問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!?   作:天崎

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とりあえず一段落で第一部というか問題児シリーズとしては終わりです


Anothaer Prologue After &Anothaer Chapter Ending

「それで、何を教えてくれるんだ?」

 

「俺達妖怪の根源、元となった現象に霊格を近付ける術さ」

 

「あぁそれか」

 

何度か見た事あるので各々納得する。

たとえ現状では格も低く能力が無い妖怪でも元となった伝承、現象を抽出すれば大きな力を発揮出来る可能性もある。

だが、あまり近付き過ぎると戻れなくなるという欠点はあった。

 

「ぬらりひょんの奴は使わねぇがな」

 

「何でだ?」

 

「そりゃ、ぬらりひょんの根源は何も無いからな。ただの勘違いから始まった結果だ。力を発揮出来ないどころか弱体化する可能性がある」

 

「なら、俺も駄目なんじゃ?」

 

「お前さんは大丈夫だ。何せ混血だからな」

 

「混血に何か関係があるのか?」

 

「根源に触れる術なのだ。触れる根源が多ければ自ずと発揮できる物も増えるだろう?」

 

「そういうことか」

 

「それに混血の場合はもっと面白い結果が起きる可能性があるしな」

 

「俺が覚える価値があるのが分かったが茨たちは意味あるのか?」

 

「そうよ。特に(わらわ)は根源も何もあったもんじゃないけど」

 

指輪と刀に触れながら鈴姫が言う。

ありとあらゆる鈴鹿御前としての力を使え三本の妖刀と先祖たる坂上田村麻呂の力も利用する鈴姫が修得する必要があるのか疑問なのではあった。

酒典はそれに対して笑って答える。

 

「まぁ特には無いな。戦術の一端として覚えておく意味はあるかもだが」

 

「そう」

 

「なら、俺もいらねぇよな」

 

今まで静かに待機していた茨が口を挟む。

戦いを続ける気は失せていたが邪魔をされた事はまだイラついているようだ。

とはいえ、表立って態度に表す程でも無いようだが。

 

「いや、お前には有用だ。純粋な”鬼”は特に効果を発揮する」

 

「”鬼”は元々は怪異全てを表すからか?」

 

「そういうことだ」

 

実際の効果はともかく覚えるだけの価値はあるのだ。

そんなやり取りを聞きながら紅葉は密かに考えていた。

酒典は元々教える気だったのだろうが後押しした”誰か”がいるのではないかと」

 

「まぁどちらにせよ、私には関係無いけど。で、あんたは何を覗いてるのよ蜘蛛女」

 

「黙ってなさい、根暗。それよりあの女は悟の何よ」

 

「悟とは一切関係無いわよ。茨の方よ」

 

「そう、ならいいわ」

 

悟と関係無いと聞くなりあっさりと興味を無くす蛍。

蛍としては悟に関係無い女ならどうでもいいのだった。

蛍は視線を鈴姫から紅葉へと移す。

 

「それであんたは珍しく大人しいけどどうしたのよ」

 

「別に今は大人しく見ていた方が面白そうなだけよ。修得失敗してからいじった方が愉しいでしょう?」

 

「悪趣味ね」

 

「あんたにだけは言われたくないわよ、人喰い」

 

視線をぶつけ合う。

だが、直接は手を出さない。

出しても意味は無い事を互いに知っている。

悟の全てを求める少女と悟の末路を眺める少女は擦れ違いを続けて行く。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「さて、それではこれで安心!!安心院さんの端末講座~!!」

 

「は?」

 

久藤彩鳥は唖然としていた。

気付いたら見知らぬ教室らしき場所の椅子に座っていた。

記憶では西郷焔との契約を終え、カナリアファミリーホームでの歓迎を受け、帰宅して就寝したはずだ。

なのに、何故かこんなところにいるのだった。

加えて服装も見知らぬ学生服に変わっていた。

全てが訳が分からない状況だが誰の仕業かは明白だった。

というよりも、犯人であろう人物が目の前にいる。

教卓の上に座り、白衣を纏い、眼鏡を掛けている女性。

悪平等たる人外、安心院なじみだ。

彩鳥にとって見たく無い顔でもあった。

フェイスレス時代の経験からすれば当然である。

同時に諦めもあった。

この人外ならたとえ転生しても見付けられるのだろうから。

現に見つかっているわけである。

 

「おや、驚きはしないのかい?」

 

「貴女相手に驚く事自体が意味が無いでしょう。貴女なら何をしてもおかしく無いのだから」

 

「いやいや、僕も何でもは出来ないさ。7932兆1354億4152万3222個の異常性(アブノーマル)と4925兆9165億2611万0643個の過負荷(マイナス)、合わせて1京2858兆0519億6763万3865個のスキルで出来る範囲のことしかやれないさ」

 

「本当に化物ですね」

 

「人外さ」

 

「それで、その人外が私に何の用ですか?」

 

「僕のことは親しみを込めて安心院さんと呼びなさい。でも、君なら”僕”と呼んでも構わないよ。何はともあれ君に一つスキルを貸し出しているのを覚えているかな?」

 

「あれはサービスだったのでは?返せというなら返しますが」

 

安心院から彩鳥に譲渡されたスキルは転生した今も所持はしていた。

何故転生したのに所持しているのかは彩鳥には分からないが安心院に関する事は深く考えても無駄だとも思っている。

 

「別に返す必要は無いよ。君が役割を果たしてくれればそれでいいからね」

 

「ちょっと待ってください。役割とは何の事ですか?貴女はまた私に何かしたのですか」

 

「スキルを渡した時点でやり終えているよ。だから、経過を観察する為に今来たんだけど」

 

