問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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エピローグと言ったな
あれは嘘だ!
というわけで今回ではまだ終わりません


借り受けし眼

 

「伏目、眼をくれ」

 

「いきなり呼んでいきなりそれですか」

 

「別にいいだろ?」

 

悟は伏目を呼び出して唐突にそんな事を言い出すのだった。

左眼は現在簡素な黒い眼帯で塞がれている。

さすがに何時までも片目では不便なので新しい眼球を補充するのが目的だった。

加えてせっかく補充するならそれなりに機能が充実していた方がいいという事でありとあらゆる魔眼を身に宿す伏目を呼び出したのだ。

一応隠してはいるが伏目は”影から覗く眼”そのものである。

既に百個の眼という概念を超越し、無数の眼を所持している。

”眼”という概念に成り果てた結果ありとあらゆる魔眼を持っているのだ。

とはいえ、再現性に差はありはする。

所持はしていても十全の性能を発揮できるわけでは無いのだ。

 

「まぁ私としては構いませんが本当にいいのですか?」

 

「何か問題でもあるのか?」

 

「一応代価といいますか、契約と言いますか」

 

「そこらへんは好きにしろ」

 

「いえいえ、私が欲しいのは現物では無くてですね………………」

 

「俺の視界だろう?」

 

「そうですよ。私の生き甲斐は他者の生き様を観察する事にあります。ですので、眼を貸し与えるのであればそれに貢献して貰わなければならないのですよ!!」

 

「そこらへんは問題ねぇよ。魔眼封じで常時は封じておくからな」

 

「若様も意地悪ですね」

 

「お前にプライベート全部晒す気はねぇよ」

 

苦笑しながら悟は言う。

伏目は内面を読ませない笑みを浮かべながら背後に無数の”眼”を浮かべる。

その一つ一つが魔眼だった。

 

「さて、それでは若様が望む魔眼はどのような性質で?」

 

「シンプルに見通す眼でいい」

 

「おや、そんな物でいいのですか?てっきり、強力な呪い持ちを選ぶかと思っていましたが」

 

「呪いは最近極上のが入ったからいいんだよ。だから、俺は自身の補強に力を入れておきたいんだよ」

 

「あぁ、そういう事ですか。サトリの力を補強するには見通す眼は最適ですからね」

 

「分かったならさっさと寄越せ。今日は色々と予定が立て込んでるんだ」

 

「はいはい、了解いたしました」

 

言いながら伏目は一つの眼球を残して”眼”を仕舞う。

悟が眼帯を外すと伏目の眼球が影と一緒に流れ込んでいく。

多少の痛みと共に接続される様な疼きを感じる。

しばらくすると完全に眼球が肉体に馴染み普通に見える様になる。

 

「へぇ、これが若様の視界ですか」

 

「マジで俺の視界を見られてんのか」

 

「あぁ、もうちょっと見させてくれても!!」

 

予め蛍から受け取っておいた封魔の加護が付与された眼帯を付ける。

同時に締め付けられる感覚に襲われる。

だが、視界は変わらず両目で見ている物だった。

魔眼としての機能を封じ、正常な眼球としての機能のみ発揮させる。

陰陽師の物語すら取り込んでいる蛍にとってはそれくらいの調整は楽な物であった。

 

「あぁ、そうだ。言い忘れていましたが魔眼の力を全開で使うと寿命を削りますよ」

 

「分かってる」

 

短く答える。

それくらい想定内ゆえに聞いて無い。

本来自分の物で無い霊格を動かすのだ。

それも性質としては呪いに近い物を。

ならば、自身の魂が削れても不思議では無い。

 

「それで若様。今日は立て込んでいると言いましたがどのような用事で?」

 

「依頼していた刀が完成したらしいから受け取りに行くんだ」

 

「そうでありましたか」

 

「そういう事だから俺はもう行くぞ」

 

「えぇ、いってらっしゃいませ」

 

軽く手を振りながら去って行く悟を軽く頭を下げて送る伏目。

だが、その口元は不気味な笑みを浮かべていた。

それは背を向けた悟も薄々感付いているのだった。

そんな悟の背には何時の間にか紅葉が張り付いているのだった。

 

「また面倒な物を取り込んだみたいね」

 

「必要な事だから仕方ねぇだろ」

 

「あんまり寿命を無駄遣いすると目的も果たせずに死ぬわよ」

 

「そん時はそん時だ」

 

「私としても詰まらない死に方されるのは困るのだけど」

 

「分かってる。”約束”は忘れて無い。俺も詰まらねぇ死に方をするつもりは欠片もねぇよ」

 

「そう。貴方が思い通りに物事を進められるわけが無いと思うけど」

 

「うるせぇ」

 

毒を受け流す様にしながら悟は歩を進める。

クスクスと笑いながら紅葉は遠いところ眺める。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

『やぁ、悟君。待っていたよ』

 

「何でお前が待ってるんだ?」

 

『”これ”を持ち運べるのが僕くらいだったからさ』

 

