問題児と大嘘憑きと吸血鬼が異世界から来るそうですよ!? 作:天崎
上空4000mから呼び出された三人は、落下地点に用意してあった緩衝材のような薄い水膜を幾重も通って湖に投げ出される。
「『ガボォ!?』」
ボチャン、と着水。
水膜で勢いが衰えていたため無傷で済んだが、阿良々木暦と球磨川禊にとってそれは関係無い。
二人は泳げないのだ。
「あいつら上がってこないな」
さっさと陸地に上がった十六夜は水面を見ながら呟く。
一分が経つがまだ上がってこないのを見て十六夜は仕方なく立ち上がる。
「しょうがねぇな」
二人を助ける為に湖に入ろうとした時、四つの人影が湖から上がってくる。
「全く、スタート地点でゲームオーバーって君は相変わらずだね」
「お前様は何をやっておるんじゃ」
男二人を助けたのは二人の少女だった。
片方は八歳くらいの幼女と言うべき外見だが口調は老人くさい。
二人は各々助けた男を横にすると腹を踏み付ける。
「『ゴバァ!?』」
男二人はその衝撃により水を吐き出す。
『君の端末にも同じ事をされたけどそこらへん影響されてるのかな?』
「さあね、それは僕の知ったことではないよ」
意識を取り戻した球磨川は辺りを見ながら起き上がる。
「お前様は何を溺れとるんじゃ」
「吸血鬼だからそりゃ溺れるだろ」
「儂は泳げるぞ」
「本当に滅茶苦茶だな、お前は」
『それにしても問答無用に引き摺りこんで空に放り出すなんて乱暴だね』
「だな、お前らがなりかけたように場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
「そうだね」
「そうじゃな」
『確かにね』
十六夜の言葉に暦以外は同意する。
「いや、石の中じゃ動けないだろ……」
「俺は「儂は『僕は
「「『問題ない』」」
ぜ」ぞ」よ』
「そうですか……」
暦は諦めたように溜め息を吐く。
忍はともかく他の奴も半端ないみたいだ。
『此処はどこだろうね?』
「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」
球磨川の呟きに十六夜が応える。
何にせよ、彼らの知らない場所であることは確かだった。
一人、正体を知ってそうな者がいるが話しはしないだろう。
『そう言えば、安心院さん』
「なんだい球磨川君」
『君はどうして復活しているのかな?言彦の不可逆が消えたとはいえ……』
「こんなに速く復活しているのは予想外かい?」
「ただ単に一京のスキルの一つ、バックアップを取るスキル【私のかわりはいくらでも(マイオルタナティブ)】と生まれ変わるスキル【収監は第二の転生なり(セカンドライフインジェイル)】の組み合わせただけだぜ」
「まぁまだ不完全で存在が不安定だけどね」
『そんな状態でなんで僕のところに来たんだい?』
「言っただろ、バックアップを利用しているって」
そう言いながら球磨川の胸に触れる。
その動作で球磨川は思い当たるものを思い出す。
『まさか、あのメッセージかい?』
「そういうことたよ。でもまだ途中で君から5m以上離れられないし、スキルも千個程しか使えないよ」
『それだけあれば充分じゃないかな?』
球磨川は若干、引きながら言う。
適当に服を絞り終えた十六夜は軽く曲がったくせっぱねの髪の毛を掻き上げる。
「まず間違いないだろうけど、一応確認しておくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
「そうだよ、だけどその呼び方は止めてくれないかな?僕は安心院なじみ、親しみを込めて安心院さんと呼びなさい」
「そうかい、それでそっちの男二人と金髪幼女は?」
「僕は阿良々木暦だ」
「儂は忍野忍じゃ」
『僕は球磨川禊、好きに呼べばいいよ。それで乱暴そうな君は?』
「見たまんま乱暴な逆廻十六夜だ」
そんな彼らの様子を物陰から見ている黒ウサギは思う。
(うわぁ………なんか問題児ばっかりみたいですねぇ……)
召喚しておいてアレだが……彼らが協力する姿は、客観的に想像できそうにない。
黒ウサギは陰欝そうに重い溜め息を吐くのだった。
というわけで安心院さん復活の経緯は本文の通りです。
状態としては忍に近いものと思ってください。