「私をどうするつもりですか?」

 

「どうもしてないさ。君は既に僕の端末だし」

 

「端末?」

 

不穏な響きに身構える彩鳥。

安心院はそんな様子も楽しそうに眺める。

そのままチョークを持つと黒板に説明を書いていく。

 

「端末というのは僕の分身みたいな物さ。先天的後天的があるけど君の場合は先天的だね。転生した時点で僕の端末なのだから」

 

「ッ………………」

 

「そう身構える必要も無いさ。身体的には他の人間と変わりは無いよ。君の場合は僕の”眼”としての役割しか任せる気は無いし」

 

「”眼”?」

 

「そう、僕も西郷焔君には興味があってね。その観察を君の視点からさせて貰うつもりなのさ」

 

「その為にわざわざ私に近付いたんですか」

 

「最初は面白そうだから干渉しただけさ。彼らの良い刺激になると思ってね。でも、君の転生先を視て気が変わったのさ」

 

「よく女王の術に干渉できましたね」

 

「彼女の術に干渉するのは確かに苦労はするけど出来なくは無いからね」

 

「私に教える意味は?メリットがあるとは一切思えませんが」

 

「特に無いね。でも、君には教えておかないとフェアじゃないからね。端末ではあるけれど僕から君にどうこうする気は無い事も覚えておいて欲しいな」

 

「白々しい言い分ですね」

 

「信用できないのは仕方ないけど何も四六時中見るわけじゃないよ」

 

「それでも、ですよ」

 

「まぁ端末と知って君がどうするかは自由だよ。僕は干渉しないし、命令もしない。ただ君の好きなように生きればいいよ」

 

彩鳥は少し黙った上で考える。

この人外が自分で観察せずにわざわざ彩鳥を使うのには意味があるはずだ。

特に彩鳥の正体を知る御門釈天などの観察も兼ねている可能性もある。

あちらはバレると少々不味い。

だが、この人外ならそちらも把握している可能性もあるにはある。

ありえる物が多過ぎて逆に狙いを絞り込めない。

 

「そう悩まなくてもいいよ。僕としては布石に近いからね。盤面を転がす為の」

 

「結局貴女に左右されるしかないというわけですか」

 

「僕に対抗してもいいんだよ?僕はそれでも全然構わないからね」

 

「貴女は一体何の為に動いているんですか」

 

「そりゃもちろん”引っ掻き回す”為にさ」

 

どうとでも受け取れ、直球で受け取るならふざけてるとしか思えない答えを即答してくる。

立ち位置もきっと前と同じ答えを返すつもりなのだろう。

問答に意味は無い。

ならば、相手をするのも無駄だろう。

 

「そうですか。私としては貴女に興味はありませんし好きにしろというのならばそうさせて貰いますよ」

 

「つれないねぇ。でもまぁ、僕も他に用事があるし今日の授業は此処までとしよう」

 

「また人の夢に現れる気ですか」

 

「此処が一番安全に密会出来る場所だからね。それじゃ、君の方から用があったら呼んでくれ。僕は何時でも相談に乗るよ」

 

そう言って安心院は教室から出ていく。

同時にこの場での彩鳥の意識も失われる。

まるで夢から覚める様な感覚と共に彩鳥は意識を失うのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「ッ!?」

 

全身を汗で濡らしながら緋御悟は跳び起きる。

寝巻である浴衣は汗で重くなり、布団も乱れていた。

だが、それを気にする余裕は悟には無かった。

左手に左眼、自身では無い物を抱える部位が尋常では無い痛みを発していたからだ。

当然と言えば当然の拒絶反応だが悟は内側から自身が造り返られる様な”何か”を感じていた。

 

「馬鹿じゃないの?」

 

「うるせぇ、俺の勝手だろうが」

 

何時の間にか部屋にいた紅葉が呆れた視線を向けながら吐き捨てる。

悟は右目で睨みながら言い返す。

けれど、言葉にはほとんど重みは無かった。

 

「祟り級の怨霊にアレの眼に青行燈との契約に未知数の妖刀、これだけ手にしていればそうなって当然よ」

 

「そうでもしなきゃ力は手に入らねぇだろ」

 

「気付いてる?寿命の減りはもちろんあんた自身が変質し始めている事に」

 

「分かっているさ。このくらいは覚悟の上だ」

 

「強がりの間違いじゃない?このままだとただの怪物に成り果てるわよ」

 

「ならねぇさ。俺が俺である間は」

 

乱れていた息を整え直して答える悟。

代償は覚悟の内、どんな末路になろうと納得の上ならば問題は無い。

ゆえに悟は動揺しない。

 

「本来ならまず精神が死んでるはずなのにね」

 

「そこは強いからな」

 

「違うでしょ。壊れてる(````)でしょ」

 

元より破綻している物はどうしようがそれ以上壊れることは無い。

歪みが広がるだけだ。

それを良しと取るか、悪しと取るかは本人の問題だ。

 

「安心しろ。少なくとも俺はこれに呑まれるなんてつまらない末路を辿る気は無い」

 

「当然よ。私と契約しているのだからそれなりのを見せて貰わないと」

 

脂汗を流しながらも補償する様に拳を突き出す悟。

紅葉は溜息を吐きながら呆れた顔を見せるのだった。

 

 





次回!ラストエンブリオに突入!

というわけで、同じ枠でラストエンブリオに入ります
タイトルそのままです
焔達は第二部でちゃんと出る予定です

それでは、質問があれば聞いてください
感想待ってます

ライダーの方のラストエンブリオを先に書く事になると思います!
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