気だけど」

 

「やってみろよ」

 

[馬鹿め][阿呆め][能無しめ]

「あんたらは黙っていなさい」

 

突如何処からともなく声が聞こえてくる。

女性が声が響くなり刀を叩いた辺り、発生源は刀の様だ。

何故刀に人格が宿っているかは謎だが全て煽る様に嘲笑うかの様な口調であった。

女性も刀の言葉自体は否定しない。

 

「さっきの一撃で実力差を理解出来なかったのかしら?」

 

「知るかよ。お前は俺の敵。それだけ分かってれば十分だろうが!!」

 

「そうね。でも、貴方じゃ(わらわ)に勝つのは不可能よ?」

 

二刀を構えて飛び掛かる茨。

女性は特に興味も無さそうに茨を眺めながら首を傾げる。

その態度が茨の頭に更に血を上らせる。

それでも、しっかりと女性からは視線を外さず、冷静に刀を振るおうとはしていた。

それよりも速く女性は距離を詰めて茨の腹に掌底を放つ。

衝撃は茨を貫かずに内部で破裂した。

茨は口から血を吐き出しながら地を転がる。

刀を地面に突き刺して無理矢理勢いを止めて立ち上る。

口元を乱雑に拭い、女性を睨む。

力の差は歴然であり、敵うはずなど無い。

それでも、茨は真っ直ぐと女性を見て刀を構える。

その様子を見た女性は面白そうに口の端を釣り上げる。

 

「いいわね。その執念にも似た殺気に興味が出たわ。だから、一撃でも私に当てれたら殺さないでおきましょう」

 

遊びを提案するかの様な気軽さで女性は言う。

茨はそんな事は関係無いとばかりに飛び掛かって行くのだった。

 

 





オリ編始まりました!
悟視点と茨視点同時進行でお送りいたします!

油取りが何なのかなどは次回です!

茨の前に現れた女性の正体は何なのか
ヒントは外見です

それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます!
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