言いながら球磨川は布に包まれた物を地面に置く。

途端に周囲の大地が枯れ始める。

草は枯れ、地は干乾びてヒビ割れる。

それを見て悟は顔を引き攣らせながら口元には笑みを浮かべていた。

想像外ではあったが期待以上の物を前にしたような感じであった。

 

『君が依頼していた妖刀、確かに届けたよ。要望通り君が持ってきた手首と鉄串、蛍ちゃんの心臓と角を恩恵として付与して精製過程で君が混ぜ合わせたらしいよ』

 

詳しい事は知らないので適当に述べていく。

悟は確かに妖刀を依頼した。

更に纏わせる恩恵は自身で採取した。

それでも、気圧される様な威圧感が布に包まれた物体にはあった。

 

『ルイオス君が言うには化物過ぎて手に負えないんだって。制御不能で常時周囲の生命力を喰らう。特に直に触れた者からね。加えて宿した恩恵と言うか呪いが濃すぎて触れるどころか目にするだけで精神に異常を齎すとか』

 

「いいね。期待以上だ」

 

「本気でこんなのが欲しかったの?」

 

「俺が欲しかったのは親父の”獅子王”に負けないくらいの妖刀だ。これくらいじゃねぇと釣り合わねぇよ」

 

悟は明確に笑みを浮かべる。

紅葉は呆れた様に息を吐く。

球磨川は特に気にせずに説明を続ける。

 

『まぁ此処まで聞けば僕が運んだ理由も分かるよね』

 

「あぁお前クラスじゃなければ正気を保てずに運搬出来ないんだろ」

 

『そういうこと。まぁ説明としてはそのくらいだよ。宿った恩恵は作った本人も分からないから悟君が自分で確かめるしかないよ』

 

「大体の見当は付いてるから心配すんな。それより、中身を見ていいんだよな?」

 

『構わないよ。此れは君の物だしね』

 

答えを聞くと悟は刀を包む布を捲り上げる。

同時に共鳴する様に左手が疼く。

悟の左腕は封魔の加護が付与された黒手袋に包まれていた。

犬神だったモノを押さえ付ける為の処置だった。

それが反応するレベルの”何か”が刀にはあるということだろう。

布が剥がされた途端に瘴気が周囲に溢れ出す。

瘴気を受け流しながら悟は妖刀の刀身に目を奪われていた。

 

「あぁ、こりゃ凄いな」

 

「うわ、あの蜘蛛女の嫌な臭いが染みついてるじゃない」

 

笑みを浮かべると悟と顰める紅葉。

反応はそれぞれ別だった。

悟は本来なら禍々しさを思わせる刀身に美しさを感じている。

紅葉は妖刀の放つ妖気に蛍に近い物を感じているのであった。

 

「そういや、鞘はどうした?」

 

『これを抑え込める鞘が無かったらしいよ』

 

「そうか。なら、仕方ないな」

 

言いながら悟は妖刀へと手を伸ばす。

触れた途端にまるで電撃が走った様に火花が散る。

同時に悟はごっそりと妖力を持って行かれるのを感じた。

 

「確かにこりゃ大喰らいだな」

 

「さっさと話さないと干乾びるわよ」

 

「いや、待て。此方の手なら大丈夫だろ」

 

そう言って悟は触れる手を左手に変える。

途端に吸われる妖力が減る。

おそらく呪いと呪いが反発しあったのだろう。

 

「鞘が無いのは不便だが………………しばらくは封魔の布辺りで包んでおけば大丈夫か」

 

『それじゃあ、僕も届ける物は届けたし帰るよ』

 

「速いな」

 

『しょうがないだろう?僕は今や連盟頭首に担ぎ上げられているんだから』

 

「それもそうだな。あぁ、そうだ。一つ聞き忘れていたがこの刀の銘は何だ?」

 

『それは君が決めろと言ってたよ』

 

「そうか」

 

球磨川を見送ると悟は妖刀と向き合った。

妖刀から感じる瘴気はほとんど蛍と同質の物だった。

蛍も普段は抑えているとはいえ恐ろしい程の瘴気を溜め込んでいる。

そちらに慣れている悟にとっては特に問題の無い物だった。

刀身はまるで材料になった物の性質を示すかのように、うっすらと紅く輝いていた。

それらの印象を元に悟は銘を決める。

 

「よし、決めたぜ。お前は”血染蒼姫(チゾメノアオヒメ)”だ」

 

「安直過ぎない?」

 

「いいなだよ。こういうのは直感が一番だ」

 

血に染まりし蒼い姫、それは蛍を連想させる名でもあった。

快く角と心臓を提供してくれた蛍への感謝も込められた名ではあった。

悟は刀を布に包み直すと一旦本拠に向かうのだった。

 

 





悟の戦力補強回でした!

大体武器を受け取っただけでした
どれもこれも容赦無く吸い上げる系ですが
それらを平然と使うのが悟でもあります

それでは、質問があれば聞いてください
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